Apple Watchのバッテリー持続時間について、ぜひともApple得意の現実歪曲能力を発揮して欲しいと期待していた人も多いことだろう。しかし既に各所で報じられているように、その願いは通じなかったらしい。AppleのCEOであるTim Cookが、Apple Watchは毎日の充電する必要があると話したのだ。言うならば、バッテリー面では既に市場に出ている他社製ハイエンド・スマートウォッチと変わらないということになる。
あるいは、毎日手巻していた機械式手巻時計と同じであるとも言える。
Cook曰く「きっと多くの場面で利用してもらえるでしょう。そして夜には充電しておくということになります」とのこと。WSJDライブカンファレンスでのインタビューに応えたものだ。「多くの場面で利用してもらえる」というところで、プラスに評価しようとしているようだ。
すなわち、スマートなApple Watchを身に着けていても、大して利用もしないのであれば、毎日充電することにはならないということだ。「使いたくなるデバイスだ」ということをアピールしているらしい。
ともかく、ウェアラブルにとってはバッテリーが悩みの種だ。スマートフォンでもバッテリーのもちが問題になっている。但し、AppleはiPhoneについてはバッテリー持続時間も十分だと考えているようでもある。デバイスを新しくするたびに厚みを削り「さらに薄くなった」と表現しているが、それによってバッテリー容量を増やす余地を自ら捨て去っているともいえる(利用者は自前の予備バッテリーを接続し、太くなったiPhoneを使っていたりもする)。
それでもスマートフォン利用者は、ことあるごとに充電しなければならないという事実を受け入れている(あるいは大容量バッテリーパックを持ち歩く)ようではある。しかし、さらにもう一台そうした準備をしなければならないデバイスが増えるということは、なかなか受け入れられないのではなかろうか。手首に装着して利用するデバイスであれば、とくに頻繁に充電することは避けたいと思う人が多いことだろう。
Apple Watchは、スマートではないものの、数年間もバッテリーの心配などしなくて良いデバイスと争うことになる。身体の動きによってネジを巻く自動巻き機能も従来の腕時計にとっては馴染みのものだ。確かにスマートウォッチはこれまでの腕時計と比べるものではないかもしれないが、それでもバッテリーが切れてしまえばなんの役にも立たないゴミのような存在になってしまうことは否定できない。
Apple Watchでは電磁誘導充電方式を採用し、さらにマグネットを利用したコネクタを使って簡単に充電できるようにと配慮している。そうした仕組みにより、日々の手間が軽くなるものかどうか。発売後の動きを見てみたいところだ。
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(翻訳:Maeda, H)