SamsungのGalaxy Gearスマートウォッチを試した―予想より上出来で私は欲しくなったが消費者は?

Galaxy Gearには当初懐疑的だったが、こうして少し触れてみると、これはすごい製品だ。私は間違っていた…といってもまだこの製品に完全に納得したわけではないのだが。

ともかくSamsungのガジェットのデザイン能力がトップクラスであることは認めねばなるまい。先週ウェブに流れたリーク画像の醜いデバイスとは大違いだ。しかも手首にはめているのを忘れるくらい軽い。

それでもこのガジェットはかさばるスポーツ・ウォッチに近い。ファッショナブルなディナーの席に身につけていけるようなものではない。歩数計とフィットネスアプリがデフォールトで装備されていることでもそれは明らかだ。カメラ部分がバンドから突き出しているのも選んだ色によってはあまりスマートには見えない。

1.63インチのAMOLEDディスプレイもかなり目立つ。300×300ピクセルでイベント会場のぎらぎらした照明でも見やすかった。スクリーンをタップするとカメラで記念写真を撮ることができる。しかし190万画素なので画質にはあまり期待できそうもない。

バッテリーがどれくらいもつかは依然として分からない。Samsungは「通常の使い方なら1日分の作業に耐える」としているが、私が聞いて回ったところでは誰一人その「通常の使い方」の中身を知っているものはいなかった。これまでSamsungは製品の性能に関して誇大広告というむしろ内輪に発表してきたので今回もそうであると期待したい。そうでなければGearに対する好意的評価はたちまち消え失せるだろう。

しかしもちろんハードウェアは問題の半分に過ぎない。Galaxy Gearのソフトウェアはうまくいけば最大の資産になるし、そうでなければ最大の厄介ものになる。

まず現状ではGearのソフトウェアはあまり使いやすいとはいえない。Gearの操作はすべてタップとスワイプで行うのだが、私が試した個体はときどき正しく反応しないことがあった。うんとゆっくり操作するのでないとページの遷移はつっかえたり、止まったりする。S Voice音声コマンドも同様に問題が多いと感じた。もっとも混雑したうるさい会場で次のジャーナリストが順番を待つ中でのテストだったことが影響しているかもしれない。いちばんいらいらさせられたのはGearを覗こうとして腕を上げても、(そうすれば起動するはずなのに)起動しないことが何度かあったことだ。

現物を見るまで私はGalaxyを完全に無駄骨折りだと思っていた

そういうわけでソフトウェアに関してはSamsungはまだ細かい点で改良の余地を大いに抱えているが、まだ公式リリリース前なのでやむをえない面はある。ローンチまでに修正されると期待したい。で、どこにいちばん感心したのか? まずSamsungは有力デベロッパーを何社かにアプリをGear用に移植させるよう説得することに成功した。RunKeeper(ランニングの記録)、Path(小グループでのSNS)、Vivino((ワインボトルをスキャンして情報を得る)などの人気アプリがすでにGear化されている。

Samsungによればローンチまでに70種類程度のアプリを用意できるということだ。サードパーティーのデベロッパーが長期に渡ってGearのサポートを続けるかどうかがプラットフォームとしての成否を分けることになる。しかしアプリに関して注意点がある。Gearには同時に10種類のアプリしかダウンロードできないのだ。この制限はデベロッパーにとって大きな障害になりかねない。

現物を見るまで私はGalaxy Gearを完全に無駄骨折りだと思っていた。正直、むやみに金だけはある大企業がスマートウォッチというバズワードに浮かされて作ったどうせ中途半端な製品だろうとタカをくくっていたところがある。今でもSamsungのプロダクト・デザイン方針が100%正しいかどうかには確信がもてない。いくら大量に売れそうな製品とはいえ、Gear専用アプリ以外作動しないというのは大きなハンディキャップだろう。これまでもSamsungはソフトウェアのアップデートがさほど速いほうどはなかった。

しかしそういう問題はあるものの、SamsungはやはりGearでひとつの突破口を開いたと思う。私はPebbleのユーザーだが、ほんの短時間Gearに触れただけで強く羨ましい思いをさせられた。Pebbleにはスマートウォッチとしてごく少数の基本機能しかない。それがPebbleよりほんのわずか重いだけでGearにはありあまるほどの機能が仕込まれている。私のようなガジェットオタクがいつまでこの誘惑に抵抗できるか? どうも抵抗できそうにない気がしてきた。

しかしSamsungにとって一般消費者を納得させることができるかが重要だ。あけすけに言ってしまえば、299ドル払ってできることといえば、ポケットからスマートフォンを取り出せばできることのごくわずかの部分しかない。さて、どうなるか?

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(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+