NASAとSpaceXは新型コロナに屈せず、5月中旬から下旬に初の有人打ち上げを予定

NASAとSpaceXは3月18日、商用有人打ち上げDemonstration Mission 2(Demo2、デモンストレーション・ミッション2)のメディア認定招待状を発送した。商用有人計画で初めて、人を宇宙に送り込むミッションだ。この招待状には現在公表されているスケジュールが記されているが「5月中旬から下旬より早くなることない」という。

今年の初め、打ち上げウィンドウは5月に決定したが、宇宙船と乗員の準備の進捗に応じてSpaceXとNASAは、早ければ4月、遅ければ6月下旬に変更する可能性があると伝えていた。SpaceXは、このミッションで使用するCrew Dragon(クルー・ドラゴン)の準備を早々と整えているとのことだが、NASAはこのデモミッションで国際宇宙ステーションに送られる飛行士Bob Behnken(ボブ・ベンケン)氏とDoug Hurley(ダグ・ハーレー)氏の宇宙滞在期間を延長するなど、ミッションの内容を変更した。

SpaceXの宇宙船で宇宙飛行士が打ち上げられるのは今回が初めてであり、商用有人計画で人を乗せて飛行するのも初めてとなる。これを通じてNASAは、民間のロケット打ち上げ企業と協力して、人を宇宙に送り込む能力を再び米国の国土に取り戻そうと頑張っている。現在、国際宇宙ステーションの行き帰りは、ロシア連邦宇宙局ロスコスモスとの協力関係により、すべてロシアのソユーズ宇宙船で行われている。

今のところNASAもSpaceXも、Crew Dragonによる初の有人ミッションの予定が、新型コロナウイルスのパンデミックによって変更される心配はしていないようだ。今回のNASAからの招待状は、現時点でミッションが健在であることがもっとも詳細にわかる確認証であり、打ち上げウィンドウまでの日程は、COVID-19の感染が米国で拡大し厳しい社会的距離の確保や隔離措置が実施される以前のものから変わっていない。

最近になってNASAは、すべての施設の有事対応段階を「ステージ3」に引き上げた。これにより、ミッション関連の仕事のために実際にオフィスに出向く必要のある人間を除き、すべての従業員がテレワークを要請される。NASAのエイムズ研究センターは、すでにステージ4にまで引き上げられた。同センターが位置するカリフォルニア州の郡政府から、自宅待機命令が出されているためだ。この命令により、施設は閉鎖されテレワークのみが許可される。

3月18日にメディア向けに発送された招待状でNASAは「新型コロナウイルス(COVID-19)の感染拡大の状況を積極的に監視」し、「ミッションの進行やメディアの取材に影響する事態が発生した際には準備ができ次第、最新情報をお伝えします」と書かれている。さらにNASAは、ハーレー氏とベンケン氏の健康を維持するため、打ち上げ前に規定されている自宅隔離措置を実施しているが、それに加えて体調を崩さないよう特別な予防対策も講じているとも伝えている。

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(翻訳:金井哲夫)