Samsung Galaxy Note 20 Ultraの実機レビュー

Samsung Galaxy Note 20 Ultraは価格が1399ドル(約14万8000円)のスマートフォンだ。Samsung(サムスン)の標準的な価格と比較しても、ハイエンドの高級デバイスである。このスマートフォンを購入するのはおそらく、飛行機に早めに搭乗して、他の乗客がぞろぞろと後方の座席に向かうのを眺めて優越感に浸るタイプの人だろう。

本記事で取り上げるGalaxy Note 20 Ultraに搭載されている機能のほとんどまたはすべては、最終的には比較的安価なモデルにも搭載されるようになる。しかし、Galaxy Note 20 Ultraは、高いお金を払ってでも他のユーザーより1年早く最新機能を使いたいという人向けのデバイスだ。

その代表的な例が5Gである。昨年のモデルではまだ高級機能だった5Gだが、Noteシリーズでは今や標準となっている(Galaxy Sシリーズでも、6か月後に出る新しいモデルではほぼ間違いなく標準となるだろう)。世界の携帯電話ネットワークは当時まだ5Gに対応していなかったかもしれないが、やはりお金を余計に支払うことをいとわない新しいもの好きの人向けの最新技術だった。

実のところ、Note 20とNote 20 Ultraのどちらも、いや、そういう意味では、S20シリーズのどの製品も、高級スマートフォンであることは間違いない。価格面では400ドル(約4万2000円)の差があるにもかかわらず、Note 20とNote 20 Ultraの大きな違いは片手で数えられるほどしかない。一番の明白な違いは画面だ。本当に高級デバイスかどうかは画面を見ればわかる。Note 20 Ultraの画面は本当に大きい。

ただ、Note 20が6.7インチ(2400×1080)でUltraが6.9インチ(3088×1440)なので、違いはわずかだ。S20シリーズの6.2インチと6.9インチの開きに比べると、差はかなり小さい。最大画面サイズがS20と同じで、しかもNote 20とNote 20 Ultraの画面サイズの違いが比較的小さいのというのは、Noteシリーズ全体にとって結局はマイナスになる。個人的には、ハイエンド機種はスマートフォンの画面サイズという点で限界に近づいているように思える。これは繰り返し言ってきたことだが、今回もそう感じる。

Image Credits: Veanne Cao

サムスンは9年前、Noteシリーズで、当時は不可能だと思われていた5.3インチの画面サイズを実現した。それをさらに6.9インチにまで拡大できたのは、サムソンが画面占有率の改善に尽力してきた成果だ。とはいえ、Ultraの画面は本当に大きい。筆者は片手で握ったときに手の指が完全に回りきらない。手やポケットの大きさにもよるだろうが、正直なところ、ここまでサイズが大きいと、それだけで買うのを控える人もいるだろう。

ここまで大きなスマートフォンを持つ利点は、バッテリー用に広いスペースを確保できることにある。Note 20 Ultraのバッテリー容量は4500mAhだ(Note 20は4000mAh)。悪くないが、S20 Ultraの5000mAhに比べるとかなり小さい。これは、内部面積のかなりの部分を占めるSペンのせいだろう。筆者は1回の充電で24時間以上(28時間近く)使うことができた。「一日中使える」というサムソンのベンチマーク結果を余裕で達成したことになる。

もちろん、結果は人によって異なる。米国では5Gの受信可能地域がまだ限られていることを考えるとなおさらだ。今回サムソンから送られてきたのはVerizon製SIMカードが挿入されたモデルだった(ちなみにVerizonはTechCrunchの親会社)。筆者が住んでいるクイーンズ地区では5Gネットワークに接続できなかったが、週末に歩いて橋を渡り、マンハッタンに入るとすぐに5Gにつながった。もっと理想的な環境であれば、LTEと5Gでバッテリーの消費量をより正確に比較評価できたと思うが、今(2020年)の段階でそのような環境を望むのは無理というものだろう。

Image Credits: Veanne Cao

Note 20とNote 20 Ultraのもう1つの大きな違いは、もちろんカメラだ。カメラモジュールも非常に大きい。デザインに多少の改善が見られるが、正直なところ、これでもまだかなり大きいと感じる。しかし、カメラの機能を考えれば、この大きさも許容範囲だろう。新しいNoteはどちらもトリプルカメラシステムを搭載しいるが、Ultraでは、広角レンズが12メガピクセルではなく108メガピクセルとなっており、これに12メガピクセルの超広角レンズと12メガピクセルの望遠レンズを組み合わせている。

Image Credits: Brian Heater

セットアップはS20 Ultraとほぼ同じだが、いくつか重要な違いがある。初心者でも使いやすいように、TOF(time-of-flight)の代わりにレーザーオートフォーカスが採用されている。もちろん、将来性という点ではTOFのほうが優れている。TOFは、最新のポートレートモード需要に対応できるだけでなく、モバイルソフトウェアにおける拡張現実の重要度が増せば、今後さらに重要な役割を果たすようになるだろう。とはいえ、日常的な写真撮影には、レーザーオートフォーカスのほうがより実用的だと思われる。また、このカメラの設定では、ポートレートモードを有効にしていなくても、リアルで効果的なぼけ味を入れることができ、接写撮影では非常に効果的だ。

Image Credits: Brian Heater

もう1つ、大きく変わった点がある。それは、スペースズーム機能の最高倍率が調整されたことだ。S20 Ultraで初めて導入されたこのスペースズーム機能は、驚異の100倍ズームが可能という謳い文句だった。しかし実際には、100倍に近い拡大率で撮影すると使い物にならず、期待外れだった。ほとんどの写真は抽象的な印象派の作品のようになってしまったからだ。Note 20 Ultraでは、高画質を確保しつつも、より扱いやすい50倍ズームが最高倍率となっている。

Image Credits: Brian Heater

50倍ズームにすることで画質が相当に劣化するリスクはあるが、総合的には100倍ズームよりもはるかに満足できる仕上がりになる。全体として、Note 20 Ultraのズーム機能は素晴らしい出来だ。デフォルトの写真ソフトウェアを使用する場合は、3本木のアイコンのままにして3つの主要カメラを切り替えて使用することをお勧めする。これにより、光学ズームが最大10倍に抑えられる。もちろん、必要に応じて、もっと高い拡大率も使える。

Image Credits: Brian Heater

サムソンは、カメラの品質を上げる方法として、主としてハードウェアの改善に重点を置いてきた。その成果は、撮影される写真を見れば明らかだ。これは、コンピュテーショナルフォトグラフィーによって他社との差別化を図ってきたGoogle(グーグル)のアプローチとは対照的である。Pixelのカメラ自体はかなり良い出来なのだが、高画質ズーム機能ではNoteにかなわない。もちろん、サムソンのアプローチはコストがかかる。このレビューでは、なんと言っても1400ドル(約14万8000円)のスマートフォンの話をしていることを忘れないでほしい。

画面は本当に素晴らしい。個人的には、色が過飽和気味になることがあるように感じるが(特に明るい赤の場合)、これは画面設定で「vivid(鮮やか)」を「natural(自然)」に切り替えるだけで簡単に修正できる。人によっては、「natural(自然)」にすると赤が少しくすんだ感じに見えるかもしれない。いずれにしても、これは単に個人の好みの問題なので、いろいろと試してみることをお勧めする。リフレッシュレートは120Hzに設定されており、流れるような動きを再現できるが、これもバッテリーを節約する必要がある場合は簡単に無効にできる。

指向性マイクは、S20で導入された機能だが、その良さがあまり知られていない。これを使うと、デバイスの位置に基づいて、どの方向から収音するかを決定できる。さらに気が利いているのは、録音時にGalaxy Live Budsをマイクとして使える機能である。これは特に、騒がしい環境で立ったままインタビュー動画を撮るときに便利だ。

Image Credits: Veanne Cao

Note 20はSnapdragon 865+チップ(基本的にはS20に搭載されたフラグシップ製品Snapdragon 865のオーバークロック版)を搭載した最初のデバイスの1つだ。クロック速度が若干向上し、グラフィックパフォーマンスは10パーセント向上している。2020年に、モバイルプロセッサの性能がこれ以上向上することはない。サムソンがMicrosoft(マイクロソフト)と一部のGame Passコンテンツの独占使用契約を締結した点については、もう少し詳細な情報を書く予定だ(個人的には、Bluetooth対応のモバイルXboxコントローラのリリースが本当に待ち遠しい)。

とはいえ、このデバイスで日常的なタスクの大半をこなせる。また、最新のSnapdragon製チップと12GBのRAMの組み合わせにより、クラウドゲーミングにも優れた性能を発揮するだろう。ストレージも128GBと大容量で、512GBまで拡張可能だ。さらには、microSDスロット(S20の2モデルにも搭載されているが、通常のNoteには搭載されていない)を使えば、なんと1TBまで拡張できる。

今後もNoteの新モデルがリリースされるたびにレビューを書くつもりだが、筆者は、Noteデバイスを10年近く使っているものの、スタイラスペン派ではない。それでも、筆者のひどい手書き文字を認識できるこのデバイスの能力にはいつも感心する。ここで特に宣言することでもないが、近いうちにスタイラスペン派に転向するかもしれない。Sペンは洗練されており、この数世代で応答性も大きく向上した。Air Actionsを使用すると、スタイラスペンを画面から離して使える。素晴らしい機能だが、やはり筆者は使わないと思う。もう1つ新しく追加された機能として、Audio Bookmarkがある。これを使うと、作成中のメモに録音音声を同期させることができる。もちろん便利な機能だが、その便利さが際立つのは、今後数世代のうちにライブの文字起こし機能à la Google Recorderが導入されたときだろう。

Image Credits: Veanne Cao

サムソンの主力製品を筆者が半年ごとにレビューする記事をいつもお読みいただいている方は、筆者が次に何を言うか見当がつくかもしれない。今回のNoteの新モデルは、何か重要な変更があるわけではなく、旧モデルの改良版という感じが強い。もしお使いのNoteが2~3年前に購入されたものであれば、慌てて買い換える必要はまったくない。2~3年というのは、モバイル業界のライフサイクルでは同じフェーズに属する期間だ。全体として、アップデートは改良的なニュアンスが強い。

それでも、旧世代のデバイスと同様、Note 20 Ultraは、現時点で入手できる最も優れたモバイルハードウェアである。特にカメラの素晴らしい機能は注目に値する。ただし、いつものことながら、最高のものは高い。1400ドル(約14万8000円)のAndroidスマホを買ってもいいと思えるなら、Galaxy Note Ultraは最高レベルのデバイスだ。

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カテゴリー:ハードウェア

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(翻訳:Dragonfly)

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TechCrunch Japan

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