Appleの新しい写真アプリ、Photosが、今日(米国時間4/8)公開された10.10.3 Yosemite無料アップデートで誰にでも使えるようになった。かなりの時間を費して試した結果、これがAppleのローカル写真管理ソフトウェアにとって有意義なアップグレードであることがわかった。このアプリは写真ストレージの真の未来を反映している:持っている写真すべてが、必要な時、必要な場所にある。
ビデオレビュー
iCloudフォトライブラリー
OS X Photosの中核をなすのがiCloudフォトライブラリー、プラットフォームを横断して写真を同期できる、Appleのクラウドベース写真ストレージシステムだ。つまり、同じアルバムをMacでもiPhoneでもiPadでも、さらにはもうすぐApple Watchでも見られるようになる。Photosを使うためにiCloudフォトライブラリーは必須ではないが、Photosは間違いなくこれを前提にデザインされており、あればいっそう輝きを増す。
iCloudフォトライブラリーを有効にすると、撮った写真とビデオがすべて自動的にiCloudに保存され、どのプラットフォームからでもアクセスできるようになる。あるデバイスで行った編集は、瞬時に他のデバイスでも見られるようになり、モーメント、コレクション、時間による分類も同じく反映される。写真をお気に入りにしたり並べる順番を変えた時も、それぞれのデバイスでiCloudフォトライブラリーを有効にして、同じiCloudアカウントにサインインしていれば、同じように全デバイスで同期される。
iCloudフォトライブラリーは、コンピューター上のストレージに比較的負荷をかけず、デバイスで利用できるストレージに最適化して最近アクセスした写真や近々アクセスしそうな写真だけを保存する。それ以外は低解像度のサムネイルだけが表示され、フル解像度版はiCloudの接続状況次弟でほぼ瞬時にダウンロードされる。
今のところiCloudフォトライブラリーは私のテスト中にタイミングを逸したことはない。動作は極めて賢実で、MobileMeなどAppleの初期のクラウドサービスを体験した人にとっては驚きだろう。大量のファイルを保存するにはiCloudストレージの料金が高くつくかもしれないが、iPhonesで撮った写真は、私がデジタル一眼レフで撮った写真の巨大なバックアップディスクと比べてごくわずかだ(一眼レフ写真をクラウドに置くつもりはない、今のところ)。
写真の整理
Photosの写真・ビデオの整理戦略は、iPhoneから借りてきたもので、既に熱心な写真整理魔でない人にとっては特にすばらしい管理方法だ。写真は標準では時間と位置に基づく「モーメント」でグループ分けされ、写真とビデオの中で起きた日々の出来事を切り取って見ることができる。
もっと旅行全体を広く見渡したい時は、コレクションが数日間にわたってまとめてくれるので、例えば休暇全体を一望するのによい。これは、写真の位置情報を利用できるようにしていればすべて自動的に行われる。旅行の後の写真整理に怠慢な人にとって、驚きの便利さであることを私自身の体験から発見した。
さらには、何年も昔までライブラリーをズームアウトして見ることもでき、もちろん自分のカスタムアルバムも作れる他、タイプ別(パノラマ、連写、スロービデオ等)分類、顔の自動認識、お気に入りだけを集めることも可能だ。
このシステムの美しいところは、手軽な使い方にもヘビーユーズにも反応が良いことだ。つまり、手で整理することを全く考えずに撮影だけしていても楽しくアルバムを眺めることができるし、細かく写真を選んでお気に入りにタグ付けする人にとっても望む結果が返ってくる。
私が思うに、このアプリはどちらかというと、できるだけ手のかからないフォトアルバム管理を目指しているようで、それが私の気に入った理由でもある。私は自分で撮った写真にしっかり気を配る時間も熱意も持っていないが、それでもPhotosは、私の過去10年を振返る実に見やすいアルバムを苦もなく作ってくれる ― さもなければ、作らなかったことを後悔していたであろう記録だ。
編集
編集は、私が手を動かすことを楽しむ作業の一つだが、Photosはその欲求を満たしつつ、手を加える必要のない大部分の写真を未来に残すのを手伝ってくれる。Photosの編集ツールは堅牢で、凝らないユーザーのためには殆どが自動で処理を行い、好奇心あふれるユーザーには精細な編集機能を提供する。
Apple独自の自動最適化ワンクリック編集は、殆どのニーズに沿って色や露出の微妙な問題を解決してくれる。エフェクトは現時点では限定的だが、一般ユーザーに広く対応するにはこれが最善策だろうし、もう少し手を加えたい人は、露出、ハイライト/シャドウ、明るさ、コントラスト等の調整スライダーをワンクリックで呼び出せる。
ここでも私は、殆どの仕事をPhotosに任せて眺めているのが楽なことに驚いた。通常私は一眼レフで撮ったRAWファイルをいじり回すのが好きなのだが、Appleのワンクリック編集は私の使い方の中では十分すぎる結果をくれた。Photosを使う以前のめったに写真をいじらなかった頃よりも、改善された写真の総数はずっと多い。
フィルターもまたワンクリック調整が中心で、モバイルでInstagramがやっていることをデスクトップで(ある程度)実現している ― つまり撮影後エフェクト機能のアピール範囲を、熱心なホビイスト以外へも広げている。Appleの用意したフィルターはわずか8種類だが、それでも殆のユーザーには十分だろう。
共有
Appleは、Photosで写真共有の選択肢を増やした。iCloudフォトシェアリングを使うことによって、他のiCloudユーザーと写真やコレクションを1枚単位で共有し、それぞれが自分のPhotsアプリで写真を見ていいね!やコメントをつけられる。
これが唯一の写真共有方法になるかどうかは、周囲の人たち全員がAppleユーザーかどうかによるが、PhotosはFacebookやTwitterへのシェアもシステムレベルの統合によって簡単になっている。
PhotosはiOSのSharing Extentionsもサポートしているので、新しいデベロッパー機能を利用するサードパーティーアプリやウェブサイトを使って、様々な場所に写真を直接投稿することができる。Appleがこのソフトウェアをあらゆる写真とビデオの「ホーム」として位置づけつつ、よく行く他の場所にも簡単に持ち出せるようにしているのは賢明なやり方だ。
結論
AppleのPhotosは、Macユーザーにとって最初のエコシステムの一員だったiPhotoを置き換えるという大役を、十二分にこなしている。驚くほどの奥深さがありながら、ずっと軽量なプログラムを使っている気にさせ、ライブラリーサイズが大きくなっても遅れや重さは感じない。手動の整理に多くの時間と労力を費していた人にとっては、新ソフトウェアに慣れるまで時間がかかるかもしれないが、新時代のモバイルフォトグラファーにはぴったりのアプリと言える。
これからの写真管理は、ユーザーの手をわずわらすことを減らし、撮影してアルバムを見るだけに専念させる方向になるだろう。驚くほど優れたモバイルカメラが遍在する今、写真整理は益々複雑化している。しかしPhotosは、今後ユーザーが撮るであろう何百何千億枚という写真をAppleがスマートに処理できることを証明する、写真ソフトウェアの革新だ。
OS X 10.10.3アップデートをインストールしてPhotosを見つけたら、このAppleのサポート記事を読んで、ApertureまたはiPhotoからの移行方法を調べよう。
【日本語版注:Photosアプリの日本語名は「写真」】
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(翻訳:Nob Takahashi / facebook)