国家安全保障局(NSA)は、ほぼあらゆる種類の暗号を破ることのできる未来的コンピューターを作りたがっている。Washington Postがエドワード・スノーデンから入手した文書による。しかし、まだ心配にはおよばない。なぜなら同局は、その最強セキュリティを破るのに必要な宇宙時代テクノロジーを実現する方法に近づいてすらいないから。
漏洩文書によると、そのコンピュータープロジェクトは、7970万ドルの研究プログラム「困難な標的に侵入せよ」の一部で、メリーランド州カレッジパークのある研究所が機密契約の下で開発していると推測されている。
暗号は、少なくとも古代ギリシャ時代からある、情報を無作為の文字列による雑音で混乱させる方法だ。秘密の指示書を持つもののみ、何が雑音で何がメッセージかを見分けられる。雑音、すなわちビットが増えるほど、試行錯誤でコードを解読することが困難になる。1024ビット暗号の解読には何年も(あるいはそれ以上)かかることがある。
量子力学は、物質が複数の状態で存在しうる、という少々直感的でない概念を利用している。量子コンピューターは、ビットが1および0である、あるいは複数の1および複数の0であるような問題を計算することができ、計算速度を指数的に増大させる可能性を持っている。
つまり、NSAは最先端の暗号をはるかに速く解読できるコンピューターを作るかもしれない。
一般論として、たとえ一組織であれ暗号を破る能力を持つことは、 ウェブ全体のセキュリティーを脅威に曝す恐れがある。しかし、量子コンピューター技術の進歩は、科学や医学にとっても利益がある。現時点では、利益も害も理論的なものでしかない。
ともあれ、Washington Postによると、このようなコンピューターは極めて脆弱であり、 NSAは基本的組立てブロックのいくつかに近づいただけだという。「それは大きな一歩だが、大規模量子コンピューターを作る上ではほんの小さな一歩だ」とMITの機械工学士、Llyod Sethは説明した。
これは、NSAが一方で、セキュリティー専門家たちに圧力と金をかけて侵入経路を作らせ、利用しようとしている理由だ。
Washington Postの記事全文はここで読める。
[原文へ]
(翻訳:Nob Takahashi)