Project Kinoは、“生きているジュエリー”からヒントを得た。それは、世界各地で装飾品として着用されている、極彩色の大型甲虫やそのほかの昆虫類だ。MIT Media Labのバージョンは、それらに比べるとずっと人間的で、手のひらサイズのロボットを磁石で衣類にくっつける。チームがデモをしたのは約1年前だが、今回は車輪のついた小さなロボットにさまざまな機能を持たせた。
とは言え、今のところこのロボットのメインのお仕事は衣類の装飾だ。プロジェクトの名前は“kinetic”(運動的)という言葉に由来していて、動きのパターンをいろいろ変えられることを指している。いわばその衣類のデザインが、刻々変化するのだ。一方そのロボットの下面は、動きながら衣類の柄、色、形などを読み取る。
デザインとは関係ない機能も探究中で、最終バージョンではモジュール構造になり、ユーザーがいろんなセンサーを付け替えてさまざまな機能を楽しむ。たとえばレインコートなら、温度センサーとフードの紐の上げ下げを連動するだろう。
電話機モジュールを装着したロボットは、電話がかかってくると着用者の口元へ這い上がってくる。通知を受信すると、ユーザーの手首をタップして知らせるかもしれない。
チームのCindy Hsin-Liu Kaoはこう述べる: “ウェアラブルがパーソナルアシスタントであってもいいわよね。将来的には、ユーザーの習慣や職業を認識して、それらに合った動作をさせられる。着るものとアシスタントが一体化するのよ”。
実用化するためには、ロボットのサイズが当面の問題だ。もっともっと小さくしなければならない。また、今デモで使っている大きなやつでも、バッテリーの寿命が制約になる…充電後45分しか動かせない。今、ワイヤレス充電などの方法を検討中だ、そのシナリオでは、ロボットが自分で充電器のそばまで歩いて行き、充電が終わったらご主人の服へ戻ってくる。
昨年は、初期のバージョンを詳説したペーパーを公開した。その後は開発にデザイナーも参加し、一部のアプリケーションを強調できるようにした。Hsin-Liu Kaoによると、“気味が悪い!って言う人がとっても多かったからよ”。