Microsoftの.NETフレームワークはこの12年にわたっってWindowsでアプリケーションを開発するデベロッパーのプログラミング・モデルとなってきた。今日(米国時間11/12)、Microsoftはデベロッパー・ツールのクロスプラットフォーム化の努力を一歩押し進め、近く.NETをMacとLinuxに移植することを発表した。同時に、.NETのサーバ・サイド(クライアントの.NETではない)のコア・スタックを次のバージョンからオープンソース化するという。
Microsoftはすでに今年に入って.NETコンパイラをオープンソース化しているから、今回の決断もまったくの不意打ちというわけではない。それでも多くの専門家は“Microsoft”という言葉と“オープンソース”という言葉が同一の文章の中で使われることに驚きを隠せないかもしれない。
Microsoftのデベロッパー事業部を担当するコーポレート・バイスプレジデントのS. “Soma” Somasegarは私の取材に対して、「.NETフレームワークを利用してプログラミングを行っているデベロッパーは600万人程度だ。普及の点でわれわれは大成功を収めている」と述べた。問題はこの成功をベースにさらに前進するにはどうしたらよいかだ。
しかし、サティヤ・ナデラがCEOに就任した後のMicrosoftの動きをよく観察すれば、今日の決定も納得できるだろう。たとえば、今年のBuildデベロッパー・カンファレンスでMicrosoftは.NET Foundation の設立を発表しているが、この組織が今回のオープンソース化の受け皿となった。
適切な判断といえるだろうが、MicrosoftはXamarin社と同社が後援するMonoコミュニティと協力していくという。XamarinはすでにC#を用いたオープンソースでクロスプラットフォームの.NETフレームワークを開発し多くのデベロッパーの支持を得ている。Somasegarは私に「今回の発表の後、オープンソース化の作業については、数ヶ月かけてMonoコミュニティーと協力していく。われわれはXamarinと非常に密接な協力関係にある」と語った。
Somasegarは「クロスプラットフォーム化とオープンソース化は.NETにとって将来へ向けての大きな一歩だ。Microsoftは.NETをさらに普及させたい。そのための最善の方法は新たなプラットフォームへと拡張することだ」と述べた。
数日前、私はMicrosoftのクラウドおよびエンタープライズ担当エグゼクティブ・バイスプレジデントのScott Guthrieを電話で取材したが、彼も同じ趣旨のことを述べ、「われわれはデベロッパーからしばしばく『.NETはすばらしいプロダクトだと思うが、クローズドでWindowsしかサポートしていないから使わない』という声を聞いていた。水曜日の発表を聞けば.NETを使わない理由がすべて消滅したと知るだろう」と語った。
SomasegarはこれによってMicrosoftのパートナーには多くのチャンスが訪れることを強調した。たとえばDockerの事業開発とテクニカル・アライアンスの責任者、Nick Stinematesは「われわれのDockerオープン・プラットフォームの最大の価値は、 Dockerコンテナを利用してさまざまなインフラにDockerアプリケーションを移植できるポータビリティーの高さにある。オープンソースの.NETランイタイムをすべての主要なOSプラットフォームに提供するということは、Microsofがポータビリティーの概念をアプリケーション・プラットフォームそのものにまで拡大したことを意味する」というコメントを発表してている。
Microsoftはオープンソース・コミュニティーとの会話を開始する手始めとして.NETのコードのGitHubレポジトリを開設する計画だ。最終プロダクトがどのようなものになるかまだ分からないが、Somasegarは「近く.NETアプリをMicrosoft AzureのLinuxのDockerコンテナで動かせるようになる」と述べた。
これにともなって、デベロッパーを法的紛争から保護するため、MicrosoftはMonoプロジェクトとそのユーザーすべてを対象とした新たな特許特約を公表した。
企業が主要プロジェクトをオープンソース化すると、ユーザーは「企業がそのプロジェクトのサポートを止める前触れではないか?」と不安になるのが常だが、SomasegarもGuthrieも「そういう考えは毛頭ない」と強く保証した。
これほど大きな発表であれば、読者には質問したいことも山のようにあるだろう。Somasegarは直接質問に答えると約束してくれた。〔元記事の〕コメント欄に質問を書き込んでいただきたい。太平洋時間11:30amから受け付ける。
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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+)