MicrosoftがGoogleのChromebookを気にするのはなぜか

ショッピングシーズン(11/29~暮れ)が始まる直前にMicrosoftは、同社独特の大衆撹乱マシンを始動して、その悪名高きGoogle叩きコマーシャルシリーズScroogledの最新作を封切った。今回の標的はChromebook、それはGoogleのChromeOSオペレーティングシステムを搭載した、主にWeb上のアプリケーションを使用する安価なラップトップだ。しかし問題は、なぜMicrosoftは、マイナーな製品にすぎないChromebookを問題にするのか、だ。そしてその理由は、Chromebookが、Microsoftの将来にとって凶兆だからだ。

大部分のコンピュータユーザにとって、オペレーティングシステムは徐々にどうでもよいものになりつつある。だから万人向きとは言えないChromebookも、ローエンドのラップトップ市場で徐々に売れ始めている。

Chromebookをけなす人たちは、この製品には、わざわざ手を出してみるほどの新しい魅力や機能がない、と言う。Webをサーフィンすることしかできないラップトップを、一体誰が欲しがるのだ? それはノートブックの世界の鴨嘴 (かものはし)、すなわち、稀少種、珍種にすぎない。でも、いくらWeb閲覧しかできなくて、Microsoftがそのコマーシャルで言うように“ほんとうのラップトップじゃない”コンピュータでも、そんな評論家レベルの話などまったく気にしない一般消費者が増えてきているので、Microsoftはここで、ショッピングシーズン前の“大衆教育”を開始すべき必要性を感じたのだ。

まずMicrosoftは、Chromebookはオフラインでは何もできない、とコマーシャルを見る人たちに信じさせようとする。でも今では、それは違う。たしかにChromebookはインターネット常時接続で真価を発揮するし、そういう使い方をするユーザがほとんどだが、でもオフラインでAngry Birdsをプレイしたいと思ったら、それもできる。MicrosoftはChromebookでできないものの例としてAngry Birdsを挙げているが、すでにそれはGoogleのChrome Web Storeからダウンロードして、オフラインでプレイできるのだ。

ChromeOSのアプリケーションは、そういう両用タイプが日に日に増えていて、それはそれで良いことだが、でもふつうのWindowsユーザでも、最近では、オフラインでやることって、何と何ぐらい? PhotoshopやハイエンドのCADソフトウェアなど、専門的なデスクトッププログラム以外では、誰もがいちばん長時間使っているソフトウェアといえばブラウザだろう。

Microsoft曰く、ChromebookでCall of DutyやAge of Empiresをプレイできない、と。たしかにおっしゃるとおりだけど、でも、今多くの人が使っている250ドル以下のWindowsラップトップでは、Call of Dutyは満足にプレイできない。Microsoftの、ChromebookとWindowsラップトップを比較するページで使われているのも、そんな低価格のラップトップだ。ChromeOS用のMicrosoft Officeはこれからも出ないと思うけど、ほかならぬMicrosoft様のおかげでOfficeはWeb上でも使える。Skypeが使えなくても、Hangoutsがあれば十分だ。iTunesのデスクトップアプリケーションはないが、でもインターネットの上では、SpotifyのWebアプリケーションで十分間に合う。

今すでに、Googleと同社のハードウェアパートナーたちは、相当長いあいだ、Chromebookと関わっている。教育市場と、ローエンドのラップトップ市場では、今後の成長の核となる顧客層が育っている。

ChromeOSも最初のバージョンは、できないことが多くて、とても人に勧められなかった。しかしその後Googleは、本格的なウィンドウマネージャ*を導入して、オフライン能力を充実させた。Chromebookは、日常的に十分使いものになるコンピュータになっていった。GoogleのChromebookプロジェクトCr-48のパイロット事業がスタートしたのは3年前だが、そのときのChrome OSはMicrosoftのScroogledコマーシャルが言ってるとおり、Web閲覧しかできない非力なラップトップで、とりわけそのタッチパッドがひどかった。今ではそれは、誰にでも向くとは言えないまでも、けっこう何でもできるラップトップだ。この3年で、ChromebookはWindowsをおびやかす存在へと育ってきた。しかも今および今後は、ほとんどのアプリケーションがWeb上で利用できるようになりつつある。上で述べたように、Microsoftのドル箱、Officeでさえも。〔*: ウィンドウマネージャ, Windowsのように、画面上に複数のウィンドウを生成し、それらを管理する基本ソフトウェア。〕

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


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TechCrunch Japan

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