Mantraがマンガ特化の多言語翻訳システムで小学館「マンガワン」英語版展開を支援、海賊版サイトの作品取り下げにも寄与

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マンガに特化したAI翻訳技術の研究・開発を行うMantra(マントラ)は11月1日、小学館のマンガ配信サイト「マンガワン」の英語版展開を、多言語翻訳システム「Mantra Engine」で支援すると発表。共同による取り組みを開始した。


マンガワンの海外展開は、海外で広く普及している海賊版への対処でもある。Mantraが2021年に行った調査では、小学館が出版したマンガのうち、正規の手続きを踏んで翻訳された公式版に対して、海外海賊版は約5倍の量が流通していることがわかった。なかでも、「ケンガンアシュラ」と「ケンガンオメガ」のシリーズは、確認できた海外海賊版サイトだけでも閲覧回数が1億回を超えていた。

ただ、海賊版の制作者に対するアンケートでは、公式な翻訳版がないためという回答が67.7%あり、大好きなマンガを広めたいという気持ちが強い熱烈なファンによる行為であることがわかる。その証拠に、「ケンガンアシュラ」「ケンガンオメガ」の公式な翻訳版の配信予定が発表されると、海外海賊版制作グループは海賊版の制作を停止し、公開済みエピソードの配信取り下げを発表したという。

小学館では、そうした熱烈なファンの力を活用して、正規の翻訳版制作に取り組んでいる。上記の理由から、公式版の公開が急がれるが、そこでMantra Engineの能力が活かされることになる。このシステムでは、翻訳担当者に原稿データを送ることなくウェブブラウザー上で作業が行えるほか、AI技術による支援機能により安全性と効率性が両立され、制作時間が従来の約半分に短縮されるとのことだ。

翻訳を行うのは、Mantraが個別に面談し協力を依頼したマンガファン。彼らはMantra Engineで作業を行った英語版は、英語圏向けマンガ配信サービス「Comikey」から日本語版と同時に公開される。

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TechCrunch Japan

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