SmartHRに「カスタム社員名簿」機能追加、労務から人材活用の領域へ

HRTechスタートアップのSmartHRは4月10日、クラウド人事労務ソフト「SmartHR」上に「カスタム社員名簿」機能をリリースした。この機能では、SmartHRから必要な社員情報を抽出した名簿を作成し、人事労務担当だけではなく、必要な人が社員の必要な情報だけを閲覧することが可能になっている。

カスタム社員名簿は、SmartHRの管理者により作成・管理できる。作成画面から、表示したい情報、公開したい部門や職種などの範囲を設定し、名簿を作成して公開が可能だ。

人事労務管理で必要な社員情報は、入社手続きの際にSmartHRに入力されるため、新たに人事データベースを構築したり、社員情報を追加入力する手間は不要だ。また、労務に直接関係がない情報(例えば保持資格や制服のサイズなど)でも、入社のときに収集した情報であれば、表示項目に追加することができる。

社員名簿の用途としては、「社員同士で顔と名前、所属部門や職種だけ確認できるようにしたい」といった全社員向けのものや、「部門やチームメンバーの情報を抽出して、人事異動や登用の意思決定に活用したい」という経営者や管理者向けのもの、また多店舗展開する企業のエリアマネージャーや店長が、アルバイトの緊急連絡先をすぐ調べられるようにしたり、管理部門が社員に支給している手当や備品を簡単に把握できるようにしたり、といった使い方が想定されている。

SmartHRの人事データベースは、労務担当者だけでなく、人事・経理・情報システム部門や経営戦略を担う部門からも「個人情報を除いた形式で活用したい」との要望が多く寄せられていたという。

人材活用や多様な働き方実現に必要な社員情報が、分散管理されていたり、データが不揃いであったりという運用の課題に着目したこの機能。SmartHRでは新機能について、「これまでSmartHRが提供してきた労務管理の領域を超えて、人材管理を目的に活用できる初の機能」と位置付けている。

なおSmartHRによれば、人材管理の分野で、評価や目標管理のような、さらに深掘りした機能を自社開発で追加する予定はないが、外部サービスとのAPI連携の開発は進めているとのこと。SmartHRでは「より多くの部門・社員の皆さまに活用いただくことで、スムーズな組織マネジメントや社内コミュニケーションの活性化など、さまざまな用途での活用を期待する」としている。

カスタム社員名簿はSmartHRのスタンダードプランより上位のプランで利用が可能だ。SmartHRでは2019年夏をめどに、社員や組織の統計値を可視化できる「分析レポート」機能の公開も予定している。

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TechCrunch Japan

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