電気自動車のスタートアップRivianは、Amazon(アマゾン)だけでなく一般に対してもフリート事業を始めることになった。同社はAmazonが20%の株式を保有しているが、その電動デリバリーバンの一般からの受注を2022年に開始し、納車は2023年以降になるとRivianのウェブサイトに登場したページで述べている。
デリバリーバンのAmazonへの10万台の納車とそのための生産は2024年までかかるとされ、2021年内には最初の10台を納車できるだけだ。RivianのIPO関連文書によるとその契約は一般販売契約ではなく独占契約とされているが、新たな情報によると、同社は2024年以前でも一般販売を行なうとなっているため、Amazonとの契約にはやや余裕があるということだろう。この件に関して、AmazonもRivianもコメントはない。数名のRivian社員が、米国時間11月5日にアップされたウェブページをツイートしている。その中で、顧客は2021年初頭から、Rivianのネット上の構成計画書に記入してオーダーできる、納車はさらにその翌年からとある。
この量産・量販の対象になるのは電動ピックアップR1Tと電動SUV R1Sの量販車であり、これによりRivianが狙っていた一般消費者のドライブだけでなく、より広い層が顧客になり、RivianはFordの全電動ピックアップトラックなどとまともに競合するようになる。後者はすでに、商用車として一般的に発売されている。そのウェブサイトでは、今回のフリートビジネスと関連した他のプロダクトとして、FleetOSと呼ばれる管理プラットフォームや充電のインフラについても触れられている。
Rivian、そしてAmazonは販売網をより大きく広げることによる利益増を狙っている。「私たちの事業における成功は、大量の顧客を吸引し保持することにかかっている。それができなければ、収益を達成できない」とRivianのIPO文書では述べられている。しかしR1Tの生産を開始したばかりのRivianにとって、一般顧客の獲得に関して、リスクと未知数の両方がある。
イリノイ州ノーマルのRivianの工場は現在、年間最大15万台の生産能力がある。その内約6万5000台はR1ピックアップとSUV、8万5000台がRCVと呼ばれる商用のデリバリーバンだ。ただしそれは、Rivianがその生産能力をひと晩で達成できるという意味ではない。IPO文書の修正でRivianは、現在予想される生産能力では、2023年の終わりまでに消化できる受注残はおよそ5万5400台のR1だという。
Rivianのフリートビジネスへの参入は、同社の上場数日前に発表された。RivianはそのIPOで650億ドル(約7兆3360億円)の時価総額を予想されていたが、一部の投資家はそれほど楽観的ではない。フリートビジネスの発表数日前の投資調査ソフトウェア企業New Constructsの記事によると、Rivianの株は過大評価されているので、今週同社が上場しても投資家はそれを買うべきではないという。
「 Rivianはまだ有意な台数を生産していないので、資金状態の良い電気自動車のスタートアップや既存メーカーと競合する立場にない。特にGMやBMWのような競合他社には、EVの生産を拡大することができるだけの数十年におよぶ経験と数十〜数百億ドル(数千億〜数兆円)レベルの資本力がある」と記事にある。
そうであるにもかかわらず、多くの投資家はこの新興企業とその将来性に強気だ。今回の最新情報は、これまで懐疑的だった投資家に、Rivianが以前考えられていたよりも柔軟性とパワーがあることを示唆する可能性がある。
画像クレジット:Jordan Stead / Amazon
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(文:Rebecca Bellan, Kirsten Korosec、翻訳:Hiroshi Iwatani)