QUICKと言えば、日本経済新聞グループで金融・経済向けツールやレポートを提供する、1971年設立の言ってみれば“おカタい”会社。そんな同社が、美少女ゲームアプリを出したというのだから驚きだ。
同社は12月21日より、iOS向けにゲームアプリ「IRroid(アイアールロイド) 恋の有効フロンティア」の提供を開始した。App Storeから無料でダウンロードできる(アイテム課金あり)。来春にはAndroid版のアプリも提供する予定だ。
このゲームでは、NTTやキリンホールディングス、旭硝子、帝人、コロプラなど、約30社の応援キャラクター(各社とも擬人化され、美少女イラストとなっている)が登場。ユーザーは「カブ主」となって、お気に入りのキャラクター5人をポートフォリオ(カードゲームで言うところのデッキだ)に自分の資産(実際のお金ではなく、ゲーム内通貨だ)を配分して投資を行う。
株価はリアルな株価データと連動している。ユーザーは投資で資産を増やしつつ、そこで得た通貨でアイテムを購入してIRroidたちにプレゼントを贈るなどしてコミュニケーションをとり、親密度を高めていく。キャラとの親密度が高くなれば、キャラごとのストーリーが閲覧できるほか、株価が上がった際などにボーナスがあるという。
プレスリリースには記載がなかったが、アプリを立ち上げると開発元としてユビキタスエンターテインメントのロゴが表示された。正直なところ最初は提供元と美少女キャラのギャップに戸惑ったのだけれど、本気のゲームアプリとして仕上がっている。
このアプリ、そしてアプリのベースとなる「IRroid」の世界観を作っているのは、「チャンス部」と呼ばれる選任5人、兼任2人で組織されたQUICK若手社員集団とのこと。
同部署の部長である大河内善宏氏に聞いたのだが、IRroidは(1)若年層に企業への関心を高めファンにする(投資家層の拡大)、(2)金融リテラシーの向上と“投資”の社会イメージの改善(証券全体のリブランディング)、(3)証券金融市場の活性化と投資教育(投資・企業情報の啓蒙活動)ーーという3つのミッションを掲げた本気(と多分担当者の趣味と)のプロジェクトなのだという。
プロジェクトは3か年の中期計画のもと進行しており、2014年8月にまず、IRroidのサイトがオープン。これまでに105社の上場企業の応援キャラクターを生み出し、各社の株価データ(や4コママンガ、イラストなど)を提供してきた。
「1年目は今回のコンセプトに共感いただける企業を増やしていくことに注力をいたしました。2年目はいかにユーザーに想い入れを持っていただき、ファンを拡大するうえで、キャラクターにストーリーを加味したアプリをリリースいたしました」(大河内氏)
3年目となる2016年には、「IRroidのブランドを、証券会社、発行体の方々にライセンス提供を行い、実際に投資家を増やすお手伝いをしていきます」としており、6月にはキャラクターを起用した企業紹介ムックを出版する。さらにはテレビの経済番組、新機軸のIRイベント等も企画しているという。