アメリカのモバイル・アプリ経済は活力旺盛、モバイル・ブラウザはFacebookアプリに押されて苦戦(Flurry調べ)

モバイル・アプリのアナリティクスを提供するFlurryは毎月10億台以上のスマート・モバイル・デバイスの利用状況を調査している。最近Flurryはアメリカの消費者がモバイル・アプリとモバイル・ブラウザをどのように使い分けているかレポートした。それによると、iOSとAndroidのアプリは元気一杯のようだ。消費者のスマートフォン、タブレットの利用時間は1日あたり平均2時間38分だが、その80%の時間はアプリを利用している。モバイル・ブラウザの利用は5分の1(20%、31分)しかない。

アプリのカテゴリーでみると、やはりゲームが大きな割合(32%)を占めている。次に大きいのがFacebookで毎日の利用時間の18%を占めている。さらに他のソーシャルメディアのアプリの6%を加えると、ソーシャル関係の利用時間はほぼ全体の4分の1となる。

しかしFlurryの調査によれば、Facebookアプリの利用時間を長くしているのはソーシャルな活動だけではないという。Flurry CEO、Simon Khalafは「ユーザーはおそらくFacebookアプリ内で他のウェブコンテンツを相当時間見ているに違いない。いわばザッカーバーグは壁に囲まれた庭を作ることに成功している。Facebookは消費者がもっとも長時間利用するウェブ・ブラウザになっているのは間違いない。消費者が全体として毎日39分近くの時間をFacebookアプリ内で過ごすというのはFacebookにとって非常に有利な状況だ」」と述べた。

Facebookは消費者がもっとも長時間利用するウェブ・ブラウザになっている

KhalafはFlurryのブログ記事にこう書いている。

モバイル・アプリが登場してから5年になるが、このエコシステムは大いに繁栄している。成長が鈍化するきざしに目を光らせているが、今のところその兆候はまったく見られない。これはスマートフォンに続いてタブレットも急速に普及したいるためだだ。タブレットとスマートフォンはデスクトップ、ノート両方のパソコンを侵食している。Facebokを始めとするアプリが消費者のモバイル滞在時間の大部分を奪っている。

ブラウザではiOSのSafari(12%)の利用時間がトップだ。Flurryのデータを見ると、iPhoneとiPadのユーザーはAndroidのユーザーよりブラウザを利用する率が少し高い。あるいはAndroidのユーザーがiOSユーザーよりも熱心なFacebookユーザーなのかもしれない。Safariの優位はiPadの普及のせいかもしれない。タブレットの大きな画面ではブラウザの利用が快適になる。しかしAndroidのタブレットは(少なくともまだ)iPadのシェアに及ばない。

これ以外の分野については、エンタテインメント・アプリとユーティリティー・アプリがそれぞれ 8%ずつを占めているという。生産性アプリ、ニュース・アプリはそれぞれわずか2%しか占めていない。またiOSとAndroid以外のモバイル・プラットフォームの支持者が言うような「消費者はアプリに飽きている」という証拠はまったく見出されなかった。ここ3年間の世界のモバイル・アプリの1日あたり平均リリース数は次のとおりだ。2010年誌第4四半期は7.2、2011年第4四半期は7.5、2012年第4四半期は7.9。

「このようにアプリのリリース数が着実に増加していることはまだまだアプリ史上が飽和していないことを示すものだろう。消費者はますます多くのアプリを利用するようになっている」とKhalafは書いている。 ただしアプリの大部分は書籍、テレビ番組、ゲームのように寿命が短い。いずれにせよ「2010に比べて2012年の方がアプリの利用が減っている」という主張には根拠がないようだ。

2010年誌第4四半期から2012年第4四半期にかけて、ユーザーが新アプリを利用する率がほとんど2倍になっていることも発見された(下のグラフ)。これは220万台のデバイスについて2年以上にわたって行われた調査の結果だ。消費者がますます多くの新しいアプリをインストールしているという傾向はデベロッパーにとって朗報だ。

「消費者がこれほど多数の新しいアプリを利用しているということはアプリ市場はまだ成長期にあり、今後イノベーション、ブレークスルーをもたらす新しいアプリの登場が期待できることを意味する」とKhalafは結論している。

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+


投稿者:

TechCrunch Japan

TechCrunchは2005年にシリコンバレーでスタートし、スタートアップ企業の紹介やインターネットの新しいプロダクトのレビュー、そして業界の重要なニュースを扱うテクノロジーメディアとして成長してきました。現在、米国を始め、欧州、アジア地域のテクノロジー業界の話題をカバーしています。そして、米国では2010年9月に世界的なオンラインメディア企業のAOLの傘下となりその運営が続けられています。 日本では2006年6月から翻訳版となるTechCrunch Japanが産声を上げてスタートしています。その後、日本でのオリジナル記事の投稿やイベントなどを開催しています。なお、TechCrunch Japanも2011年4月1日より米国と同様に米AOLの日本法人AOLオンライン・ジャパンにより運営されています。