赤ちゃん写真をFacebook等、多くの人が閲覧するソーシャルネットワークに投稿するのは、どうやら嫌われてしまう要因になるようだ。そういう風潮の中、より限定的に、親密な人とのみ交流するというタイプのソーシャルネットワークに興味が集まっている。ロンドンで開発された23snapsも、そのひとつだ。いろいろなプラットフォームに対応したモバイルアプリケーションで、利用シーンとして想定しているのは「家族内」だ。自己資金による運営を行っているところだが、先週末段階で50万人ほどの利用者を集めている。
パパやママが子供たちの写真をせっせと投稿し、その写真を見て、そしてコメントして楽しむ家族たちという利用者構成だ。
23snapsのコンセプトには、何ら特筆すべき新しさはない。共有範囲を非常に限定的にした、簡易版Facebookといった具合だ。しかしスタートから1年半(当初はiOS版のみを提供していた)での成長度合いを見ると、Facebookが支配する中にも、特徴を持った類似サービスが生きていくスペースが残されているのだと言えそうだ。
これはモバイル向けのメッセージング・アプリケーションを巡る状況を見てもわかることかもしれない。非常に多くのサービスが提供されているが、それぞれ数百万、数千万、あるいは億ベースの利用者を獲得しているのだ。もちろん、家族向けのソーシャルネットワークというのは、一般のメッセージング・アプリケーションに比べれば市場規模ははるかに小さいものだ。たとえば、Y Combinatorが出資していたOrigamiは、最近eFamilyによって買収されたが、この時点での利用者は、他のサービスを買収して得た利用者を含めても、4万名を数えるに過ぎなかった。それでもニッチで生き残るだけのスペースは残されているようでもあるのだ。
23snapsの共同ファウンダーであるIvailo Jordanovによると、利用者の60%ほどは週末になるとサービスを利用する(アクティブユーザー層)という具合であるらしい。サービスとしては今後、印刷物の提供メニューを充実させたい考えなのだそうだ(春からフォトブックの販売を開始している)。「どういったプロダクトが望まれているのか調査しつつ、いろいろと試してみようと思っているところなのです。まだまだこの面では試行錯誤を始めたばかりです」とのこと。さらに「但し、現時点でも1年の推定売上額は8万ドルとなっています」という状況らしい。この額はホリデー期間を経てさらに上がるかもしれないとのこと。現時点における平均的なオーダー額は32ドル74セントということになっているそうだ。
現在のところは写真印刷(4″x4″および4″x6″)とフォトブック(マットカバーで8″x8″)で、写真プリントはアメリカおよびイギリスからのみ注文可能となっている。フォトブックの方は全世界に発送できるそうだ。また、少々高めのプロダクトではあるが、デジタルフォトフレーム(189ドル)なども提供を開始している。このデジタルフォトフレームを使うと、Wi-Fi経由で23snapsのアカウントと連携し、写真フィードが自動的に表示されるようになる。今後も、写真関連および、さらに加えてビデオ関連プロダクトもリリースしていきたいとのこと。
Jordanov曰く、マルチプラットフォーム対応としたのが、非常に大きな転換点であったと考えているのだそうだ。「家族を対象とするような、プライベートで小規模なソーシャルネットワークを提供するにあたって、構成員の誰かが使えないようなものであれば、きっと使いたくないと思われてしまうと思うのです」と説明する。「それがわかっていたのでiOSに加えてAndroid、Windows 8、そしてウェブ版も提供するようにしたのです。アプリケーションを操作するというようなこともあまりできない人のことを考えて、メールでデータを受信することもできるようにしました。またデジタルフォトフレームも、実はそうしたテック系デバイスの操作に弱い人を対象としたものです。コンピュータを使わずとも、写真を楽しんでもらえるようにしたかったのです」とのことだ。
昨今は、メッセージング用のみではなく、「家族向け」にさまざまなサービスが出てきている。たとえば23snapsの競合にはeFamily、Tweekaboo、Notabli、Kidfolio、JustFamily、Care.comのKaroo、Hubble、SquareHubなど、多数のサービスの名前を挙げることができる。小規模ソーシャルネットワークは今後とも成長していくのかどうか。注目を要する分野だといえよう。
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(翻訳:Maeda, H)