Microsoft翻訳が新AIアルゴリズムでオフライン化――サードパーティーのデベロッパーも利用可能

外国に旅行するとき自動翻訳アプリをインストールしていく人は多いだろう。しかしいざというときにインターネット接続がなかったら? 旅行先ではありがちだ。たいていの翻訳アプリはオフラインでも作動する。しかし高度な、ということはつまり処理量の大きいクラウド上の機械学習アルゴリズムを利用することができない。これまではMicrosoft Translatorもその例にもれなかった。

しかし今日(米国時間4/18)からAmazon FireAndroidiOSのアプリはオフラインでも(多少の変更は行われているものの)ニューラルネットワークを用いた翻訳が実行できるようになる(iOSユーザーあと数日待つ必要あある。現在アプリをAppleがレビュー中)。

このアップデートで興味深いのはMicrosoftがどんなプラットフォームでもAI処理を実行できるということだ。これまでのようにAI処理専用のカスタムチップを必要としない。

Microsoftの Arul Menezesは私の取材に対して、「新しい翻訳アプリは劇的に改良されている」と答えた。従来のアプリが依拠していた古い機械学習が不自然な文を生成しがちだったのに対して、今回のバージョンで採用された新しい機械学習のアプローチははるかに優れているという。しかもアプリのサイズも従来の半分だ。現在対応言語はアラビア語、簡体字中国語、フランス語、ドイツ語、イタリア語、日本語、韓国語、ポルトガル語、ロシア語、スペイン語、タイ語だが、今後さらに言語を増やしていくという。

Menezesによれば、Microsoftはこのローカルデバイス上のニューラルネット翻訳をHuaweiと共同で昨年から開発を始めたのだという。当初、Mate 10と Honor 10のAIコ・プロセッサを利用したが、Menezesによれば「細心の注意を払ったエンジニアリング」のおかげで開発チームはAI専用チップの必要を失くすことができた。

またデータセンターのサーバーに比べればモバイル・デバイスの能力は限定的なのでチームはモデルを多少スケールダウンせざるを得なかった。つまりオフラインで翻訳をさせた場合、オンラインの品質に達していない場合があり得る。しかしMicrosoftでは「オンラインとオフラインの翻訳品質の差はほとんど気づかれない程度だ」と述べている。「新しいニューラル翻訳はオフラインであってもわれわれの古いオンライン翻訳をはるかに上回っている。その差は大きい」という。MenezesはMicrosoft翻訳をGoogle翻訳と比べることもためらわなかった。

今回のアップデートでオフライン翻訳が可能になったが、同時に、Microsoftは他のAndroidアプリのデベロッパーにもこの能力を開放していく(もちろん有料だろう)。つまりサードパーティーのアプリはバックグラウンドでMicrosoftの翻訳アプリを呼び出し、翻訳を実行させ、表示することができる。オフラインであれば、アプリは翻訳アプリをオフラインで動かし、オンラインであればクラウド上で実行し、結果を受け取ることになる。

画像:Christophe Morin/IP3 / Getty Images

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

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TechCrunch Japan

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