Twitterがトランプ大統領のアカウントを永久停止(米議会議事堂暴動から追放までの経緯まとめ)

Twitter(ツイッター)は米国1月8日、「暴動をさらに誘発するリスク」とこれまでの規約違反を理由に、同社のプラットフォームからDonald Trump(ドナルド・トランプ大統領)を永久追放した。

「今週あった恐ろしい事件に照らし、Twitterのルールをさらに破った場合は新たな措置を取る可能性があることを当社は1月6日に明確にしていました」「何年も前に当社はこれらのアカウントが規則を守っておらず、暴力を扇動するためにTwitterを使用することはできないということをはっきりと示していました」と同社は述べている。

また、トランプ大統領は新しいアカウントを作ったり、別名を使ったりしてTwitterの追放措置を回避することはできない、と同社の広報担当はTechCrunchに明確にした。もし大統領が追放を回避しようと試みた場合、大統領が使うあらゆるアカウントに対して停止措置が取られることになる。

【更新】トランプ大統領はまさに米国時間1月8日夜に@POTUSアカウントを使用した(未訳記事)。「我々は黙りはしない!Twitterは自由な言論の場ではない」と同アカウントを通じてツイートし、自身のチームが「近い将来」自前のプラットフォームを構築するかもしれないことを匂わせている。

Twitterは追放措置が差し迫っていることを明らかにしていたと強調し、今週の事件を「恐ろしい」と表現した。トランプ大統領は以前、Twitterのルールを破っていたが、世界のリーダーのための特別なガイダンスと社会が関心を寄せる情報という考えの下、大統領のアカウントを維持してきた。

詳細の中で、Twitterは追放に至ることになったトランプ大統領によるツイートの評価を公開した。1月7日の大統領の2つのツイートがアカウントの存続を崖っぷちに追い込んだようだ。Twitterはそうしたツイートを今週あった事件に照らしてさらなる暴力を誘発するものと解釈した。

1月6日にTwitterは、規約に違反しているとして同社がフラグを立てたツイートをトランプ大統領が削除するまで大統領のアカウントを一時的に凍結した。大統領のアカウントは、そうしたツイートの削除から12時間経って再び使えるようになり、大統領は1月7日夜に大統領選挙での敗北を初めて認めたかにみえる動画を投稿して同プラットフォームに戻ってきた

トランプ大統領は、議会による選挙結果の承認作業中に米議事堂で暴動を起こした自身のサポーターのグループを非難しなかったとき、一線を越えた。とあるツイートで大統領はグループに家に帰るように優しく促し、その一方で興奮している自身のフォロワーに対し「あなたたちを愛している。あなたたちは『特別だ』」と安心させた。

当時、Twitterはトランプ大統領のツイートが市民活動の阻害に関するポリシーに対する「度重なる重大な違反」を含んでおり、今後違反があった場合、大統領のアカウントの「永久凍結」につながり得ると警告していた。

米国時間1月6日水曜日

  • 米国東部時間午後1時:トランプ大統領がホワイトハウス近くでの選挙結果に抗議する集会を締めくくる。集会で大統領は参加者に議会に向けて行進するよう促す
  • 午後2時15分:トランプ支持者が議事堂内に侵入する
  • 午後4字15分:トランプ大統領が暴動者に家に帰るべきと促し、そして「我々はあなたたちを愛している」と伝える動画をTwitterに投稿する
  • 午後5時:Twitterが目立つ警告ラベルをビデオに貼る
  • 午後6時:トランプ大統領が再びツイートするが、暴力を非難せず、サポーターに「今日という日を永遠に覚えておこう」と呼びかける
  • 午後7時:トランプ大統領が3つのツイートを削除してさらに12時間経つまでTwitterがアカウントを一時停止する

米国時間1月7日木曜日

米国時間1月8日金曜日

  • 午前9時45分:トランプ大統領がさほど懐柔的でないトーンで、自身に投票した人はすべて「いかなる方法でも決して不当に扱われることはない!!!」と宣言する
  • 午前10時45分:トランプ大統領がジョー・バイデン氏の就任式に出席しないとツイートする
  • 午後6時20分:Twitterが@realDonaldTrumpは永久に追放されたと発表する

Facebook(フェイスブック)は1月6日に議事堂でカオスが繰り広げられたことを受けてトランプ大統領のアカウントに対してより思い切った措置を取ったが、Twitterはホワイトハウスを去ろうとしているトランプ大統領と長らく摩擦を抱えている。2020年初め、郵送投票を「詐欺」だとした大統領のツイートに要事実確認のラベルを貼るというTwitterの決定は、ソーシャルメディア企業を標的にした大方無力な大統領令を通じた報復(未訳記事)につながった。

トランプ大統領は米通信品位法230条を廃止しようと、議会を通じて次第に異常さを増す(未訳記事)方法で2020年を通じてずっと恨み続けた。230条はオンライン企業をユーザー生成コンテンツに対する責任から守っているものだ。

現職の大統領をプラットフォームから追放するというTwitterの措置は歴史的な決断で、同社が大統領の4年間に貢献することを避けるという大きなものだ。1月6日の暴動、そして暴動扇動というトランプ大統領の行動に、テック最大手のプラットフォームはもううんざりしたようだ。

しかし選挙陰謀説新型コロナウイルスに関する危険な誤情報、そして議事堂を襲ったカモフラージュしている過激派たちのことを考えると、トランプ大統領が在職中の4年間に1回あたり280文字以内で解き放ったカオスを元に戻すには手遅れだ。

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カテゴリー:ネットサービス
タグ:ドナルド・トランプアメリカ米国大統領選挙SNSソーシャルメディアTwitter

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(翻訳:Mizoguchi

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TechCrunch Japan

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