Uberが配達ロボット事業を独立会社Serve Roboticsとしてスピンアウト

Uber(ウーバー)が2020年に26億5000万ドル(約2830億円)で買収したオンデマンド配達スタートアップのロボティクス部門Postmates Xが正式にServe Robotics(サーブロボティクス)という会社としてスピンアウトした。

TechCrunchはディールが投資家に密かに示されたと2021年1月に報じている。

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Postmates Xが開発し、パイロット運用した歩道を自動走行するロボットにちなんだ社名のServe RoboticsはベンチャーキャピタルファームNeoがリードしたラウンドでシード資金を調達した。本ラウンドに参加した投資家はUber、Lee Jacobs(リー・ジェイコブス)氏とCyan Banister(シアン・バニスター)氏のLong Journey Ventures、Western Technology Investment、Scott Banister(スコット・バニスター)氏、Farhad Mohit(ファルハド・モヒット)氏、そしてPostmatesの共同創業者Bastian Lehmann(バスティアン・レーマン)氏とSean Plaice(ショーン・プレイス)氏だ。

Serve Roboticsは、まだクローズしていないシリーズAとなる本ラウンドを認めただけで具体的な内容は明らかにしなかった。スピンアウトの資金調達は最初のトランシェは立ち上げ時に、残りはIPが移行したときに、と段階を踏んで行わることがある。

新会社はPostmates Xを率いていたAli Kashani(アリ・カシャニ)氏が運営する。他の共同創業者にはPostmates時にServeのチームに加わった最初のエンジニアであるDmitry Demeshchuk(ドミトリー・デメシュチュク)氏、元Ankiプロダクト責任者でServeでプロダクト戦略を率いてきたMJ Chun(MJ・チュン)氏がいる。Serve Roboticsの従業員は60人で、本社をサンフランシスコに置き、ロサンゼルスとカナダ・バンクーバーにもオフィスを構える。

画像クレジット:Serve Robotics

「自動運転車がドライバーを不要にした一方で、ロボット配達はクルマそのものを不要にし、配達を持続可能なものに、そしてすべての人がアクセスしやすいものにします」と共同創業者でCEOのカシャニ氏は話した。「次の20年で新しいモビリティロボットはまずは食品の配達、それからその他のものへと我々の暮らしのあらゆるところに入ってきます」。

Postmatesの歩道配達ロボットへの参入は、カシャニ氏のスタートアップLox Incをひっそりと買収した後の2017年に本格的に始まった。Postmates Xのトップとしてカシャニ氏は「なぜ重さ2ポンド(907グラム)のブリトーを重量2トンもあるクルマで運ぶのか」という疑問に答えようと試みた。Postmatesは初のServe自動走行配達ロボを2018年12月に発表した。デザインはほぼ同じだが異なるLiDARセンサーを搭載し、他にもいくつかアップグレードされている第2世代は、ロサンゼルスでの商業立ち上げ前の2019年夏に登場した。

事業拡大に目を向けているとはいえ、歩道の自動走行を専門とする配達ロボットをデザイン・開発・運用するという同社のミッションは続いている。Serveはロサンゼルスでの配達事業を継続する。そしてサンフランシスコ・ベイエリアでのR&Dを強化し、新たな提携を通じてマーケットリーチを拡大する。

スピンアウトは、採算性に向け配車と配達の事業に焦点を絞るというUberの目的に適うものだ。この戦略はUberが2019年5月に上場した後に具体化し、新型コロナウイルスパンデミックが同社にプレッシャーをかけた2020年加速した。2年前、Uberは配車からマイクロモビリティ、ロジスティック、公共交通機関、フードデリバリー、そして自動運転車やエアタクシーといった未来的なものに至るまで、交通全般に会社を持っていた。CEOのDara Khosrowshahi(ダラ・コスロシャヒ)氏は会社の収益化を追求していて、何でもかんでも解体するというアプローチを取っている。

2020年にUberはLimeとの複雑な取引でスクーター・自転車シェアリング部門のJumpを切り離し、ロジスティックスピンオフUber Freightの5億ドル(約534億円)分の株式を売却した。そして自動運転車部門Uber ATGとエアタクシー部門Uber Elevateを切り離した。Auroraが、JumpとLime間の取引と同じような構造のディールでUber ATGを買収した。AuroraはUber ATG買収を現金で行わなかった。代わりにUberがATGの株式を引き渡し、そしてAuroraに4億ドル(約427億円)投資し、これによって合併会社の持分26%を得た。同様に細工されたディールでUber Elevateは2020年12月にJoby Aviationに売却されている。

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カテゴリー:ロボティクス
タグ:Serve RoboticsUber資金調達

画像クレジット:Serve Robotics

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(文:Kirsten Korosec、翻訳:Nariko Mizoguchi

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TechCrunch Japan

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