害虫耐性作物の研究は進んでいるものの、豊かな収獲を得る最もコスト効率の高い方法は今でも農薬だ。しかし今のやり方では、膨大な量の農薬を散布しても、実際に植物に付着する薬剤はわずか2%だ。残る98%は、高い確率で湖や川や地下水に浸入して多くの汚染を引き起こす。MITが新たに開発した「くっつきやすい」農薬はそれを変えようとしている。
MITの研究者らは、わずか2種類の安価な添加剤を使うだけで、作物から「弾かれる」農薬の量を減らす方法を発見した。そうすることで農薬散布の効率を大幅に高め、はるかに少ない量で同じ効果を得られる。これは地下水に流れ込む汚染物質の量が減ることを意味している。
MITの研究チームが開発した新たな方法は、電荷極性の異なる2種類のポリマー物質を使う。農薬を散布された植物の表面で、正の電荷を帯びた水滴と負の電荷を帯びた水滴が出会うと、親水性のペアになって後続の水滴が表面に付着するのを助ける。ほとんどの葉は水を弾くので、正反対の親水性のマグネットに変えることで大きな効果が期待できる。
効率に関して研究者らは、現在使用している農薬を約1/10に減らしても同じ効果が得られると予想している。ただしこれは実験室内の試験によるものであり、実際の効果を確かめるためには現実世界での試験が必要で、近くインドでパイロットテストを行う予定だ。
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(翻訳:Nob Takahashi / facebook)