Microsoftの次期CEO候補(と噂の)Satya Nadellaが去りゆくCEO Ballmerの人物を語る

ZDNetの長年のMicrosoft番記者Mary Jo Foleyが今日(米国時間12/16)、同社の重要な役員の一人で次期CEO候補の一人でもあるSatya Nadellaへのインタビューを掲載した。その中でとても長い部分の話題が、Nadellaが仕事を共にしていた前CEO Steve Ballmerの、同社に遺した(正負両様の)遺産と往時の彼の仕事ぶりだ。

Nadellaが本当に次期CEOになるのなら、彼のBallmer観やBallmer批判は聞いておく価値があるだろう。またMicrosoft社の内部的な力学構造に関心がある人なら、Foleyの記事(上のリンク)は必読だ。ここでは重要と思われる部分だけをご紹介するが、関心を持った方はインタビューの全文を読むべき。

Ballmer自身は、彼の過去の業績に関する質問に、質問そのものを躱(かわ)すような答え方をしたそうだ。すなわち、Nadellaによると:

彼はこう言った、“なぜそんな話に意味があるのかね? いいかね、この業界では、アイデアや考え方の長寿は重視されない。重視されるのは、新しいやり方を発明することだけだ。だから、本当に評価してほしいもの、目を凝らして注視してほしいものは、私にかぎらず、誰かが過去のどんな機会に何をどうやったかではない。そういうものは、未来の機会に関して、何も教えてはくれないからだ”。

MicrosoftはWindowsであり、WindowsがMicrosoftだが、しかしそれは、同社とそのメインのブランドとプラットホームが、一貫して安泰だったことを意味してはいない。だから、上でBallmerが言っていることは、彼が経営した同社の、彼にとって最後の1年に、ぴったり当てはまる。

Ballmerが統括したのは、箱入りのソフトウェアからデバイスとサービスへ、というMicrosoftのビジネスモデルの激しいモデルチェンジと、それに伴う企業の構造改革、その両方だった。それはどちらも、Ballmerが上で言っている、そしてBallmer自身が起草した、“新しいやり方”(new formulas)だった。

誰がMicrosoftの次期CEOになるにせよ、これまでとはまったく違う車のキーを渡される。Windows 7を売っていた企業は、もうどこにもない。Microsoft Azure、Office 365、Windows 8.1、Lumiaなどなどは、どれも新世代の製品だ。その新しい世代が、Ballmerの仕事が遺した遺産になるのだ、とぼくは思う。同社の(今年まで)低迷している株価よりは。

Nadellaも同じ考えだ:

率直に言って、広義のコンピューティングとこの会社へのSteveの貢献は、今後5年か10年の距離を置いて語った方がよいと思う。正しい評価は、今後われわれがやることによって、形作られるだろう。

そして、誰もが想像するであろうとおり、Ballmerはその激しい言動と同様に、経営ぶりも激しかった:

彼に何かを提案すると、必ずこう言う、“くだらないね”、または、“俺は買わないね”。でも、彼に接するコツは、何度でも会いにいくことだ。あきらめずにね。彼は、われわれ全員の、最良でもっとも批判的なユーザの一人なんだ。あとになって、やっとそれが分かったよ。

Foleyがインタビューをしたのは数週間前だから、次期CEOという名のビンゴゲームについて語るのは、早すぎた。

でも、これまでの限られた出会いで感じたNadellaの人柄は、冷静沈着で技術指向で、大企業という環境をよく知っている人物だ。

大きさはあまりにも違いすぎるとはいえ、CEOが遺す遺産を、辞めていく大統領のそれと比較することもできる。どちらも、在任中に新しいプロジェクトを立ち上げ、その結果を見ることなくその地位を去る。George W. Bushのあの見事なアフリカのエイズ対策という遺産は、そんな例の一つだ。彼の絵は、遺産とは呼べない(BallmerをBushと比較しているわけではない、お静かに)。

最新の噂が本当なら、Microsoftの次期CEOは年内に決まるだろう。そしてそれがNadellaでなかったら、10年後に、あのときCEOにならなくて良かったね、と言えるかもしれない。そのときでもまだ55歳だ(1969生)。そしてそのときこそ、先頭走者かもしれない。

画像クレジット: Flickr

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


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TechCrunch Japan

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