米国時間9月3日にFacebook Messengerは誤情報の拡散を防ぐためにメッセージの転送に関する新しいルールを発表した(Engadget US記事)。米国時間9月15日のTechCrunch Disrupt 2020でFacebook(フェイスブック)のMessenger担当副社長であるStan Chudnovsky(スタン・チュドノフスキー)氏は、Messengerプラットフォーム上での誤情報や有害コンテンツの拡散との闘いにおけるフェイスブックの役割、そしてMessengerはプライベートなプラットフォームであるべきで秘密のメッセージは暗号化されるが、このことと誤情報の拡散防止のバランスをどう考えているかを詳しく語った。
チュドノフスキー氏は、フェイスブックは友達や家族とリビングでプライベーな会話をしているかのように感じることを目指していると説明した。しかし同社は、デジタルツールや新しいメディアの台頭に伴いこうしたツールが悪用されるおそれが出てきていることをフェイスブックが認識する必要があるとも認めている。
「Messengerがプライベートなコミュニケーション手段であることは明らかだ。そして確実にプライベートなものにしたいと思っている。これは我々にとってきわめて優先順位が高いことだ」とチュドノフスキー氏は語り始めた。しかしユーザーが大量にメッセージを転送し始めると、Messengerはもはやプライベートな会話ではなくなる。1対多の情報共有ツールになるのだと同氏は説明する。
「そうなれば、公共放送のようになっていく」と同氏は言う。
フェイスブックは2019年にまずスリランカのMessengerユーザーに対しメッセージの転送に「抵抗感を持たせる」と発表(未訳記事)し、ユーザーはメッセージを一定回数しか共有できなくなった。その時点で、人またはグループを対象に転送は5回までと制限された。今はそのルールをMessengerプラットフォーム全体に拡大(Facebookリリース)し、人またはグループを対象に転送は5回までと制限している。
この新しい制限はスパム行為を止めるためだとチュドノフスキー氏は続ける。「特定の情報を何度も転送することはできない。このことは、特に現在の状況においては、誤情報の拡散を止めるのに本当に役立つと我々は考えている」。
さらに同氏は、Messengerはフェイスブックとつながっているため、フェイスブックに協力しているファクトチェッカーによって誤情報にフラグが立てられると、フェイスブックと同じように情報が不正確であるという警告をMessengerの会話に挿入することができ、ミスリーディング、あるいは有害なコンテンツを送信したユーザーに注意を与えると強調した。
「これはプライバシーの侵害にはまったくあたらない。すべて同じ大きなパイプラインを通るからだ」と同氏は指摘する。
ファクトチェックのプログラムについて詳しく説明しているフェイスブックのウェブサイトにはMessengerについての言及はなく、フェイスブックとInstagramにのみ言及されている。
リンクの共有を完全に止めることは検討しないとチュドノフスキー氏は述べた。
リンクの共有と転送について同氏は「これはインターネットの中核をなすものだと私は思う」と語る。「インターネットで情報交換をする機能(を完全に禁止すること)は、インターネット自体の目的を否定してしまう」。
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(翻訳:Kaori Koyama)