Google Cloudの機械学習スタートアップコンペ、優勝3チームが決定

3月のCloud Nextカンファレンスで主催者のGoogleが、機械学習を利用するスタートアップのコンペを行うと発表した。共催者としてData CollectiveEmergence Capitalが名を連ねた。それから4か月経った今日(米国時間7/13)、350あまりの応募者の中から選ばれた10社が、Googleがサンフランシスコに設けたLaunchpad Spaceのステージで、決勝のプレゼンを競った。

決勝の賞は3つあり、Data CollectiveのDCVC賞とEmergence CapitalのEmergence賞、そしてGoogleのCloud Platformを使うスタートアップに授与されるBuilt with Google賞だ。なお、決勝出場者全員に、GCPのクレジット20万ドルが提供される。VC二社は彼らが選んだ優勝スタートアップにシード資金を提供することになっており、審査過程に最初から参加した。

このイベントは、マシンインテリジェンスのスタートアップと仲良くしておきたい、と願うGCPのマーケティングないしパブリシティの一環でもある。GoogleのクラウドはAmazonやMicrosoftに比べるとまだユーザーが少ないので、大量のデータを生成してそれらをどこかに保存しなければならないタイプのスタートアップたちと“お友だち”になることは、重要なマーケティング戦略のひとつだ。コンペに参加したファウンダーたちは、KubernetesとTensorFlowがGCPのセールスポイントだ、と指摘する。それを20万ドルぶん使えるクレジットも、悪くないよね。

それでは優勝チームを以下にご紹介しよう:

DCVC賞 – BrainSpec

BrainSpecのCEO Alex Zimmerman

50万ドルの投資

BrainSpecは医師がMRIのデータから脳の代謝産物を測定するためのプラットホームだ。代謝産物は細胞プロセスの化学的な結果で、脳の損傷やアルツハイマー病などの脳疾患を理解するための鍵、と言われている。

医師は従来、MRスペクトロスコピーと呼ばれる複雑なプロセスで組織の化学的分析を行い、脳神経疾患の指標を検出していた。BrainSpecは、Webのインタフェイスとクラウドベースの統計分析により、このテクニックを単純化する。

DCVCのパートナーMatt Ockoは同社への投資の理由として、BrainSpecが対象とする問題の市場のサイズが大きいことを挙げる。このスタートアップは、特定分野の強力な専門知識や技能をプロダクトに活かし、製品化と公的認可に向けての明確な道程を有している。

Emergence Capital賞 – LiftIgniter

LiftIgniterの協同ファウンダーAdam Spector

50万ドルの投資

TC Disrupt Battlefieldにも出場したLiftIgniterは、企業がユーザーに配布するコンテンツを個人化する。AmazonやSpotifyなどの大手は独自の高度なリコメンデーションシステムでユーザーの関心を喚起しているが、そのほかの多くの企業は、そこまで行っていない。

YouTubeの、機械学習によるリコメンデーションシステムを作ったことのある同社のチームは、そんなサービスをAPIで提供する。同社によると、その個人化リコメンはA/Bテストで負けたことがなく、180万のARRと22%の前月比成長率を達成している。

このチームはBuilt with Google賞で二位になったので、GCPのクレジットを50万ドル獲得している。

Built with Google賞 – PicnicHealth

PicnicHealthのCEO Noga Leviner

100万ドルのGCPクレジット

PicnicHealthは、同社の集中管理型デジタル医療記録システムに機械学習を適用して、製薬企業や研究集団向けに分析データを提供する。

データの取り出しはそれにより自動化されるが、その匿名記録に人間ナースのチームが注釈をつけていく。この種の分析データは、とくに製薬企業が重視するので、同社は有料ユーザーの中心層と考えている。

患者はこのプラットホームの消費者ユーザーとして、自分のデータをコントロールでき、また自分のケアプロバイダーを入力する。それから先は、記録の収集、分析、リリースをPicnicが自動的に行う。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

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TechCrunch Japan

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