ウェブ接客ツール「KARTE」提供のプレイド、5億円の資金調達—キャンペーンの売上7割増の事例も

プレイド代表取締役社⻑の倉橋健太氏

プレイド代表取締役社⻑の倉橋健太氏

ウェブ接客ツール「KARTE(カルテ)」を提供するプレイドは8月3日、Fidelity Growth Partners Japanおよび既存株主のフェムトグロースキャピタル投資事業有限責任組合を引受先とする第三者割当増資を実施し、合計5億円の資金調達を実施した。また今回の調達にあわせて、Fidelity Growth Partners Japanのデービッド・ミルスタイン氏が同社の社外取締役に就任する。

2014年9月にクローズドベータ版を公開し、2015年3月に一般にサービスを公開したKARTEは、リアルタイムにECサイトの来訪者を分析し、その状況にあわせてメッセージを配信したり、クーポンを発行したりという「接客」をすることでコンバージョンを促すツールだ。

導入費用は月額5000円から。接客数に応じて料金が発生する従量制課金制となっている。ユニークユーザー(UU)10万人以上の場合は定額のエンタープライズプランも用意する。ネットショップ作成サービスのカラーミーショップなどはワンクリックで導入ができるなど、外部サービスとの連携も積極的に進めている。

導入企業はアパレル・コスメ・家電といった各種ECサイトをはじめ、ホテルや人材紹介、不動産、英会話などに拡大。処理するページビューは月間10億以上。また累計UUは2億人以上で、一般公開した2015年3月以降、前月比40%増の成長を続けているという。「想像以上に著名なECサイトに使って頂けている。ECサイトは結局これまで来訪者がちゃんと見えないままサービスを提供してきた。ユーザーの行動や心理状況までをリアルタイムで見られるツールはほかにないと思っている」(プレイド代表取締役社長の倉橋健太氏)

 

その具体的な実績はというと——例えばアパレルECのベイクルーズでは、購入金額の合計が一定額を超えるとノベルティをプレゼントするキャンペーンを実施していたのだそう。その際、カート内の商品の合計金額が下回る場合にのみ「あと少しの金額を購入すれば貴重なノベルティがもらえる」という旨のバナーを表示した。これによって昨年比でキャンペーンの売上が69%も増加するという結果が出たそうだ。

ベイクルーズの事例

ベイクルーズの事例

 

またコスメECのコスメ・コムでは、共通の特徴を持った商品に興味を持った来訪者に対して、より詳細な情報をまとめた比較コンテンツに誘導して情報提供(接客)を行ったという。その結果、接客を実行した来訪者は接客されていない来訪者と比較して、購入率がPCで約6%、スマートフォンで約25%向上したという。

プレイドでは、今回調達した資金をもとに、エンジニアを中心とした人員を強化。サポート体制についても拡充する。「サービスの稼働率を上げるためにはサーポートとコンサルの両方が大事。顧客の分からないことを解決するだけでなく、次はさらに何ができるかを知ってもらうためのチームを強化したい」(倉橋氏)。また今夏をめどに、さらに大きな機能も提供することを検討中だという。さらに今後はグローバル展開を見据えた準備も進めるとしている。

投稿者:

TechCrunch Japan

TechCrunchは2005年にシリコンバレーでスタートし、スタートアップ企業の紹介やインターネットの新しいプロダクトのレビュー、そして業界の重要なニュースを扱うテクノロジーメディアとして成長してきました。現在、米国を始め、欧州、アジア地域のテクノロジー業界の話題をカバーしています。そして、米国では2010年9月に世界的なオンラインメディア企業のAOLの傘下となりその運営が続けられています。 日本では2006年6月から翻訳版となるTechCrunch Japanが産声を上げてスタートしています。その後、日本でのオリジナル記事の投稿やイベントなどを開催しています。なお、TechCrunch Japanも2011年4月1日より米国と同様に米AOLの日本法人AOLオンライン・ジャパンにより運営されています。