最近急速にクラウド化しているMicrosoftが、今日(米国時間6/16)、クラウドベースの機械学習プラットフォームを発表した。このAzure MLはクラウド上でビッグデータを利用することにより、単に過去を分析するのではなく、将来の事象を予測するアプリやAPIを作ることができる。
Azure MLはXboxやBingですでに使われている機械学習機能を利用している。またデベロッパーが未来予測アプリを開発するために使うテンプレートとワークフローも用意される。これによって機械学習アプリを開発するスピードは大幅に加速されるという。サービスのプロバイダはAzure MLプラットフォーム上で各種のウェブサービスを開発できるだけでなく、APIを公開することも可能になる。
Microsoftのコーポレート・バイスプレジデントでAzure MLの責任者、Joseph Sirosh(Microsoftに移る前は長年Amazonに在職)は、「このプラットフォームを利用すればユーザー、パートナーは未来を予測するビッグデータ・アプリケーションを開発することが可能になる」と述べた。
Siroshは「過去の分析ではなく未来を予測し、それを変えることができるのがAzure MLの傑出した特長だ」という。
「既存のデータ分析システムも未来の予測ができる。しかし機械学習は未来を書き換えることができる」とSiroshは説明する。 つまりビッグデータを分析してパターンを発見し、製品の需要や病気の流行を予測したり、エレベーターが故障する前にメンテナンスが必要だと教えたりする。さらには犯罪の発生を予測して防犯に役立てることもできるという。
Siroshによれば、こうしたことを可能にしてゲームのルールを変えたのはクラウド化だという。もしユーザー企業が独力で実行しようとすれば何週間も、それどころか何ヶ月もかかるような膨大な処理がクラウド上ではごく短時間で実行できる。
またSiroshは「クラウドは最後の1マイル問題も解決した」という。以前このようなサービスではまずデータ・サイエンティストがビッグデータを分析してパターンを見出し、IT部門がそれに応じてアプリケーションを開発するという手順を踏む必要があった。このプログラムのコーディングがきわめて手間のかかる作業であり、何週間、何ヶ月もかかっていた。しかしAzure MLならアプリケーション開発は数時間ですんでしまうという。
また多くのデータ・サイエンティストが利用している統計処理言語Rのオープンソース・プロジェクトから300以上のパッケージが利用できる。
またSiroshは多くのユーザーがAzure MLプラットフォーム上でアプリやAPIを公開することによって好循環が始まることを期待している。「ユーザーがデータをAzure MLに持ってきてアプリやAPIを公開する。するとさらに多くのユーザーそのアプリをAPIを利用してさら多くのデータをAzure MLに持ち込むようになる」とSiroshは説明する。
Azure MLは現在、秘密にプレビューされている。しかしMicrosoftはいくつかの実例を明かした。その一つはMirosoftのパートナー、Max451が開発しているシステムで、これは小売業者が消費者の好みを分析することによって商品の売れ行きを予測するサービスだ。小売業者はもっとも売れそうな商品の在庫を増やすなどして利益を増大できる。
またカーネギーメロン大学はキャンパスの建物でのエネルギー消費を抑えるためにAzure MLを使って学内の活動パターンの予測手法を開発中だ。
しかしこの分野を手がけているのはMicrosoftばかりではない。IBMは昨年冬、Watson人工知能をクラウド・サービス化した。また先週はErsatz Labsというスタートアップがディープラーニング人工知能のクラウドプラットフォームをローンチしている。
Azure MLは来月に公開プレビュー段階に入るという。正式リリースの日程は明らかにされていない。
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(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+)