注目の集まるCtoCコマース。僕も何度か使ってみたのだけれど、商品次第では、それこそ数分とか驚くようなスピードで売れてしまう。売買自体は非常にお手軽なのだけど、手間がかかるのが梱包や配送といった手続きだ。
フリマアプリ「メルカリ」を手がけるメルカリは、そんなCtoCコマースの課題に対して、物流の巨人であるヤマト運輸と組むことで解決の手段を提供する。スタートアップと巨人の連携という意味でも注目だ。両社は4月1日より、ヤマト運輸の営業所に商品を持ち込めば全国一律の配送料金で配送を依頼できる新サービスを展開する。
アプリでQRコードを発行し、ヤマト営業所に持ち込むだけ
新サービスでは、メルカリのデータベースとヤマトのデータベースを連携。メルカリの出品者に対して、出品した商品が購入されるとQRコードを発行する。その後商品をヤマト営業所に持ち込み、発行したQRコードを店頭端末「ネコピット」で読み込むと、配送伝票を自動で印刷。その場で配送の手続きを完了できる。猫ピットは全国4000カ所のヤマト営業所に設置している。
料金は現時点では非公開だが、全国一律の料金設定となる予定で「他社サービスと比較して競争力のある価格設定」(メルカリ取締役の小泉文明氏)になるという。
通常ヤマトを利用する場合、4月1日スタートの「ネコポス」(これまであったメール便が終了して、新たに始まるサービスだ。角形A4サイズ、厚さ2.5kg以内、重さ1kg以内の荷物をポストに投函(とうかん)する。荷物追跡にも対応。ただし法人のみ利用可能)で上限378円、「宅急便コンパクト」(縦25cm×横20cm×厚さ5cmの専用ボックスもしくは縦24.8cm×横34cmの専用薄型ボックスを利用。手渡しで、荷物追跡にも対応)で354〜594円(ボックス代65円を除く)となっているが、メルカリ経由で利用する場合、ネコポスであれば100円台から利用できるという。
1年越しでサービス連携が実現
メルカリによると、1年ほど前からヤマトに対して提案を進めてきたのだそうだ。そんな折、信書の問題もあってヤマトがメール便を廃止。4月から新サービスを提供することになり、それに合わせるかたちでメルカリとの連携に至った。
実はヤマトは3月3日時点で、宅急便コンパクトとネコポスのサービスを発表しているのだが、そのプレスリリース内で「弊社とご契約のあるフリマサイトなどでは、従来の宅急便に加え、『宅急便コンパクト』と『ネコポス』がご利用になれます」なんてすでにうたっていたのだ。両社ともエクスクルーシブな提携というワケではないようなので、今後はメルカリ以外でもこういったサービスを利用できるようになる可能性がある。
メルカリは先週、新しいテレビCMと同時に1100万ダウンロードを発表したばかり。以前にも紹介した数字ではあるが、月間流通額は数十億円(ZOZOTOWNで100億円程度なので、かなりの規模と考えていいだろう)、出品数は多いと1日で数十万品にもなっているのだそう。ヤマトを含む物流のプレーヤーは、1品あたりの単価が低く、小さいトランザクションが多く発生するフリマの領域に興味を示しているという話も聞く。
両社は今夏をめどに、配送伝票の表示もQRコードのみに変更。出品者と購入者が相互に個人情報を開示することなく匿名で売買できる仕組みも導入する予定だ。
物流ではLINEが先行
フリマと物流の連携というところで先行するのはLINEだ。2014年7月に「LINEモール」向けにフェリシモと連携。「LINE配送」というサービスを始めている。
料金は3辺の大きさで60cmまでの商品の場合650円からで、サイズに合わせて全国一律の価格設定と、メルカリでは現状実現していない匿名での配送をすでに実現している。
ただし、フェリシモが拠点を置く兵庫県・神戸の物流センターを活用しているということで、例えば東京から東京といった配送であっても、一度わざわざ神戸まで送られると聞いている。この点に関しては、全国4000カ所の拠点を持つヤマトの配送のほうがスピード面で有利になってきそうだ。