暗号資産企業Circle、SPACとの取引見直しで評価額が2倍の約1兆350億円に

暗号資産企業のCircle(サークル)は、上場している特別買収目的会社(SPAC)のConcord Acquisition Corp.とのこれまでの契約を解消したことを発表した。同時に、Concord Acquisition Corp.と新たな合併に向けた契約を締結した。この取引が成立すれば、Circleは90億ドル(約1兆350億円)の評価額で上場企業となる。

もともと2021年7月に発表されたこの合併は、2021年第4四半期に完了することになっていた。そして、Circleは45億ドル(約5180億円)で評価された最初の取引に満足していなかったようだ。同社は2022年4月3日の終了日を待たずに契約を破棄し、新たな契約を交わした。

CircleはCoinbase(コインベース)とともにCentreコンソーシアムの創設メンバーの1社としてよく知られている。このコンソーシアムは、人気のステーブルコインのUSDコイン(USDC)の管理を担当している。どの時点でも、1USDCは常に1米ドルの価値がある。

その裏付け資産は、現金、現金同等物、短期米国債のみだ。それらの準備金は、監査法人によって定期的にチェックされている。この方法では、暗号資産の変動にさらされることはないが、コードを使用して1つのウォレットから別のウォレットにお金を送ったり受け取ったりすることができる。それは通常の暗号資産取引のように機能する。

USDCはいくつかの異なるブロックチェーンで利用可能だ。各ブロックチェーンは、手数料、スピード、利便性に関してあなたが探しているものに応じて、異なる利点と欠点を提供する。USDCは現在、Ethereum、Algorand、Solana、Stellar、Tron、Hedera、Avalanche、Flowで利用できる。

そして、USDCの利用は急速に増えている。2021年7月、Circleは250億ドル(約2兆8760億円)相当のUSDCが流通していると発表した。その数字は、USDCの流通額が525億ドル(約6兆400億円)に達し、2倍以上になっている。

Circleは、準備金関連の収入に加え、複数のAPIや利回り商品を提供している。例えば、簡単なAPIコールで決済を処理し、支払いを促すことができるようサポートしている。カード決済、銀行送金、ACH(電子小切手決済)など、多くの古典的な支払い方法に対応している。

開発者は、それらのサービスを活用して、暗号資産製品の出入り口を作ることができる。そして、それらの「取引と財務サービス」は、Circleの収益の大部分を生み出している。Circleの取引とトレジャリーサービスを使用している企業にはDapper Labs、Compound Labs、FTXなどが含まれる

直近では、CircleはCircle Yieldの提供を開始した。Circle Yieldを利用する企業は、1〜12カ月の短期投資を通じて確定利子を得ることができる。また、Circleは株式クラウドファンディングのプラットフォームであるSeedInvestを所有していることも注目すべき点だ。

Circleがこの新しい取引で最終的に上場するかどうか見てみよう。TechCrunchのAlex Wilhelmが2021年書いたように、Circleは今後まだ成長ポテンシャルがあると考えている。過去の収益に賭けるのではなく、同社は投資家に将来の機会に賭けて欲しいと考えている。

画像クレジット:Chaitanya Tvs / Unsplash

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(文:Romain Dillet、翻訳:Nariko Mizoguchi

投稿者:

TechCrunch Japan

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