最近いわゆる知識労働者の仕事はますます複雑、困難になっている。そうしたタスクの多くはPythonでスクリプトを書けば簡単に実行できる場合が多い。しかし知識労働者の誰もがプログラミング言語を習得しているわけではない。Alex Yaseenはコンピューター言語の知識なしで複雑なタスクが実行できるツールを提供していこうと考えている。
Yaseenは自分が開発しているParabolaのようなツールがプログラミング言語を習得していない知識労働者と複雑なタスクとの間のギャップを埋める役にたつと信じている。 プログラミングせずにこうした課題を処理しようとすれば、従来は巨大なExcelシートを作成する必要があった。これに対してParabolaはプログラミングの技能を必要とせずに表計算アプリで複雑な作業する場合に必要となる単調でミスを犯しやすい繰り返しを自動的に実行してくれる。このほど同社はMatrix Partnersがリードする新しいラウンドで220万ドルを調達したと発表した。
YaseenはParabolaについてこう説明している。
理屈からいって将来誰もがPythonその他のプログラミング言語を使うようになるとは思えない。これは間違いないだろう。それと同時に、多くの投資家と話をして、知識労働者間の競争はますます激しくなり、ますます高い効率性を求められるようになるだろうという点で意見が一致した。われわれはこのギャップを埋めるために何ができるかを考え、高度な技術的知識がなくても扱えるツールを提供しようと考えている。いわばエンジニアリングの知識なしにエンジニアになれるようなツールだ。
簡単にいえば Parabolaは複雑なタスクをビジュアルなワークフローに分解し、フローチャートをレゴブロック式に組み立てれば、その内容を実行してくれるようなツールだ。その部品は通常の表計算アプリ、Microsoft ExcelやGoogleスプレッドシートなどが持つのと同様の機能だが、Parabolaの場合、ツールは実行の繰り返しや分岐を簡単に設定できる。また作業をモデル化して全体を見通すことが容易であり、修正にも部品のドラグ・アンド・ドロップで柔軟に対応できる。
Parabolaが想定しているのは財務や販売の専門家で、Excelのシートを数十枚開き、数百ステップのマクロを実行しなければならないような作業を日常行っているユーザーだ。Parabola上で作業をモデル化すれば、あとは表計算シートの仕様による細部の修正などに煩わされることなく、処理が実行できるという。同時にParabolaのユーザー・インターフェイスは表計算をベースにしているので、多くのユーザーに抵抗が少ない。Yaseenによれば、表計算アプリがポピュラーなのは簡単に再計算ができるところが大きいという。
Yassenによれば表計算アプリは大量データの複雑な処理にはもともと向いていない。それでも多くのユーザーが表計算でタスクを実行しようとするのは、一部を修正した後、ワンクリックで即座に結果を見ることができるからだという。「エンジニアでない人々のマインドセットはエンジニアとは異なる。処理の効率性より、試行錯誤してその結果をすぐに見られることを優先する傾向が強い。プログラミング言語はこうした使い方に向いておらず、それが非エンジニア系の人々が表計算アプリを使い続ける理由だ」という。
〔日本版〕トップのGIFビデオにParabolaを利用した作業の流れが例示されている。これによればデータソースとしてDropboxとSalesforceのファイルを選び、テーブル結合、カラム分離、グループ化などの部品で処理した後、結果をGoogleスプレッドシートに出力すると同時にSalesforceに書き戻している。それぞれの部品を追加するときに作動条件を指定している。Parabolaのサイトには各種の実例が掲載されている。
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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+)