グーグルとインドのJio Platformsが低価格Androidスマホ「JioPhone Next」を発表

インドの大富豪Mukesh Ambani(ムケシュ・アンバニ)氏が経営するJio Platforms(ジオ・プラットフォームズ)とGoogle(グーグル)は米国時間6月24日、手頃な価格のAndroidスマートフォン「JioPhone Next(ジオフォン・ネクスト)」を発表した。インド最大の通信事業者と米国の巨大テック企業は、世界第2位のインターネット市場でさらなるリーチ拡大を推し進める。

2020年7月、Googleから45億ドル(約5000億円)の出資を受けたこのインドの企業は、Googleと共同で低価格のスマートフォンを開発する計画を明らかにしていた。同社によると、JioPhone Nextは、インドでいまだに2Gネットワークを利用している約3億人のユーザーが、より高速なネットワークにアクセスできるように、機器をアップグレードしやすくするために開発されたものであるという。

Reliance Industries(リライアンス・インダストリーズ)のムケシュ・アンバニ会長は、現地時間6月24日に開催された同社の年次総会で、この「極めて最適化されたAndroid」モバイル・オペレーティング・システムを搭載した携帯電話は、インドの祝祭シーズンに先駆けて9月10日にまずインドで発売され、最終的にはインド国外でも販売される予定だと述べた。

アンバニ氏によると、JioPhone Nextは「超低価格の4Gスマートフォン」になるとのことだが、端末の価格やハードウェアのスペックは明らかにされなかった。

リライアンスの年次総会に映像で登場したGoogleのSundar Pichai(サンダー・ピチャイ)CEOは、同社がJio Platformsと5Gクラウドのパートナーシップを結んだことも発表。「この提携によって、10億人以上のインド人がより速く、より優れたインターネットに接続できるようになります。それは企業のデジタルトランスフォーメーションを支援し、Jioが医療や教育などの分野で新しいサービスを構築するのに役立つでしょう。インドのデジタル化における次の段階の基盤を築くことができます」と、2020年インドに100億ドル(約1兆1085億円)の投資を約束したGoogleのCEOは語った。

5Gクラウドのパートナーシップの一環として、GoogleはリライアンスというGoogle Cloud(グーグルクラウド)の大きな顧客を獲得することにもなると、ピチャイ氏は述べている。

「これによってリライアンスは、GoogleのAIや機械学習、eコマース、需要予測などのサービスを利用することができるようになります。Google Cloudの信頼性とパフォーマンスを活用することで、リライアンスの各事業は顧客の需要に応えるために、必要に応じてスケールアップが可能になります」と、ピチャイ氏は付け加えた。

JioPhone Nextには、Googleの「Read Aloud(リード・アラウド)」や「Translate Now(トランスレート・ナウ)」などの機能がはじめから搭載されており、ウェブページやアプリ、メッセージなど画面に表示されるあらゆるテキストと画像の音声読み上げや翻訳に対応している。

アンバニ氏は現地時間6月24日に開催されたリライアンスの年次総会でJioPhone Nextを発表した(画像クレジット:Jio Platforms)

JioPhone Nextは、HDRに対応した「高速で高品質なカメラ」も搭載し、最新のAndroidリリースとセキュリティアップデートで保護されるとGoogleは述べているが、それが適用される正確な期間は明らかにしていない(通常、スマートフォンのベンダーは発売から約2年間、セキュリティと新しいAndroidソフトウェアのサポートを提供する)。

Googleは声明の中で「私たちはJioチームとエンジニアリングおよび製品開発において緊密に協力し、ユーザーが自分の言語でコンテンツを楽しんだり携帯電話を操作したりできる有用なボイスファースト機能や、優れたカメラ体験の提供、最新のAndroid機能およびセキュリティアップデートの取得を可能にしました」と述べている。

インドで販売されているスマートフォンの多くは150ドル(約1万6600円)以下だが、100ドル(約1万1000円)以下のスマートフォンを探している消費者にはほとんど選択肢がない。そして、その選択肢はここ数年の間にますます減少している。

調査会社のCounterpoint(カウンターポイント)によると、100ドル以下のスマートフォンがインドのスマートフォン市場に占める割合はわずか12%で、2019年の18%、2018年の24%から減少しているという。50ドル(約5500円)以下のスマートフォンが市場全体に占める割合は、2018年の4.3%から、2020年にはわずか0.3%にまで減った。

スマートフォンメーカーは、この市場の空白に気づいているが、需要を満たすことは非常に困難であることもわかっている。Jio Platformsをはじめとするいくつかのメーカーはこれまで、インドの小規模な都市や町に住む人々に訴求するために、さまざまなフィーチャーフォンを開発してきた。Jio Platformsが開発したKaiOS搭載のフィーチャーフォン「JioPhone(ジオフォン)」は、2021年2月末の時点で1億人の顧客を獲得している。

UBSのアナリストは、顧客に向けた最近の報告の中で、メモリー部品の最近の価格高騰を考慮すると、50ドル以下の価格のスマートフォンは原価で販売されている可能性が高いと述べている。

TechCrunchが入手したそのレポートには、次のように書かれている。「Jioのこの動きは、2Gから4Gへの移行を加速させるだろうが、私たちは他のスマートフォンメーカー、特にXiaomi(シャオミ)のような主要プレイヤーにとって、このカテゴリーがどれほど興味深いものになるかを査定してみました。我々の見解では、インドのスマートフォン市場で最大手のXiaomiが、50ドルのスマートフォンを発売して追従する可能性は低いと思われます」。

過去にはGoogleも、Androidの普及拡大に向けた取り組みをいくつか行ってきた。2014年には100ドルの低価格スマートフォン「Android One(アンドロイド・ワン)」プログラムを開始し、2017年には低リソース集約型のOS「Android Go(アンドロイド・ゴー)」を低スペックなデバイス向けに投入している。また、人気の高いフィーチャーフォン用オペレーティング・システム「KaiOS」の支援も行っていた。

Googleは声明の中で、JioPhone Nextは「当社のインドに向けたAndroidミッションの記念すべき一歩であり、Android製品およびエンジニアリングチームがインドで予定している数多くの取り組みのうち最初のものです」と述べ「私たちはインドのエンジニアリングチームも積極的に拡大していき、インドのスマートフォンユーザー独自のニーズに応える方法を見つける作業に、引き続き取り組んでいきます」と続けている。

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カテゴリー:ハードウェア
タグ:Jio PlatformsインドスマートフォンGoogleAndroid

画像クレジット:Google and Jio Platforms

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(文:Manish Singh、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

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TechCrunch Japan

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