スペースマーケットやSHOPCOUNTER、軒先ビジネスなど、空きスペースのオーナーと利用者をマッチングしてイベントやポップアップショップに利用するようなサービスが増えてきた。これらのサービスは建物だったりその1室だったりと、「ハコ」単位でのレンタルが中心だ。そのサービスはいわゆる「toB」のもの。会議や大規模なイベント、期間限定店舗などをはじめとして、数人から大人数の、おもに法人のニーズを満たすものが中心だ。
今回紹介する「eichiii」は「toC」、つまり個人のためのスペースのマッチングサービスだ。スペースを「ハコ貸し」するのではなく、座席単位でのマッチングを実現する。現在サイトにてユーザーの先行登録を開始しており、間もなく正式にサービスをオープンする。
eichiiiでは、ウェブサイト上でスペースを検索して1席1時間単位でレンタルできる。スペースはコワーキングスペースや貸し会議室、営業時間外の飲食店やカラオケボックスなど。サービス開始までに都内を中心に200アドレス(1アドレスに3〜4席を確保)を目指し、今後もその数を拡大していく予定だ。
「当初はノマドワーカーをターゲットにしていたが、フリーランスや中小企業の打ち合わせ場所のニーズも多い」(エイチ代表取締役社長の伏見匡矩氏)とのことで、1室単位でレンタルできる個室スペースなども用意する。
金額はスペース側が設定できるが、1席1時間500円程度が中心。スペースによってはフリードリンクや電源・Wi-Fiの無料利用などの設備もあるという。スペースに着いたユーザーは予約画面を店舗に見せて金額を直接支払うという仕組みのため、システムの導入などは必要ない。eichiiiは金額の30%を手数料として取得する(そのうち5%はユーザーにポイントとして還元される)。
伏見氏はP&Gのマーケティング担当として活躍したのちに、社外からリクルート新規事業提案制度「New RING」でグランプリを受賞し、メディア事業を手がけるエモーチオの立ち上げに参加。その後に起業を志し、ベビー用品レンタルショップ「Babyrenta」を運営するココロイロを立ち上げた。
「循環型社会を作りたいという思いが根底にあり、それどんなビジネスができるか考えたのがベビー用品のレンタルだった。だがモノのレンタルは小規模な事業。世の中を変えられると思って始めたが、これを続けても売上100億円を狙うのが限界」(伏見氏)。
またレンタルビジネスをやって、例えば「キャンプ用品を借りたい」という人がいるのではなく、「キャンプをやりたい」という人がいて、その目的のためにキャンプ用品が必要なだけ——つまり商品のレンタルよりも、「スペースで何かを達成すること」を支援することのほうが重要——という考えに至ったのだそうだ。そんな思いからeichiiiの開発に取り組んだ。
伏見氏はeichiiiで「早期にユーザー数3万人を目指す」としている。なお資金調達等は現時点で検討していないという。