【調査データと考察】一切クリックされない検索は全体の49%。今後は少数の圧倒的勝者にトラフィックが集中する

Googleが、検索結果で表示される情報をよりリッチにしていく傾向が続いていますが、「自社サイトへのクリックが奪われてしまう」といったWebマスター側の懸念はよく聞きます。

先日、若者を中心としたユーザー行動の調査結果の記事を紹介させていただきましたが、今回は検索全体の調査記事となります。SEO JapanではおなじみのSearch Engine Landから、Jumpshot社が行った調査データをもとに、ランド・フィッシュキン氏が見解を述べている記事を紹介いたします。

SEO担当者としても非常に気になるトピックですが、その調査結果は、いかに。

Jumpshot社による調査によると、Googleの検索エンジンを利用した検索行動全体において、そのうちの49%は自然検索結果をクリックせずに検索行動を終えるものである。

しかし、自然検索結果へのクリック数は、広告へのクリック数の12倍に昇る。

部門にもよると思うが、3年前と比べ、今日のマーケターはおそらく複数のポジションを任せられていることだろう

これは、SparkToroの創立者であり、Googleのクリック率の調査についての記事を執筆したランド・フィッシュキン氏がSearch Engine Landに語ってくれた言葉だ。

マーケティング調査会社のJumpshot社から提供されたデータによれば、Google検索でクリックが発生しないケースは、ここ3年間で上昇傾向にあるとのことだ。

Jumpshotが計測しているデータを分析した結果、2019年の第一四半期では、米国のGoogleで行われた検索のうち、48.96%がクリックされなかったという。この数字からは、2016年の第一四半期と比較し、12%も増加していることが読み取れる。

また、2019年の第一四半期で行われたGoogle検索のうち、41.45%がGoogle以外のWebサイトへのリンクをクリックしており、5.9%がGoogleの所有するWebサイトへのリンクをクリックしている。クリックをしたユーザーのみに絞り込むと、12%がGoogleの所有するWebサイトへのリンクをクリックしている。

「旅行、ホテル、フライト、歌詞など、あなたがGoogleが参入を決意した市場にいる場合、検索市場の覇者であるGoogle企業は市場における競合相手となり、多くの機会を奪っていくだろう」。これは、前述のランド・フィッシュキン氏がニューヨークで行われたSMX Eastのキーノートで語った言葉である。

Googleで検索をした後、ユーザーはどこをクリックするのか(2019年第一四半期)

  • 黒:クリックが発生しない検索・・・48.96%
  • 青:Google以外のサイトへの自然検索結果のクリック・・・41.45%
  • 紺:Google以外のサイトへの広告のクリック・・・3.58%
  • ピンク:Googleのサイトへの自然検索結果のクリック・・・5.90%
  • その他:Googleのサイトへの広告のクリック・・・0.11%
  • データソース:JumpshotとSparkToro

(データ情報:10億回の検索、1,000万のモバイルとデスクトップのデバイス)

自然検索結果のクリックへの侵食

Jumpshot社の算出によると、2019年の第一四半期では、615億回のクリック(自然検索、かつ、ブラウザベース)が発生している。同社が算出した、2016年の第一四半期のクリック数は756億回であったため、20%近い減少となっている。

Googleの自然検索からのトラフィックの機会(2016年~2019年)

  • 赤:自然検索結果のGoogle以外のサイトへのクリック(モバイル)
  • 青:自然検索結果のGoogle以外のサイトへのクリック(デスクトップ)
  • データソース:JumpshotとSparkToro

(データ情報:1,000億回の検索、1,000万人のモバイルとデスクトップのデバイス)

自然検索結果へのCTRは減少し、広告へのCTRは上昇している

自然検索結果へのCTRは13%減少し、47.4%となっている。しかし、広告へのCTRは75%上昇し、3.69%となっている。

デスクトップよりもモバイル検索の方が状況は厳しい

クリックが発生しない検索と広告のクリックの増加はモバイルにおいて顕著だ。

また、上記のグラフで示されているとおり、検索トラフィックの獲得機会も、デスクトップと比べ、モバイルのクリック数の減少が大きくなっている。全体の検索はモバイルの方が多いため、ブランドにとっての影響は大きい。

フィッシュキン氏は、この状況の一部を「Googleの検索結果画面の積極的な機能強化と(強調スニペットによる)インスタントアンサーによるもの」と考えている。広告も、モバイルの画面では、スマートフォンのファーストビューの大部分を占めている。

参考:調査の概要

この記事で使用された図は、アメリカ国内で、1,000万のデスクトップとAndroidのデバイス環境で行われた、10億以上のブラウザ検索のデータを元に作成されている。

「iOSデバイス」「Google検索アプリ」「音声検索のみのデバイス」「モバイルアプリへランディングする」などの検索は含まれていない。

少数の圧倒的勝者に富と検索が集中する

クリックが発生しない検索は、ユーザーが求める情報が、検索結果画面で表示される場合に起こる

これは、Googleが様々な強調スニペットを提供することで実現される。

SEO InhouseのCEO、そして、Search Engine Landのエディターでもあるジェシカ・バーマン女史は、SMX Advancedのキーノートにて、「Googleは検索エンジンとしての側面を弱め、ポータルとしての側面を強化している」という考えを披露している。また、検索結果画面の変更に対し、企業が準備すべきことも提言している。

「”強調スニペットの高機能化”と”クリックが発生しない検索の増加”というトレンドは、より資金のあるブランドにとって有利な状況になるのか?」という問いに対し、フィッシュキン氏は、「そうかもしれない。しかし、国内のビジネスを取り巻く環境を反映しているともいえる」と返答している。

比較的小規模なブランドも強調スニペットやリッチリザルトに採用される場合もあるが、(資本力のある企業が有利になるという)あなたの分析は概ね正しい。

Google検索からのトラフィックは、さらに少数の巨大な勝者へと流れるだろう。

公平に言うと、このトレンドは、アメリカの経済の全般のトレンドとも言える。富の集中と検索の集中は相関している。

また、どちらももたない弱者は、よりGoogleを批判する傾向にある。

なぜ、我々は検索結果上のクリック数の減少を気に掛ける必要があるのか?

検索の半分が検索結果に表示されるリンクをクリックせず、その内の12%がアルファベット社(Googleの持株会社)の保有する資産へと導かれる状況において、自然検索における窮地と考えるマーケターもいるだろう。特に、旅行予約やフード・デリバリーなど、Googleと競合する業界においては。

しかし、Googleが検索結果上で自社サービスを展開していることを楽観的に見るべき理由も存在する。

「Googleと直接競合していない分野と比べると、クリックされる機会は少ないかもしれないが、競合している分野よりも検索者は多く存在するだろう」と、フィッシュキン氏は指摘する。

また、強調スニペットへの最適化や構造化データの実装などは、Web上の発見性(見つけやすさ)と検索者の行動に対する、効果的な施策となりうる。

Googleのビジネスモデルについては司法省も関心があり、厳しい監視下におかれている。この流れを断ち切るポジションにいるマーケターも存在するだろう。

「多くの報道の関心を引き寄せ、政府機関がGoogleを注視している状態ではあるが、マーケターとパブリッシャー(発信者)がGoogleの行動に影響を及ぼす機会はあるだろう」と、フィッシュキン氏は述べている。

こうしたマーケターによる貢献が、検索業界の覇者(Google)が”公平で、開かれており、健全な競争が保持される環境”を作る手助けとなればいいと考えている。

この記事は、Search Engine landに掲載された「49% of all Google searches are no-click, study finds」を翻訳した内容です。

米国のユーザーが対象、また、iOSデバイスが含まれていないなどの条件はありますが、検索ユーザーの行動を推し量る上では有用な調査であったと思います。

Googleの検索結果の変更は賛否両論あると思いますが、検索ユーザーの行動の変化は事実として受け止めるべきでしょう。

「重要なキーワードの順位を死守する」だけでなく、「複数キーワードでの上位表示獲得」や「コンバージョン増加のための施策」など、SEO戦略自体を拡大させていきたいと、改めて思える記事でした。

Wayback Machineに新機能「Changes」が追加。コンテンツの追加と削除の差分が比較可能に

Wayback Machineは、任意のURLにおける過去のWebページを閲覧できるツールです。

今回、Wayback Machineに過去のコンテンツの変更を比較・分析できる新機能「Changes」が追加されました。これはSEOやサイト改善を行うWeb担当者にとって、有用な機能となりそうです。

新機能「Changes」、その概要をご紹介します。

Wayback Machineの新機能「Changes」では、同じURLを異なる日付で比較し、変更・追加、または削除されたコンテンツを確認できる

Wayback Machineは、特定のURLにおけるコンテンツの変更履歴を、ユーザーが識別しやすくするために設計された「Changes」という名前の新しい機能のベータ版を追加した。「Changes」はコンテンツの追加と削除を黄色と青色で強調表示する。

「Changes」の使い方

Wayback Machineにアクセスして、特定のURLを入力した後、Enterを押す。

SEO Japanの例

次に、URLボックスの下にある「Changes」ボタンをクリックすると、カレンダービューがロードされる。そこで、Wayback Machineが撮った2つのスクリーンショットを比較することができる。

(SEO Japanの例。黄色が削除、青色が追加を示す。記事が更新されて過去の記事が2ページ目以降に行くと、削除された扱いとなるようです。)

インターフェイス

以下は、比較したい2つのスクリーンショットを選択した時のインターフェイスの画像である。

※黄色が「コンテンツの削除」、青が「コンテンツの追加」。緑になっている箇所は、コンテンツの削除と追加が同時に行われたことを示している。

現在、Changesはベータ版である

現在、「Changes」はベータ版であり、十分な機能があるとはいえない。

コンテンツの削除は黄色で強調表示され、コンテンツの追加は青色で強調表示される。

なお、現段階で、このツールは正しく機能していないため、正確性や安定性に欠けることがある。

Changesはどのような用途に有用か

「Changes」は、SEO担当者が以下のような目的で使用する上で、優れたツールである。

  • 新規ドメインの調査
  • 新規クライアントのサイト履歴の分析
  • リンク分析
  • コンテンツ分析

サイラス・シェパードは自身のTwitterで以下のように述べた。

もし、サイト変更を診断・追跡するためにWayback Machineを使用したことがあるのであれば、あなたにとって、Changesの追加は素晴らしいアップグレードになるだろう

この記事は、Search Engine Landに掲載された「Wayback Machine adds ‘changes’ feature」を翻訳した内容です。

Wayback Machineの新機能「Changes」の概要をご紹介しました。

コンテンツの追加や削除を視覚的に確認できるのは、とてもありがたいですね。Changesはまだベータ版とのことですが、今後より使いやすくなっていくことでしょう。

サイト改善において、「自社やクライアントのサイトがどのように変更されてきたのか」を把握することは非常に重要です。ぜひサイト改善に役立ててみてはいかがでしょうか。

【ビギナー向け】サイト内検索のデータからユーザーニーズを発見し、サイト改善に活用しよう

Webサイトの改善策として重要な、しかし、忘れられがちな「サイト内検索」。

今回の記事は、この「サイト内検索」の重要性を解説した記事となります。「サイト内検索」が頻繁に利用されるサイトとあまり利用されないサイトがあるとは思いますが、しっかりと分析をすれば、意外な改善点が浮かび上がることもあります。

改善点の手がかりとなりうる「サイト内検索」。その活用法を振り返ってみましょう。

Webサイトへの訪問客は、改善につながる多くのデータを残してくれている。こうしたデータをコンテンツ改善の計画に役立てよう。

多くのマーケターが活用しきれていないが、最も基本的で価値のあるデジタルマーケティングツールが一つある。サイト内検索だ。

あなたのサイト内でユーザーが検索している情報から学ぶべき内容は多い。マーケターはこのデータを分析し、ユーザー体験の改善やより多くのリード、顧客、売上の獲得に活かすべきである。

サイト内検索とは?

サイト内検索は、特定のキーワードやフレーズを入力することで、ユーザーがWebサイト内で探している情報を提供する機能である。

サイト内検索を利用することで、ユーザーは目的の情報に直接アクセスすることができ、サイト内のナビゲーションを使用するよりも早く到達できることもあるだろう。

Google Analyticsのレポート

Google Analyticsは「行動」内で「サイト内検索」のレポートを提供している。このデータを見ることで、Webマスターとマーケターは、自身のサイトのコンテンツをユーザーがどのようにして探しているかを理解することができる。

「サイト内検索」のレポートは、ユーザーについての非常に価値ある情報を提供している。下記に抜粋してみよう。

  • ユーザーがWebサイト上のコンテンツを探す際に使用したキーワード
  • ユーザーが検索を開始したページ
  • 検索した後、ユーザーがアクセスした目的のページ
  • 検索した後のユーザーの滞在時間
  • 検索をした後、サイトを離脱したユーザーの割合

下記は「サイト内検索キーワード」のGoogle Analyticsのレポートの例である。
※元記事では「サイト内検索のカテゴリ」のレポートと記載されていますが、画像から「サイト内検索キーワード」のレポートと判断しました。

また、下記は、「検索ページ」のレポートの一例である。

サイト内検索のレポートへのアクセス方法

自身のWebサイトでユーザーがどのようにして検索しているかを見るためには、Google Analyticsのビューの設定で、「サイト内検索」をオンにする必要がある。

備考:URLに検索カテゴリのクエリの文字列が含まれている場合、サイト内検索のカテゴリもオンにする必要がある。

サイト内検索のデータを活用する最適な方法

トップページのコンテンツを最適化する

トップページはユーザーのニーズに沿って設計されるべきである。サイト内検索で最も頻繁に使用されているキーワードを確認しよう。

現状のトップページは、「そのキーワードに関連するコンテンツが含まれているか」、また、「サイト内検索で使用されたキーワードがコンテンツ内でも使用されているか」という点を確認しよう。

トップページにてユーザーが探している情報を提供することで、自然検索結果の順位改善や、トラフィックや見込み客の増加などが期待できるだろう。

サイト内検索のデータを確認した結果、多くのユーザーが特定の商品やサービスを探していることがわかった場合、トップページからこの商品やサービスについての情報に簡単にアクセスできるようにしよう。

トップページのスライダー、コンテンツのウィジット、該当ページへのリンクのデザインなどが改善の対象となるかもしれない。

追加コンテンツの必要性を特定する

サイト内検索のデータを確認することで、ユーザーにとって重要となるトピックを特定することができるだろう。

サイト内検索のデータをもとにWebサイトを改善したり、ターゲットユーザーが必要としている情報をコンテンツに追加したりするなどの計画を立てることができる。

サイト内検索のデータを利用することで、ユーザーのニーズとコンテンツのギャップを特定することができ、ユーザーが最も関心のあるトピックをコンテンツに追加することができる。

例えば、Webサイトには商品に関連する情報は豊富にあるが、ユーザーが求めているのはサポートやサービスについての情報、といったことも起こりうる。

サイト内検索はユーザーについての直接的で、アクショナブルなデータを提供してくれる。このデータをもとに、Webサイトの改善についての優先度を決定したり、サポートやサービスについての追加情報の作成を判断したりすることが可能だ。

Webサイトのナビゲーションを改善する

ナビゲーションはユーザーが目的の情報に簡単にたどり着くことができよう、設計すべきだ。ユーザーが際限なくサイト内検索を使用するといった状況を作るべきではない。

サイト内検索は、「最も検索された」という観点で、貴重なデータを提供してくれる。ナビゲーションの選択肢から、ユーザーが求めるコンテンツを発見でき、アクセスできるようにしよう。

頻繁に検索されるコンテンツは、サイト内の奥深くに設置すべきではない。目的のページにたどり着く前に、ユーザーに対し多くの経路を通過し、複数のクリックを強いることになってしまうからだ。上記の例では、「サービスとサポートのページは、メインのナビゲーション内に含めるべき」と判断できる。

サイト内検索の結果ページを改善する

サイト内検索のデータを分析した結果、多くのユーザーがサイト内検索を使用した後、サイトから離脱してしまっていることがわかったとしよう。その場合、サイト内検索の結果ページを改善すべきかもしれない。

まずは、最も頻繁に検索されるトピックやキーワードの検索結果画面から確認すべきだ。

  • 関連性のあるページを返しているか
  • 検索結果ページのナビゲーションは見やすいか
  • 複数のデバイスやブラウザで適切に表示されているか

こうした条件を満たしていないのであれば、下記の項目を確認してみよう。

  • ユーザーが検索する情報に基づいて、サイト内のコンテンツの配置を見直す
  • コンテンツを最適化し、頻繁に検索されるキーワードが含まれているようにする
  • 適切な結果を返すように、サイト内検索のアルゴリズムを深く理解する

目的のページの選択と改善

Google Analuyticsのレポートのプライマリディメンションにて、「検索のリンク先ページ」を選択できる。「検索のリンク先ページ」とは、ユーザーがサイト内検索を行なったのち、直接アクセスしたページのことである。

「検索のリンク先ページ」を読み、そのページはユーザーが探している内容を提供しているコンテンツであるかを確認しよう。

コールトゥアクション(CTA)に関連するように目的のページを改善すれば、ユーザーは次のアクションを起こしやすくなり、必要な情報を得て、あなたへの問い合わせを行うかもしれない。

サイト内検索のデータを分析する方法

Webマスター(Web担当者)とマーケティング担当者は、サイト内検索のデータをカスタマイズすべきだ。下記のような指標を設定し、カスタムレポートを作成できる。

  • メディア:ユーザーが訪問した際の流入元
  • ランディングページ:ユーザーがランディングしたページ
  • 開始ページ:ユーザーが検索を開始したページ
  • 検索キーワード:ユーザーが入力した検索キーワード
  • 検索のリンク先ページ:ユーザーがサイト内検索を行った後、訪れたページ
  • 検索回数の合計:該当のキーワードで検索されたユニークな数

このカスタムレポートはサイト内検索のファネルとして活用でき、サイト内検索を使用したユーザーのサイト内の遷移を明らかにする。サイト内検索のユーザージャーニーの一例を記載しよう。

サイト内検索を通じて、ユーザーは非常に重要なデータをWebサイトに提供してくれる。

ユーザーニーズの把握、Webサイトの全般的な改善、見込み客への必要なデータの提供、コンテンツ作成のプランなどに、サイト内検索のデータを活用しよう。

サイト内検索という、あなたが手にすることができる、最も基本的で価値のあるツールの一つを忘れてはならない。

この記事は、Search Engine landに掲載された「Back to basics: How to capitalize on site search insights」を翻訳した内容です。

サイト内検索の機能を充実させることはもちろん、実際にユーザーが残してくれたデータを元に、サイトの設計やコンテンツの見直しをすることも重要です。

ユーザーへのアンケートやA/Bテストも必要ですが、サイト内検索のデータも決して無視することはできません。

Webサイトの改善策として、サイト内検索のデータを活用できていない方は、これを機にデータを確認してみてはいかがでしょうか。

メールマガジン購読のご案内

SEO Japanでは、SEOやCRO(コンバージョン率最適化)を中心としたメールマガジンを週に一度、木曜日に配信しています。

担当者のコラム(読み物)や、質の高い記事をピックアップして配信していますので、ぜひご購読ください。

SEO Japanのメールマガジンを購読する

なお、noteにてバックナンバーも公開していますので、ぜひ試し読みしていただければと思います。

SEO Japan|note

ユーザーの検索意図を分析し、Webサイトを最適化する3つのアクション

SEOにおいて、ユーザーの検索意図(インテント)の理解が重要であることは、もはや常識と言っても過言ではないでしょう。

しかし、その性質上、概念的な話に終止することも多く、具体的な施策に落とし込むまでのハードルは高くなっています(もちろん、キーワードやサイトのジャンルによって可変するため難しい部分はあるのですが・・・)。

今回の記事は、ユーザーの検索意図を扱った記事となりますが、比較的豊富な具体例を提示してくれています。SEO施策の良いヒントになれば幸いです。

※今回の記事は、10,000文字超と長くなっておりますので、お時間のある時にお読みいただければと思います。

検索者はどんな答えを求めているのか?

安定的で価値のある検索トラフィックを得るために、あなたはより適した答えを提供しなければならない。

ユーザーの検索意図を満たすことは、Googleの根本的な目的である。

しかし、アルゴリズムが常にユーザーの検索意図を満たせているわけではない。バックリンク(被リンク)やキーワードのような要素は、「そのWebページがユーザーの検索意図を満たしているか」についての指標とされてきた。

Googleにとっても、あなたのサイトにとっても、ユーザーの検索意図への最適化は長期の課題である。検索、そして、クリック後のユーザー行動において、ユーザーの検索意図に合致したページは、検索エンジンのみに最適化されたページよりも、高いパフォーマンスを得るだろう。

文中に特定のキーワード群を使用することや、キーワードに合致したアンカーテキストの使用などではなく、「ユーザーを幸せにすること」への注力がSEOの戦略となる。

この「ユーザーを幸せにすること」を具体的なアクションに落とし込むためには、下記の3つを知る必要がある。

  • Google(検索エンジン)はどのようにしてユーザーの検索意図を定義しているのか
  • 検索意図に対して、ターゲットキーワードをどのように評価すべきか
  • ユーザーの検索意図のデータに対し、何を行うべきか

1.Google(検索エンジン)はどのようにしてユーザーの検索意図を定義しているのか

Googleにとって、ユーザーの検索意図を理解することは、有益な検索結果を作成するための鍵となる。また、検索市場での優位性の維持と成長、さらにはより多くのユーザーに広告を見てもらうことにもつながる。

ユーザーの検索意図は、クエリ(キーワード)によって、3つのパターンに分けられる。

  • 情報型(Informational)
    何かを学ぶためのキーワード(例:マラソンの練習方法)
  • 取引型(Transactional)
    何かを購入するためのキーワード(例:マラソンシューズ オンライン 注文)
  • 案内型(Navigational)
    特定のWebサイトに行くためのキーワード(例:ランナーズワールドトレーニングプラン)

過去の研究では、80%のクエリが情報型クエリであり、別の取引型・案内型のクエリは10%づつと見積もられていた。

Googleの最新の品質評価ガイドラインでは、検索意図は4つに分けられている。

  • 知りたい(Know)
    「Knowクエリの検索意図は、特定のトピックについての情報を発見することである。ユーザーは何かについて、より多くを知りたがっている。」
  • したい(Do)
    「Doクエリの検索意図は、目標を達成すること、または、電話での何らかのアクティビティを行うことである。目標やアクティビティとは、ダウンロード、購入、獲得、エンターテイメント、Webサイトへやアプリへの関わり、などが挙げられる」
  • 特定のウェブサイト(Website)
    「Websiteクエリの検索意図は、ユーザーが求める特定のWebサイトやWebページへ到達することである。」
  • ヴィジット イン パーソン(Visit-in-person)
    「近くの情報や結果を尋ねるクエリもある(例:ビジネス、組織、その他「近くの」に関連する場所)」

Knowクエリの例をGoogleのガイドラインから抜粋。これらの情報型クエリが検索の多くを占めている(ソース

ガイドラインでは、2つのサブタイプも定義している。

  • シンプルなKnowクエリ(Know Simple)
    「シンプルなKnowクエリは、事実や図表など、特定の答えを求めているクエリです。答えとなる情報は正確で完結しており、比較的狭い領域(つまりはスマートフォンの画面サイズ)で表示されることが可能です。概して、多くの人が正確であると賛同する答えであり、1つか2つのセンテンスや短いリストで表せるものであれば、それらはシンプルなKnowクエリと呼ぶことができます。」
  • デバイスアクション(Device Action)
    「デバイスアクションのクエリは、特別な種類のDoクエリです。ユーザーはスマートフォンに対して、なんらかのアクションを要求します。デバイスアクションのクエリで検索するユーザーは、車中など、ハンズフリーでスマートフォンを操作する可能性があります。デバイスアクションのクエリは、明らかな行動を含むワードであり、検索意図も明確です。」

多くのキーワードは上記のいずれかに分類されるが、そうではないキーワードもある。

ユーザーの検索意図が曖昧な場合はどうなるか

Googleは時間を経るにつれ、検索意図が特に不明瞭なクエリにおいて、ユーザーの検索意図を解析する技術を高めてきた。(2013年のハミングアップデートは、Googleによるユーザーの検索意図の理解の大きな改善として、しばしば引用される。)

ビル・スラゥスキ氏は検索意図が曖昧なクエリの明確な例を挙げている。

仮に、誰かが「ニューヨーク ピザ サニーベール」というキーワードをGoogle、Yahoo、Bingの検索ボックスに入力した場合、その意図を明らかにすることは非常に困難である。

1.サニーベールという場所に近い、ニューヨークにあるピザ屋。
2.サニーベールと呼ばれる場所にある、ニューヨークスタイルのピザ屋。
3.サニーベールにある、ニューヨークピザという場所(お店)。
4.その他。

ケビン・インディグ氏は、「長いクエリほど検索意図は曖昧ではなくなる」としている。

音声検索の場合、曖昧さは無くなる傾向がある。なぜなら、音声検索は、通常のテキストでの検索よりも、長いクエリとなる傾向があるからだ。

また、セールス(購入)に近づくにつれ、クエリは長くなり、不明瞭ではなくなる傾向もある。始めは、「コーヒー グラインダー」で始まるクエリも、購入に近づくにつれ、「コニカル式 グラインダー レビュー」といったクエリで検索されるようになるのだ。

位置情報(IPアドレス)は、検索履歴や日時などと同様、検索エンジンにとって、ユーザーの検索意図を理解するための手がかりとなる。例えば、「花」などのような曖昧なクエリでも、2月14日と7月14日では、検索結果は変化するだろう。

サッカーのチャンピオンズリーグ準決勝当日では、「チャンピオンズリーグ」というクエリに対し、試合結果、トップストーリー、Twitterのカルーセルなどが検索結果に並ぶ。しかし、この検索結果が長期間続くことはないだろう。

複数の検索意図が混ざったクエリもあるため、検索意図の分類分けは「確率」と理解されるべきだろう。

サイト運営者にとっては、不明瞭さはアドバンテージとなりうる。

例えば、ジャスティン・ブリッグ氏はフォーラムやその他のユーザーによるメディアサイト(UGM)は、「いつGoogleが”良い結果”にリーチしたか」を明らかにするとしている。検索意図が不明瞭なクエリにしっかりと返答できれば、トラフィックも上昇するだろう。

ユーザーの検索意図を分類する手段は他にもある。主体的(Active)と受動的(Passive)の分類だ。

主体的な検索意図と受動的な検索意図

A.J.コーン氏によると、「主体的な検索意図は、クエリの文章によって明示的に表現されている」とのことだ。

しかし、「主体的な検索意図=そのクエリの唯一の検索意図」ではない。そして、ユーザーを満足させるためには、受動的な検索意図も満たさなければならない。

受動的な検索意図は、クエリの文章では明確に表現されていない。受動的な検索意図を特定するためには、「ユーザーは次に何を検索するか?」と何度も自問することが重要だ。

コーン氏の例によると、「自電車用 トレイル ウォールナットクリーク」というクエリでは、サイクリングに適したトレイルのリストが欲しいと明示的に表現されている(主体的な検索意図)。また、地図・トレイルのレビュー・写真など、暗に意味されているものもある(受動的な検索意図)。

「受動的な検索意図を満たすことは、ユーザーのエンゲージメントとコンバージョンに寄与する」とコーン氏は述べている。

主体的なインテントがファネルの上部に位置するとすれば、受動的な検索意図はエンゲージメントとコンバージョンに関わっている。それは、自身のブランドを構築する手段であり、ユーザーをコンバート(転換)させ、検索エンジンに頼り切った状態への勝利となる。

コーン氏によると、主体的な検索意図・受動的な検索意図については補足があるという。

私がよく見る間違いは、主体的な検索意図と受動的な検索意図を同等に扱ってしまうことだ。もしくは、クエリの内容と検索意図を適切に解釈することに注意を払っていないことだ。SEO担当者として、クエリから検索意図を読み取ることが、今まで以上に求められている。

では、キーワードから検索意図を特定するためには、何をすればよいのか。

2.検索意図に対してターゲットキーワードをどのように評価すべきか

検索意図が明確なキーワードは大量にある。

例えば、「ポータブル 電話 充電器 レビュー」といったキーワードの検索意図は明らかだ。

ファネルの下部に該当するクエリは、より多くの情報を提供する傾向があるため(また、インテントの曖昧さも少ない)、検索意図の評価はより早い段階のファネルの方が困難となる。こうした情報型クエリの検索ボリュームは概して多い。サイトやブランドの認知獲得のカギとなるはずだ。

小規模なサイトにとって、検索意図の評価は比較的容易である。手動の作業でも十分だろう。しかしながら、大規模なサイトにとっては、スケール化が課題となる。下記に、それぞれの対応策を記載する。

ユーザーの検索意図を手動で評価する方法

検索結果ページ(SERPs)を見てみよう。そこには何が表示されているだろうか。全ての検索結果が同じ検索意図を反映させているだろうか。

もしくは、潜在的な検索意図を満たすため、広範囲に対応しているだろうか。

検索結果の画面で、Googleはその手の内を明かしている。上位に位置する検索結果は、それらがユーザーに求められているという、十分な証拠となっている。

  • どのようなタイプのサイトが上位に表示されているか
    ex.個人のサイト・まとめサイト・個人ブログ・行政や大学のサイト
  • 上位表示されているページにはどのようなコンテンツが掲載されているか
    ex.長文形式のコンテンツ・端的な説明・画像・動画
  • そのページで最初に答えられている質問は何か
    ex.ヘッダーに含まれているテキスト、もしくは、含まれていないテキストは何か
    どのようなサブトピックが扱われているか、扱われていないか

「ベストレストラン リッチモンド バージニア」という検索結果では、2つのインテントを満たそうという考えが読み取れる。

  • Googleのレビューが記載されたローカルマップのリスト
    「ローカルのレストランに電話をかけたい・訪れたい」と考えているリッチモンドにいる検索者
  • 「ベスト レストラン」を掲載しているまとめサイトへの青いリンク
    「複数の選択肢を閲覧したい」と考えているあらゆる場所(リッチモンドに限らない)にいる検索者

この検索結果から読み取れることは、「自然検索結果の中で、自身のレストランのWebサイトを表示させようと考えない方が良い」ということだ。

あなたがレストランを経営しており、Webサイトを「最適化」することで、こうした検索結果で上位に表示させようというプロジェクトは、失敗に終わるだろう。

※補足:ユーザーが求めているのは「良いレストランを紹介しているサイト」であり、「特定のレストランの公式サイト」ではないため。「特定のレストランの公式サイト」はユーザーの検索意図に合致しない可能性が極めて高い。

このプロセスは非常にシンプルで直感的ではあるが、スケール化は難しい。では、数千ものページの検索意図を把握するためには、何をすればよいか。

検索意図の分析・評価作業をスケールさせる方法

AhrefsMozSEMRushなどのSEOツールでは、特定のキーワードの検索結果の特徴を測定してくれる。これらの特徴は、検索意図の把握をスケール化させる一つの方法となりうる。

すでにこうしたツールでキーワードを測定しているのであれば、結果をエクスポートし、検索結果の種類をもとに検索意図をカテゴライズできる。例えば、以下のとおりである。

  • 強調スニペットを表示している検索結果であれば、シンプルなKnowクエリである可能性が高い。
  • CPC(Cost / Click)が高い検索結果であれば、ファネルの下部に位置する、もしくは、取引型クエリである可能性が高い。
  • 広告が表示されない検索結果であれば、ファネルの上位に位置する、情報型クエリである可能性が高い。
  • マップを表示する検索結果であれば、ヴィジット イン パーソンの検索意図がある。

業界によって、それぞれの特徴が異なる検索意図を表すヒントとなるだろう。キーワードをサンプリングし、それらの複数の検索結果の特徴を抽出し、検索意図を読み取ってみる。

例えば、10,000キーワードの検索意図を分析したいのであれば、50キーワードをサンプルとして抽出し、それらの検索結果の特徴を分析する。その後、分析した検索意図を残りのキーワードに、プログラム化して割り振る。

その他としては、「検索意図別にキーワードの修飾語句をふるい分けする」という方法がある(サンプルのリストはこちら(英語))。現在はMozの一部であるSTATの調査によれば、「特定の修飾語句を含むサジェストは、検索意図の各領域に属する」ということだ。

検索意図の4カテゴリーと、対応する修飾語(ソース)

検索意図別に修飾語句をカテゴライズすることで、検索意図のふるい分けのスケール化が可能となる。

大量のキーワードリストがある場合は、N-gram toolを使用して、そのリストから共通の修飾語句を特定することができる。最も共通しているフレーズが、ふるい分けのベースとなるだろう(また、スプレッドシートで自動的にタグが付与されるようにすればよい)。

キーワードの修飾語句のカテゴライズは、特定の地域のコンテンツにレビューを載せたサイトや何百もの似た商品のあるサイトなど、大量に類似したコンテンツがあるサイトに特に有益である。

また、キーワードの修飾語句は、あなたが追跡すべきキーワードを増やす際も有益である。

つまり、検索意図を特定する目的としては、「キーワードに出会う場所を探すだけでなく、キーワードにあわせてコンテンツを拡大していくこと」が重要になる(詳細は後述する)。

Mozの記事では、商品についての情報型クエリで使用される修飾語句の例を載せている。

  • 「商品名」:X
  • 「商品名」とは何か:what is X
  • 「商品名」は何に役立つのか:how does X work
  • 「商品名」の使い方:how do I use X

手動にしろ、自動にしろ、タグ付けの最終結果は、検索意図ごとに分類されたキーワードのリストとなる。

Twitterの内容:非常に喜ばしい。既存のリソースの助けを借りることで、ユーザーの検索意図をベースに、自動的にキーワードを分類する公式(仕組み)を作成できた。

Googleが提唱する4つの検索意図のモデルを採用するか、またはそれ以外を採用するかは、あなた次第だ。

例えば、あなた自身のユーザージャーニーをもとにキーワードを分類しても良い。それは、ユーザーの検索意図のデータを用いてできる価値の高い作業の内の1つなのである。

3.ユーザーの検索意図のデータに対し、何を行うべきか

ユーザーの検索意図のデータは、

  • 即時の調査
  • キーワード測定の改善
  • ビジネスにフォーカスした要素をレポートに付与する

などの作業をサポートする。また、コンテンツの選択、コンテンツ戦略、Webデザインにも影響を与える。

調査と評価にユーザーの検索意図のデータを使用する

1.バイヤージャーニーに沿ったコンテンツの配置

Think with Googleの以下の主張が興味深い。

ユーザーは即時の答えを得るためにデバイスを利用する。また、彼らが検索を行う際、自身の検索意図を表現し、伝統的なマーケティングファネルを再構築する。

顧客は検索エンジンを使用し、検討段階を経て、購入に至る。

あなたは、こうした検索意図をあなたのファネルに配置するべきだ。その結果は、長いビジネスにおけるゴールをベースとした、検索行動の評価を行うフレームワークとなるはずだ。

例えば、サイト内の全てのブログ記事が「情報型(infomational)」の検索意図に属していても、その内のいくつかは異なる認知の段階のユーザーに提供されているかもしれない。

マーケティングファネルと検索クエリの関係(ソース)

キーワードをカスタマージャーニーに落とし込むことにより、検索意図のセグメントはよりよいものになる。

カスタマージャーニーをベースとしたキーワードの検索意図の分類分けは、キーワードの測定やレポートと同様、競合調査にも役に立つ。

2.競合調査により、コンテンツのギャップを把握する

ユーザージャーニーのどの段階において、課題があるか。

競合が満たす検索意図で、自社が満たしていない検索意図はどこか。SEMRushやAhrefsなどのツールは、キーワードベースの競合比較が可能だ。

自身のドメインといくつかの競合サイトのドメインを入力する。そして、あなたが検索意図ごとに分類したキーワードの修飾語句でフィルタをかける。

例えば、AhrefsとMozは、「ハウツー関連(how to)」のクエリで、SEMRushを圧倒していることが確認できる。

修飾語「how to」で検索した際の結果(Ahrefs)

この分析手法であれば、ファネルのそれぞれの段階でのパフォーマンスを比較できる。同時に、競合とのギャップを埋めるためのリストを手にすることにもなる。

競合調査を行うことで、あなたのサイトが高順位を獲得すべきキーワードも特定できるだろう。

キーワード調査を行うことで「あなたが高順位を獲得したいキーワード」はあぶり出されるが、「Googleが別の検索意図を注力していること」も把握できる。(個別サイトの運営者であれば、ターゲットキーワードをどれだけ獲得できているかも確認できる。逆もまた然り。)

3.インテントをベースとしたランキングの追跡

トピックごとにキーワードをレポートする(例:「Xというプロダクトでは良い順位だが、Yというプロダクトでは苦戦している」)のではなく、マーケティングファネルをベースとしたパフォーマンスを測定するべきだ。

例えば、複数の商品において、「ファネルの下部に位置するキーワードでは良い順位だが、ファネルの上部に位置する情報型のクエリでは苦戦している」といった具合だ。

検索意図をもとにした測定をすることで、「コンテンツ拡大・新しいページの作成・ページデザインの調整」などの優先順位をつけることができる。

ページデザインと作成のために検索意図のデータを使用する

4.主体的と受動的の両方の検索意図に答えるコンテンツを追加する

ユーザーが持つ、どのような疑問に答えることができるか。次に彼らが持つであろう疑問とは、どんなものだろうか。

Googleのナレッジカードは検索意図を集約した完璧な例である」と、コーン氏は主張する。ナレッジカードは、クエリへの答えを提供し、また、価値のあるコンテクストも提供しているのだ。

例えば、レストラン名の検索の場合、ナレッジカードは非常に多くの疑問に答えている。

  • どんな種類のレストランか
  • 値段は高いか
  • どこにあるか
  • お店までの移動手段は
  • 電話番号
  • 予約は可能か
  • どんなメニューがあるか
  • 料理の質は高いか
  • 現在は開店しているか
  • 近くに他のレストランはないか

レストランのナレッジパネルの例。非常に長い

既存のページを拡大する場合もあれば、まだ満たしていない検索意図のために新たなページを作成する場合もあるかもしれない。

「既存ページの拡大」か「新しいページの作成」かを決定するために、検索ボリュームがヒントになることもある。サブトピックの検索ボリュームが大きければ新しいページを作成し、小さければ既存のページを拡大するとよいだろう。

ブリッグス氏はページ作成のためのフレームワークを共有してくれている。

トピックについて複数の側面をカバーすることを心がけながら、広範囲でしっかりとした記事をまずは作成するという手法を採っている。順位が良くなるまで待ち、サーチコンソールからキーワードを6~15個を取得する。こうしたキーワードは別途記事を作成すべき、ロングテールキーワードの有力候補となる。

また、大規模なサイトであれば検索ボリュームが大きく、競合性の高いキーワードを狙うべきとしている。

反対に、小さいサイトであれば、ロングテールのキーワードをターゲットにし、そのトピックの権威性を獲得した後に、競合性の高いキーワードを狙うべきとしている。

5.検索結果画面でより多くのクリックを獲得するためにコンテンツを調整する

Googleが定義するシンプルなKnowクエリに強調スニペットについてのヒントが隠れている。

  • 1~2センテンスの長さ
  • 短いリスト
  • 「正確で完全」なレスポンス
  • モバイルのスクリーンにきちんと収まる

強調スニペットはSEOを行う上でターゲットの対象となりやすい。強調スニペットは検索結果での露出を高め、多くのクリックをもたらしてくれるからだ。

しかし、自然検索と強調スニペットが同時に存在することにより、お互いの流入を奪い合ってしまうという状況も生んでしまう。

ユーザーの検索意図が「答えをすばやく得たい」というものであり、クリックが発生しないのであれば、強調スニペットへの最適化はユーザー(とGoogle)を満足させることになる。

しかし、強調スニペットへの最適化は、究極的にはすべてのサイトへの自然検索からの流入をなくしてしまうことにもなる(ランド・フィッシュキン氏は、これを囚人のジレンマ(※)と呼んでいる)。

※補足:強調スニペットと自然検索結果は、互いに検索結果をよりよくするものであるものの、結果としてインプレッションを奪い合ってしまう状況にあること。

強調スニペットへの最適化は意義のあるものだ。

しかし、その価値は、特にモバイルにおける「URLの認知」に限定され、クリック増は期待できないかもしれない。

強調スニペット以外にもCTRを向上させるための方法はあり、ランド・フィッシュキン氏がその戦略を明かしている。それは、ターゲットキーワードを捨ててでも、「検索意図に合わせてページタイトルとメタディスクリプションを記載する」というものだ。

この戦略にはリスクがあるが、競合性の高い業界で「負け犬」となっているサイトにとっては、活路となる可能性がある。

1ページ目の下部に表示されるチャンスがあるならば、(検索エンジンにではなく)ユーザーに向けたページタイトルとメタディスクリプションを書いてみるといい。他のサイトとの差別化になり、より多くのクリックを獲得でき、また、検索エンジンにポジティブなシグナルを送ることができるだろう。

6.主体的なインテントをまずは満たすページを設計する

コーン氏は「適切な経験を提供するために、検索意図の優先順位を理解することは非常に重要だ。この点が、コンテンツとデザインにおける、「従来」の検索と異なる点であろう。」と主張する(参考)。

SEOにとっては、ページのデザインは2つの意味で重要となる。

  • 主体的な検索意図に対し、明確に、即時に答える
  • 受動的な検索意図に対し、論理的な情報の優先順位を提供する

Knowクエリへの対応のUX的な具体例は以下のとおりである。

  • ヘッダータグ・大きいフォント・目立つブロックなどで、明確に答えを提供しているか
  • ユーザーが次に持つであろう疑問に対し、サブトピックで答えられているか
  • 取引型クエリに対し、次に進むためのボタン(購入ボタンなど)は、クリックしやすく発見しやすいか

これらはUXの基本的な原則であるが、検索のパフォーマンスにも影響を及ぼす。

答えをすぐに見つけられなかったユーザーは、検索結果画面に直帰してしまうだろう。「UXがランキング要素である」というトピックは、一定の事実を含んでいるのだ。もちろん、このトピックは議論を呼ぶトピックではあるが。

たとえば、レシピサイトにて、目的のレシピに到達するまで、ページを長い間スクロールすることにユーザーは耐えなければならない。

ページ上部にテキスト情報が検索エンジンのために提供されているからだ(そして、それはレシピについての凡庸なエッセイにすぎないことが多い)。

「SEOのためだけのテキスト情報」は、レシピのようなバーティカルサイトにおいて有効である。なぜなら、検索エンジンは、どのレシピで作ると美味しいチョコレートチップクッキーが出来上がるか、区別をつけられないからだ。

ジョン・ミュラー氏は、「ユーザー体験を犠牲にしてまで、検索エンジンのためのコンテンツを作成すべきでない」としている。

しかし、「どの程度検索エンジンを意識すべきか」についての議論は尽きない。この戦略は、未だに効果的であるからだ。

SEOに関する議論で学ぶべきは、「長い目で物事をみる」ということだろう。

Googleは、補助的なテキストが余分である場合、それに価値を与えることは好まない。「SEOのためだけのテキスト」が現在において有効であったとしても、徐々にその必要性は低くなっていくだろう。

また、ランキングとユーザー行動にどのような影響を与えるかを測るため、定期的にSEOのためだけのコンテンツを削除するテストを行ってみると良いだろう。

結論:ユーザーの検索意図の分析と活用方法

キーワードを選定し、ユーザーの検索意図に最適化する

コーン氏のこの格言は、ユーザーの検索意図をSEOの施策に落とし込むための、最高の要約と言えるだろう。ページ作成において、キーワード選定が出発点であることは変わらない。

しかし、ユーザーの検索意図を考慮することは、そのページのあり方についての判断材料となりうるだろう。

関連するキーワードのリストを作成し、検索意図ごとにカテゴライズする(現在、ターゲットにしているか、そうでないか)。検索意図をもとにしたキーワードのカテゴライズを行うことで、「ユーザージャーニーのどの部分で結果を得ているか」「結果を得ていないかを確認することができる。

結論として、ユーザーの検索意図のデータは、

  • 既存ページのコンテンツ拡大の優先度付け
  • 新規ページ作成の必要性の判断
  • 主体的な検索意図を明確にし、即時に解決できるページデザインの構築

このような施策に有用であるといえる。

この記事は、CXLに掲載された「Search Intent: How to Analyze and Optimize Your Site」を翻訳した内容です。

SEOにおける「キーワード」は過去も現在も重要です。しかし、その解釈や検索意図(インテント)の把握など、キーワードは単純に測定するだけの対象ではなくなっています。

キーワード毎に可変する検索意図(インテント)ですが、修飾語句をヒントに分類分けするなど、すぐにでも実践できそうな内容がありました。

大規模サイトではなかなか難しい作業も、記事にあったような工夫を行うことで、検索意図の把握をより正確かつ効率的にしていけるのではないでしょうか。

Google検索結果の変化から読み解く「SEOの未来」

つい先日、モバイル検索でのレイアウト変更が発表されました(ソース)。ランキングアルゴリズムと同様、Googleは検索結果のレイアウトを常に変化させており、SEO担当者としては必然的に注視すべき領域となります。

今回の記事では、ここ最近の変更とそれから導き出される見解を、ニール・パテル氏が披露してくれています。SEOの未来とは、いかに。

SEOについて考える時、また、ここ5年間での変化について考える時、あなたは何を思い浮かべるだろうか?

「Googleの検索結果での高順位獲得が困難になった」ということではないだろうか。

しかし、自然検索結果からの流入獲得が困難になったのは、なぜだろうか。

多くのSEO担当者は、「それはGoogleがより複雑なアルゴリズムを構築したからだ」と答えるだろう。

彼らは、過去にはあまり重要視されていなかったページスピード・ブランドクエリ・その他何百という要素に目を向けている。

しかし、それでは話半分に終わってしまう。

SEOが困難になった理由として、Googleのアルゴリズムの変化は、その一部分に過ぎない。

この記事では、多くのSEO担当者は語っていないが、それでもあなたが注意すべき事柄について言及する。なぜなら、それらは「SEOの未来」につながる話だからである。

常に変化するGoogleのレイアウト

Googleで検索した際、あなたは何を目にするだろうか。

いくつかの自然検索結果、そして、いくつかの広告であるはずだ。

自然検索結果と広告は、Googleが長い間表示し続けていたものだ。この核となるコンセプトは大きく変化していない。

しかし、長期間においては、Googleは小さな調整を続けており、それらが積み重なった結果、大きな変化を生み出している。

過去数年のGoogleの検索結果の変化を見てみよう。幸運なことに、Orbit Mediaは2012年、2014年、2015年とランダムな調査を行っており、それぞれの年代の検索結果と現在の検索結果のレイアウトの比較を行っている。

2013年から2019年までの検索結果の比較

  • 左:1位の表示位置は、ページ上部から330ピクセル下に表示されている。
  • 右:1位の表示位置は、ページ上部から1050ピクセル下に表示されている。

2013年と2019年の大きな違いは、以下のとおりである。

  • 自然検索結果の1位の表示位置が大きく下がっている
  • デザインの観点からも、広告ははっきりと区別されていた。
    しかし、現在はより自然検索結果に混じっている。

では、2014年と2019年とを比較してみよう。

  • 左:1位の表示位置はページ上部から150ピクセル下に表示されている。
  • 中:通常のファーストビューの表示領域
  • 右:1位の表示位置はページ上部から650ピクセル下に表示されている。

そして、2015年と2019年だ。

  • 左:1位の表示位置はページ上部から150ピクセル下に表示されている。
  • 中:通常のファーストビューの表示領域
  • 右:1位の表示位置はページ上部から630ピクセル下に表示されている。

大きなトレンドは、自然検索結果の表示がファーストビューの下部に押し下げられたことだ。おおよそ、3.3倍という数字になっている。

これは、非常に大きな変化である。

現在の検索結果には、マップ、ナレッジパネル、画像や動画など、ユーザーが求めているとGoogleが判断した様々な要素が表示されている。

強調スニペットとサイトへの流入の減少

別の大きなトレンドとしては、強調スニペットの表示が挙げられる。強調スニペットはあなたのサイトにトラフィックを与えてくれるかもしれないが、検索者が求める情報を提供するため、あなたのサイトへのクリック(流入)が発生しない場合もある。

「世界で一番大きな木(the largest tree in the world)」という検索をしてみよう。

もちろん、私はlivescience.comへのリンクをクリックし、答えを求める可能性もあるだろう。

しかし、あえてlivescience.comのサイトに訪問する理由はあるだろうか? Googleはすでに答えを私に提示しているのに。

自然検索結果が下部に押し下げられ、そして、クリックせずとも、回答の一部をGoogleがユーザーに提供している。こうした状況は、自然検索結果のクリック率が徐々に減少することを意味している。

1ページ目に表示される自然検索結果の数の変化

質問をさせていただこう。

1ページ目に表示される自然検索結果の数はいくつか?

おそらく、あなたは10と答えるだろう。

かつてはそうだったかもしれない。しかし、あなたが10個の検索結果を最後に確認したのはいつのことだろうか。

Googleは1ページ目に表示される自然検索結果の数を5.5%少なくしている(参考)。もちろん、10個のリンクが表示されることは多いが、それでも、かつてほどではなくなっている。

自然検索結果の表示が10個以下の検索結果数

以下は、自然検索結果の変化をグラフ化した資料だ。

18%! これが、自然検索結果の表示数が10個以下になる割合である。

かつてが2%であったことを考えると、驚くべき数字だ。

Googleがレイアウトテストを行っている他の要素

レイアウトのテストとしては非常に小規模ではあるが、自然検索結果が全く表示されない場合もある(SEMrush Twitter)。

広告は表示されているが、自然検索結果は1つも表示されていない

しかし、Googleはこれをミスだとしている(参照)。表示すべき自然検索結果がないと判断されており、同時に、広告も表示されないはずだ。

今後も、Googleはより多くのレイアウト変更の実験を行い、その内のいくつかは、恒久的な変更になるだろう。

SEOの未来について語る前に、一つ確認をしておきたい。

Googleは、株式公開企業である。そのため、驚くべきプロダクトを作成することが彼らの目標となるわけだが、同時に、彼らは利益を上げる必要がある。

広告の売上のための変更を行ったとしても、彼らを責めることはできない。

「ユーザー体験を損なってしまう」、といった批判をするかもしれない。しかし、果たしてそれは正しいのだろうか?もしそういった批判が正しかったとすれば、ユーザーはBingやその他の検索エンジンを使用するようになるはずだ。

私は、Googleを毎日使用している。自然検索結果がクリックしづらくなったかもしれないが、ユーザーとして、彼らは驚くべき体験を提供していると考えている。

SEOの未来予測と仮説

Googleはただ盲目的にレイアウトの変更を行っているわけではない。実験をし、ユーザー調査を行い、検索者が求めるものを把握し、それを提供している。

過去数年間におけるレイアウトの変更に基づき、いくつかの仮説を立ててみよう。

1.新たなリッチスニペットの登場

ユーザーは自身が抱えている問題に対する答えを可能な限り早く得たいと考えている。より早く答えを提供できるとGoogleが判断した場合、将来のレイアウト変更によって、より多くの種類のリッチスニペットが登場するかもしれない。

2.音声検索によるクリック率の低下

Comscore社によれば、2020年までに検索全体の50%が音声検索になるとのことだ。音声検索の結果、ユーザーがあなたのサイトに訪問してくれると単純に予測すべきではない。

3.ユーザーは広告を無視することに慣れている

Googleがどれだけ自然検索結果の表示を下部に掲載しても、ユーザーは広告を無視することに慣れている。Googleが広告と自然検索結果の区別を曖昧にしても、多くのユーザーは自然検索結果をクリックするだろう。

4.世界では43.9%の人が、インターネットにアクセスできていない

Googleが世界の検索エンジン市場を独占していることは明らかだ。しかし、世界の56.1%の人しか、インターネットにアクセスできていない。より多くの人がオンラインになれば、より多くの人がGoogleを使用するだろう。それは、より多くの人があなたのサイトをクリックするようになる、ということを意味している。

言い換えれば、SEOは不要になるのではなく、それどころか、驚異的なチャネルであるままなのである。ここ1ヶ月の私のサイトのトラフィックを見て欲しい。

月間で4,362,165の流入がある。この流入数のうち、Googleを始めとした検索エンジンからの流入がどれほどあるかを想像してみて欲しい。

2,343,362流入である。

つまり、SEOが全てのトラフィックの53.71%を占めているのだ。非常に大きな流入数である。

Googleの絶え間ない変更のおかげで、私のサイトへのトラフィックは減少していると思ってはいないだろうか。実際は、増加しているのである。

1年前、私のサイトへのGoogleからの流入数は月間で1,088,251であった。Googleのアルゴリズム変更によりSEOは難しくなり、自然検索結果の表示が下部に押し下げられても、流入数は増加し、2,343,362流入までに至っている。

集客チャネルをSEOのみに依存すべきではない

私はGoogleが好きであるし、SEOに未来があると考えているが、それでも依存すべきではない。あなたがどれほど優秀なSEO担当者であったとしても、成功は確約されていないのだ。

あなたにもきっと馴染み深い企業を例に挙げてみよう。Airbnbだ。

自宅、もしくは、自室を貸し出すというコンセプトはAirbnbが生み出したアイデアではないことをご存知だろうか。

AirbnbとVRBOの集客チャネル比較

Airbnbでなければ、誰が「自宅or自室を貸し出す」というアイデアを思いついたのだろうか。

VRBOだ。彼らはAirbnbがこのアイデアに至る13年も前に、このビジネスモデルを思いついている。

ここに興味深い事実がある。SEOにおいては、どちらが勝者なのか。

驚くべきことに、勝者はVRBOである。

Googleの検索結果の順位という領域では、VRBOはAirbnbを長期間において圧倒している。下記にAirbnbではなく、VRBOが上位表示されているキーワードを記載する(注:英語での検索結果)。

  • ヒルトン ヘッド レンタル
  • オーシャンシティ メリーランド レンタル
  • ケープコード レンタル
  • キャビン レンタル
  • バケーション 家
  • バケーション レンタル
  • バケーション 家 レンタル

Airbnbも多くのキーワードで上位表示されている。しかし、その多くがブランド名に関連したキーワードだ。

AirbnbはSEOに頼らず、ライバルを圧倒している。13年後、彼らが市場に参入したとき、その状況を作り上げていた。

Airbnbは優れたプロダクトとオムニチャネルへの注力を行った

では、Airbnbはどのようにして勝者となったのか。

最も大きな理由は、彼らがより優れたプロダクトを作成したことだろう。

さらに、彼らはオムニチャネルに注力したということだ。SEO、PPC、機内のモニターでの広告も含め、あらゆる主要なチャネルでの露出を試みたのだ。

SEOは、もちろん、必要だ。

しかし、トラフィックや収入のソースとして、依存すべきではない。多様性が求められるのだ。Googleからの評価をあげるためのみならず、あなたがコントロールすることができない、消費者行動のために必要なのだ。

将来、人々は検索エンジンを使用することを好まなくなるようになるかもしれない。彼らが他の手段を選ぶようになれば、あなたもその動きに適用しなければならなくなる。

また、たった一つのチャネルから大きなビジネスを構築することは、もはや不可能と言えるだろう。

もちろん、Facebookはリファラで、QuoraはSEOで、Dropboxはソーシャルメディアで、それぞれの成功の場所を築いたという例はある。しかし、こうした状況はもはや起こりえないだろう。こうした企業を成功に導いた施策が、あなたの企業にあてはまるということは保証できない。

今日のマーケットで勝者となるためには、あらゆるチャネルの最適化が必要となる。

SEO依存からの脱却とオムニチャネルへのアプローチ

Googleは、マーケターやビジネスオーナーとしては好ましくない変更を、これからも加えていくだろう。しかし、それは、SEOが不要になったことを意味するものではない。

私のトラフィックの推移をご覧いただきたい。Googleが常にアルゴリズムを変更したとしても、自身のサイトへのトラフィックを伸ばすことは可能だ。

未来を憂う必要はない。予測することは困難であり、避けて通れないものばかりなのだから。

現実的な解決策はたった一つだ。オムニチャネルのアプローチを採り、特定のチャネルへ依存することをやめよう。

Google検索の現在のレイアウトから、あなたはどんな未来を導き出すだろうか。

この記事は、Neil Patelに掲載された「How Google’s New Layout Predicts the Future of SEO」を翻訳した内容です。

Googleがレイアウトを変更する理由は、ユーザー行動の反映が主となりますが、「Googleの変更によって、ユーザー行動が変化する」といった場合もあるかもしれません。ときには、全ての変更がうまくいくわけではなく、ユーザーの行動が変化するどころか、不満が生まれる場合もあるでしょう。

Googleですら、こうした試行錯誤を続けているため、自身のWebサイトも様々な検証を行うべきと感じました。オムニチャネルの施策を含め、メディア戦略に非常に参考になる記事でした。

【調査データ】若者はスニペットとナレッジパネルから情報を得ており、検索結果をクリックしない

「検索結果にGoogleが提供するコンテンツが増えるにつれ、自身のサイトへの流入が奪われる」といった意見はよく聞きます。

しかし、これらの意見はWebマスターやSEO担当者からの意見がほとんどであり、「実際のユーザーはどう思っているのか?」といった調査はありませんでした。

今回の記事は、実際のユーザーを対象にした調査についての記事になります。非常に興味深い、その調査結果とは? 必見です。

「検索順位0位」が常に勝者とは限らない。検索結果上の情報を選別する目の肥えたユーザーの存在が明らかになった。

検索結果のエンゲージメントについての消費者調査が、Path Interactive社によって行われた(参照)。

調査結果によると、自然検索結果はまだまだユーザーの関心を得ているが、若いユーザーは強調スニペットやナレッジパネルのコンテンツで情報を得ており、その場合は、検索結果上のサードパーティサイトへのクリックは発生していないようだ。

この現象は、「クリックが発生しない検索結果」と呼ばれており、多くのパブリッシャーが懸念していた現象だ。

複数の国(回答の72%がアメリカから)から回答を得られた今回の調査では、「今日の消費者が検索結果に存在する複数のGoogleが提供するコンテンツに対し、どのように関わり合っているか」を明らかにすることを目的としている。

Path Interactive社のSEOディレクターであり、今回の調査記事の執筆者でもあるリリー・レイ氏は、「デジタルマーケティング界隈の人々のGoogleの検索結果の変更に対しての考えはよく聞いている。しかし、技術的な知識に乏しい一般的な検索者からの意見を聞く機会はあまりなかった」、と述べている。

全体的に、今回の調査では明確な区別が発見されたわけではなかった。読者の方にとっては、安心できる結果かもしれないし、もしくは、危機感を覚える結果であるかもしれない。

回答者の年齢は13歳から70歳であり、自らを「多少は技術的な知識や知見がある」と称する人が大半である。

①年齢別の自然検索結果への対応

Source:Path Interactive(2019)

  • 赤:通常、1位か2位の検索結果をクリックする
  • オレンジ:1ページ目をざっと眺め、最も関連性のあるものをクリックする
  • 黄:信頼しているWebサイトやブランドのコンテンツを探し、それをクリックする
  • グレー:1ページ目に掲載されている複数のページを閲覧する
  • 濃いグレー:2ページ目、3ページ目、4ページ目と、可能な限りの検索結果を確認する
  • 黒:検索結果における自身の行動を意識していない

※調査母数は2,129。統計学的には95%の妥当性はあるが、99%まではいかない。

自然検索結果は強く好まれている

「広告と自然検索結果のどちらを優先的にクリックするか?」という質問に対して、72%が「自然検索結果」と答えている。

また、その内の47%がほとんど、もしくは、全く広告をクリックしないと答えている。広告も自然検索結果も同様にクリックする、と答えたのは19%だった。

年配のユーザーほど、1ページ目以下の検索結果も確認する傾向がある。

しかし、逆説的ではあるが、年配のユーザーほど広告と自然検索結果の区別をつけてはいないようだ。

若いユーザーは、強調スニペットが表示された際、「クリックしない」という行動を取っているようだ。年配のユーザーは、スニペット以上に、他のサイトへのリンクの情報を見ている傾向がある。

しかし、ほぼ3/4(72.5%)の回答者が、スニペットを「信頼性がある」、もしくは「信頼に足る」と回答している。

②強調スニペットが表示された際、あなたは普段どうしていますか?

Source:Path Interactive(2019)

  • 赤:スニペットをざっと読み、クリックすべきページがあるかを、スクロールして確認する
  • オレンジ:答えによっては検索をやめるし、さらに検索をする場合もある
  • 黄:スニペットを読み、より多くの情報を得るために、関連する青いリンクをクリックする
  • グレー:スニペットを読み、答えが見つかったと判断し、関連する青いリンクはクリックしない。

※調査母数は2,464。統計学的には95%の妥当性がある。

ナレッジパネルとリッチリザルト

回答の内容は、ナレッジパネルの場合と非常に似ていた。大多数(92.1%)の検索者はナレッジパネルを見ている。その中で、55%が他のリンクを探すが、37%がナレッジパネルを見ることで「私の検索意図は満たされた」と考え、クリックしない。

③ナレッジパネルの情報があなたの疑問への答えとなっていた場合、あなたはどうしますか?

Source:Path Interactive(2019)

  • 赤:求める答えを発見できたため、検索を終える
  • オレンジ:ナレッジパネルの情報は確認するが、引き続き検索結果のリンクを確認する
  • 黄:ナレッジパネル内の情報に疑問をもつため、他の検索結果のリンクを確認する
    グレー:わからない

リッチリザルトに対しても同様の質問をしている。

しかし、今回はその内容に満足し、それ以降の検索行動を取らないというユーザーは少数派(14%)であった。43%がリッチリザルトを他のページの情報と併用している。

そして、驚くべきことに、33%がリッチリザルトの内容を無視し、通常の検索結果を求めていた。

④求人、ローカルイベント、フライト、レシピなどの情報をGoogleが提示した際、通常はどのような行動を取りますか?

Source:Path Interactive(2019)

  • 赤:それらの情報を使用する場合もあるが、検索結果の他のリンクをクリックする
  • めに、検索結果の閲覧を続ける
  • オレンジ:通常はそれらの情報を無視し、検索結果の他のリンクを探す
  • 黄:私は、それらの情報が助けとなり、正確であると考えているため、通常は他の検索結果のリンクを探すことはない
  • グレー:それらの情報を見ているかどうか意識していない(判断がつかない)
  • 濃いグレー:Googleが提供するそれらの情報を信じていないため、他の検索結果のリンクを探す

Googleへの不満はあるか

「Googleへの不満はあるか?」という質問に対し、25%が「ない」と答えている。驚くべきことに、75%が何らかの不満を感じていた。選択形式での質問であったが、回答は下記の通りである。

  • Googleは広告を多く表示しすぎている・・・24.1%
  • 大企業による情報を優先的に表示している(結果として中小企業による情報がでてこない、出づらい)・・・17.3%
  • Googleが提供する情報が多すぎる(通常の青いリンクのほうを好む)・・・17.3%
  • ユーザーがGoogleとどう関わっていくかという将来の予測は好きではない・・・7.5%
  • 検索結果の品質が低い、不正確、偏見がある・・・5.5%

このような調査結果を我々が考慮すべき理由

年代に縛られることもあるが、こうした調査を行うことで、Googleの検索結果の様々な要素への態度や行動を明らかにすることができる。

若いユーザーは、広告に興味がない傾向が強いが、ページ上部に表示されるGoogleが提供するコンテンツで満足し、クリックが発生しないことも多い。年配のユーザーは、広告もクリックするが、より多くの情報を探すことに熱心で、1ページ目以下の検索結果も見ることがある。

今回の調査結果が、Googleが提供するスニペット、ナレッジパネル、その他のコンテンツがサードパーティのサイトへのクリックを奪うと非難する人々への反対意見になりうるかもしれない。

しかし、それだけではユーザー行動の全てを説明できるわけではない。

検索結果の進化とともに、ユーザー行動はより多様化し、より選り好みされることになるだろう。

この記事は、Search Engine Landに掲載された「Younger users rely on snippets and knowledge panel, often don’t click, survey says」を翻訳した内容です。

調査対象のユーザーの大半がアメリカのユーザーであるため、日本での状況とは完全に一致しないかもしれません。

しかし、年代によって検索結果に表示される情報の受け取り方が異なるのは非常に興味深く、自身がターゲットとしている属性のユーザー行動については深く考察したいと思いました。

今後も、ユーザー行動の変化に併せGoogleの検索結果も変化していく(逆もまた然り)と思いますが、SEO担当者としてはその変化を的確に捉え、願わくばチャンスとなる施策を実行したいところです。

テクニカルSEOの優先順位。あなたが今取り組むべきは、どの段階か?

インデックス率の改善、メタタグの最適化、CTR向上のための施策。SEOにおけるテクニカルな領域は非常に広範囲です。もちろん、全ての領域を最適な状態にすることが望ましいですが、そのためには領域ごとの優先度をつけることが効果的でしょう。

自身のサイトが今取り組むべき領域はどこか。現状把握に役に立つ記事を紹介します。

技術的な進歩と実装方法の理解を深めるために、テクニカルSEOに求められる内容に優先順位をつけよう。そして、あなたが次に取り組むべき内容を理解しよう。

何をもってして、「最高のWebサイト」と定義することができるだろうか?
健全で、SEOのポテンシャルを十分に発揮している機能的なサイトがベースとしているものはなんだろうか?

マーケットとキーワードの調査、E-A-T、検索意図に合致したコンテンツ、バックリンク、などなど。

しかし、こうしたサイトに共通していることは、テクニカルSEOの要件を十分に満たしているということである。

自身のサイトに求められるテクニカルSEOの領域に優先度をつけよう。優先度順にピラミッドを作成した場合、下部の要件を満たしていなければ、その上部の要件を満たすことは難しいだろう。それぞれの段階で検索エンジンへの対処内容は異なっている。

それは、

  1. クローラビリティ(Crawlability)
  2. インデキサビリティ(Indexability)
  3. アクセシビリティ(Accessibility)
  4. ランカビリティ(Rankability)
  5. クリッカビリティ(Clickability)

の5つに分けることができる。

ピラミッドの図の中のそれぞれの段階で求められる内容をしっかりと理解すれば、テクニカルSEOに対する恐怖心を払拭することができるし、優れたWebサイトを作る上でSEOが果たす役割が過小評価されることもないだろう。

※1 上部2領域が最適化(改善要素)の対象
※2 下部3領域が基本要件(阻害要素の排除)の対象
(当記事では、下から順に解説がされます)

①テクニカルSEOの基本:クローラビリティ(Crawlability)

上記のピラミッド画像の最下部に位置するテクニカルSEOの基本要件は、URLのクローラビリティである。

クローラビリティでは、URLが検索エンジンに発見される状態になっているか、という領域を扱う。検索エンジンがクロールできないURLであっても、ユーザーはサイトのナビゲーションを通じて、閲覧できることもあるかもしれない。

しかし、検索エンジンのボットには発見されていないため、検索結果にそのURLが表示されることはない。

それゆえ、クロール可能なURLとは、

  • 検索エンジンに存在が知られている
    検索エンジンはリンクを辿る、サイトマップを読み込むなどして、URLを発見する。
  • ボットのアクセスを禁止していない
    robots.txtのファイル内に特定のページやディレクトリへのクロールを禁じていた場合、多くの検索エンジンのボットはその指示に従ってしまう。
  • クロールバジェットの上限以下になっている
    多くのサイトでは当てはまらないが、Googleのアルゴリズムによって割り当てられたクロールの「予算(バジェット)」は、サイトのパーツによっても消費される。そのため、特定のURLへのクロールの遅延や問題を引き起こすこともある。

テクニカルSEOの監査を始める際、インデックスされていないページを特定し、その理由を調査しよう。もちろん、意図的にそうしている場合もあるが、エラーが原因の場合もあるだろう。エラーの場合は、修正することにより、すぐに改善結果が見られるだろう。

クロールバジェットは公開されておらず、定量化することは難しい。基本原則は、クロールにかかるコストを最適化し、重要なページの(検索エンジンに把握させる)優先度を高めることで、検索エンジンからの流入増加が期待できるというものだ。

テクニカルSEOとしては、ページがどのように発見され、どう優先度をつけるか、という部分を改善する。その結果、クロール率の改善が見られるだろう。

ページグループごとのクロールの分布。グレーの「Other」は重要でないカテゴリー。多くのクロールバジェットが重要ではないページに費やされている。Source:OnCrawl

②インデキサビリティ(Indexability)

クローラビリティの次に優先度が高いものは、インデキサビリティである。

インデックス可能なURLとは、検索エンジンが持つWebページのカタログ(一覧)に含まれ、検索結果のページに表示される可能性があるURLとなる。URLがクロールされたとしても、様々な要素により、インデックスの対象とならない場合がある。

もっともわかりやすい例を挙げると、メタロボットの記述やロボットテキストの指示となる。

ページのグループ毎のインデックス状況。Source:OnCrawl

同様のコンテンツでより権威のあるバージョンが他にある場合も、インデックスの阻害となる。インデックスが阻害される要素として、具体的には下記の状態が該当する。

  • 重複コンテンツ
  • Canonical(正規化)の宣言
    印刷用ページやモバイル版ページなど、代替バージョンがある場合(Mobile First Indexに該当している場合は、デスクトップ版ではなく、モバイル版のページがインデックスされる)。
  • リダイレクト

適切なページがキチンとインデックスされているかを確認するために、インデックスに関わる要素が適切にセットアップされ、適切なページに設定されているかを確認することがテクニカルSEOの範囲となる。

③アクセシビリティ(Accessibility)とWebサイトのパフォーマンス

アクセシブルなURLとは、表示と描画が容易であるURLのことだ。

クロールとインデックスが可能なURLといえど、検索エンジンのボットがクロールを試みる際、アクセシブルではないという場合もある。ランク付けはされている、

しかし、アクセシビリティの問題が依然として残っている場合、検索結果において、マイナスの評価を受ける可能性がある。

ボット、そしてユーザーへ向けたアクセシビリティとは、下記のような広い範囲が対象となる。

  • サーバーのパフォーマンス
  • HTTPステータス
  • ロードタイム、ページサイズ
  • JavaScriptのレンダリング
  • サイト構造内のページの深さ
  • 孤立したページ
  • スパムやハッキングへの対応

ここでの目標は、アクセシビリティとパフォーマンスの指標がSEOに悪い影響を与えてしまう”しきい値”を発見することだ。そして、全てのページが、少なくとも、最低限の水準を満たしている状態にすることだ。

この目標を達成するために様々なツールを使用することになるだろう。サーバーのダウンタイム、ボットとユーザーに提供されるHTTPステータス、ページがリクエストされたときのリソース(CSS、JS、画像など)のサイズ、TTFB、FCP、TTLBなどのロードタイムの指標。このような数値を取得できるツールが必要となるだろう。

※デスクトップ版とモバイル版におけるレスポンスタイムの平均とリソース量。Source:OnCrawl

孤立したページや深すぎる階層のページへのリンクの設置を行うことになるかもしれない。また、優れたコンテンツであり、キーワードの最適化もしっかり行っているページでも、スクリーンリーダーに対応しておらず、多くのユーザーの目に触れられていないといった場合は、アクセシビリティを考慮する必要もある。

アクセシビリティの問題も解決されているのであれば、テクニカルSEOの基本要件は満たしていると言えるだろう。これらが最適化されていないサイトのSEOは非常に困難なものになる。優先度に従って施策を進めていくが、悪影響のある要素の排除から改善要素へと、対象は変化していく。

④ランカビリティ(Rankability):順位を改善するためのテクニカルSEOにおける役割

ランカビリティは最適化の領域に含まれる施策だ。SEOの土台を固めるための施策ではないため、テクニカルSEOのアドバンスレベル(次のレベル)と考えられる場合もある。

クローラビリティ、インデキサビリティ、アクセシビリティが十分に満たされたURLが順位づけされることは明らかだ。この時点で非常に良い順位を与えられている場合もあるだろう。

しかし、多くの場合、少しの工夫によって順位の状況はさらに良くなるはずである。

リンク獲得による順位上昇

それが内部リンクであるか外部リンクであるかに関わらず、リンクは人気のあるページから人気のないページへと、ページの重要性とトラフィックを渡すという性質がある。

それゆえ、バックリンクを精査し最も有益なリンクプロフィールを決定すること、また、ページの評価を促進するために内部リンクを構築することがテクニカルSEOの領域となる。

内部リンクは、クロールの頻度(新規作成や更新したコンテンツからのリンクを構築することで古い記事の新鮮さを強化する)やコンバージョン(高いコンバージョン率を誇るページへユーザーを遷移させる)を改善するだけでなく、ページの重要性を渡し、コンテンツサイロ(*1)の構築の手助けとなる。

*1 コンテンツを関連性に基づいて配置・整理する構造

ページごとのリンク数におけるSEOトラフィックの分布。50リンクを超えるとページのアクティビティが増える。Source:OnCrawl

関連性の最適化による順位上昇

関連し合うコンテンツ同士を内部リンクでつなげることにより作成されたコンテンツサイロは、単体のページで成し遂げる以上の順位上昇を、コンテンツのグループ化によって達成する。

コンテンツサイロは、ロングテールのキーワードと関連し合うコンセプトに注力したページによって、流入が発生するキーワードを拡大させながら、深く専門性の高いグループとなる。

他のページと比べ、キーワードの使用率、使用される単語数、テキストとコードの比率など、特定のキーワードグループにおける品質の指標となるものや、危険視号となる指標を見てみるのもいいだろう。

⑤クリッカビリティ(Clickability):SEOとユーザー行動の架け橋

テクニカルSEOが扱う最後の領域は、ユーザーがあなたのサイトをよりクリックしてくれる状況を作ることだ。

通常の検索結果以外の場所や、よりリッチな(見栄えの良い)表現方法なども対象となる。

リスト、テーブル、見出しなどは検索エンジンがコンテンツを理解するのに役立ち、強調スニペット、カルーセルなどに採用されることもある。

同様に、Schema.orgを始めとした構造化データの実装は、検索結果における表示方法をリッチにしてくれる。

  • パンくずリスト
  • レビュー
  • 商品情報(値段や在庫数など)
  • イベント情報(開催日、場所など)
  • レシピ情報(サムネイル、評価、調理時間、カロリーなど)
  • 同サイトの重要ページへのサイトリンク
  • 検索結果画面上での検索機能

同様に、画像や動画に適切なマークアップを施すことで、画像検索や動画検索での優位性を得られる。

検索意図の関連性とコンテンツのユニーク性はユーザーを惹きつける要素だ。これらは抽象的な概念であるが、ツールを駆使するなどして分析し、改善することは可能だ。機械学習などの技術は、検索意図やクリック行動に適用され、AIを用いたコンテンツ作成も考えられている。

OnCrawlではCTRのリッチデータの影響を明らかにできる。

その一方で、類似性の分析による重複コンテンツや検索意図との不一致を把握するためにテクニカルSEOが果たす役割もあるだろう。

最後に、テクニカルSEOは相関性を発見する目的で、Webサイトの特性とユーザー行動のデータの分析を行うこともできる。あなたのWebサイトがユーザーを惹きつける状況を一つでも多く作ることが目的だ。

この戦略は、ページやWebサイトの構造と、ユーザー行動の指標(直帰率、滞在時間、CTRなど)との驚くべき相関関係をあきらかにすることもある。

技術的な改善を実施する

テクニカルSEOを実施するにあたり、基礎的な内容の理解であれば、技術職で働いた経験が求められているとは限らない。

クロール、インデックス、ランキング、クリックに問題がある場合、SEOの他の領域(コンテンツ・外部評価)は、これらの問題の解決に適していない。こうした問題を特定し、解決することが、テクニカルSEOが果たす役割である

OnCrawlのようなソリューションを使用することで、コンテンツ、ログファイル、検索データなどのデータをダッシュボードで管理し、どこから改善すべきか理解しやすくなるだろう。

クロールされたページ、ランクインしたページ、アクティブなページの分布。Source:OnCrawl

あなたのサイトは、SEOの優先度のピラミッド内のどの段階に位置するだろうか?

この記事は、Search Engine Landに掲載された「The technical SEO hierarchy of needs」を翻訳した内容です。

複雑で広範囲なテクニカルSEOの領域をうまくまとめてくれた記事でした。

基本的な最適化に加え、Googleが新規でサポートする領域についても、積極的に改善を進めていきたいです。実装や修正にはエンジニアのサポートが必要となるケースも多いと思いますが、今回の記事のようなロードマップを用意しておけば、スケジューリングの把握にも役立ちそうです。

改めて、自身のサイトにおけるテクニカルSEOの現状を振り返ってみてはいかがでしょうか?

CROとSEO。あなたが今すぐ取り組むべきは、どちらか?

かたやコンバージョン、かたや検索エンジン。対象は違えど、最適化が目的であることは共通しています。

しかし、CROとSEOはそれぞれがマイナスの影響を与えてしまうといった考え方も散見されます。過去においてはそういった状況が生まれていたかもしれませんが、現在はそれぞれが補い合う(むしろ高め合う)といった関係性のほうが正しいと感じています。特にSEOは「Search Experience Optimization」であるという認識も浸透し、ユーザーに目を向ける施策と考えるべきでしょう。

今回はCROとSEOの関係性を改めて考えさせられる記事を紹介します。

※CRO=コンバージョン率最適化
※SEO=検索エンジン最適化

※今回の記事は、14,000文字弱と非常に長いものとなっておりますので、ぜひまとまった時間のある時に読んでいただければと思います。

検索意図に沿わない記事をGoogleはどのように評価するか

Webサイトへのトラフィックが急増した際の喜びは驚くべきものだ。

その理由は、ソーシャルメディアで拡散されているからかもしれないし、検索エンジンからのトラフィックが継続的に増加しているからかもしれない。

しかし、Webサイトの分析ツールのアカウントにログインした後、大きな衝撃を受けるかもしれない。

そして、

一気に落胆してしまうこともあるだろう。

なぜなら、そうしたページビューの増加が、あなたのビジネスに何一つ貢献していないことがわかったからだ。

 

・・・。

 

コンバージョンがまったくない、といった場合もあり得る。

そして、あなたはその理由を探るべく、より深い分析を行う。

ここで明らかになった事実は、上位表示させたいと願っている、あなたのビジネスにとって重要なターゲットキーワードからのトラフィックがまったくないということだった。

かのブライアン・ディーン氏(https://backlinko.com/)でさえ、この状況に陥ったことがある。彼は、「高品質 バックリンク(high quality backlinks)」というキーワードをターゲットに設定し、「ゲスト投稿をしないで高品質なバックリンクを獲得する方法(How to Get High Quality Backlinks[Without Guest Posting])」という記事を作成した。

その後、何が起こったのだろうか?

この記事は、「ハイになる方法(how to get high)」というキーワードで6位に表示されることからスタートした。

非常におもしろい。

しかし、その後、このキーワードにおける順位は12位まで下降した。

さらに、14位まで下降する。

そして、25位。最終的には33位まで下降した。

ターゲットキーワードとの関連性がなく、エンゲージメントの低い記事はいずれ順位が下降する

なぜGoogleは、「ハイになる方法(how to get high)」というキーワードで、彼の記事の順位を下降させたのだろうか?

彼の記事はターゲットキーワードとの関連性がなかったのだ。ハイになりたい人は、リンク構築などに全く興味が無いはずだ。

しかし、Googleのアルゴリズムは、どのようにして彼の記事を上位表示し、その後に順位を下降させるという判断を下したのだろうか?

ブライアン氏は、その答えを彼のGoogleアナリティクスのデータから発見している。彼のサイトにおける、ページの平均滞在時間は2分57秒だった。

しかし、「ゲスト投稿をしないで高品質なバックリンクを獲得する方法」の記事においては、平均の半分以下であった。たったの1分12秒である。

この記事へのエンゲージが低いと言えることは明らかではないだろうか? ハイになりたい人たちは、通常、バックリンクについて気にも留めていないだろう。

つまり、インターネット上の全ての人々があなたの顧客ではないのである(私が初めてのビジネスをローンチした際、同じ過ちをしていた)。あなたは、SEOとCROにおけるターゲット・オーディエンスを定義する必要がある。そのために、ペルソナの作成が有益だろう。

多くのキーワードから流入を獲得するだけでは、多くの利益を上げられない

しかし、私が最も主張したい内容は、「多くのキーワードから流入を獲得するだけでは、多くの利益を上げられない」、ということだ。コンバージョンの最適化も必要になるのだ。

あなたのサービスやプロダクトに興味がある、質の高い訪問客を獲得するためには、業界特有のキーワード(※)をターゲットに設定する必要がある。これこそが、コンバージョン最適化である。
※ロングテールキーワードのコンバージョン率は高い

ショートテールとロングテールのコンバージョン率を表すグラフ。ロングテールになるほど、コンバージョン率は高くなる。

より多くの顧客を獲得するために、一定のトラフィックを失う必要があることも覚悟すべきだ。

にわかには信じられないだろうか?

そういった方のために、1つの例を挙げてみよう。

ウィリアム・リード氏は、彼の顧客のWebサイトの流入成長がゆっくりと鈍化していることに気がついた。6ヶ月間で、10-13%しか成長しなかったのである。

分析を進めたところ、月間の検索数が50,000のキーワードで1ページ目に表示されていることを発見した。しかし、このキーワードは、彼のクライアントのサービスと深い関係のないキーワードであった。

そして、ウィリアム氏と彼のクライアントは、このキーワードの順位をゆっくりと下げることを試みた。また、偶然訪れたわけではない、訪問する意図を持った人々からのトラフィックを獲得することに集中した。

この施策を行うことで、ウィリアム氏のクライアントのWebサイトのトラフィックは減少していった。

しかし、彼らの利益は増加した。

馬鹿げた話しだろうか?

SEOとCROを組み合わせ、高い利益の獲得を実現する

下記のグラフを見てほしい。

※1 Revenue・・・収益
※2 Ranking・・・順位

この事実は、「最初からあなたの労力と費用をコンバージョン目的のための施策に費やすべき」ということを意味しているのだろうか?

いや、そうではない。

一定の訪問客がいなければ、最適化の対象すらいなくなってしまうからだ。

これが、私がKISSMetricsCrazyEgg、そしてNeilPatel.comにて、Webサイトの最適化を行い、100,000人の訪問客を獲得することに注力した理由だ。しかし、トラフィックが成長するかたわら、オプトインとリードマグネットを用い、リードの獲得の準備も進めていた。下記にコンバージョンファネルを記載する。

CRO(コンバージョン率最適化)とSEO(検索エンジン最適化)はお互いを傷つけ合うものではない。自社におけるこの2つの部署は互いに施策を進め、コンバージョン・ファネルを通じて、高い利益獲得を実現すべきなのだ。

SEOとCROにおける、3つのステージとフレームワーク

「CRO(コンバージョン率最適化)とSEO(検索エンジン最適化)は共存共栄でき、高い利益獲得を実現できること」を明らかにすることが、この記事の目的である。

その目的を達成するため、3つのステージのフレームワークを用意した。より多くのバックリンクを獲得すべき段階か、より多くのランディングページを作成すべき段階かを判断し、コンバージョン率の最適化とWebサイトの最適化を導くためだ。

ステージ1:十分に練られたコンテンツ・マーケティングとリンクビルディング・キャンペーンの実施。

あなたのWebサイトに掲載しているページの多くは、顧客の生活に価値を与え、信頼を獲得し、業界内の権威を確立するために存在している。

ファネルの上部に位置する、話題になるような高品質のブログを思い浮かべてほしい。

NeilPatel.comでもいい(もちろん)。Quick SproutCopybloggerProBloggerでも良いだろう。

こうしたサイトが全ての記事において、商品(無料トライアルも含む)や有料コースの紹介をユーザーに表示しているだろうか?

そんなことをすれば、ユーザーは不快に思うことだろう。

Webサイトのエンゲージメントを下げ、結局は売上も減少してしまうことだろう。

お金を稼ぐことがビジネスを行う唯一の目的であるべきではない。ターゲットオーディエンスの人生に価値を提供することも目的とすべきだ。

ラミット・セシ氏がI Will Teach You To Be Richのサイトで、98%のコンテンツを無料で提供しているのはそのためだ。

私は98%のコンテンツを無料で提供している。私が無料で提供しているコンテンツが、他のどの有料コンテンツよりも優れた内容になることを目指している。

私もユーザーに価値を提供するためのコンテンツ作成に数千ドルを投じ、それらを無料で公開している。これが、コンバージョンファネルにおける第一歩となるのだ。

Mozのメンバーは、かつて、SEO目的のページとコンテンツマーケティングがコンバージョンを導くものと信じていた。こうしたページに訪れた新規の訪問者が、無料トライアルを試し、Mozのソフトウェアを購買し、APIの利用契約を結んでくれると考えていたのだ。

その後、Mozのメンバーは、このような短絡的な考えは良くないと気づき始めた。彼らには、訪問客をコンバージョンへと促す、よく練られたランディングページが必要だったのだ。

マーケターとして、検索者のクエリを満たすためのみに設計された、教育的なコンテンツ(下記のMozのページのように)から何を得られると考えるだろうか?

  • 検索者のクエリを満足させるために設計されている。
  • リンク、共有、エンゲージメントの構築を狙っている。
  • コールトゥアクションは存在しない。

ターゲットオーディエンスを教育し、彼らが課題を乗り越える手助けをする。

ただ、それだけだ。

そして、どのような結果をもたらすか、あなたはすでに理解しているはずだ。

あなたのWebサイトを訪問し、記事を読むだけのユーザーもいるだろう。

もちろん、記事にコメントを残したり、ソーシャルメディアでシェアをしてくれたり、何らかの方法でWebサイトとの交流を行ったりするユーザーもいるだろう。

しかし、大多数のユーザーは記事を読み、去っていくはずだ。

90-9-1のルール」をご紹介しよう。90%のオーディエンスはただの傍観者であり、あなたのコンテンツへの関わりは薄いだろう。

この段階で行える唯一の戦略は、コンテンツのアップグレードやリード獲得を、初回訪問者に対しEメールアドレスとの引き換えに提供することだ。こうすることで、再訪問によるトラフィックを生み出してくれるメンバーを獲得することになる。

あなたはこう考えるかもしれない。

「無料のコンテンツを提供したところで、私のビジネスにおけるROIはどうなるのか?無料トライアルの利用獲得でもないのに?」

あなたのオーディエンスへ価値を無料で提供することは、コンバージョンファネルの初期段階における関係性として非常に良好である。見込み客をファネルの内側へと導き、さらに奥へと促すことも可能だ。

自然検索からの流入の多くは、あなたのブランドへの信頼性を構築するものであり、それは無料のトライアルを開始する前に必要とされるものだ。Mozの場合、ユーザーが彼らの製品の無料トライアルを申し込む前に、平均で7.5回の訪問があるという。

こうした、無料トライアルの前段階の訪問は、MozのWebサイトのどこで発生するのだろうか?

ランド・フィッシュキン氏の言葉を引用しよう。

(無料トライアルの前段階の訪問は)4/5回はコンテンツで発生する。製品ページでもなければ、価格表やその他ファネルのどのページでもない。その内の2回はソーシャルからの訪問であり、自然検索からの流入は非常に少なく、残りの1回か2回はダイレクトの流入だ。

もし、コンバージョンに注力した考えを持っているのであれば、Webサイトへの訪問の多くが無駄なものであると考えるかもしれない。自然検索からの流入の多くが、コンバージョンにつながっていないという考えだ。

しかし、MozのWebサイトへ2~3回しか訪問していないユーザーが無料トライアルを開始したらどうなるだろうか?

おそらく、彼らの多くがMozの無料トライアルを十分に使いこなすことができず、有料版へのアップグレードも行わないだろう。

そのため、Mozはコンテンツマーケティングとコンバージョンファネルを明確に線引している。

これにより、高品質のコンテンツを作成し、バックリンクを獲得し、コンバージョン最適化を考慮し、SEOを実践するという、ビジネス上の大きなインパクトにつながるだろう。

この形式のWebサイトの最適化は、Webサイトの信頼性にポジティブに作用し、Google目線での権威性の獲得にもつながるだろう。

コンバージョン最適化を目的として商品ページを作成した場合でも、そのページへのリンクビルディングを行わずに、ターゲットキーワードで1ページ目に表示されることもあるだろう。

この説明のためにECサイトでの例を挙げたい。

下記は「men’s tuxedos(男性用タキシード)」の検索結果だ。Nordstrom’sのページが1位に表示されている。このページが最も多くのリンクやソーシャルメディアでのシェアを獲得しているからではない。Nordstrom’sのSEOとサイト全体の権威性が理由となっている。

ランド・フィッシュキン氏の解説を記載しよう。

Nordstrom’sはオンライン・オフラインの両方で高い評判を得ている。ブランド自体とWebサイト全体におけるポジティブな指標だ。

  • 上位表示とコンバージョンの両方が必要
  • 価値のある情報と明確なコンバージョンの導線
  • ホストドメインが構築してきた権威性を活用している

新しくECサイトを構築する計画がある人は、「相手がNordstrom’sでは・・・。」と考えるかもしれない。「Nordstrom’sのようなこの業界における権威性はないし、予算だって比較にならない」と。

新しいECサイトが毎月何百万ドルも稼いでいるAmazonのような相手に打ち勝つことは可能だろうか?

答えは、Yesだ。

ブライアン・ディーン氏が紹介している、クリス・ローセン氏の例は非常に興味深い。デンマークのとあるECサイトが、一単語も記事を書かずに上位に表示されたのだから。彼が保有するJustBuyIt.comは消費者向けの電気商材を扱っている。

彼は、全くコンテンツを書かずに、どのようにして上位表示を達成したのだろうか?

彼は、業界内で引っ越し、または、閉鎖されたWebサイトへのリンクを貼っているサイトを探した。そして、そうしたサイトのオーナーに連絡をとり、自身の商品・カテゴリーページにリンクを設置することを依頼したのだ。

ブライアン・ディーン氏はこれを、Moving Man’s Methodと呼んでいる。SEOにおいて、鍵となる方法だろう。1時間ほどの作業でクリス氏はJustBuyItの被リンク数を劇的に上昇させることができた。

コンテンツに関連性のあるリンクを獲得したことで、そうしたリンクからの流入とコンバージョンを大きく向上させた。

ブライアン・ディーン氏作成の下記の動画を視聴すれば、こちらのリンクビルディングの手法がより良く理解できるだろう。

Youtube:Advanced SEO Strategy That Gets Results

SEOとWebサイトの最適化・コンテンツマーケティングについて理解を深めたいのであれば、下記の2記事をおすすめする。

この段階では、SEOの技術的な最適化も行うべきだろう。検索エンジンにあなたのWebサイトをインデックスしやすくしてくれるようにすることが目的だ。私が執筆した、「ビギナー向け技術的SEOのスタートガイド(英語)」を参照して欲しい。

  • Technical:テクニカル
    技術的なSEO。この領域のSEOは、検索エンジンがあなたのコンテンツをクロールし、インデックスしやすくするための施策がメインとなる。
  • Off-Page:外部施策
    サイト外のSEO。この領域のSEOは、外部のWebサイトからあなたのサイトへのリンクを獲得するための施策がメインとなる。関連性があり、権威性のあるWebサイトからの自然なリンクは、「そのWebサイトへの投票」となり、検索エンジンによる信頼性の獲得につながる。
  • On-Page:内部施策
    サイト上のSEO。この領域のSEOは、Webサイト上のコンテンツ作成がメインとなり、関連するキーワードへの最適化を目指すことになる。訪問者への「ユーザー体験」をより良いものにすることが鍵となる。

SEOとコンテンツマーケティングの施策を行うことで、Webサイトの最適化の結果、トラフィックが上昇していくことだろう。これは、オンラインとオフラインの両方で、広告への費用を抑えることにつながるだろう。

備考:インプレッションがベースとなるモデルのビジネスを行うWebサイトについて
このステージ以上のことを望む必要はないだろう。なぜなら、より多くの時間をユーザーがあなたのWebサイトで過ごし、直帰率を下げ、多くのトラフィックが生まれること自体がコンバージョンとなるためだ。

Googleアナリティクスでこちらをゴールに設定しよう。コンバージョンファネルを意識しつつ、より多くのトラフィックを獲得し、Webサイトの最適化に注力しよう。

広告の設置場所のテストも必要だ。私が執筆した「バナー広告をより多くの人に見てもらうために」を、まずは参照して欲しい。コンバージョンファネルとコンバージョンの最適化を検討するさいに、大きな手助けとなるはずだ。

備考:SEOの成果を見極めるために3ヶ月間待ち、その後、ステージ2に進むといったやり方を私は推奨しない。可能であれば、Webサイト最適化、SEO、コンテンツマーケティング、コンバージョン最適化は、並行して行われることが理想だ。

Webサイトの最適化とオンラインマーケティングに唯一の方法などはない。広告の予算が潤沢にある場合、ランディングページを作成し、広告キャンペーンを行い、多くのリード獲得を目指せばいい。これは効果的なコンバージョン最適化の手法である。しかし、インバウンドマーケティングは、伝統的なアウトバウンドマーケティングと比べ、リードあたりのコストが62%も少ないという事実(参照)を知っておくべきだろう。

ステージ2:CROの無いSEOは存在しない。逆もまた然りだ。両者は手を取り合って進めることができるのだろうか?

権威性の構築と関連のあるコンテンツからのリンク獲得を行い、ブランド構築のためのコンテンツ作成も完了している段階だろう。願わくば、十分な量のEメールリストを保持しており、Webサイトへのトラフィックも順調に伸びている状態が望まれる。

これは、まさに、ビジネスを開始する前にターゲットとなるオーディエンス間で評判を構築しているためのアプローチである。

しかし、Webサイトの最適化とSEO戦略を用いてトラフィックを獲得する理由はどこにあるのだろう?

自然検索からのコンバージョンを獲得するために他ならない。より正確に表現すると、自然検索の流入から収益を得るためである。

あなたは、自身のWebサイトを、ただコストを垂れ流す存在にはしたくないはずだ。

CROをSEOの敵と考えるべきではない。両者は共存することが可能なチームであるのだ。

オンラインの体験の90%が検索から開始されるが、マーケティング費用の全てを検索結果における上位表示を獲得するためだけに使うことはできないだろう。

特定のキーワードにおける順位とは、究極的には虚しい指標となってしまう。あなたはすでに、自然検索へのスムーズなナビゲーションと最高の体験の提供に注力すべきことを理解しているはずだ。そうすれば、顧客があなたのWebサイトに何のために訪問したかが理解できるようになる。

CROの重要性を説明するために、私自身のビジネスの事例を紹介したい。

Crazy EggというWebサイトの事例だが、こちらのトップページの最適化を行うために、CROのエキスパート達を雇用した。

彼らはコンバージョン率を30%高めるという偉大な結果を残した。

どのようにして彼らはこの数字を達成したのだろうか?

彼らは、簡潔であったトップページを長文形式の訴求コンテンツに変容させた。改修されたページは20倍ほどの長さになった。

※トップページを改修し、長文化した図

私は長い形式のコンテンツの効果を信じていたため、非常に喜んでいた。長いマーケティングコピーであれば、ユーザーのあらゆる疑問や目的に対応できると考えていたのだ。そして、それは常にコンバージョンにおいても良い結果を生むと考えていた。

この時までは・・・。

長い形式のトップページのヒートマップを見てみると、ページ下部(価格が記載されている箇所)に向かってエンゲージメントを獲得できているわけではないということに気がつく。

※ヒートマップの色が赤から青に変わるにつれ、エンゲージメントが下がっていることを示す

Copyhackersのジョアンナ氏の説を引用したい。

彼女はセグメント化した顧客のSEO調査を行い、また、テスト用に4つのタイプのトップページを作成した。

そう。短いコンテンツも含まれている。

結果はどうだっただろうか?

最も効果的だったコンテンツは、表面的なストーリーのない、簡潔なコンテンツだった。最も効果的だったコンテンツの長さは60%ほどであり、訪問者が抱える主要な関心事と目的には回答できており、コンバージョンファネルに沿って設計されていた。Webサイト最適化の偉大な事例だったと考えている。

自然検索からのトラフィックにおけるコンバージョンは13%も増加した。

そして、長い形式のコピーはあらゆる状況で効果的であるという私の仮説は間違いであったことがわかった。簡潔なマーケティングが成功することについては、「ロングコピー対ショートコピー – どちらがよりベターか?(英語)」に詳細を記載している。

これこそが、私が自身のWebサイトのテストを行うために、CROコンサルタント達を$252,000で雇用した理由である。Webサイトへのトラフィック単体では、ビジネスの成功を判断するためには、信頼できない指標となってしまうのだ。

一日に10,000の流入があるが、数秒で離脱してしまうユーザーが多いという場合、何が原因となっているのだろう?

もしかしたら、CROがSEOにマイナスの影響を与え、自然検索結果からの流入が減少してしまうということを恐れているかもしれない。

そこで、Webページのランキングに影響する要素を見てみよう。そして、CROのテストで必要な箇所も確認してみよう。

  • KW(Keyword & On-Page)・・・キーワードとオンページ
  • CQ(Content Quality)・・・コンテンツの品質
  • DA(Domain Authority)・・・ドメインの権威性
  • PA(Page Authority)・・・ページの権威性
  • UD(User & Usage Data)・・・ユーザーデータ
  • SP(Spam Analysis)・・・スパム分析

CROは上記のSEOに関連する要素のうち、3つの領域の変更にすぎない。よほど怪しい施策を行わない限り、ドメインとページの権威性が失われることはないはずだ。

CROのための変更は、これら3つの要素(キーワードとオンページ、コンテンツの品質、ユーザーデータ)の変更に過ぎない

CROのスプリットテストを行い、ページのコンテンツ、キーワードの使用率などを変更してみよう。

これらの要素を、検索エンジン経由で訪問するユーザーに最も関連するバランスを取ることができれば、コンバージョン率も高まるだろう。

しかし、こうした変更は、ただ単にコンバージョンを増加させるものではない。

コンバージョンの最適化、エンゲージメント、ページ滞在時間なども増加させるだろう。なぜなら、検索経由のユーザーはよりあなたのページに興味を持つはずだからである。

そして、

サイトの滞在時間と直帰率はランキングに影響することをご存知だろう(画像)。

CROのためのキーワードの変更などがSEOにマイナスの影響を与えると考える必要はないだろう。

さらに、SEOとCROのチームが手を取り合いながら議論できる、全体的なマーケティング戦略の施策のための2つのアイデアを紹介したい。

1.検索結果の広告で、実際にユーザーがランディングしたデータを活用する

厳格なテストの結果、あなたの現状のコンテンツはユーザーの意図に即していないことがわかったとする。

この結果を受けて、SEO担当者は何をすべきか?

オーディエンスが実際に使用する用語を含め、検索エンジン経由のユーザーの期待に沿うように、コンテンツの最適化を進めるのだ。Webサイトを居心地のいい場所にし、コンバージョン最適化を用いて目的を明らかにさせるのだ。

ケイト・モーリス氏が、非常に優れた例を提供してくれている。PPCキャンペーンからのCROがオンページSEOにおける改善を提供してくれるという内容だ。

2.ブライアン・ディーン氏による、クラシックな手法だ。彼が作成した、トラフィックを獲得するためのコピーライティングのリストを見てみよう(参照)。

まずは簡単な質問から始めよう。検索結果におけるより多くのクリックを獲得したくはないだろうか?

もちろん、Yesだろう。

より高いCTRはより多くのトラフィックを生み、最終的にはランキングにも影響する。

検索結果画面に表示されるスニペットは、メタ・ディスクリプションの内容が反映されることはご存知だろう。

下記で、最適化されたスニペットとそうではないスニペットの比較をしてみよう。

  • 上部・・・最適化されていないスニペット
  • 下部・・・最適化されたスニペット

どちらがより多くのクリックを獲得できるかは、明らかだろう。

メタ・ディスクリプション内にターゲットキーワードを含めるのはよいことだ。しかし、160文字のテキストで、ユーザーの関心を惹かなければならない。

ユーザーが抱える問題に対するソリューションがあるということを、どのようにして訴求すべきか?

検索結果画面でのCTRを高めた実績のある単語やフレーズを使用するのだ。

そうした単語やフレーズはどこにあるのだろう?

それは、アドワーズの文言の中にある。

こうした広告はマーケティング会社が多くのコストを投じて作られており、300%を超えるROIをもたらしている。

彼らは数千のスプリットテストを行い、顧客へ最も効果的に訴求できる言葉を選び、クリックを獲得している。これを使わない手はない。

あなたのスニペット文をより効果的にするため、こうしたワードをメタ・ディスクリプションに含めるのだ。

例を挙げてみよう。

ブライアン・ディーン氏の「リスト構築」の記事のスニペットを下記に記載する。

※訳:あなたがメーリングリストを作るのに使える、とてつもなく実用的なリスト構築戦略。より多くのメール購読者を得るならこちらをクリック

それほど魅力的な内容ではない。

タイトルタグは見切られており、メタタグの内容も意味をなしていない。

ブライアン氏は彼の記事の主題である「リスト構築」をアドワーズで調べてみた。

そして、「リスト構築」というキーワードは、「Eメールリスト」という単語とよく使われていることを発見した。

彼は、「Eメールリスト」という単語をメタ・ディスクリプションに含めた。

そして、「構築」や「成長」といった単語もよく使用されていた。

こうしたアイデアを自身のメタ・ディスクリプションに含めてみた。

非常にシンプルではなかろうか?

このようにして、ブライアン・ディーン氏は、より多くのクリックを獲得するマーケティングワードのリストを作成したのだ。

ここで、彼の戦略をあなたが行う場合に有用となるツールを紹介しよう。

効果のあるメタディスクリプションを作成するためのツール

i.Spyfu.com

(日本語非対応と思われる)

キーワードを入力し、ページ下部までスクロールしよう。

入力したキーワードの全てのアドワーズ広告が表示される。下記は、「keyword research」の結果だ。

ii.Yoast SEO
ワードプレスを使用しているのであれば、この非常に強力なツールを使用することでメタ・ディスクリプションの編集が容易になるだろう。アドワーズの文言から得たアイデアを組み込めばいい。

※Yoast SEOを使うと、タイトルやメタディスクリプションなどの項目を記事ごとに容易に変更することができる。日本語対応もされている

備考:A/Bテストを行うために、ユーザーごとに違うコンテンツを提供することが、Googleを混乱させてしまうと心配する必要はない。Googleボットにも、ユーザーと同じコンテンツを表示させてあげればよい(クローキングをしないということだ)。

そして、A/Bテストのために使用するURLには、rel=canonicalを設置しよう。その他のアドバイスは、「WebサイトのテストとGoogle検索(Google Webmaster Central Blog)」を参照して欲しい。GoogleもA/Bテストの実施を勧めている。Google自身も彼らのコンテンツに対するテストを行っているのだ。

ステージ3:CROとSEOの争いを終わらせよう。比類なきユーザー体験を訪問者に提供することに注力しよう。

Webサイトを根幹から見つめ直した場合、CROもSEOもユーザーに注力することが求められていることに気がつくだろう。検索エンジンのボットに提供するものではないのだ。検索エンジンのアルゴリズムを騙す行為は、安定的でなく、効果的でもない。

5年前まではCROとSEOに影響を与える異なる要素があり、ユーザー体験は組み込まれていなかった。しかし、Googleのアルゴリズムは常に進化している。

複数のアップデートの結果、SEOとCROは共に最高のユーザビリティを顧客へと届けることに主眼を置くものになった。

ページスピードはランキング決定の重要な要素であり、遅いページはコンバージョンにも影響する(1秒の遅れは売上の7%の喪失に値する)。

付加価値を与える内容と関連性のあるコンテンツは上位表示させるために重要な要素だ。同様に、より多くのコンバージョンを得るためには、強力な価値の提案が必要であり、それは説得力と関連性のあるコピーによって作られる。そうすることでしか、見込み客をコンバージョンファネルの次のステップに導くことができない。

人工的なリンク構築はもはや意味をなさない。権威性のあるページからのリンク獲得が重要だ。コンバージョンへと導くリンクを獲得することは、ランキング上昇の強力な後押しとなる。

適切な見出しタグを使用して、コンテンツの優位性をつける。ユーザーの期待に沿うため、目次の掲載はSEOにおいても有効だ。あなたが届けたいメッセージの順番を注視することになるため、コンバージョンの増加も期待できる。

数千ドルの費用をユーザー体験のために投資することは、理にかなっているだろうか?

ユーザー体験におけるROIについては、下記の動画を視聴して欲しい。

Youtube:The ROI of User Experience

かつて、私はユーザー体験(UX)をSEOの未来だと考えていた。今では、ユーザー体験がどれほど重要か、あなた自身が実感していることだろう。

「オンラインマーケティング(online marketing)」の検索結果を見て欲しい。私のWebサイトであるQuick Sproutが1位に表示されている。ForbesやWikipediaといった、権威のあるサイトよりも上位なのだ。

ページ単位の指標を確認してみると、私の記事が最も多くのリンクを獲得しているわけではないことがわかる。ページの権威性のスコアも、最上位ではない。

しかし、私のWebサイトは最高品質のユーザー体験を提供しているはずだ。独自のグラフィックの作成や各領域のエキスパートを採用するために、$40,000の費用を投資した結果である。

似たような例を紹介しよう。デレック氏は、彼の顧客にアピールするために、エレガントでシンプルなデザイン設計のために、$25,000を彼の新しいブログに投じた。優れた考えを持ち、受領歴のあるデザイナーを徹底的に探したのだ。

パーソナル化された体験をオーディエンスへと届けるその他の例として、パット・フライム氏の例を挙げよう。彼は、135,000名のEメールリストの管理をAweberからInfusionsoft、そして、Convertkitへと変更した。

彼はなぜこのようなことをしたのだろう?

定期購読者にパーソナル化された体験を届けるためだ。彼らの興味に即して、最も関連性のあるコンテンツのみを提供するのだ。

短期的なコンバージョンの増加に注視すべきでない。ネガティブなメッセージのポップアップでEメールのリストを増やしても、長期的な関係を結ぶことはできないだろう。

(訳:あなたの肌を破壊し続ける驚くべき32の物質:健康的な肌を手に入れる)

長期的な成功を目指そう。

あなたが提供する価値に説得されたユーザーの生涯価値は、騙すことによってEメールのリストに追加されたユーザーのそれと比べ、非常に高いものとなるだろう。

顧客により良い体験を提供することは、顧客のロイヤリティにも寄与し、コンバージョンの最適化を導くものだ。ハーバードビジネスレビューによると、カスタマーリテンションを5%あげることが、収益を25%増加させることになる。

これが、ユーザー体験の最適化がCROの中心に位置づけられている理由である。ユーザー体験の重要な要素をベースとして、あなたのWebサイトを設計しよう。

結論:SEOとCROは共存共栄の関係である

Webサイトへのトラフィックが充分でない場合は、ステージ1のキラーコンテンツの作成から取り掛かろう。なぜなら、コンバージョンの最適化は、コールトゥアクションのボタンの色、位置、サイズ、フォントなどの変更によってのみ達成されるものではないのだから。

顧客の調査から始め、自身のブランドをアピールしよう。よく練られた、訴求力のある言葉を作成しよう。ターゲットとなる顧客があなたのブランドを発見すれば、あなたはシンプルなコンバージョンへの道筋を提供する。こうした一連の作業が、コンバージョンの最適化となる。

A/Bテストを行うに足る、十分なトラフィック量はあるだろうか? そうであれば、ステージ2に進んで欲しい。SEOとCROから得られた両方のデータを活かすことで、高いエンゲージメントと売上を達成する手助けとなるだろう。

究極的には、ターゲットオーディエンスのユーザーインテントを満たすことになるのだ。コンバージョンを最適化し、高品質で関連性のあるコンテンツの作成に努め、最高の体験を顧客に提供することだ。

CROとSEOは常に共存できる関係であることを忘れないで欲しい。CROのテストを行い、フラッシュを使用したWebサイトが高いコンバージョンであったとしても、SEOを破滅させるものではない。

ケイト氏は、SEOを安定させたままコンバージョンの最適化を行うための5つのステップを紹介してくれている。

全体的なマーケティング戦略を採用することで、より良質な訪問客を獲得することができる。SEOとCROをうまく統合させることは、あなたのビジネスのオンラインマーケティングの目標達成の手助けとなるはずだ。

この記事を読むことで、CROとSEOは対立するマインドセットではないことをご理解いただけたと思う。

さあ、次はあなたの番だ。あなたのデジタルマーケティングの戦略は、ユーザー体験を考慮に入れたものとなっているだろうか? CROがSEOの手助けとなる(逆もまた然り)事例をお持ちの場合は、ぜひ共有していただきたい。

この記事は、NEILPATEL.comに掲載された「CRO vs SEO: Which One Should You Focus on Right Now?」を翻訳した内容です。

記事中にもありましたが、Googleのアルゴリズムは常に変化・進化を続けており、検索エンジンを騙す手法は淘汰され続けています。反対に、ユーザーに目を向けるべき傾向は加速し続け、今後もこの傾向は変わらないはずです。

CROもSEOも、その手法や指標は違えど、ユーザー体験を第一に考えることは共通でしょう。

Webサイト最適化の名の下、それぞれの施策を効率よく組み合わせていければ理想ですね。

アイオイクス株式会社では、SEOとCROを中心としたコンサルティングサービスを行っております。

ご興味のある方は、ぜひ一度サービスページをご覧ください。

Web上の”評判”は、いかにして、SEOにおける主要なランキング要素となったのか?

Googleのランキング決定の仕組みは複雑さを増しており、その全てを把握することは非常に困難です。その中でも、Web上の”評判”や、それに関わる品質の算出方法が単純なロジックで作られているとは考えづらいです。

今回の記事は、Googleの品質評価のアルゴリズムに関する非常に難解なトピックを扱っておりますが、得られる考えは特別なものではないと考えています。結論としては、「適切だと思われることはすべて行うべき」ということになりますが、記事の最後には、その重要性を再確認できるものと思われます。

※今回の記事は、15,000文字弱と非常に長いものとなっておりますので、ぜひまとまった時間のある時に読んでいただければと思います。

検索結果上のトップの座を維持したいのであれば、Webサイトのユーザービリティとコンテンツの品質の算出方法について学ぶ必要があるだろう。

私は、10年以上前から、Googleが自然検索のランキングに品質スコアを使用する可能性を唱えてきた。また、GoogleがWebサイトの品質を定量化するための複数の方法と、定量化のために不可欠となる特定の要素についても意見を述べてきた。

ここ最近のコアアルゴリズムの更新やメディック・アップデート、また、Googleによる品質評価ガイドラインの公開は、そのビジネスの評判がSEOにおける鍵となることを示唆している。Googleの自然検索のランキングにおける品質の定量化の仕組みに興味があれば、この記事を読み進めてほしい。

Googleが品質スコアを自然検索に用いる可能性を私が初めて示唆したのは2007年のことだった(外部記事:Google Quality Scores for Natural Search Optimization)。

また、次のようなページの重要性についても意見を述べてきた。

  • 我々について(About Us)のページを充実させることで、そのWebサイトの背後に誰がいるかをユーザーが知ることができる。
  • よくできたお問い合わせ(Contact Us)ページは信頼性を高める。
  • さらには、より良いユーザービリティとユーザー体験、コピーライトの宣言、適切なつづりと文法。

Googleのアルゴリズムがどの方向に進化していくのかは、こうした要素から読み取れるのだ。

Googleの「品質評価者のためのガイドライン(Quality Evaluators Guidelines)」、または、「品質評価ガイドライン(QRG:Quality Rating Guidelines)」に書かれていることは、上記の私の主張と近しい内容となっている。

Googleの品質評価ガイドラインと最近のアップデートとの関連性

品質評価ガイドラインに記載されている品質に関する要素は、Googleの検索順位により大きな影響を与えているようになっている。

このようなことを言うと、「まいったなー。彼は品質評価ガイドラインについて見当違いの発言をしているよ」と思われるかもしれない。

他方で書かれているとおり、また、(過去の流出も含め)品質評価ガイドラインが公開されて以来、Googleは評価者による点数はランキングに直接の影響を与えない、と明言しているからである。特に、ジェニファー・スレッグ氏は、ダニー・サリバン氏から「人間の評価者による評価は、アルゴリズム用の機械学習に使用されていない」という証言を得ている(外部記事:Google Does Not Use Quality Raters for Machine Learning Algos)。

彼はTwitterでの返信(ツイートへのリンク)にて、「我々はそのように用いていない」と発言しているのだ。ダニー・サリバン氏はさらに、「評価者のデータはレストランが用いるフィードバック用のメッセージカードのようなものだ。レストランはそれによって、彼らの”レシピ”がうまくいっているかどうかを確認している」と続けている(ツイートへのリンク)。

重要事項:評価者は検索結果のランキングのコントロールはできない。評価者によるデータは我々のアルゴリズムに用いられていない。我々は評価者によるデータを、レストランが提供したディナーのフィードバックを受け取るような形で用いている。そのフィードバックは、我々の検索”レシピ”がうまく機能しているかを知る手助けとなるのだ。

多くの人がガイドラインで言及されている特定の事柄をランキングシグナルのように扱っている。特に、Googleが”E-A-T”と呼ぶ、専門性(Expertise)、権威性(Authority)、信頼性(Trust)については顕著だ。

例えば、マリー・ハイネス氏は、品質評価ガイドラインで言及されている事柄がランキング要素に影響している可能性を主張している。例えば、BBB(*1)のランキングや著者の評判といった要素だ。

もちろん、この主張に反対している者もいる。また、Googleのジョン・ミュラー氏は、Googleは著者の評判を調査しておらず(YouTube)、BBBのランキングのような格付けも使用していない(YouTube)と述べている。

*1 Better Business Bureau:アメリカの商事改善協会

同時に、Google社員はWebマスターに対し、「ただ品質のみに注力すべし」とアドバイスを送っている。そして、可能な限り高品質なコンテンツを作成するために、品質評価ガイドラインを読むことも勧めている。これは、昨年10月のコアアルゴリズムの更新が行われたさい、ダニー・サリバン氏が言及したことでもある。

優れたコンテンツ作成のためのアドバイスとして、Googleの品質評価ガイドラインを読むことを勧める。評価者は、Googleのアルゴリズムが適切な検索結果を提供しているかについてのフィードバックを与えてくれる人々であり、我々が行った変更がうまく行っているかを確認する手助けとなっている。

そして、Google検索・Googleアシスタント・GoogleニュースのVPであるベン・ゴメス氏も昨年のインタビューで下記のように述べている(外部記事:We sat in on an internal Google meeting where they talked about changing the search algorithm — here’s what we learned)。

品質評価ガイドラインを「我々がアルゴリズムを向かわせたい場所」と捉えることができる。品質評価ガイドラインにはアルゴリズムがどのようにしてランキングを作成しているかについて書かれているわけではない。しかし、アルゴリズムが行うべき根本的な内容について書かれている。

論点をうまくズラされているようにも感じる。GoogleはWebサイトの品質をアルゴリズムによってどの程度正確に判断できているのか。もちろん、これにはある程度主観的とも思える、専門性・権威性・信頼性・評判も含まれている。Googleのアルゴリズムはこうした概念を定量的な基準に落とし込まなければならない。また、そうした基準は測定可能であり、競合しているサイトやページ間の比較も可能である必要がある。

過去のアルゴリズムのいくつかは、このプロセスを指し示していたと思う。そして、人々がGoogleに尋ねた質問の内容、Google社員が様々な形で返答した内容、人々がその返答を解釈した内容に齟齬があったとも考えている。多くの推測が、考えの浅い、理論的な要素に注力していたようだ。その中には、Google社員が直接否定していた要素も含まれている。

もし、Googleが人間の評価者にサイトのE-A-Tを算出するように依頼し、しかし、検索結果のランキングにはそれらを組み込まないのであれば、アルゴリズムは何を使用しているのだろうか?BBBの格付け、ユーザーレビュー、信用のあるリンクの分析、などを使用しているというのは非常に限定的な意見だろう。

同様に、Googleはリンクの信頼性の分析(Producing a ranking for pages using distances in a web-link graph)やクエリの分析(Site quality score)のみに品質の算出方法を求めているわけではないだろう。Googleは、明らかに、単純なリンクやクエリの分析以上の要素を考慮にいれているはずだ。もちろん、リンクやクエリの分析の要素もある程度は含まれているはずではあるが。

GoogleによるWebサイトの品質評価に関わる特許

Googleが過去に取得した特許の内容を把握することが、彼らが実際に品質評価に使用している要素を推測する手助けとなるだろう。実際の要素とかなり近しいはずであるし、それらは機械学習の技術を用いている。”Webサイトの品質シグナルの生成(Website Quality Signal Generation)”がそれにあたる。

また、この特許が取得された2013年に、ビル・スラウスキ氏によってそのあらすじがまとめられている(外部記事:How Google May Rank Web Sites Based on Quality Ratings)。Webサイトの品質を測るための方法、また、分析アルゴリズムがそうした評価とWebサイトのシグナルを関連付ける方法について説明されている。定量的なシグナルと人間によって算出された評価との関連性を自動的に特定する仕組みだ。そして、特徴的なシグナルからモデルを生成するのである。

こうした各モデルは、まだ評価付されていないWebサイトとの比較に用いられ、品質評価をそうしたWebサイトに付与するために使用される。これについての説明(以下に記載)は非常に魅力的なものである。

評価者(人間)はWebサイトを閲覧するためにインターネットに接続できる環境にあり、各Webサイトの評価付けを行う。評価者はWebサイトの評価を、評価入力装置(rating input device)を通して、品質分析サーバー(quality analysis server)に送信することができる。

品質分析サーバーは、評価入力装置から、Webサイトの評価を受け取り、それをシグナル・ストア(signal store)に格納する。Webサイトの評価はURLと、また、評価付けされたWebサイトと近しい他のWebサイトのシグナルと関連付けられる。

品質分析サーバーは、Webサイトの品質評価とWebサイトのシグナルの関連性を特定し、その関連性を表すモデルを作成する。

さらに、品質分析サーバーは評価付けされていないWebサイト(例えば、品質評価を示すシグナルが欠落しているサイト)を発見するためにシグナル・ストアを検索する。品質分析サーバーは、評価付けされていないwebサイトが品質評価に関連するシグナルを有しているかどうかを判断し、評価付されていないサイトへモデルを適用する。そのモデルのアプリケーションが算出された品質評価となる。

品質分析サーバーは、モデルによる算出された品質評価を、該当のWebサイトに適用する。算出された品質評価は、他のアプリケーションによって使用される目的で、シグナル・ストアに格納される、追加されたWebサイトのシグナルとなる。

検索エンジンは、シグナル・ストアに格納された、Webサイトのシグナルを使用することができる。検索結果におけるふるい分けと並び順を決定するために、格納されたそのWebサイトの品質評価を元に、使用するのだ。

例えば、一定のしきい値を下回る品質評価を持つサイトをふるい分けするために使用される。また、検索デバイスによって返されたWebサイトは、格納された品質評価したがって順位づけされている。

格納された品質評価が高いWebサイトは、品質評価が低いWebサイトよりも検索結果に表示される優先度が高くなっている。

特許の内容には品質評価に用いられているであろう要素の例が、いくつか記載されている。

文法の正確さ、Webページで記載されているテキストのスペル、不適切な素材の有無、空白や不完全なページの有無、その他Webサイトの品質に影響を与える要素、などが品質評価の要素として使用される。

ここに記載されている内容が、まさに品質評価ガイドラインに記載されている内容であることに気がつくだろう。

しかし、特許の内容に非常に説得力が有るという理由は、これだけではない。Webサイトの評価を算出するための方法とランキングを決定づけるために使用される品質スコアの生成方法について、非常にロジカルなフレームワークで説明されているからなのである。比較的小規模なサンプルからモデルが生成され、そのモデルが他の複数の似たWebサイトに対し横断的に使用できる、という方法について説明されているのだ。

あなたが品質スコアを作りたいと思うページがあると仮定しよう。例えば、健康について書かれている情報記事、つまりは、品質評価ガイドラインでYMYL(Your Monery or Your Life*2)と説明されているページだ。Googleは上記で言及した、測定可能なシグナルを使用することができる。

例えば、コンテンツの量、ページのレイアウト、広告の数、ページ内の広告の表示位置(アバブ・ザ・フォールドやインタースティシャル。つまり、広告がメインコンテンツに対し紛らわしかったり煩わしかったりしないか)、サイトについてのレビュー、サイトと異なる場合のコンテンツ作成者のレビューや被リンク、ページからの発リンク(コンテンツ作成者の特定や情報のソースの参照)、サイトやページの被リンク(ページランク)、主要なキーワードの検索結果におけるクリック率、ページのコンテンツ・検索結果のスニペット・メタディスクリプションとページ上部のヘッドラインやタイトルの一致性、などのサイトの信頼性を指し示す要素だ。

*2 金融や医療など、誤った情報を与えてしまうことで、ユーザーの人生に大きな影響を与えかねない領域

複数の同様のページのテストの後、Googleは品質シグナルの組み合わせのモデル(または、パターン)を作成し、スコア値を算出する。そして、健康系のトピックを扱った記事ページが、ある一定の基準を満たしたページランクのようなシグナル、同様のページのコンテンツのレイアウトや量、内部リンクに由来するページランク、クリック率、ユーザーレビューを保持していたとする。

この場合、Googleは算出された品質スコアを、人間による評価を一切しないで、割り当てることができるのだ。Googleはこのようなモデルを、複数の異なるタイプのページに対し、作成していると考えられる。

  1. 複数のWebページ
  2. 品質評価者
  3. スコア付け
  4. 品質分析サーバー
    品質スコアとWebサイトのシグナルの関連性を特定し、その関係性を表すモデルを作成する
  5. 品質スコアと関連付けられたモデルの生成
    モデルは同様のページと比較され、品質スコアが割り当てられる
  6. 品質スコアは検索結果におけるランキングに影響する

この一連の流れにGoogleが機械学習の技術を組み込んでいると思われる理由は、データ内の品質スコアの関連性と紐付いているからである。このデータとは、異なる重み付けを手動で設定する単純なトグルのようなものではない。特定のシグナルに対し重み付けを行う煩わしい作業ではないのだ(例えば、特定の品質スコアのレベルを持つ健康系のトピックは最低でもXのページランクを持ち、最低でもこのくらいのリンク数を持つ、といったものではない)。

機械学習の技術を用いることで、評価システムはより複雑な関連性を特定できるのだ(例えば、ページランクがNからNN、CTRがXからXX、レイアウトが特定のタイプ、の場合は特定の品質スコアを付与するといった具合だ)。

特許の内容がその可能性を指し示している。

モデルはWebサイトのシグナルとサポートベクター回帰を実装した機械学習のサブシステムを用いるWebサイトの品質評価に由来するものである。

本質的に、これは機械学習の階層を生み出す。モデルは共通の階層の全てのページの特定、品質スコアの算出、そして、同質、または同様のスコアを同質のクラスのページへの適用などに使用される。

Googleがデータを該当のページから直接インプットするかどうか、また、それらの品質評価者の評価が機械学習システムに組み込まれるかどうかは大きな問題ではないと考えている。Googleは様々な種類のページの”モデル”を使用し、品質評価がどのようにそれらを算出したかを確認し、手動でその重み付けを調整できる。

しかし、Googleが保持し、好きに使用できる莫大な火力を考慮に入れると、私は全く意味を成さないと考える。事実、エリック・エンジ氏やマーク・トラファガン氏(外部記事:Why Google Uses Machine Learning in Search – Here’s Why #176)のように、多くのSEO分析者がGoogleは機械学習の技術をコンテンツのランキングに用いていると考えているし、Googleもクエリの解釈のみに使用しているわけではないとアナウンス(外部記事:FAQ: All about the Google RankBrain algorithm)している。

コアアルゴリズムの変更により順位が下落したサイトに対しGoogleが提供する曖昧なアドバイスの説明にもなる。サポートベクター、または、ニューラルネットワークは非常に包括的なスコアを伴うのだ。そのため、特定の現象に対しての原因を考えるさい、なにか特定のシグナル、もしくは複数のシグナルを指摘することは、不可能であるといえるのだ。その原因は非常に複雑なモデルに内包されており、とても抽象的なものであるからだ。

算出されたモデルが検索結果のランキングに適用された後、その検索結果に対し、Googleは品質評価者による評価付けを再度行う。これを繰り返し行うことで、検索結果を調整し、時間をかけてより良いものにしていくのだ。

Googleが品質スコアに組み込むと考えられるシグナルは非常に複雑である。下記に記載してみよう。

ページランク

または、その進化系のシグナル。リンクの品質や信頼性も含むかもしれない。

ユーザーレビューの感情

Googleの品質評価ガイドラインはレビュー数に一定のしきい値を設けていることを示唆している。そのため、あるビジネスやWebサイトの総レビュー数が比較的少なかった場合、非常に曖昧で状態を正確に表していないため、Googleはそれらを無視するという選択をするかもしれない。

Googleは感情分析の調査を長いこと行っており、それを実施するための特許も取得している(Domain-specific sentiment classification)。過去にはローカルリストに表示もしていた(外部記事:Google Highlights Review Sentiments On Local Place Pages)。現在、ランキングに使用しているかどうかについてははっきりとしていない(外部記事:Google Suggests They Use Off-Site Sentiment Analysis For Ranking)。

しかし、実質的にはGoogleは感情を使用することを明示している(外部記事:Google Suggests They Use Off-Site Sentiment Analysis For Ranking)。GoogleがWebサイトの評判をランキングアルゴリズムに組み込んでいるのであれば、感情分析無しで、どうやってランキングの調整を行っているのだろうか? 品質評価の算出はいくぶん不明瞭なものであるが、感情分析は、その分析と仕様の対象として、比較的明確であるだろう。

メンションの感情

人々はあなたのプロダクトについてSNSやEメールで言及しているだろうか? ソーシャルメディアの”バズ”は人気度を測る指標であり、そこでの感情も同様に品質の測定となりうる。

クリック率(または直帰率)

クリック率がランキング要素であるかどうかについての議論は長いことされてきている。

しかし、広告のクオリティスコアに使用されているのであれば、自然検索のランキングにも使用されているのではないだろうか? ウォール・ストリート・ジャーナルによって事故的に発表(外部記事:FTC Google Probe Recommendation)されてしまった2012年の情報公開法(freedom-of-information-act)にて、Googleの旧サーチクオリティ・チーフであるウディ・マンバー氏が下記のように言及したのだ。

ランキングはクリックデータに影響される。例えば、特定のクエリで80%のユーザーが2位に表示されているWebサイトをクリックし、1位に表示されているWebサイトをクリックする人が10%しかいなかった場合、人々が求めているのは2位に表示されているWebサイトであるといえる。こうした状況が発見された場合、我々はその順位を入れ替える可能性がある。

CTRがランキングに影響することを説明する調査もあれば、影響はないとする調査もある。もし、CTRが品質スコアの一部でしかない場合、CTRは直接のランキング要素ではなく、これが調査によって異なる結果が出る説明となるかもしれない。

広告の位置が占める割合や煩わしさ

全ページのどれくらいの領域が広告によって占められているだろうか? Googleは、良いしきい値と悪いしきい値を計算しているかもしれない。どのくらいの数の広告があるか、メインコンテンツを過度に侵食していないか、インタースティシャルや閉じることのできないオーバーレイであるかどうか、スコロールしても広告が追ってくるだろうか。このような広告の煩わしさの程度が算出されている可能性がある。

自身を説明する情報の欠落

理想を言えば、Webサイトは”我々について(About)のページ”や”お問い合わせ(Contact Us)ページ”を持つべきである。我々について(About)のページはどのような会社であるかを説明し、欲を言えば、写真とともに優秀な会社のメンバーも掲載したい。

お問い合わせ(Contact Us)のページは可能な限りの量の問い合わせ先の情報を掲載する。番地を含む住所、電話番号、お問い合わせフォームなどだ。会社メンバーのページからソーシャルメディアやLinkedinのページへのリンク(逆もまた然り)も設置したい。Webサイトに訪れたものの、その裏側には誰がいるかがわからない状態ほど、悪いものはない。

ECサイトや金融系サイトにおける重要な要素

HTTPSは必須条件だ。

しかし、単純にHTTPSかどうかである以上のことをGoogleは見ていると、私は考えている。なぜなら、暗号化やその設定は全てが同一ではないからだ。

Googleクロームは不備のあるHTTPSに対し、警告を表示するようになっている。ECサイトや金融情報を提供しているサイトは、利用規約、個人情報の扱い、カスタマーサービスへの問い合わせ先などの情報を記載するべきだ。また、ヘルプセクションやリターンポリシーも重要だろう。かつて、私はトラストバッジ(Trust Badges*3)を目立たせるようにしていた。

おそらく、Googleはトラストバッジ自体をWebサイトの品質評価には使用していないだろうが、ユーザーにとって信頼性を高めることになるし、セールスを強化するという効果も期待できるだろう。

*3 データの収集を適格に行っていることを証明する印

Webサイトのスピード

言うまでも無いが、かつてページスピードは広告のクオリティスコアの要素であった。そして、今日の自然検索結果においては、品質評価の一種として用いられている。

定期的なレビューと更新

品質評価ガイドラインでは、特定のタイプの記事や情報サイトは、必要に応じて定期的に見直され、更新されることに言及している。医療、法律、金融、税についてのアドバイスなどが該当する。

もし、自身のサイトがこのようなタイプの情報を掲載しているのであれば、定期的に内容を見直し、変更が加えられた場合には、該当の記事の目立つところに、”更新日”を記載することを勧める。同様に、Webサイトを横断してフッターに記載されているCopyrightの更新漏れも、品質の測定に関わっているかもしれない。更新がされていないと、Webサイト自体が更新されておらず、最新情報が記載されていないと判断されてしまうかもしれない。

その他の要素としては、欠陥のあるウィジットやアプリの使用、画像切れやリンク切れのページ、最近の情報と掲載しつつも明らかに古いコンテンツへのリンクの掲載、などが挙げられる。

コンテンツがない、または、価値のないコンテンツ

Googleは、クロールしたさいに出くわした空白のページ、十分な内容がないコンテンツの割合を確認することができる。Webサイトの大部分でエラーが発生している場合、更新を怠っており、メンテナンスも不十分であるという事実を示すことになる

価値のないコンテンツが放置されているサイトでは、非常に優れた記事が1記事あったとしても、ユーザーは他のページをクリックし、不満足な状態のコンテンツに出くわす可能性が高まってしまう。

ポルノ、悪意のあるコンテンツ、不愉快なコンテンツ、詐欺ページ

これについて多くを言及する必要はないだろう。このようなタイプのコンテンツは、非常に低い品質評価を受ける可能性が急激に高まってしまう。自身の品質スコアを急激に落としたい場合は、このようなコンテンツを追加するといいだろう。

注意したいことは、Webサイトは他のサーバーからひっぱってこられた、このようなコンテンツを表示する広告にも責任を負う必要があるということだ。自身のサイト内に何が表示されているか、細かいところまで配慮する必要があるだろう。

ページランクのスコア算出方法が使用されている可能性

品質スコアの仕組みにおける興味深い観点として、品質スコアはリンク先のページやドメインの品質スコアと関連している可能性が挙げられる。

品質スコアはリンクグラフ全体の総数から繰り返し計算され、これはページランクアルゴリズムの算出方法に近しいものとなっている。これにより、品質スコアの値の重み付けがされ、高品質なコンテンツであることの確証が得られ、品質の低いコンテンツが検索結果の奥底に表示されるようになるのだ。

メディックアップデート(*4)で影響を受けたサイトの観測

バリー・シュワルツ氏がメディック・アップデートで影響を受けたサイトの調査を公表している。私も簡単な調査を行ったが、メディック・アップデートで影響を受けたサイトは、品質スコアに影響を与えるであろう要素や、品質評価ガイドラインで言及されている要素が欠落していることに気がついた。

*4 2018年8月1日にGoogleが実施したアップデートの俗称。医療・健康系のサイトが大きな影響を受けたとされている。

Prevention.com

我々についてのページがない。無限スクロールが採用されており、プライバシーポリシーや規約についてのページが読み込まれていない可能性がある。お問い合わせページが記載されているのは別のドメイン。記事の執筆者の評判を見てみると、必ずしも医療系の専門家ではない。非常に大きな広告やサイドバーのモジュールはとても煩わしい。

Gcflearnfree.org

リダイレクトされ、スタッフ紹介はアニメーション、テキストがなく、電話番号や住所の記載もない。コンタクトフォームは、人であることを認証するためのボタンをクリックした後でのみ、表示される。

Minted.com

カスタマーサービスへの問い合わせの電話番号が見つけにくく、サブドメインへリダイレクトされる。

Buoyhealth.com

我々についてのページがトップページへリダイレクトされる。電話番号、住所、スタッフ情報の記載がない。ロゴの画像も奇妙だ。

VeryWellHealth.com

驚くべきことに、このサイトはHON(Health On the Net Foundation*5)コードを取得しており、医師が執筆している。なぜ、このサイトが影響を受けてしまったのだろうか? 受賞歴の記載あり。医師が監修したジャーナリズムあふれる記事。我々について(About us)のページはもっと目立たせるべきだろうか?

問い合わせのための電話番号や住所の記載はない。記事ページには広告が多すぎる。ページ上部のアコーディオン式の広告を煩わしく感じるユーザーは多いだろう。また、ロゴのリンクシステムが非常に奇妙だ。画像のマップは検索エンジンが理解するのは難しいだろう。

*5 信頼のある医療情報であることを証明する非営利機関

GoodRX.com

我々についてのページの記載内容が不十分で、パブリックサービスの警告文のように読めてしまう。彼らが何者であるかが書かれていない。サイト全体としては正しいことをしている。

Spine-health.com

HONコードを取得している点は素晴らしい。電話番号と住所の記載はない。お問い合わせページは別のドメイン。ページのフッターには別の名前のリンクがある。

NaturalFoodSeries.com

トップページはほぼ無限スクロールのような作り。我々についてのページとお問い合わせページがなく、電話番号と住所などの記載もない。

私がこれらのサイトを確認したのは数週間前であるから、すでに何らかの変更を加えている可能性はある。また、その中で順位が回復したサイトもあるかもしれない。上記で私が言及した項目が、欠落している項目の全てではない。我々についてのページを追加したことで、全ての問題が解決されるわけではないだろう。

ランキングシグナルについてのメッセージ

過去、また、この記事で私が言及したシグナルは、非常に議論をうむ内容であるだろう。私の意見に反対する者もいるだろう。

しかし、私の意見は、SEOの専門家がランキング要素であると信じていたものと、Googleがそうではないと否定したものとの乖離についての説明に非常に近しいものとなっているはずだ。

Google社員はときおり意味論のゲームに興じると私は考えている。彼らは、議論を生む要素(CTRや感情分析など)は直接のランキング要素ではないと発言する。なぜなら、こうした要素は品質スコアの複雑な評価システムの説明となる場合と、説明とならない場合もあるからだ。

例えば、私の品質スコアに対する推測が実際の仕組みに近しかった場合を考えてみよう。同様のトピックで異なる2つのページが有り、関連性やCTRは高い。

しかし、その他の要素の組み合わせにより、どちらか一方の品質スコアが、もう一方よりも、非常に高くなる可能性もある。別のケースでは、高いCTRによって高品質と判断される場合もあるだろう。

高品質なページのモデル(パターン)は、ダニー・サリバン氏が表現した”検索のレシピ”であるようだ。異なるタイプのページの品質スコアを決定するために、複数の要素が異なる組み合わせと重み付けをされているのである。

サポートベクター回帰やニューラルネットワークを使用することにより、品質スコアのリバースエンジニアをほぼ不可能なものにするだろう。

なぜなら、それらは非常に全体的で包括的なものであるからだ。品質スコアはゲシュタルトである。これが、アルゴリズムの影響を受けてしまったサイトに対し、Googleが「全体的な品質を向上するように努めよう」や「最高品質のコンテンツの作成に注力しよう」のような非常に曖昧なアドバイスを送る理由にもなっている。

技術的なSEOを無視すれば、品質スコアの低いサイトがその順位を改善するために、1つや2つの改善ですむことはほとんどないだろう。グレン・ゲイブ氏がアルゴリズムの更新に影響を受けたサイトを調査した後、次のメッセージを残している。

「サイトオーナーは特定の、単一の要素を注視すべきではない。下降した理由が、たった1つの要素、といったことは絶対にないのだから」

あなたのサイトの品質スコアを改善するために

では、品質スコアが非常に複雑で全体的なものであることを理解することが、自身の品質スコアを改善するために、どのように役立つのだろう?

良いお知らせとして、多くのSEOのガイダンスは非常にわかりやすい。技術的に”健全な”SEOを実装し、エラーページやブランクページを極力少なくする。不必要で、内容の薄いコンテンツを削除する。ガイドラインに違反したリンクビルディングは行わない。

SEOは、それ自体が全体的で包括的な取り組みとなっている。自身のサイトを最適化するために正しいと思われる全てのことを行おう。ユーザーがあなたのサイトは最新の状態に保たれていると感じる要素を確認しよう。我々についてのページ、お問い合わせページ、プライバシーや規約、カスタマーサービス、そして、コンテンツ自体を適切なタイミングで更新する。

技術的なSEOの要素に加え、ユーザビリティ、ユーザー体験、カスタマーサービス、コンテンツの品質などをより良いものにする必要がある。

自身のサイトを厳しく査定し、うまくいっていない箇所の特定と、改善を進めよう。ユーザーの目線を持って自身のサイトを評価し、ユーザーのニーズを満たすためのコンテンツを作成しよう。否定的なレビューへも対応し、自身のサイトを好ましく感じてくれたユーザーからのレビューを引き出そう。自身のサービスとクライアントとの軋轢がるのであれば、その軋轢を生む要因を除外し、カスタマーサービスの慣習を改善しよう。

あなたは最高のコンテンツを作成する必要があり、コンテンツ作成には、最高のコンテンツ作成者の獲得が必要となる。

最後に、自身のコミュニティと積極的に関わることで、先進的なレピュテーション・マネジメントに取り組もう。オンラインでもオフラインでも、長い期間、継続的に行うのだ。ソーシャルメディアへのエンゲージを高め、こうしたチャネルでの露出機会を増やす。評判形成のため、専門家としてのアドバイスを、オンラインで無料にて提供しよう。あなたの業界のプロフェッショナルなグループの一員となろう。プロとして振る舞い、オンラインで感情的になることは避けよう。

こうした試みをすることで、品質スコアにとって良いシグナルを発生させることができ、いずれ大きな利益を獲得することになるだろう。

SEOにおける、検索者の”意図”を理解することの重要性

検索エンジンの進化は留まることを知らず、次々と新しい技術が導入されています。

しかし、ユーザーにフォーカスし、検索者の意図を理解することの重要性は変化することはありません。

今回の記事は、コンテンツ作成における普遍的かつ基本的な内容の記事となります。SEO戦略の振り返りや、この春SEO担当になった方々にとって、とても参考になる記事ではないでしょうか。


検索エンジンの「そのページが検索者の意図にどの程度合致しているのか?」という判断能力は日々洗練され続けている。この記事では、こうした背景のもと、SEOの戦略をより良いものに仕上げるためのいくつかのヒントを記載したいと思う。

検索は刺激的で、常に変化を続けるマーケティング・チャネルである。

Googleアルゴリズムのアップデート、検索方法のイノベーション(モバイルや音声検索など)、ユーザー行動の進化などが我々をSEOに向かわせている。動きが激しいという性質を持つこの業界においては、変化に対して柔軟な戦略や成功するためには常に学び続ける姿勢が必要とされる。

しかし、常に新しい戦略をまとめ上げることは難しく、先進的な戦術を採用するあまり、基本的なSEOの原則を見落としてしまうこともある。

最近、クライアントからの質問に共通点があることに気が付いた。検索者の意図についての調査も多いため、このタイミングでこのテーマを再度取り上げようと思っている。実際、検索者の意図は非常に複雑であり、複数の科学的な研究(PDF)や調査(PDF)が行われている現状がある。

とはいえ、自社内で研究チームを抱えていない場合、検索者の意図や、それらが与えるSEOへの影響度などを分析することは難しいだろう。

この記事では、我々Page One Power社がクライアントと共に行っているプロセスを紹介したいと思う。SEOのターゲットキーワードの背後にある、検索者の意図をよりよく理解する手助けとなるプロセスだ。

クライアントがターゲットキーワードのリストを我々に提示する際に、我々は常に2つの質問を彼らに尋ねる。

  1. あなたのサイト・ページはそのキーワードで上位表示されるべき内容か?
  2. (上位表示された際)それらのキーワードが果たす役割はなにか?

この質問を投げかけることで、我々自身とクライアントが、SEOの戦略のために特定のキーワードやテーマを設定する”以前に”、オーディエンスや検索行動の分析に注視するようになる。

成功するSEO戦略とは、検索者の意図の明確な理解に基づいているのだ。

検索者の意図の種類

検索者の意図とは、特定の検索キーワードの背後にある、”なぜ?”の部分に言及することだ。検索者が達成したいことは何なのであろうか? 検索者の意図は下記の4つに分類することができる。

  • インフォメーショナル(Informational):情報収集型
  • ナビゲーショナル(Navigational):案内型
  • コマーシャル(Commercial):購買型
  • トランザクショナル(Transactional):取引型

検索キーワードをこの4つに分類することで、どのような種類のページを検索者が求めているかを、よりよく理解できるようになるだろう。

インフォメーショナル:情報収集型

このタイプのキーワードで検索する場合、検索者は対象やトピックについての情報を得たいと考えている。これは検索において最も定番の検索意図であり、概して検索ボリュームも大きい。

このタイプの検索はマーケティングファネルの上位に位置づけられている。いわゆる”発見”の段階であり、ここではいきなり訪問者が消費者へとコンバート(転換)することは少ない。

彼らの疑問に対し、簡潔にわかりやすく回答しているコンテンツが豊富なページが求められるだろう。そして、検索結果もこの傾向を反映されたものとなっているはずだ。

ナビゲーショナル:案内型

検索者が特定の企業やブランドのサイトに訪問することが決まっているが、たどり着くまでの案内が必要とされる場合の検索である。特定のブランド名(外部記事:The importance of targeting branded searches)、商品名、サービス名などが、具体的なキーワードの例として挙げられる。

検索結果には、トップページ、特定の商品やサービスの専用ページなどが表示されているはずだ。また、特定のブランドに関するニュース記事も含まれるかもしれない。

コマーシャル:購買型

コマーシャルは、インフォメーショナルとトランザクショナルの混ぜ合わせとして存在している。

このタイプの検索は、購買目的の検索が含まれている。検索者は何かを購入しようとしているが、その判断を助けてくれる情報も同時に欲しているのだ。そのため、情報を提供しているページや、特定の商品やサービスのページなどが検索結果に表示されている。

トランザクショナル:取引型

購買に最も関連する検索である。こうした検索には、「価格」や「セール」といった言葉が併用されることが多い。

このタイプの検索結果では、商業的なページ(商品、サービス、定期購読などのページ)が表示される可能性がかなり高い。

ターゲットキーワードを上記4つに分類することで、検索者のニーズをより良く理解することができる。そして、ページの作成や最適化の方法にも影響を及ぼすだろう。

検索者の意図への最適化:自身のページは上位表示に値するのか?

異なる種類の意図があることを理解した上で、検索者の意図への最適化を進めよう。

我々は、クライアントからターゲットキーワードのリストをいただいた際に、「あなたのページはこうしたキーワードによる検索で上位表示されるべきページですか?」と尋ねるようにしている。

また、この質問をすることで、別の重要な質問へとつなげることができる。

  • これらのキーワードで検索するユーザーの意図はなにか?
  • Googleはそのインテント(意図)は何であると考えているだろうか?
  • どのような種類の検索結果を検索者は求めているだろうか?

特定のキーワードやテーマに対して最適化をする前に、検索者の意図への最適化を行う必要がある。

調査を始めるにあたり、まず行うべきことは、検索結果画面を実際に確認することだ。

現状の検索結果画面を分析するだけでも、インテントの理解に対するヒントを得ることができる。検索結果に表示されているページは、ブログ記事だろうか、レビューや「TOP10」リストのようなページだろうか、商品の特設ページだろうか。

ターゲットキーワードの検索結果が、情報の豊富なガイド記事やリソース元となるような記事で占められている場合、商品のページが上位表示される可能性は限りなく低いだろう。

反対に、競合他社の商品ページで占められていた場合は、十分に最適化がされれば、あなたの商品ページが上位表示される可能性も十分にあるだろう。

Googleは検索者の意図に対する回答となるページを上位に表示したいと考えている。そのため、検索者の目的を達成するために、可能な限りのことを自身のページで行う必要があるのだ。オン・ページの最適化(内部SEO)やリンクは非常に重要だ。

しかし、検索者の意図への対応がなければ、上位表示を達成することはできないのである。

検索意図の調査を行うことは、コンテンツ作成の戦略(外部記事:Searcher intent: The secret ingredient behind successful content development)にも影響を与えるだろう。

上位表示されるためには、自身のページを”少なくとも”現状の検索結果に表示されるページと同等のものにする必要がある。もし、現状の検索結果に表示されるほどの質のページが無いのであれば、そうしたページを作成する必要がある。

(機会は少ないだろうが)検索者の意図にうまく答えていない検索結果に出くわす機会(外部記事:How using search opportunities can guide link-building content strategies)もあるだろう。その場合は、検索者の意図に応える適切なページを早急に作成するべきだ。

また、より深い洞察や「リンク設置の意図(外部記事:The Power of Link Intent)」を考慮することも可能だ。「リンク設置の意図」とは、「情報元やリンクを集めるに値する記事作成の機会があるかどうか?」ということだ。検索者の意図を分析することは、SEO施策における別の側面にも影響を与える可能性があるのだ。

自身に対し、既存のページ、またはこれから作成しようとしているページが、「そのキーワードで上位表示されるべきページであるか?」を尋ねてみよう。こうすることで、検索者の意図の特定と最適化への方法が見えてくるはずだ。

検索者の意図への回答:何を達成するものなのか?

我々が頻繁に尋ねるもう1つの質問は、「それらのキーワードが果たす役割はなにか?」である。

単純な回答としては、「より多くのトラフィックを得るため」となるだろう。しかし、実際にそれが意味していることは何なのだろうか?

キーワードに付随する検索者の意図に依るが、トラフィックが導くものは、ブランド認知、権威性の構築、コンバージョンの創出など多岐に渡るだろう。施策における見込みやKPIを設定するときは、こうした検索者の意図も検討しなければならない。

重要なことは、全てのトラフィックがコンバージョンを導く必要があるのではないと理解することだ。バランスの取れたSEO戦略とは、全ての見込み顧客があなたのブランドを発見できるために、マーケティングファネルにおける複数の段階をターゲットとしているのだ。

ブランドの親和性を高めることは、トラフィックを獲得する初期段階において重要となる。ブランド認知が高まることで、CTRが2倍〜3倍になること(外部記事:How to Use Brand Affinity to Dramatically Increase CTR)もあるのだ。検索者の意図に基づき、キーワードやフレーズを分類することは、ターゲットキーワードのギャップの特定と埋め合わせの手助けとなるだろう。

ターゲットとしているキーワードで上位表示された際、自身のビジネスにどのような影響を与えるかを考えよう。そして、それらの影響がマーケティングにおける最終ゴールに結びついているのかも考えよう。こうした作業をすることで、最も成果を生み出す機会(検索結果)を細分化し、注力する力を養うことができるだろう。

検索者の意図の理解とSEO

検索エンジン最適化の作業は、検索者の意図への最適化から始まるべきだ。検索エンジンはこれからも進化し続けるだろうし、ページと検索者の意図との合致をより正確に測定することができるようになるだろう。

また、上位表示されているページが、そのキーワードを使用した検索者の意図に最も答えているページであるか、を判断する力も伸び続けるだろう。

Page One Power社に相談にくるクライアントに対しては、検索者の意図に注力すべきとアドバイスしている。そのために、我々は下記の質問を尋ねている。

  1. あなたのサイト・ページはそのキーワードで上位表示されるべき内容か?
  2. (上位表示された際)それらのキーワードが果たす役割はなにか?

この質問を、あなた自身にも尋ねてみてほしい。

ターゲットキーワードにおける検索者の意図に対し、あなたのSEO施策は合致しているのか。今一度確認してみてはいかがだろうか。

この記事は、Search Engine landに掲載された「The importance of understanding intent for SEO」を翻訳した内容です。

SEOの施策においては、特定のキーワードにおける上位表示獲得を目指すことは避けては通れません。「そのために必要な作業や考え方とは何か?」が簡潔にまとめられていました。

また、こうしたSEOの施策が、「マーケティング戦略とうまく結びついているか?」の確認も非常に重要です。捉え方を間違えてしまうとせっかくのSEO施策も失敗と認識されてしまうこともあります。

SEOの施策が失敗と認識される事態を避けるためにも、検索意図への最適化と、マーケティング戦略との結びつきを確認しながら施策を進めていきましょう。

コンバージョンを増加させるための、ユーザーを説得する6つの原則

SEOやその他の施策によって多くのユーザーに訪問してもらえたとしても、Webサイト側が望む行動を取ってくれるとは限りません。つまりは、コンバージョン率が上がらないということになるのですが、コンバージョン率を高めるための施策は積極的に採用していきたいものです。

今回の記事は、あっと驚くテクニックのご紹介というよりも、ユーザーとのコミュニケーションを取る上で不可欠な、普遍的な原則を紹介している記事です。それぞれの原則の具体例も併せて紹介されているので、多くの方のご参考になればと思います。


マーケティングキャンペーンを成功に導くためのツールや、それが提供する機能は常に変化を繰り返している。しかし、時代が変わっても常に有効である、ユーザーを説得させる6つの原則が存在する。それらを用いることで、コンバージョンを加速させるための、競争力のあるランディングページの作成も可能だ。

1984年に“Influence: The Psychology of Persuasion(影響力の武器:なぜ、人は動かされるのか)”が発売されて以来、Dr.ロバート・チャルディーニが提唱する説得における6つの原則は、多くのマーケターによって用いられ、顧客をコンバージョンへと導く助力となってきた。

伝統的なマーケティングのブログを読んだことがあるのであれば、下記の用語に聞き覚えがあるだろう。

  • 返報性(Reciprocity)
  • 社会的証明(Social proof)
  • コミットメント(Commitment)
  • 権威(Authority)
  • 好意(Liking)
  • 希少性(Scarcity)

この記事では、チャルディーニ氏が提唱する6つの原則がどのようにして、より競争力のあるコピー作成やWebサイトへのトラフィックを増加させる魅力的なランディングページデザインなどに用いられているかを解説する。

1.返報性(Reciprocity)

返報性とは適した利益を他者と交換し合うプロセスのことだ。

返報性はフックとして用いることができるだろう。

あなたはユーザーの関心を得るために、彼らへ、何かを与えなければならない。

この原則は、デジタルマーケティングの領域でも当たり前のように使われている。例えば、ユーザーのEメールのアドレスを得るために、有益なコンテンツを提供する、といった具合だ。

返報性の原則に従って何らかの利益を得るためには、あなたは何かを与えるための準備をしなければならないことになる。

多くのユーザーは、彼らにとってなにかしらの有益なことを得られなければ、ニュースレターに自身の情報を登録することはないだろう。

Search Engine Journalでは、何百もの有益な資料を提供しており、その結果、ユーザーへのコンタクト情報を得ている。

このギブ&テイクの原則の例を下記に記載する。

多くの作業がこのコンテンツに費やされており、結果として、多くのユーザーが快く自身の情報を提供してくれた。ユーザーにとって何の利益もない場合と比べ、Eメールの登録数は改善されることとなった。

トップレベルに位置するブログを訪れて欲しい。そこでは、何らかの形で、返報性の原則が用いられることに気がつくだろう。

この戦術はSEO目的でも使用でき、多くの被リンクを獲得することも可能だ。被リンク数が増えれば、ランキング、トラフィック、Webサイト全体のコンバージョンの向上が期待できる。

また、広告のコピーにも応用でき、CTRの上昇を目指すことも可能だろう。

一般的ではあるが、無料トライアルという手法は、何かを与えることで、リードを獲得するための有効な手段だ。

ソフトウェア業界が、顧客をマーケティングファネルに導くための鍵となる手法と言えるだろう。

そのため、無料トライアルの告知を広告文の中でも目立たせることは、非常に重要なのだ。

2.希少性(Scarcity)

希少性もユーザーを説得させるための非常に優れたテクニックだ。こちらを用いることで、広告のクリック数の増加や、ランディングページに訪問したユーザーをコンバージョンへと導く手助けとなるだろう。

希少性は、見逃すことへの恐怖(FOMO:Fear Of Missing Out)を喚起するものだ。

我々は、何らかの選択をしなかった場合に後悔の念に駆られることがある。FOMOはこれに基づいており、多くの人の感情面に訴える手法なのだ。

希少性の例を下記に挙げてみよう。

限定生産や限定版の商品

Booking.comが用いる希少性のテクニックは非常に優れている。可能な限りの領域で、希少性に関わるメッセージを記載しているのだ。

クーポンやセール期間

ブラックフライデーのようなセール期間は短期間で多くの人々を購入へと向かわせるが、これもFOMOの原則に基づいている。

人々は、本当は必要ないものかもしれないが、後に後悔することを恐れ、購入を決断する場合がある。

Amazonは“lightning deals(タイムセール)”によってこの原則を利用している。非常に短い期間での購入条件を提示し、より多くの売上を獲得しているのだ。

希少性の原則をランディングページのコピーに用いることで、CTRやコンバージョン増加を狙うことも可能だ。

全てのビジネスが期間限定のセールに頼っているわけではないが、Booking.comはこの戦術を年間を通して用いている。彼らがWebサイト上で販売している製品(ホテルの部屋)の供給状況をうまく利用しているのだ。

3.権威(Authority)

賞の受賞歴、業務歴、業界内の認定、専門性など、権威の象徴を用いることで、自社のサイト内で我々が望む行動をユーザーが取ってくれる手助けとなるだろう。

この説得の原理は、おそらく最もレバレッジを効かせることが難しいだろう。なぜなら、真の権威を獲得するには時間が必要となるからだ。

あらゆる市場において、権威となることに簡単な方法はない。しかし、自身を権威のある存在に位置づけるためのテクニックはいくつか存在する。

自社の功績を目立たせる

自身のサイトがノミネートされた、もしくは、賞を獲得した実績を目立たせよう。業界内での認知が高まることにより、権威を示すことにつなげることができるのだ。

自社スタッフの専門性を際立たせよう

サービス業では特に重要であるが、自社メンバーの能力を示し、優れた企業であることを示そう。

透明性を高めるために、可能であれば、LinkedInのプロフィールなども併せて記載しよう。

業界内の認定をWebサイトへの訪問者に示そう

多くのサイトで基本となることではあるが、その重要性を軽視すべきではない。

これは、訪問者があなたのWebサイトで確認したいことの1つでもあるのだ。

業界のイベントにスポンサーとして参加する

協会やつながりを通じて権威性を得る方法である。

あなたのブランドを適した場所で目立たせることで、特定のトピックにおける権威性を示すことになるのだ。

さらに、主要なイベントにおいて公演する機会をもらえたら、権威性を示す上でさらに効果的だろう。

高品質なコンテンツの作成と共有

高品質なコンテンツの作成と情報の共有によって、あなたの専門性を示そう。

優れたコンテンツの参照元となることは、あなたのブランドを業界内の権威に位置づけることになる。

大規模な調査に基づいたホワイトペーパーのような、あなたの専門領域においてリーダーシップをとれるコンテンツの作成は、その一例と言えるだろう。

上記のテクニックを用いることで権威性を得ることにつながり、それはWebサイトへのトラフィックを得る機会へとつながるだろう。

4.コミットメントと一貫性(Commitment & Consistency)

ユーザーは、一度コミットメントを示せば、その後の彼らの意見と行動はコミットメントを伴った一貫性を持つことになる。

原則として、自身のコミットメントに縛られる感覚に陥るだろう。

顧客にコミットさせる手法を確立することは、彼らに行動を促し、最後までやり通す大きな機会を得ることになるだろう。

この手法の例をいくつか挙げてみよう。

ユーザー自らが予約できるようにする

全ての業界で使用できる手法ではないが、特定のビジネスにおいて予約は必須である。

ユーザー自身が予約を取ることを可能にすることで、彼らにコミットを依頼することになり、最後までやり通す可能性を高めることにつながる。

ライブチャット機能を導入する

ライブチャット機能の導入は、顧客があなたのブランドと会話するというコミットメントを獲得する機会となる。

まだ多くの業界で採用されているわけではないが、コミットメントと一貫性を獲得しうる、比較的容易な施策と言えよう。

連続したフォームの設計

Optimizely社の調査によると、フォームの要素が複数のステージで構成された場合、コンバージョン率が上昇するとのことだ。

デザインにおける連続性は、ユーザーへ一つ一つのフォームを記入させ、記入が進んでいる感覚をもたせることでコミットメントの原則を利用していることになる。特定のフォームに記入し、次のステップに進むというコミットメントを得ることで、残りのステップも完了させたいという気に駆られるのだ。

5.好意(Liking)

人々は、好ましい人による要求を聞き入れる傾向にある。

人々は、同僚やセレブリティなどの口コミを信じる傾向にあるが、これは、ここ数年でインフルエンサー・マーケティングが活発になっている理由の1つと言えるだろう。

チャルディーニ氏の言葉を引用すると、「我々は自身と似た人々を好む傾向がある」とのことだ。そのため、ターゲットとなる顧客の共通点を発見することは、ブランドが注力すべきことと言えるだろう。

好まれる存在になることは、ブランドにとって難しいことのように感じるかもしれない。しかし、この説得の原理を獲得するための手法も存在する。

ペルソナの作成

ペルソナを作成し、今まで作成したコンテンツをペルソナが好むように仕立て上げる。

ペルソナを使用したコンテンツ戦略は、ターゲットユーザーの関心を引き、コンテンツに興味を持ってもらえるものになるだろう。

ペルソナの作成を通じて顧客の悩みを理解することは、あなたのブランドが彼らの悩みを解決するために何をすべきかを把握する機会を与えてくれるだろう。

チャリティーへの参加

あなたの顧客が気にかけている問題に対して、チャリティーに参加してみよう。

例えば、あなたがローカルビジネスを営んでいて、その地域特有の問題がある場合、その問題を解決することが可能かどうか、検討してみよう。

無償の奉仕活動かもしれないし、一回限りの仕事になるかもしれない。

この施策には従業員も積極的に参加してくれるかもしれない。

この原則には曖昧な部分があることは認めるが、上記の施策を行うことで、あなたのブランドが潜在的な顧客から好かれる機会を得ることができるだろう。結果として、Webサイトへの訪問客のリード獲得や顧客獲得のチャンスが高まるのだ。

6.社会的証明(Social proof)

社会的影響は非常に強力だ。

人々は、友人や同僚が行っている行為や提案した内容を自分も行うといった傾向がある。

セールストレーナーのキャベット・ロバート氏は、「95%の人々は”真似をする人(Imitators)”であり、5%の人々は”提唱する人(Initiators)”である」と述べている。

社会の大部分の人々は、周囲にいる人の提案や決定に影響を受けているため、この説得の原理が非常に強力であることは明らかだろう。

社会的証明は、オンラインのブランドでも積極的に使用されている。下記に例を挙げてみよう。

レビュー

顧客によるポジティブなレビューを表示しているECサイトは、Webサイトのコンバージョンをあげるために社会的証明の力を活かすことができると理解している。

クライアントや顧客からのレビューを掲載しているBtoBのWebサイトも、同様だ。

ケーススタディ

ケーススタディは顧客によるレビューをさらに深ぼったものだ。

BtoBの業界でよく見られるが、ケーススタディは自身のブランドのストーリーを提供し、それは、あなたがWebサイトに掲載しているメッセージを届けたいと願っている人々に向けられたものなのである。

オンライン上で獲得した認知

もう一つの社会的証明を活かす手法は、あなたのブランドがオンライン上の適切な場所で見られるようにするということだ。

スタートアップ企業が新しく開発した製品を紹介するさいに、“採用している企業”のリストを掲載するが、これは一例と言えよう。

とてもシンプルな作業で、非常に小さなブランドでさえも社会的証明の力を使用することができる。

ポジティブな意見の掲載は、コンバージョン率にもポジティブに作用する。上記のような施策を検討しているのであれば、今すぐに行うべきだ。

まとめ

この記事で紹介した6つの説得の原理は、あらゆるコンテンツのタイプ(テキスト、ビジュアル、動画)に用いることができ、コンバージョン率の増加に寄与するだろう。

Webサイトへの訪問客の関心を掴むための簡単な施策は存在する。その施策を実行することで、購買やコンバージョンの決定に影響を与える重要な行為を、顧客に取ってもらえるのだ。

こうした視点を欠かしてしまうと、顧客に対し過度な情報を提供してしまい、Webサイトのコンバージョンを失うことにもつながってしまうだろう。

この記事は、Search Engine Journalに掲載された「Using 6 Principles of Persuasion to Increase Conversions」を翻訳した内容です。

普遍的な原則を6つにシンプルにまとめてくれた記事でした。元はビジネス書の内容ですが、Webマーケティングに即して、うまく説明してくれています。

記事内で紹介された施策は、普段から目にするものが多かったですが、こうした原則を意識すると、各施策の目的も明確になりますね。

自身のWebサイトで、上記の原則を満たす施策が行われていない場合、積極的にアイデアを出し合ってみても良いかもしれません。

グロースにおけるSEOの役割

検索エンジンからの流入を拡大し、自社のWebサイトへの訪問者、ひいては顧客を増加させる手段として、SEOは非常に有効な手法の一つです。しかし、SEOにかかわる領域は複雑・拡大化する一方であるため、SEO担当者のみでその全てを賄うことは困難です。そのため、複数の専門領域を持つメンバーから成るチーム作りが解決策の1つとなるでしょう。
今回は、グロース戦略におけるSEOの役割と、施策を実現するためのチーム作りまで、幅広く取り扱った記事を紹介します。事業会社内でSEOをやることの重要性を改めて気づかされる内容となっています。– SEO Japan

SEOは、グロース戦略の一部として、ユーザー獲得のフェーズで使用できる最も大きな仕掛けの内の1つであろう。

AARRR (Acquisition:ユーザー獲得, Activation:利用開始, Retention:利用継続, Referral:紹介, Revenue:収益)のような他のフレームワークを好む方もいるだろうが、こうしたフレームワークは、すべからく、「Acquisition:ユーザー獲得」から始まっている。Webサイトやアプリに訪問してもらうことで、自身の製品を顧客に知ってもらうのだ。そして、自然検索からのトラフィックは、Webサイトやアプリへの訪問を促すチャネルの中で、最大規模のものである。過去数年間、様々なマーケティングやグロース(SEO)のチームと仕事を行い、自然検索からのトラフィックを可能な限り最大化させることに注力してきた。この記事では、そのような経験から私が学んだことを披露したいと思う。

記事要点まとめ

SEOチームとは、ビジネスを加速させるために、自然検索からの流入と露出を生み出すグロース組織の1つである。
コンテンツ・リンク・キーワードの調査、Webサイトの技術的監査、コンテンツ作成、PR・認知・ブランドキャンペーンなどを担当する。
最高のSEOチームは、組織を横断するメンバー(デザイナー、コンテンツ作成者、SEO担当者、エンジニアなど)から構成されるチームである。

彼らは、ツール、予算、経営メンバーからのサポートを必要とする。
こうしたサポートを得ながら、SEOチームは、新しい製品の開発、各種実験の実施、大規模データセットの適用など、ビジネスを加速させるための施策の大きな助けとなる。
また、彼らはリンクの争奪や低品質コンテンツの作成など古い手法には手を出さず、むしろ他のチームを助けアイデアを拡大させ、自然検索における露出を最大化させるための施策を実施するのである。

グロース戦略全体におけるSEOの位置づけ

グロースチームがある”新しい”会社では、SEOチームは複数あるチームの1つとして存在する。もしくは、他のマーケティングチャネル(PaidやReferrals)か、他のファネル(リテンションやライフサイクル)の一部として存在しているだろう。こうしたグロースチームが共通して注力していることが1つある。より多くのデータと新しい機会を駆使することで、可能な限りの速さでビジネスを加速させる助力となることだ。

SEOはどのようにしてグロースに貢献するのか?

新規顧客

人々はインターネット上のあらゆる場所で検索を行う。そのため、SEO担当者も、Google・Bing・Yahooのような検索エンジンの領域外にも注意を向けている。Quora・Instagram・Facebookはもちろん、YouTubeでの露出を高めるためにできることはなにか?ということまで思いを馳せるのだ。SEOチームは、会社が構築してきたプロダクトやサービスについて、今まで一度も検索したことのないユーザーを可能な限り追いかけている。

ブランド認知・CLTVの向上

AppleやAirbnbなどのように、ブランド認知度が非常に高い企業もある。ユーザーはその製品やサービスについて詳しく、アカウントも既に保有している場合も多い。そのため、こうした企業は、自身の業界内でのユーザーに注視しており、彼らに自身の製品を再発見させることで、ブランド認知やライフタイムバリュー(CLTV)を向上させようとしている。

自然検索における露出の向上

こうしたチームは、ビジネスの成長にどのように貢献しているのだろうか?そのプロセスはどういったものなのだろうか?


SEOのプロセス
1.キーワード調査
2.Webサイトの技術的監査
3.分析とレポート
4.競合・リンク調査
5.コンテンツ作成

どのようにして実験を実施するか?

SEOの施策が進めば進むほど、SEO自体が製品の中に組み込まれるため、より多くの時間を自身の指標に影響を及ぼす領域に費やすことになるだろう。多くのトラフィックが発生している大規模なサイトの場合、SEOの実験を行い、何が効果的で何が効果的でないかを発見することは比較的容易だろう(しっかりとした環境設定とデイリーで5,000以上の流入が必要となる)。しかし、新規ビジネスの場合、時間をかけていくことで、どの施策が有効でどの施策が有効でないのかを発見できるようになっていくのだ。

つまりは、規模の問題である

これまでの話は、いわゆる通常のSEOについての話と言えるだろう。多くの場合、(そして、このことが事態を複雑化させることになるのであるが)、状況が目まぐるしく変わる環境に身をおいているだろうし、業界自体の変化も激しいはずだ。こうした流れに食らいつきながら、リソースを規模化させ、チームをグロースさせ、自身の指標を上昇させなければならない。成長を示す何らかの指標が必要であるし、可能な限りの速度でSEOが成長しているという実感を持たなければならないのだ。

改善対象は何か?何に取り組むべきか?

  • キーワード調査: オーディエンスが何を探しているか、それを把握することから始めよう。業界やビジネス領域内のキーワードでの順位は気になるだろうが、それ以上に、成長の機会についても知りたいはずだ。サイトの規模が大きければ大きいほど、グロースの機会は大きくなるだろう。グロースチームが存在する場合、そのポテンシャルを調査するためにより多くの時間を投資することになりそうだ。
  • Webサイトの技術的監査: インデックスされるべきページがすべてインデックスされているか、技術的な施策がすべて実施されているか、自身のサイトについて確認したことはあるだろうか?おそらくは無いだろう。こうした確認を行うことで、内部リンクの設計を改善したり、注視しているページに適切なタグを追加したり、などの機会が発見されるはずだ。
  • 分析とレポート: おそらく、あなたは組織の一員であるはずだ。そのため、進捗や機会、各種数値に対してどのような影響を与えたかを説明をする必要があるはずだ。場合によっては、それは、あなたがWeb上の分析に対しての責任を負っていることを意味するだろう。
  • 競合・リンク調査: 競争を勝ち抜くため、リンクやメンションを求めてはいないだろうか?現状のリンクは綺麗な状態だろうか?コンテンツやメディアへの言及を得られる機会はどこにあるのだろうか?自分だけで、追い求めることは可能だろうか?PRやマーケティングチームの協力が必要だろうか?SEO担当者として、これらの質問に対して、回答できるようにすべきだろう。多くの場合、自身の業界で何が起こっているのかは分析できるはずであるし、コンテンツに対する機会がどこにあるかも導き出せるはずだ。前述の「キーワード調査」、「分析とレポート」で得られたデータを駆使し、取り組んでみよう。
  • コンテンツ作成: 新規顧客へのコンテンツやランディングページを作成する能力がある場合は、より多くのキーワードと見込み顧客を獲得するために、コンテンツ作成に時間を割くはずだ。最近では、より多くの立場のメンバーが、コンテンツ戦略に加わる傾向を感じている。こうした傾向の中、闇雲にユーザーを追い求めるのではなく、ユーザーが実際に使用するキーワードを提示するなどして、他のチームを助けることができるはずだ。

SEOチームの体制作り

SEOチームをどのように作り、成長させていけばよいのか?SEOチーム、また、組織自体が、その目標を達成するために何が必要であるかを見ていこう。

グロースハック、グロースマーケティング、ブランド、IT・・・SEOはどこに当てはまる?

SEOチームについてのディスカッションを行う場合、彼らが組織内のどこに位置づけられるのか、というトピックがよく持ち上がる。その答えは、組織によって変わるものだ。純粋なWeb業界とハードウェアの製造会社では、組織内の位置づけもかわるだろう。最近のトレンドでは、SEOチームはグロースチームの一部として見られることが多いようだ。ブランドにおけるユーザー獲得に大きく貢献することが、その理由だ。横断的な組織の場合、主体的に動く能力と、SEOの成長(もちろん、スパム的な手法ではなく)を達成するために必要なあらゆる領域の責任と権利を有しているはずだ。

SEOチームはグロース戦略において、何に取り組むのか?

これについては、会社ごとに異なるだろう。有益な答えではないのだが、事実なのだ。The Next Web社では、SEOチームはマーケティングにかかわるさまざまな取り組みを行っているが、技術的な課題に向き合うことが多い。コンテンツに関しては、編集チームが細心の注意のもと、作成を手がけている。我々は、サイトやプラットフォームの技術的なセットアップを中心に取り組んでいるのだ。アーキテクチャの修正や、すべての施策がそうあるべき状態を保つことができているかを確認している。

SEOチームの役割は何か?

一言で表すと、横断的機能、と言えるだろう。私が見てきた中で最高のチームは、SEOスペシャリスト、エンジニア、コンテンツ作成者、デザイナーによって構成されたチームだった。彼らが一堂に会すことで、驚くべき製品やコンテンツを生み出し、多くの自然検索経由によるトラフィックを獲得していたのだ。それぞれの担当を下記に記載しよう。

  • SEOスペシャリスト: 肩書はスペシャリストである必要はない。マネージャーやリーダーや、その他なんでも良い。ポイントは、チームを導き、利用可能なデータから機会を特定する役割を果たすことだ。検索からの潜在的な流入、ランキングデータ、技術的な監査なども担当する。
  • エンジニア/デベロッパー: SEOチームを保有する会社は、概して、大規模なサイトを運営しているはずだ。そのため、サイトに変更を加えるさいは、サイトの運営を手助けする目的が伴う。こうした場合、デベロッパーによる手助けが必要となるだろう。
  • デザイナー: マーケティングチームなど、その他のチームの状況にもよるが、フルタイムのデザイナーを雇う必要は、必ずしもないはずだ。しかし、今後公開する予定の機能やコンテンツは、その見た目も素晴らしいものでなければならない。あなたのデザインのスキルがどれほどのものかはわからないが、私はプロのデザイナーのレベルには(不幸にも)達してはいない。
  • コンテンツ作成者: SEO施策はコンテンツが必要だ。記事、ブログ、翻訳、最適な見出しなど、名前は自由につけてかまわない。あなたが望むものをクリエイティブな手法で具現化することができるコピーライターがいなければ、あなたの目的も達成できない。

他のチームの協力は?

SEOはあなた一人で行うものではない。大きな組織の中、あなた一人でSEOに取り組んだところで、失敗することは目に見えているだろう。理由は単純で、ボトムラインに影響を与えるほどの十分な施策をこなせないからだ。組織が大きくなればなるほど、組織間を横断する取り組みが必要となるだろう。加えて、SEO施策を前進させるために、SEOの知識、ツールの活用、他のチームの協力などが重要となる。

別のチームの協力を得ることで、幅広い領域の知識を得ることができる。このことが、コンテンツの作成やキャンペーンの実行などを可能にするのだ(グロースのSEOチームではよく見られるが、ブランドのマーケティングチームでは当てはまらないこともある)。

SEOチームの成功とはなにか?

自然検索での露出を高めながら、事業の目標達成を加速させることが成功と言える。最終的には、事業の成功につながるような、事業と関連したトラフィックの獲得を目指すことになるはずだ。さまざまなプラットフォームでの上位表示を目指すだろう。YouTube、Facebook、Googleなどが対象になるが、事業の利益を発生させることが最終的な目的となる。そして、それはあなたの上司が最も興味をもつものでもある。事業に対し、あなたはどれほどの利益をもたらすことができるのか?これを達成することが、あなたの成功を意味することになるだろう。

SEOチームの成功は、どのように定義されるのか?

SEO担当者にとっての主要なゴールは、事業に関連したより多くの自然結果からのトラフィックを獲得することだ。しかし、このゴールに到達するまでに多くのKPIが存在する。そして、これらのKPIは直接事業に影響を与えるものではない。私が関わってきたSEOチームも、多くのKPI(クロール数、リンク数、ページの品質、エラー数など)モニタリングしていた。SEOチームのゴールにおいて、障害となるものがないかを確認するためだ。

昨年、SEOにおける適切な指標の選び方、また、SEOのパフォーマンスを測るための適切な指標についての記事を書いているので、そちらも参考にして欲しい。

検索のロードマップを作成し、管理する

何に取り組むべきか?

取り組むべき事項は多々あるが、大きく3つに分類することが可能だ。もちろん、事業によってはさらに考えるべき項目も存在する。しかし、多くの場合は、下記の3つの領域でカバーできるはずだ。

  • プロダクト: あなたのサイトにおける、修正が必要な箇所や追加のページが必要な箇所のすべてが該当する。詳細な技術的監査が必要かもしれないし、全く新しいサイトの構築や、URL構造の変更が必要になるかもしれない。完璧な成功を目指すために、開発者の協力は必須となるだろう。
  • コンテンツとプロモーション: 自社の事業や製品を説明するために、コンテンツやデータなどが必要となるだろう。ときには、サードパーティ製のデータ(市場やEコマースなど)が求められるし、編集者によって作成されたパブリッシャーとしての独自コンテンツが求められることもある。重要なことは、それらを作成した後、プロモーションを行うべきということだ。初回のキャンペーンは成功したが、その後、広がりを見せることは無いといったケースを多く見てきた。拡散せず、その後のプロモーション施策もなければ、そのキャンペーンはそこで終了してしまうだろう。
  • 分析とレポート: 自分が作り上げた検索からのトラフィックが、事業にとって価値を与えるものであることは理解しているだろう。大企業におけるSEOのプロジェクトの場合、事業に与える影響や価値の内容は明らかだろう。そのため、適切な指標を使用し、適切なツールから得られたデータで分析をすればいい。また、今後どのような価値を事業に与えることができるか、どこに機会があるのか、を調査することも可能だろう。

他にどのようなリソースが必要となるか?

  • ツール: 自分自身ですべてを行うことは不可能だ。Webサイトの技術的監査をサポートするツール(ScreamingFrog、Botify、Deepcrawl、SEORadarあたりが私のお気に入りだ)、キーワード調査をサポートするツール(SERPmetrics、AuthorityLabs、Google Adwords Keyword Toolなど)、そして、リンクデータを測定するツールも必要かもしれない。Google Search ConsoleやBing Webmaster Toolsも忘れてはならない。詳細は後述するが、分析作業も忘れてはならない。深い洞察とデータを詳細に分析するため、アナリストのサポートを求めることもあるだろう。
  • 予算: 予算の対象は、ツールの使用料、コンテンツ作成のための人件費、その他自社では賄うことができないために発生する外注費などが含まれる。多くの場合、予算はコンテンツ作成のために使われるだろう。コピーライター、デザイナー、動画作成者の協力を得て、独自のコンテンツを作成するためだ。
  • 協力:
    • エンジニア: 大企業においては特にであるが、SEO施策のためだけではなく、グロースチームの一員として、エンジニアの協力が必要となるはずだ。
    • チーム: 別チームのメンバーも大きな助けとなるだろう。大企業の場合、毎週のように新しい人と会だろうが、彼らもまた、SEOチームのサポートとなってくれるのだ。受付担当がすぐれたライターになる場合もあるし、経理チームがツールのための予算を抑えてくれる知恵をくれる場合もあるし、インフラのチームがログファイルを提供してくれる場合もあるし、直接の関わりがなくとも、SEOチームに貢献してくれることが多くあるはずだ。
  • 経営陣: 他チームからのサポートとして、最も必要なサポートと言えるだろう。SEOがグロース戦略にどのような影響を与えるか、あなたが取り組んでいる内容が事業の前進にどう関わっているか、などを理解し、管理してくれる存在は必要だ。彼らはあなたに、達成すべきゴールについての質問をしてくるだろうが、これは当然のことだ。彼らは(あなたがそれを忘れない限り)あなたに給料を与えるため、あなたの取り組みが事業にとってどのような価値を与えてくれるのかを理解する必要があるのだ。

優先度の付け方は?

詳細な調査を行うことで、どのような機能やコンテンツが不足しているかが明らかになるだろう。しかし、多くの場合、自社の事業領域においてどのようなキーワードが必要かを明らかにすることが重要だ。Google Search ConsoleやBing Webmaster Toolsを使用し、ターゲットキーワードのボリュームはどのくらいであるか、また、現在のパフォーマンスはどの程度のものなのか、などのデータを集める必要がある。

*左から:平均の検索ボリューム、現状のCTR、順位ごとの最も高いCTR

また、逆を言えば、現在は上位表示されていない領域における、将来的な機会を把握することでもある。そして、ターゲットキーワードのグループを再編成し、どの領域にリソースを注力すべきかを、判断するのだ。

しかし、これだけでは、まだ手を付けていない領域における機会を特定したにすぎない。最終的には、現在保有するアセット(プロダクトやコンテンツ)を最適化しなければならない。ここでは、どの領域を注力すべきか、優先度を設ける必要がでてくる。既存リソースの活用、すでに取り組んでいる領域における新しいリソースの構築、まだ取り組んでいない領域における新しいリソースの構築(つまりは、実験)の3軸をもとに、優先度をつけるべきだろう。

結果はどのように分析する?

可能な限り、事業に関係する指標に注視すべきだ。それらが、あなたが一員として参加しているグロースチムにおける、また、事業における価値となるはずだ。未だに、獲得したリンク数を指標にしているSEO担当者をよく見かける。しかし、リンク数自体は、利益を生み出すものではない。結局の所、事業に貢献している指標をベースとすべきなのだ。

そうであれば、結果をどのように分析すればいいのか?どのくらいの流入を獲得し、どのくらいのコンバージョンを達成したか、を見るべきだろう。これらが事業における利益に直結することになるからだ。NPOの場合は、寄付の金額や寄付をしてくれた人数を見ればいいだろう。こうした数値が、組織のメンバー(CEO、SVP、VP、ディレクター、マネージャーなど)が気にかけている数値なのだ。

まとめ

この記事では、グロース戦略におけるSEOの役割、また、グロースチームにおいてSEOはどうあるべきか、について説明してきた。

  • SEOチームは検索からのトラフィックを増加させ、検索結果における露出を高めることを目的とし、グロースチームの一員となっている。そして、多くの企業にとって、このことが事業の成長を加速させる手助けとなる。
  • 理想的なSEOチームは横断的な機能(デザイナー、コンテンツ作成者、SEO、エンジニア)を保有するメンバーから成る。彼らが求めるサポートは、ツール、予算、そして経営陣からのサポートだ。
  • こうしたチームを構築するために、高い能力を保有するメンバーを募集するべきだが、しっかりとしたサポートも与えるべきだ。組織にとってチャネルを管理するためだけのチームである必要はない。適切に構築されれば、SEOチームは戦略的で独創的なディレクションを組織に提供することができるはずだ。

皆さんは自身の組織で、どのようにしてSEOチームを構築するだろうか?どのようなメンバーを割り当て、どのようにして組織の全体的な成長戦略に貢献できるだろうか?このテーマに対するあなたの意見をぜひ聞かせて欲しい


この記事は、CXLに掲載された「The Role of SEO in Growth」を翻訳した内容です。


組織の規模、ビジネスの領域、リソースの量などによって、SEOチームの役割や担当領域は様々です。
しかし記事内でも指摘されていたように、最終的には「どの程度事業へ貢献しているか?」が求められるということは共通しているはずです。
不確定要素や外的要因などが多く含まれるSEOだからこそ、その重要性や役割を組織全体に対して発信共有することが重要です。
他チームからの支援や理解を得るための努力は、継続して行っていきたいものです。

アルゴリズムの判断と人による評価。SEOの成功において必要なものはどちらか?

Googleの検索結果の順位付けは、基本的にはアルゴリズムによって全て行われます。しかし、直接的ではありませんが、品質評価者による評価結果も、アルゴリズムの更新に影響を与えている(参考にされている)とも言われています。もちろん、ユーザーへ価値のあるコンテンツを提供することが最重要であることは間違いないのですが、SEO担当者として、我々はアルゴリズムと評価者による評価のどちらを重視すべきなのでしょうか?このような疑問に対する考えの一助として、今回の記事をお読みいただければと思います。– SEO Japan

過去数年における、Googleの品質と権威性の捉え方の変更は、今後のSEOの流れを大きく変更させるものである。Googleはアルゴリズムの改善を継続しながら、”品質評価者”への依存も強めている。

自動生成のコンテンツや手っ取り早いハック的な古い手法は、長期的で安定的なSEOの成功を約束するものではなくなっている。

”新鮮なコンテンツ”の名のもとに、ブログ記事を矢継ぎ早に作成するなどの手法は過去のものとなった。また、オンライン上で手に入る情報を(しかも、引用しているという告知なしに)再利用しただけのコンテンツに、効果的で安定的な結果を期待するという戦略は成り立たなくなっている。

こうした状況の中で成功するために、SEO担当者は、Googleがコンテンツに対する品質と権威性のルールを変更したという事実を学ばなければならない。また、自身のWebサイトが、ターゲットとする領域において権威があるとみなされるために必要なタスクも学ばなければならない。

Path Interavtiv社のSEOディレクターであるリリー・レイ氏は、権威性に関するGoogleのアップデートが、彼女のクライアントのサイトに対してどのような影響を与えたかについて、数ヶ月に及ぶ調査を行った。「1月30日にサンノゼで開催されるSMX Westにて、レイ氏は上記の調査結果に加え、この新しい時代を生き抜くためのアドバイスも共有してくれる」

私はリリー氏にインタビューを行い、我々が注力すべき領域はなにか?また、アルゴリズムの判断が前提であるものの、人による評価の介入も認められる昨今の状況において、SEOの成功をおさめるために必要になるものはなにか?などの質問を投げてみた。

過去数年間で、Webサイトが評価され、順位づけされる方法において、一番変化があったものはなにか?

2018年は、GoogleがWebページとドメインの品質と信頼性を分析する方法を大きく変更させた年であった。以前は、よく知られたランキング要素(タイトルタグや内部リンクの修正)を調整することで、SEOの成果は十分に認められていた。たとえ、そのWebサイトが特定の領域において権威とみなされていなくても、だ。

このような簡易的な内部最適化の手法は、もはや検索結果の最高順位を約束するものではなくなっている。特に、品質や信頼性が重視される領域においては。Googleは、コンテンツの作成者を含め、Webサイト自身の評判や信頼性を重視している。また、ページスピードやモバイル・ファースト・インデックスに関わる変更からも、ユーザー体験に大きな比重を置いていることがうかがえる。

アルゴリズムの変更により大きくトラフィックを落としたクライアントに対し、あなたはどのような対策をとるか?

クライアントのWebサイトがアルゴリズムの変更による影響を受けた場合、品質と信頼性に関わる、Webサイト内外の要因を調査する。影響を受けたページはどこか、サイト全体が影響を受けているのか、を確認するのだ。もちろん、E-A-T (expertise:専門性、authoritativeness:権威性、trustworthiness:信頼性)に課題はあるか、サイト全体の権威性が疑われているのか、なども確認する。また、影響を受けたページと、競合サイトのページとの比較も詳細に行う。情報量、引用数、ページ構成などが、検索クエリに対する答えとして十分であるのかを確認するのだ。

次に、“Site:”を使用し、自身のサイトの自然検索結果における状況を調査する。内容が薄い、重複している、品質が低い、などのコンテンツが多くインデックスされていれば、これらを統合したり削除したりすることで、大きな改善が見込めるためだ。また、(これはGoogleも推奨していることだが)コンテンツ作成者やWebサイト自体の評判も確認する。解決すべき、Webサイトの信頼に影響を与える外的要因が存在することもあるのだ。

Googleの品質評価ガイドラインは、どの程度参考にするべきか?

我々のSEOチームは2018年度版の品質評価ガイドラインのコピーを書棚においている。アルゴリズムの変更の影響を受けたWebサイトを分析する際や、Googleが定義しているコンテンツの”高品質”を再確認する際など、すぐに閲覧できるようにするためだ。もちろん、このガイドラインに書かれている内容の多くが、そのまま現状のランキング要素ではないことは、十分に理解している。それらは、Googleが検索アルゴリズムにいずれ組み込むことを目指している、長期的なマーケティング戦略であると、我々は認識している。

さらに、ここ数ヶ月のアルゴリズムの改良は著しく、人間が行うようにWebサイトの品質の分析が行われており、我々はそうした痕跡を十分に確認することができている。また、多くのSEO担当者にとっては明らかであることだが、現行のガイドラインの内容は、過去のSEOの手法が通用しなくなっていることを指し示している。つまり、キーワードの詰め込みや自動生成、新しいコンテンツの作成のみを目的とした品質の低いブログ記事の大量生産などは、将来に渡って良い結果を生み出す安定的な手段ではなくなっているのだ。

人工知能と機械学習は、ランキングアルゴリズムにどの程度の影響を与えているのか?

私は、過去数ヶ月のアルゴリズムの更新は、Googleが急速に進めている機械学習の進歩に依るものであると考えている。Googleのベン・ゴメス氏は品質評価ガイドラインを”我々が、検索アルゴリズムを向かわせたい場所”と述べている。また、ゴメス氏は、「品質において(少なくとも今のところは)人間が最良の判断を下すことができるし、それは今後も続くだろう」としながらも、「アルゴリズムが人間の判断のレベルに追いつくためにするべきことはまだ残っている」とも述べている。

機械学習はこのプロセスを、過去の例に無いほど急速に、また、安定的に進めることができる。しかし、検索結果の順位が大きく変動するたび(過去6ヶ月においては各アルゴリズムの更新後に急激に順位を上昇・下降させたサイトがあった)、それらは、アルゴリズムが何らかの指標を見落としており、まだ改良すべき点があることを指し示しているのだと思う。

今年になって起こる大きな変化は、どのようのものになるのか?

Webサイト自体、また、コンテンツの作成者の評判が注視されるのだと思う。特にYMYL(Your Money Or Your Life*)においては顕著であり、平凡なコンテンツや専門性に欠けたコンテンツが上位に表示されることは難しくなるだろう。2019年は、上位表示を叶えるために、これまで以上に時間と努力が必要になってくる。短期的なハックはもはや安定的な成功を約束するものではないからである。

※金融や医療など、誤った情報を与えてしまうことで、ユーザーの人生に大きな影響を与えかねない領域

検索結果における露出拡大に注力している個人や企業は、自身のオンライン上での評判に気を配るべきだ。そして、信用や信頼に影響のある施策は、なんだって行うべきだと思う。これには、顧客の意見を聞いたり、多くのプラットフォームで発せられている意見に対する対応などの施策も含まれている。もちろん、圧倒的なコールトゥアクションや広告を提供するという話ではない。なにか問題があったときに顧客が簡単に連絡をとれる機会を増やしたり、彼らからのフィードバックをオペレーションに反映させるなどといった施策だ。

これらを達成するまでには困難がつきまとうだろう。デジタルブランドは、長期的な自然検索結果における露出を確保するために、全精力をもって取り組まなければならない。人間による評価が重要であることは変わりないが、検索エンジンは人間が評価をするプロセスに急速に近づきつつあるのだ。

「上記以上にも、リリー氏やその他のエキスパートからアルゴリズム変更への対応についてのアドバイスをもらいたいならば、2019年1月30日-31日にサンノゼで開催される、SMX Westに、ぜひ、ご参加いただきたい。


この記事は、Search Engine Landに掲載された「Machine vs. man: What really matters for SEO success」を翻訳した内容です。


記事中にもありますが、Googleがユーザーを重視している以上、人間による評価も重視されているはずです。アルゴリズムによる判断は、もちろん人間が下す評価と必ずしもイコールではありませんが、SEOに携わっていると、その精度は急速に高まっていることを実感することもあります。直接的なランキング要素ではありませんが、Googleが目指している方向性にキャッチアップするためにも、品質評価ガイドラインは定期的に読み直すべきでしょう。

検索結果の順位をあげるための、内部リンク構築戦略

SEOにおける基本的で重要な設計の1つとして、内部リンクネットワークの構築があります。内部リンクは、ユーザーに対して重要なページへの遷移を促したり、検索エンジンがサイトを理解する助けにもなります。今回の記事は、SEOツールのOnCrawlによるPR記事となりますが、内部リンクの重要性を改めて気が付かせてくれる内容となっております。コンテンツの整理が必要なWebサイトの方など、内部リンク最適化の一助となれば幸いです。– SEO Japan

この記事では、Webサイトの設計の修正によって、SEOにおける大きな恩恵を得た事例を3つ紹介したい。

それが自身のWebサイト内のものであろうと、リンクはコンテンツとコンテンツの関係性を示すものである。リンクは、ページからページへ、その価値と重要性を伝える働きをする。また、より重要なことに、内部リンクはWebサイトの設計を定義するものである。内部リンクはユーザーを目的のページへと案内し、検索エンジンがあなたのWebサイトを理解する手助けをする。健全な内部リンクの設計をすることで、ページがインデックスされ、順位づけされやすくなる。また、CTRの増加も期待でき、訪問者が目的のページへたどり着きやすくなることで、コンバージョンの増加にもつながるだろう。検索結果の順位上昇に効果的な3つの方法を紹介する前に、内部リンクの基本的な知識をおさらいしておこう。

  • 内部リンクが多いページほど、Googleは高い評価を与える。外部リンクがWeb上のサイトの中でどのくらいの価値があなたのサイトにあるかを示すように、内部リンクはあなたのサイトの中でそのページがどれだけ重要なのかを示すのだ。
  • 内部リンクは非常に重要なものであり、Googleも、1ページあたり1,000の内部リンクを得ることは「妥当な数字」であると考えている。この数字には、ヘッダー、フッター、メニュー、サイドバーなど、すべてのリンクが含まれていることをお忘れなく。
  • リンクは非常に強力である。トップページ、アバウトページ、コンタクトページなど比較的価値が低いページでも、内部リンクを多く獲得しているが故に、高い評価を得ていることもある。
  • 作成されたばかりのコンテンツからのリンクは新鮮な価値を伝える。それ故、新しいページの存在をGoogleに伝えることになり、そのページがGoogleにクロールされる手助けとなる。


グラフタイトル:内部リンク数とクロール頻度
下部のコメント:内部リンクを多く獲得しているページほど、頻繁にクロールされる

基本知識のおさらいが完了したところで、SEOを改善させる内部リンクの3つの戦略を見ていこう。

ページの階層を減らす

2018年6月、Googleのジョン・ミュラー氏はWebmaster Central Hangoutで次のように述べている。

「クリックの深さ、つまり、トップページからそのページにたどり着くまでに何回のクリックが必要とされているか、はSEOにとって重要である。」

トップページに近いページほど、Googleからポジティブな印象を与えられる。複雑で深い階層のWebサイトにとっては、すぐに着手できる施策となりえるだろう。実際、OnCrawlでは、EC、不動産、求人などのWebサイトに対し、ページの階層を減らすことで順位を上昇させ、ユーザー体験も向上させてきた実績がある。

グラフタイトル:クロールの有無とページの階層
下部のコメント:ページの深さとGoogleのクロールには相関関係が見られる

様々なWebサイトの改善実績から得た、ページの階層を減らすための方法をいくつか紹介しよう。

  • 商品ページや求人ページなどで、「おすすめのページ」や「似たページ」の表示数を増やす。これにより、カテゴリ内や関連したカテゴリ間の内部リンクを増やすことになり、深い階層のページをより浅い階層へ引き上げることにもなるのだ。
  • 浅い階層のカテゴリ数を増やす。トップページに掲載されるカテゴリ数を増やすことで、より多くのページがトップページに近しい階層に配置されることになる。
  • カテゴリリストのページ分割数を減らす。これは、各カテゴリページに表示させている商品数を増やせば可能となる。しかし、それぞれのカテゴリ内の商品数を減らすことになるため、浅い階層のカテゴリを増やすことでも実現可能だ。ページ分割数を7から5に減らすことができれば、6番目と7番目に分割されたページに記載されていた商品ページは、少なくとも2クリック分、階層を浅くすることができる。

とあるWebサイトで上記の施策を行った結果、50以上の階層を15までに減らすことに成功した。


グラフタイトル:階層別のページ数
下部のコメント:検索結果における表示回数とWebサイト内のページの階層には相関関係がある

こうした施策を継続した結果、とあるECサイトのカタログページにおけるクロールの頻度が高まったことが確認できている。その結果、新しい商品がGoogleにより発見されやすくなったのだ。これにより、営業や広報を含む様々なキャンペーンがより効果を生むことにつながったのである。

ハブとなるコンテンツを作成する

Webサイトのグロースと特定の領域におけるオーソリティを高める手段としてコンテンツマーケティングを採用しているWebサイトは多い。こうしたサイトにとっても、内部リンクの戦略は、コンテンツのパフォーマンス向上の役に立つものである。キーとなるトピックを強化し、メインとなるページを関連性に準じてグループ化することで、特定の領域におけるオーソリティの向上と、検索結果の順位獲得の改善につなげることができる。


グラフタイトル:サイトの構造化と順位の獲得
下部のコメント:サイトの構造において内部リンクを活用し、上位表示を獲得する

ハブとなるコンテンツをもとにWebサイトのセグメント化を進める。OnCrawlを使用すれば、ハブとなるコンテンツとテーマごとにグループ化したコンテンツの内部リンクの構造を視覚化できる。その結果、自然流入、順位、クロール頻度などの主要な指標を観測できるようになる。ハブとなるこンテンツは次のような特徴を持つ。

  • トピックやキーワードが密接に関係した、複数のページから成るコンテンツ
  • メインとなるページ(自身のWebサイトがオーソリティとなることを目指している領域のトピックを扱っているページ)によって構成され、ハブとなるコンテンツに記載されているページへのリンクを設置しているコンテンツ
  • ページ間の関連性を強めるために内部リンクを設置しているコンテンツ。この場合の内部リンクは、可能であれば、ハブとなるコンテンツのテーマに関連したキーワードをアンカーテキストに含める。

一般的に、メインとなるページは良い順位を獲得する傾向がある。こうしたページから、ハブとなるコンテンツに記載されているページへ内部リンクを設置することで、メインとなるページが獲得したオーソリティを、関連するページへ伝えることが可能となる。ページの重要性理論(URLを記載)の一例と言えるだろう。こうしたハブとなるコンテンツの作成と内部リンクの設置により、ドメイン・オーソリティとCTRの増加につなげることができる。テーマごとに区別したコンテンツがお互いに内部リンクを設置することで、このグループのコンテンツが検索結果により表示されるようになるのだ。

ページのグループを選別する

季節性のあるページやイベントに関連したページを作成する場合も、内部リンクの戦略が非常に重要となる事例を多く見てきた。例えば、ホリデーシーズンのセールや業界内のイベントのチケット販売など、そのイベントが開始される前にプロモーションが成功している必要があるものだ。イベント関連のプロモーションにおいては、次の内容が重要となる。

  • イベントに関連したターゲットキーワードに最適化されたランディングページを作成する。このページのコンテンツは、上位表示されるに値する十分量のコンテンツがあり、それらは検索者の意図に即した内容であるべきだ。複数の商品が掲載されたページよりも、関連したトピックに特化したランディングページのほうが、プロモーションをしやすいのだ。
  • ランディングページには日付とイベントまでのカウントダウンを記載する。カウントダウンはコンテンツの内容の変更にもつながるため、クロール頻度の向上が狙える。
  • 関連したトピックによるハブとなるコンテンツを作成し、ランディングページからこのページへの内部リンクを設置する。このハブとなるコンテンツは、イベントページ、関連した商品のページ、関連した記事ページ、関連したカテゴリページなどを含めるべきだ。こうすることで、ランディングページが獲得したオーソリティを他のページに伝えることができるのだ。
  • ランディングページのプロモーションのために内部リンクを設置する。関連したキーワードを含めたアンカーテキストで、トップページからリンクを設置する。また、メニューページの中でも上位に記載する。多くのページから、ランディングページへアクセスできる状態を作るのだ。


グラフタイトル:平均の内部リンク数
下部のコメント:内部リンクが多いほどインプレッションが高まる

OnCrawlを使用すれば、内部リンクの戦略の指標となる、次の指標の推移も確認することができる。

  • クロール頻度:イベントまでの期間における、Googleのクロール数を確認することができる。
  • インプレッションと検索経由の訪問数:ランディングページが検索結果に表示される回数と、検索経由のランディングページへの訪問数を確認することができる。
  • 内部要因:ランディングページにおける内部要因が最適化されているかを確認することができる。タイトル、メタディスクリプション、H1とH2、単語数など。

プロモーションの期間が過ぎれば、ランディングページへの内部リンクを削除することを忘れずに。

内部リンク戦略におけるポイント

内部リンクの戦略をしっかりと設計することで、特定の領域におけるオーソリティを高め、CTRを向上させることが可能となる。また、ページの階層や重要性のような順位に直接影響を与える要素を改善することで、ランキングの上昇も見込める。内部リンクは、Googleによるページの優先度、検索結果における順位、検索経由での訪問など、定量化できる結果を生み出してくれる。ページの階層を減らし、ハブとなるコンテンツを作成し、特定のグループをプロモートすることが、あなたのSEO戦略の大きな武器となるだろう。


この記事は、Search Engine Landに掲載された「How to boost search rankings using only your internal linking strategy」を翻訳した内容です。


サイトの規模が大きく、複雑になればなるほど、内部リンクの設計の難易度もあがります。場合によっては非常に面倒な作業となりますが、ページ遷移率やサイト内滞在時間など、様々な面で改善が見込めそうです。ユーザーにも検索エンジンにも最適な内部リンクを設計し、SEOフレンドリーなサイト構築を心がけたいものです。
お知らせにはなりますが、SEOJapanでは先日サービスページを一新いたしました。サービス一覧ページの他にも、サイト種別に最適なサービスをご提案ページもご用意しております。内部リンク設計などでお悩みのお客様向けには、SEOコンサルティングサービスによるサイト設計サポートをご用意しております。
— SEO Japan

リニューアル後に下落したトラフィックと順位を回復させる方法

新年明けましておめでとうございます。今年もSEO Japanをよろしくお願いします。2019年第1弾は、おなじみSearch Engine Landより、Webサイトのリニューアルについての記事となります。SEOにとってはチャンスとなりえますが、同時にトラフィックの減少などのリスクも存在します。こうしたWebサイトのリニューアルにおけるチェックポイントをBowlerHat社Marcus Miller氏がわかりやすく解説してくれています。新年のタイミングでWebサイトをリニューアルした方や、これからリニューアルを検討している方は必見の内容です。– SEO Japan

実際にトラフィックが減少した事例を見る限り、そこには特定の原因が存在することに気がつく。リダイレクト、ページの失効、プロトコルやドメインの問題などであるが、それらを修正することでSEOを正常な状態に戻すことは十分に可能である。

新しいWebサイトを構築する際、検索結果の順位とトラフィックを維持、または改善することは、目指すべきゴールと言える。これには、SEOとWebサイトの設計が互いに影響し合うということや、サイト移行のためには丁寧な計画が必要だということを深く理解することが求められる。

実際には、これらが十分に理解されていないケースも多い。Webサイトがローンチされ、トラフィックが減少し、パニックが起こる。不幸にも、私はこのような話を毎週のように聞かされるのだ。その多くがスモールビジネスの経営者からによるものであるが、彼らにとって、トラフィックの減少はリードやセールスの減少を意味し、彼らのビジネスを危機的状況に貶めるのだ。

しかし、全てが失われたわけではないこと、また、トラフィックの減少の原因が存在することはしっかりと理解すべきだ。この記事では、Webサイトの設計が原因によるトラフィックの減少と順位の下落について、その診断方法と改善方法を明らかにしたいと思う。

STEP1:情報を集める

すべての情報が集められることは少ないにせよ、次の情報は取得すべき情報と言える。

  • Googleアナリティクスから得られる情報
  • Googleサーチコンソールから得られる情報
  • Webサイトをローンチした日付
  • WebサイトのURL
  • 歴代、または代替のURL
  • キーワードの過去の順位(可能であれば)

STEP2:状況を確認する

次に、GoogleアナリティクスとGoogleサーチコンソールのデータを分析し、トラフィックの減少を確認しよう。ここでは、Webサイトのリニューアルの日付とトラフィックの減少が開始した日付が、どのくらい離れているか(近いか)を明らかにする。トラフィックの減少は、ゆっくりと安定的に減少する場合もあれば、一気に大きく減少する場合もある。

一例ではあるが、次の画像はトラフィックが90%も減少したサイトのグラフである。このWebサイトのオーナーから連絡を受けた後、我々は改善に向けての作業を着手した。私が経験した中でも最悪のケースではあるが、事態はこれほど悪くなる可能性があるということを示すために、例として挙げている。

【画像2】

まずはGoogleアナリティクスを見てみよう。

Googleアナリティクス:集客>すべてのトラフィック>チャネル

トラフィックの減少を調査するためには、自然流入以外にも、複数のチャネルを調べる必要がある。仮に、自然流入が減少しているが他のチャネルからの流入が減少していない場合、Webサイトのリニューアルが原因である可能性は高くなるだろう。

Googleサーチコンソールでキーワードの順位を確認すれば、トラフィックの減少が開始した日付も特定できるはずだ。

STEP3:損失を理解する

改善の余地があるかどうかを判断する前に、損失がどの程度であるかを理解しよう。まずは、キーワードの順位と最も影響を受けたページを特定するのだ。

順位

過去の順位データがある場合は、現在の順位と比較し、影響を受けた範囲を特定しよう。過去の順位データがない場合は、サードパーティ製のSEOツールを使用してデータを取得することが可能だ。または、Webサイトのオーナーが過去の順位を記憶している場合もある。もちろん、これは全く科学的ではないのだが、我々に重要な気づきを与えてくれるし、Googleサーチコンソールを使用すれば、裏付けも可能であるのだ。

ランディングページのトラフィック

リニューアル前後のトラフィックを比較してみよう。

Googleアナリティクス:行動>すべてのサイトコンテンツ>ランディングページ

Webサイトのリニューアルから数週間経過しているのであれば、リニューアル前の期間と比較し、どのページが最もトラフィックを得ていたかを明らかにする。

リニューアルの際、ページの名前が変更されている場合もあるので注意しよう。リニューアル前に上位表示され、最もトラフィックを得ていたページを特定し、新しいWebサイトにおけるそのページの代替となるページとを比較することが目的だ。

リニューアル以前ではそのページは存在していたが、リニューアル後ではそのページが存在しない、といった最悪のケースも起こりうる。ページがない。つまり、トラフィックも存在しない。リニューアル後のWebサイトでもページが存在し、単純にトラフィックを獲得できていないということであれば、技術的な問題が要因である可能性が高いだろう。

大規模なWebサイトの場合は、こうした情報をスプレッドシートにまとめると比較が容易になる。

この調査をする場合、Wayback Machineが非常に便利だ。このツールを使用することで、リニューアル前に上位表示されていたページとリニューアル後のページを比較し、その違いを調査することができる。ここでは、ページ内容の物理的な差異を確認することになる。

STEP4:よくある原因

トラフィックの減少が起きた場合、よくある原因というものが存在し、これらを修復することで、事態は元通りになることも多い。

リダイレクト

リダイレクトにおいては、「損失」と「設定ミス」がよくある原因だ。新しいWebサイトをローンチする場合、次のいずれかの施策を、すべての重要なページに実施したい。

  • URLをそのままにする(理想はこちら)
  • 旧ページから新ページへ301リダイレクトを設定する

リニューアル前のサイトで最もトラフィックを得ていたURLを10個ほど用意し(GoogleアナリティクスやWayback Machineで特定する)、それらのURLをブラウザで閲覧してみよう。リダイレクトされなければ、設定ミスであると言える。

リダイレクトが設定されているのであれば、ScreamingFrogや他のツール(多くが無料で使用できる)を使用し、意図したページへ正確に301リダイレクトが設置されているかを確認しよう。

この確認について、実際にあった最近の例を紹介する。SEOの基本的な知識のあるWebサイトのオーナーがリダイレクトの確認を行ったところ、彼にとっては問題ないように見えていた。しかし、私が確認したところ、301ではなく302が設定されていたことがわかった。301リダイレクトに設定し直した後、リニューアル前の水準にトラフィックが回復したのだ。

もう一つ別の例を紹介する。とあるインハウスのマーケティングチームがリダイレクトの確認をしたところ、301リダイレクトが適切に設定されていた。しかし、彼らはリダイレクト先のページの確認を怠っており、リダイレクト先のページが全て404になっていることに気が付いていなかった。

リダイレクトの確認は端から端まで行うべきだ。ブラウザで閲覧し、Webサイトのクローリングツールの使用し、全ての旧ページを対象に。重要なページはもれなく設定されていることを確認しよう。

ページの損失

よくある別の要因として、リニューアル前はパフォーマンスが好調だったページが、リニューアル後のサイトに存在していない、ということが挙げられる。ページが存在しない限り、上位表示されることはない。高パフォーマンスのページが全て存在し、適切にリダイレクトが設定されていることを確認しよう。

この確認にはどうしても手作業が発生してしまうが、STEP3で特定した高トラフィックを獲得しているページを対処することで、現状を把握するための有益な情報を得られるだろう。こうしたページが404になっていたり、一般的なページ(Webサイトのトップページなど)にリダイレクトされている場合は、ページの損失がトラフィックの減少の大きな要因となっている可能性が高い。

コンテンツの変更

コンテンツの変更もトラフィックの減少の一因となりえる。ページ自体は存在しているが、コンテンツの内容が変更されている場合は、定性的な調査が必要となるだろう。新しいページの品質は、古いページの品質と比べて、高くなっているか、低くなっているか。変更を加えた箇所はどこか。この調査においても、Wayback Machineは有効なツールとなる。

プロトコルとドメインの問題

リニューアル前のサイトが「http://example.com」であったとしよう。リニューアルと同時に、プロトコル(例:https)、サブドメイン(例:www)、ドメイン自体の変更も行った場合、リダイレクトの設置を考慮する必要がある。「https://www.example-2.com」は「http://example.com」と同一ではない。ここでは、リダイレクトの設置が適切にされているかを確認しよう。対象は、ドメイン、サブドメイン、プロトコルなど、変更を加えた箇所となる。

今までの変更

プロトコル、ドメイン、サブドメインの過去に行った変更が影響する場合もある。一見したところ、サイトの移行は適切に行われているが、トラフィックは減少しているというケースがある。これらは、過去に行われた変更が、今回のリニューアルにおいて考慮されていなかったことが要因となる場合もあるのだ。

2008年–2016年 「www.example.com」としてサイトを運営
2016年–2017年 「www.example-2.com」としてサイトを運営。「www.example.com」には301リダイレクトを設置

新しいWebサイトが2018年にローンチされた際、旧サイトから新サイトの移行は正しくされていた。しかし、開発者は過去のドメイン変更についての情報がなく、リダイレクトは考慮に入れていなかった。そのため、10年にも渡って運用されてきた歴史が失われたことになってしまったのだ。

この例から学べることは、直近で行われる変更よりも以前に、ドメインの変更やリダイレクトの設定があったかを確認することは、非常に重要であると言えることだ。

技術的な問題

新しいサイトの設計が不十分であり、技術的な最適化が図られていないことが要因である場合もある。クロール、カノニカル、インデックス。これらが事態を悪化させている場合もある。このような場合は、いわゆる「SEO監査」を行うことが重要だ。SEOにおける技術的な最適化が、100%されていることを確認しよう。

最適化の問題

技術的な問題と同様、リニューアル前のサイトからリニューアル後のサイトへ、最適化がされていない場合もある。全てのページのタイトルが同一になっているなど、基本的な設定が不十分なケースも目にする。リニューアル後のサイトをクロールし、基本的な最適化が十分にされているか、確認しよう。

混乱

Webサイトの移行が与える影響についても検討しておこう。我々は、「混乱」と表現しているが、Webサイトの規模が大きく、複雑であるほど、「混乱」を目にする機会も多い。ここで重要なことは、「忍耐」である。全ての項目を、確認しよう。全ての項目を、二重確認しよう。それでも、全てが適切に設定されているにもかかわらず、トラフィックが数週間に渡って落ち着かないこともある。その際は、新しいページがインデックスされ、古いページがインデックスから外されることを、じっくりと待つことが重要となる。

STEP5:全てに問題がない場合は?

新しいサイトがローンチされる。移行計画もしっかりと立てた。あらゆる項目を調査し、問題がないことを確認している。しかし、トラフィックが減少する場合もある。そんなときはどうすればよいのか?

Googleアナリティクス

Googleアナリティクスは適切にセットアップされているだろうか?AMPページのような直近で変更を加えたページは特にではあるが、全てのページにタグが付与され、レポートに反映されていることを確認しよう。

アルゴリズムの変更

リニューアルのタイミングとアルゴリズムの変更のタイミングが同時ではないか?Panguin Toolを使えばGoogleの更新のタイミングを知ることができる。トラフィックの減少のタイミングが、Googleのアルゴリズムの変更と重なっていないか、確認しよう。

季節要因

特定の期間において、トラフィックが減少するということはないだろうか?Googleアナリティクスで過去数年分のデータを確認し、Googleトレンドでこのような減少が自然に起こるものなのか、確認しよう。

検索結果画面の変化

検索結果画面の変化がトラフィック減少の要因となっていないだろうか?フィーチャードスニペットや広告の表示枠の変化などがクリック率に影響することもある。こうした変化が要因でないか、確認しよう。

手動アクション

常に清廉潔白なSEOをしていたわけではない、ということであれば、手動アクションを受けてはないだろうか?Googleサーチコンソールにログインし、「手動による対策」のセクションを確認しよう。

セキュリティ、ハッキング

セキュリティやハッキングが要因となってはいないだろうか?あなたのWebサイトがハッキングされている場合、Googleサーチコンソールにメッセージが届いているはずだ。また、検索結果画面にも「このサイトは第三者によってハッキングされている可能性があります」や「このサイトはコンピュータに損害を与える可能性があります」と表示されてしまう。「site:」を使用し、インデックスされているページにこのようなメッセージが表示されていないか、確認しよう。

あるべき状態にする

今回の記事で紹介したような事態が起こってほしくないことが本音である。そのためには、SEOとWebサイトの設計が互いに影響し合うということや、サイト移行のためには丁寧な計画が必要だということの理解が必要だ。

望ましくない状況に自身が陥った場合、この記事で紹介した手順を参考にしてほしい。特に、スモールビジネスのSEOにおいて、あるべき状態に戻ることを願っている。


この記事は、Search Engine Landに掲載された「Recovering SEO traffic and rankings after a website redesign」を翻訳した内容です。


大きなリソースを投入して行ったリニューアルがSEOにおいてはマイナスの施策となってしまった、というのは不幸なお話です。簡単な設定ミスや基本的な対処の怠りが大きな影響となる場合もあるので、記事中で紹介された項目は必ず確認したいですね。特に、大規模サイトの場合は確認する項目や説明すべき関係者も多くなることかと思います。リニューアル後の効果測定も含め、しっかりとした計画を立てたいものです。改めてとなりますが、2019年もSEOについての有益な情報を発信してまいりますので、今年もSEO Japanをよろしくお願いいたします!
— SEO Japan

コンバージョンを増加させるためのサイトリンク活用法

「Googleの検索結果下に表示されてるリンクって、どうやって決まっているの?」
「重要じゃない求人ページが、サイトリンクに表示されてしまっているのを変更したい…」
「ブログページをサイトリンクに入れて、もっとブログを読んでもらいたい」
サイト運営者であれば、サイトリンクを自分の思い通りに設定したいと願ったことがあるでしょう。
残念ながら、サイトリンクはGoogleのアルゴリズムで自動的に決まるものなので、自由に設定を行うことはできません。

しかしながら、サイトリンクの調べ方、仕組み、改善法を学ぶことで、ユーザーのエンゲージメントを高めることはできます。
サイトリンクを上手く活用し、流入数とコンバージョンを増加させましょう!
— SEO Japan

目次

mobile-ecommerce-conversion

検索エンジンのトラフィックに依存している場合、コンバージョン最適化は訪問者がサイトにアクセスする前に開始している。なぜだろうか?

そこにはサイトリンクの存在がある。

ほとんどのサイトでは、ブランドクエリ(例:キングアーサーフロー(映画名) など)において、メインのリンク(多くの場合TOPページ)の下に、サイト内の他ページへのサイトリンクが生成される。モバイル検索においてはサイトリンクは拡張可能で、訪問者は検索画面上でサイト内の様々な箇所へアクセスすることが出来る。

これらのショートカットは、ユーザー体験を合理化し、訪問者を自分が行きたい場所や行きたい場所に素早く行くための助けとなる。

あなたのホームページでは、どれくらいの数のユーザーが目標を達成しているだろうか?

私の知る範囲では、

  • どのようなサイトリンクが、自サイトでは表示されているか
  • サイトリンクで表示されているページがどのように変わっているのか
  • なぜそれらは変わっているのか
  • 表示されるサイトリンクに対して、どのようにすれば影響を与えられるか

これらを把握している人は少ない、というのが実情である。

これらの答えを知りたければ、ぜひこの記事の続きを読んでほしい。

サイトリンクがコンバージョンにとって重要な理由

Google独自の調査によると、非ブランドキーワードとブランドキーワードでは、コンバージョン率は2倍も違うと言われている。また別の調査でも、ブランドのクエリにおいて一貫して高いコンバージョン率が得られることが示されている。

この結論は、ブランドキーワードを使用している検索者が、既にブランドを認知していて、ブランドへの親しみを感じていることを示しており、またこれらのユーザーに対して素晴らしいユーザー体験を提供することの重要性も表している。

ブランド検索をしたユーザーの一部は、これらのサイトリンクに基づいて次のステップを選択している。
サイトリンクをうまく処理することにより、非ブランドクエリへの最適化以上に、リードと売上に対して大きな影響を与えることができる。

逆にそれらの訪問者に対して対策をしないと、容易にコンバージョンを生み出すのは難しくなるかもしれない。

検索エンジンはどのようにサイトリンクを選択するか?

サイトリンクは「ナビゲーショナル」クエリ、もしくはユーザーが特定のWebサイトを探している場合において、メインリンクの下に表示される。全クエリのうち、約18%がナビゲーションクエリだと言われている。そしてほとんどのナビゲーショナルクエリは、ブランド名のクエリである。

※サイトリンクのイメージ
google-sitelinks
①メインリンク ②サイトリンク(引用元)

サイトリンクはユーザーの時間を節約し、探している情報をすばやく見つけるためのショートカットである、とGoogleは述べている。
Bingはサイトリンクを「人気のある訪問先」、もしくは訪問体験における離脱ページと呼んでいる。

重要なのは、サイトリンクは単なる人気ページのキャッシュではないということだ。「選ばれるのは、検索エンジンで上位表示されていないページだったり、検索キーワードを含んでいなかったり、検索エンジンにインデックスされていないページの可能性すらある。

では、それらはどうやって選んばれたのか?

サイトリンクはアルゴリズムで生成される。

検索エンジンの特許を監視しているBill Slawski氏は、考えうる可能性をまとめている

  • ページが何回アクセスされたか
  • 訪問者がページにどれだけ長く滞在したか
  • 訪問者がページ内でスクロールをしたか、もしくはスクロールをせずにクリックをしたか
  • 検索キーワードとページ内容の関連性に基づく検索スコア
  • 検索者がページで購買を行う可能性
  • 検索者がページに興味を持つことを示す別の指標

2016年までは、サイトオーナーはサーチコンソールからサイトリンクに出現している関連のないページの順位を90日間下げることが出来た。
Bingは未だにサイト所有者がウェブマスターツールの「ディープリンク」をブロックする機能を提供している。

サイトリンクのラベルはどのように選択されているのか?

理想的なサイトリンクを選択されていたとしても、サイトリンクの見出しは、情報が不足していたり、コンテンツの内容と合ってなかったりすることがある。

ミスサイトリンク
紛らわしいことに、メジャーリーグサッカーのウェブサイトには、「ニュース」という見出しの付いたサイトリンクがRSSフィードも含めて3つもある。

Yahooが認めたように、クリックを獲得するためには正確で有益なラベルが不可欠である。

アイトラッキング調査によると、検索エンジンユーザーは検索結果のタイトルに強く注意を払っており、内容のサマリーよりもリンク見出しが注目を集めていることが分かりました。

最終的に、サイトリンクの見出しはいくつかの要素に基づいて選択される。再びBill Slawskiは、特許出願に基づいて潜在的な要因を要約している。

  • サイト内外からのリンクに付与されたアンカーテキスト
  • そのページが特に上位に表示されている検索クエリ
  • 検索結果上で実際にクリックされた検索クエリ
  • ソーシャルブックマークのタグから抽出されたキーフレーズ

モバイル検索の継続的な成長により、サイトリンクとその見出しがますます重要になっている。

サイトリンクがモバイルでのコンバージョンに不可欠な理由

Googleは2006年にサイトリンクを導入した。当時は、ナビゲーショナルクエリにおける検索1位ページの下のみに掲載されていた。

Googleは過去10年間で、検索結果下に1行で複数のサイトリンクを入れたり、ホームページ以外のページにもサイトリンクを表示させたり、など様々な変更を加えた。
さらにコンバージョンに関するところでいうと、最も重要な変更である「拡張サイトリンク」はモバイルで発生している。

拡張サイトリンクは2017年に最初にテストされ、その後大規模に展開された。ユーザーは検索結果上にいながらサイト内を閲覧し、サイト内の様々なページへ直接アクセスすることが可能になった。
拡張サイトリンク
※拡張サイトリンクが表示されるためには、一貫したサイト構造が必要である。

特にeコマースサイトでは明確で一貫した階層が不可欠だ。 毎月190万件のブランドクエリを取得している(Ahrefsデータより)REIは、サイト内が構造化されていない場合に、どうなってしまうかを体現している。
REIサイトリンク

まず女性の服を探してみても、サイトリンクが存在しない。そして男性用品を購入しようとした場合も、選択肢を絞り込むための拡張サイトリンクは存在しない。 しかしながら、これはREIが各種メンズウェアのページを持っていないからではない。

REI紳士服モバイルページ

これらのページがネストされた階層構造ではなく、フラットなサイト構造になっているためである。

■メンズ服のサイトリンクURL:
https://www.rei.com/h/mens-clothing

■サンプル商品カテゴリのURL:
https://www.rei.com/c/mens-boots
https://www.rei.com/c/mens-casual-jackets
https://www.rei.com/c/mens-pants

しっかりとした階層構造を持っていないと、メインのページと、商品カテゴリ間の検索エンジンによる結び付けが弱くなり、そのセクションにおいて拡張サイトリンクが表示されづらくなる。

対照的に、「教室&イベント」ページには、メインURL移行に個別のロケーションが含まれている。

■「教室、イベント」サイトリンクURL:
https://www.rei.com/events

■個別の「教室、イベント」のURL:
https://www.rei.com/events/p/us-ga-atlanta
https://www.rei.com/events/p/us-ca-los-angeles
https://www.rei.com/events/p/us-wa-seattle

もちろん、最上位のカテゴリには拡張サイトリンクがある。

REI「教室、イベント」サイトリンク

REIでは一貫性のないサイト構造により、モバイルショッピングを利用しているユーザーに対して不必要なクリックが発生している。 (女性のギアを探している人は一度ホームページを見るしかない。)

当然これらの問題は、あなたのブランドの検索結果上で表示されているサイトリンクがわからない限り、解決することはできない。

自サイトのサイトリンクの調べ方

実際に検索をしてみる、という逸話的でパーソナライズされた証拠のほかに、あなたは自サイトに現れるサイトリンクについてどれだけ把握しているだろうか?

Googleサーチコンソールでは、どのサイトリンクが表示されるかを簡単に確認することが出来る。まず、自ブランドクエリのみを含めるようにクエリの絞り込みを行う。

GSCクエリ絞り込み

ブランド名によっては、「次と一致するクエリ」ではなく「次を含むクエリ」を使用する必要がある〈ブランド名に複数の単語が含まれている、よくつづりが間違われる、地域に関連する語句が含まれている場合などは特に)。すべてのブランドクエリを取得することは不可能だが、大部分に対してフィルタリングが出来れば十分だ。

Googleサーチコンソールは最大16ヶ月のデータを提供する。その中で最も関心のある期間を選択する(そして次セクションで説明するように、期間毎に結果を比較する)。

GSC期間指定

ここから「ページ」タブに移動し、「検索順位」を「1.5より小さく」なるようにフィルタリングする。これにより、ブランドクエリでページが上位表示されたときのデータに制限することができる。 (サーチコンソールはサイトリンクとして表示された時の順位を、「約1位〈1.~)」として表示する)
1.5位以下

そうすれば、特定期間におけるサイトリンクが表示回数順にソートされて表示されていることを確認できるはずだ。

サーチコンソール位置フィルタ

デスクトップ、モバイル、タブレットのデバイスカテゴリ別に同じ分析を実行すると、モバイルユーザーにのみ異なるサイトリンクが表示されていないか、などを判断することもできる。

しかしここで確認できることは、始まりに過ぎない。

サイトリンクの変化を調べる方法

前セクションと同様の条件を使用して、サーチコンソールから月単位または3か月毎のデータをエクスポートすると、表示されているサイトリンクどのように変化したかを見ることができる。これは、サイト内の変更がサイトリンクにどのような影響を与えたか、を判断する場合に特に便利だ。

各ページのインプレッション数を、ホームページのインプレッション数で割ってみよう。その割合は、各ページがサイトリンクとして表示される頻度を示している。
例えば、サービスページの表示回数が20,000回でホームページの表示回数が40,000回の場合、サービスページは50%の確率でサイトリンクとして表示されると言える。

CXLの場合、Agencyページ、Instituteページ、およびBlogページは、去年1年間でみると、ほぼ100%のサイトリンクとして表示され、Aboutページがその後に続いた。
また、他のサイトリンクは最近表示され始めた。
サイトリンクのインプレッション数のグラフ
(きれいなチャートを作成するには、表示回数の少ないページは除外した方が良い)

同様に、各サイトリンクのクリック率をグラフ化することが出来る。特定のページへのクリック数を、全体のクリック数で割るだけである。

サイトリンククリック数のグラフ

これらのチャートは、ブランドクエリで検索したユーザーが、自サイト内のどこに行くのかを明らかにしている。 「conversionxl」を検索しているユーザーのうち4〜8%がブログページにランディングしているとしたら、ブログ用のランディングページではユーザーのニーズに応える十分な情報を提供し、エンゲージメントを高めなければならない。

我々(CXL)を例にサイトリンクを紹介したが、あなたのサイトで重要なページがサイトリンクに表示されていなかったり、不要なぺージがサイトリンクとして表示されていた場合にはどう対処するのが良いのだろうか?

dell sitelinks google

ニュージーランドのDellで表示されているサイトリンクは、ユーザー体験を改善する機会を無駄にしている。
(SEOJapan補足)「ラップトップ」「ラップトップとノートPC」という重複した内容のサイトリンクが存在していたり、いきなり「ショップ」という抽象度の高いサイトリンクが登場したりと、サイトリンクの粒度がばらばらになっている。

求人ページはしばしばサイトリンクの無駄使いをしている。人員の採用が急務でなくまた他社の求人サイトを通じて募集をかけている場合は、顧客ではない検索者のためのページに貴重なサイトリンクの枠を使う必要はない。

グレーターアイスクリームサイトリンクGoogle
※ジョブページには多くのユーザーシグナルがあるが、ROIは低い。

何らかの理由でサイトリンクが最適化されていない場合にも、できることはある。

サイトリンクを改善する方法

2011年にGoogleが述べたように、多くの検索シグナルが、表示されるサイトリンクとその見出しに影響している。

ランキングの観点から言うと、「通常」の検索結果とサイトリンクは、もはや別物ではない。
サイト内リンク構造のベストプラクティスは、質の良いサイトリンクを生成して訪問者の体験を改善する事に対して、影響を持っている。

したがって、何か一つを最適化することでサイトリンクの変更を保証することはできない。しかし、そのためには何もできないという事でもない。

Googleのサイトリンクを改善するためのアドバイスは、いくつかの標準的なSEOのベストプラクティスを含んでいる。

  • 繰り返しがなく、コンパクトで、関連性と情報に富んだ内部リンクとアンカーテキストを用いて、ウェブサイトの構造を明確にする。
  • Googleがサイト内の重要なページをクロール、インデックスできるようにしておく。フェッチ&レンダーを使って、それらが正しくレンダリングされていることを確認する。
  • もしページを検索結果から完全に削除する必要がある場合は、そのページに「noindex」メタタグを使用する。

またGoogleは、ユーザーを複数トピックを含んでいるページの該当セクションに直接誘導するサイト内リンク(スニペット内サイトリンク)を目次に設置する事を勧めるなど、サイトとページの構造の重要性について繰り返し述べている。

サイト上に複数のトピックがある長いページがある場合は、まずきちんと内容を整理し、セクションが論理的に分割されていることを確認してください。そして各セクションに、関連性が高く説明的なアンカーテキスト(「セクション2.1」だけでなく)があり、個別のセクションにきちんとリンクする「目次」を設置されていることを確認しましょう。

セクションがページに含まれ、ページがサブディレクトリに含まれ、サブディレクトリがWebサイトに含まれているように、ページ構造の重要性に関する推奨事項は、スニペット内サイトリンク以外にも適用される。

モバイル検索での拡張サイトリンクが増えると、明確で階層的なサイト構造の重要性が高まる。ユーザーは検索結果ページでリンクをクリックする前に、複数のサブディレクトリを確認することができる。 (もし必要な内容が見つからない場合は、彼らはクリックをしない)

明確で階層的なサイト構造に加えて、改善のためには他の選択肢もある。

サイトリンクに影響を与える別の方法

  1. まずはブランド名を持とう。既存のブランドをすでに持っている場合は適用されないが、新しいブランド名を選択する際は他サイトとの競争は避けるべきである。検索エンジンがあなたのブランドのクエリをナビゲーショナルクエリとして判断しない場合、サイトリンクを返す可能性は低い。
  2. 無関係なページを「noindex」に設定する。「noindex」タグを使用し、価値の低いページ(プライバシーポリシーや求人ページなど)をサイトリンクとして表示しないようにする。しかしながら、サイトリンクとして貧弱なページの中にも、バックリンクなど重要な検索シグナルを持つページもあるので、慎重に行う必要がある。
  3. 堅牢な内部リンク構造を作る。内部リンクはサイト構造を強化する必要がある。親ページは子ページにリンクし、子ページは親ページにリンクにするようにする。
  4. ページ内容に合わせたアンカーテキストを選択する。アンカーテキストは、検索エンジンがリンクされたページの内容を理解するのに役立つ。
    これらのアンカーが、一貫していても同一ではない(つまり、類義語を用いている)場合、検索エンジンがサイトリンクの見出しに含めるテキストを判断するのに役立つ。
  5. 深い階層のページへのバックリンクを獲得する。ほとんどのサイトはホームページをはじめとした、トップに近いページに被リンクを受けている。内部の深い階層への被リンクは、ページがサイト内でオーソリティを得るのに役立ち、検索エンジンがそれらをサイトリンクとして含める可能性が高くなる。

サイトリンクからの訪問ユーザーのエンゲージメントとコンバージョン率を高める方法

  1. 「事実上のホームページ」であるサイトリンクが訪問者を誘導するようにする。最も人気のあるサイトリンクを事実上のホームページとして扱おう。これらのページは、訪問者に良いファーストインプレッションと、サイト内を回遊してもらうための関連する内部リンクを与えなければならない。商品やサービスページに誘導しないような「About Us(我々について)」ページを設置することは避けよう。
  2. クーポンやセールページがあることを確認しよう。クーポン、ディスカウント、およびセールスクエリには、しばしばブランド名が含まれており、ナビゲーション検索として扱われることがある。
    例:「aftershokz(=ブランド名) クーポン」など
    クーポンを提供しない場合でも、そのポリシーを説明しているページは、一般的なブランドクエリのホームページの下にあるサイトリンクとして表示されることがある。そのサイトリンクが、サードパーティのクーポンサイト以上に、購入意欲の高いユーザーのクリックをもたらしてくれる可能性もある。

結論

ブランドクエリを入力する検索エンジンユーザーは、サイトにとって最も価値のあるユーザーの一人だ。しかし彼らはしばしば無視されてしまう。ホームページに飛ばされたり、購入客と求人者を区別することもできないアルゴリズムによって選ばれたページを提供されたりするのである。

Googleサーチコンソールでは、サイト運営者がサイトリンクを特定し、その変化を確認するために必要なデータを提供している。こうした洞察は、サイトリンク最適化の影響を評価するのに役立つ。

その結果より多くのユーザーが目的地ページに素早くアクセスできるようになり、コンバージョンをより素早く、簡単に行うことができ、ウェブサイトの収益性を高めることができるのである。


この記事は、CXL Blogに掲載された「How to Curate Sitelinks to Increase Conversions」を翻訳した内容です。


この記事で述べられている通り、サイトリンクは検索エンジンからの訪問者への入り口となることもある重要なページです。Googleで自社ブランド名を検索する事のみで確認するのではなく、まずは自社のサイトリンクをきちんと把握する事から始めましょう。サイトリンク以外にもSEOに関する改善でお悩みの方は、ぜひ弊社までお問い合わせください。
— SEO Japan

コンバージョン率最適化のための9つのベストプラクティス

コンバージョン率最適化(CRO)は、訪問者の抱える課題に左右されるため、様々なサイトで通用する普遍的な改善手法はないと考えられてきました。
しかし今回SEO Japanがメディアの紹介権をいただいたInvespでは、それを可能にする方法を紹介していました。
CROを米国で2番目に提供開始したInvesp、そんな彼らのノウハウの一部をご紹介します。
— SEO Japan

9 Best Practices For Conversion Rate Optimization

コンバージョン率最適化は複雑で、取っ付きづらいものだろうか?
コンバージョン率最適化がそのように思われるのには、いくつか理由がある。

この記事を読む事で、コンバージョン最適化の計画と実装の見方が変わり、CROの取り組みを加速させることが出来るはずだ。CROは計画をしっかりと練ることで、恩恵を受けることが出来る。
過去の記事で紹介したようにコンバージョン率最適化は、まずはコンバージョンさせようとしている訪問者を理解することから始まり、そして顧客の反応を計測し仮説を検証することで実現する。
このCROのプロセスは、時間や、リソース、予算を必要とするものである。

conversion-optimization-plan-invesp
画像出典元:Invesp

このチャプターを読み、コストとリターンの計算と技術要件の理解をする事で、スムーズなコンバージョン率の改善が可能になるであろう。
この記事を読むことは、あなたのビジネス、そしてコンバージョンを加速させるに違いない。

1. 正しく予測を立てる

コンバージョンは一晩では上昇しない。これは事実である。

Webサイトのコンバージョンを上昇させるには、努力、献身、そして何より忍耐が重要となる。

マーケターの中には、コンバージョン率最適化のプロセスを見くびる人もいる。CROプログラムによって収益的を劇的に上げたというケーススタディを読んで、自分たちの会社でも実際にやってみようとするのである。
ものすごい成功を夢見て始めた取り組みでは、思っていた結果が得られない事により、徐々に情熱が薄れていってしまう。

誤った期待は、失望を生み、投資を無駄にしてしまう。

一方で合理的な目標は、熱意、時間、リソースを有意義なものにする。

Questions-you-must-ask-before-hiring-a-conversion-optimization-company
画像出典元:Invesp

過去十年間にわたって、我々は多くの企業や組織とのパートナーシップを通して、良い予測には二つの要素が必要であると学んだ。

  1. 良い計画は、最低でも年間に30%コンバージョンを上昇をさせる。
  2. しっかりとした計画はコンバージョン上昇以外の副産物ももたらす。学びや体験が様々なチャネルで良い結果をもたらすであろう。これにより最終的な効果は10倍にもなる。

2. 計画のリターンを試算する

既にコンバージョン率が20%を超えているようなサイトでない限り、年間で30%のコンバージョン数上昇は妥当な予測である。
コンバージョン最適化のインパクトの試算方法は2つある。

  • 30%のコンバージョン上昇をドルに変換すると、収入に対していくらの効果になると推測されるか?収益はどれくらい上昇するか?その収益は投資への健全なリターンとなるか?
  • CROプログラムへの投資額を決定した後に、現在の年間の収入と収益に基づいて、以下の2つの数字を計算する。
    1. 損益分岐のために必要な、収入の増加幅
    2. 同様の主旨のプログラムにおける投資対効果を上回る基準値

以下はこれらの例である。

まず、あなたの会社には500万ドルのオンラインでの収入があるとしよう。売上総利益率は35%であり、マーケティング計画においては300%の投資対効果を期待している。そして、CRO計画にかけられる総予算は15万ドルである。

  • アプローチ1:まずは収入が30%上がると仮定する。これは150万ドルの収入の増加を意味する。総利益率が35%なので、150万ドル × 35% = 52.5万ドルの収益が全体で上がると試算される。
    つまり15万ドルの投資が52.5万ドルのリターンを生むということになる。
  • アプローチ2:15万ドルの予算を投資したとした時、最低でも収入を42.8万ドル(≒15万ドル/35%)増加させる必要がある。
    1. 損益分岐のために必要な、収入の増加幅:42.8万ドル/500万ドル ≒ 8.6%
    2. 期待された投資対効果を上回る基準値:15万ドル × 3 = 45万ドル

45万ドルを生み出すために必要な収入の増加は、約128万ドル(≒45万ドル/35%)
期待された投資対効果を上回るために必要な収入の増加幅は、128万ドル/500万ドル = 26% となる。

さて、ここまでに出てきた数字を要約しよう。

  1. 投資額の回収のためには、最低でも8.5%の収入の増加が必要(アプローチ2)
  2. 期待された投資対効果を得るためには、26%の収入増加が必要(アプローチ2)
  3. 30%の収入増加する見込みがあれば、マーケティング計画に期待される投資対効果を上回る。(アプローチ1)

calculate
画像出典元:Invesp

3. 総投資費用を試算する

多くの会社はCROを成功させるのに必要な詳細情報に注意を払わず、見るべき指標を含めずに投資計画を作成してしまう。

CROへの投資は、テストソフトウェアの利用料はもちろんの事、マーケティングと開発チームのための費用を含めなければならない。

漏れを無くすために、以下の項目を含めることを忘れないようにしよう。

  • 開発費用
  • デザイン費用
  • A/Bテストツール利用料
  • CROプログラムの運用費用

Illustration_OnlineMarketing_Batch6_15-2_2000x700-1
画像出典元:Invesp

4. 適切なリソース配分を行う

7割のCROプログラムは、プロジェクトオーナーのリソース配分によって失敗をする。我々も10年以上、世界中の様々な業種の企業と働く中で、このことが最も大きなチャレンジだと感じた。
実際、成功を望みながらも不適切なリソース配分をしているというケースは驚くほど多い。考えうるテストを全て実現できるような、無限のリソースを確保するプランは正しい答えではない。

成功のカギは、予算の調整を適切に行う事である。

CROプログラムを始める前に、1~2個のスプリットテスト※を月に行うためのリソースを確保するとよいだろう。ここから得られた結果によって他のプロジェクトの優先順位が変わるはずだ。これがコンバージョン率を改善する唯一の方法である。

5. システム要件を理解する

コンバージョン率最適化のプログラムの過程において、技術的な出来事が発生した際には対応できるようにしておかなければならない。

またバグはコンバージョンを殺すものであるというのは胸に刻んでおいた方が良い。それを排除するだけで、コンバージョン率が上昇する可能性は増加する。

こんなシナリオを考えてみてほしい。新しいCROプログラムが始まり、リソースの割り当て、テストの準備も完了している。最初のプランがチームに送られたが、それは実装することができない内容であった。
なぜこのようなことが起きたのだろうか?プラットフォームによって、技術的な限界が異なるという事を忘れてはならない。もし技術的な限界点を確認しそびれてしまうと、実装不能なプランになってしまったり、実装するのにものすごい期間を要してしまう事もある。

自社プラットフォームの限界や問題点を事前に理解しておく事で、後々の胸やけや頭痛を回避することが出来るのである。

technical-requirementa-1
画像出典元:Invesp

6. コンバージョン改善のロードマップを策定する

思い付きのテストを行って、コンバージョン率の改善を望むことは、間違いなく時間と労力の無駄である。
大多数とは言わないものの、ある程度の割合の企業は、ランダムにテストを行っているというのが事実だ。ある月にはホームページにテストを行い、翌月には商品ページ、3か月目にはカテゴリーページにテストを行うのである。

成功するプログラムは初期に訪問者を理解し、訪問者が離脱しているページ、改善の余地が大きいページ、そのままにしておくべきページを見抜くことに時間を使うのである。この事を大半の企業は理解していない、もしくは無視してしまっている。
改善するページに優先順位をつけ、CROのロードマップを策定することは、基礎中の基礎である。
ロードマップは6か月で、8~15のテストを実施するようなものにした方が良い。

7. 勝ちパターンとオリジナルで再テストを行う

我々はこれまで様々なA/Bテストや多変量テスト、そして必要であれば繰り返しテストを行ってきた。この経験から言えることは、テスト結果を利用する方法は複数あるという事だ。

A/Bテストで勝利したデザインと現在のデザインをぶつけて検証するのは、良い手法であり、効果的かつ実施する価値のあることだ。自分が見ているのは、外れ値ではないという自信を与えてくれる。

この種のテストを行う事で、テスト結果に影響をもたらすような外部要因を排除することが出来る。
online-buyer-journey-stages
画像出典元:Invesp

8. テストでの学びを分析する

コンバージョン最適化は単なるスプリットテスト以上のものである。テストの後に詳細な分析を行い、以下の質問に答えていく。

  1. 負けパターンはなぜコンバージョン率の向上に失敗したのか?
  2. 負けパターンを評価することで、見込み顧客に関してどのような学びがあるか?
  3. 勝ちパターンを評価することで、顧客に関してどのような学びがあるか?
  4. このテストの結果、訪問者に対して新しく聞かなければならない質問は出来たか?
  5. 別のチャネルやプラットフォームで、同様の仮説を展開するにはどのようにすれば良いか?

これらの質問に対する論理的な回答を探すのも基礎的である。これにより、単なるコンバージョンの最適化を超えるための洞察やデータを得ることが出来る。

9. 新しいテストを計画する

我々はよく「1つの特定のページでいくつのテストをすべきか?」という質問を受けることがある。コンバージョンを妨げている上位の問題を解決するためならば必要なだけテストを行う、というのが我々の回答である。正しいアプローチは以下の点を含むことを思い出してほしい。

  1. コンバージョンフレームワーク要素を考慮し、ページの分析を行う
  2. そのページでの最大の問題を特定する
  3. 問題の優先順位付けを行う
  4. 各問題を解決する方法の仮説を作成する
  5. A/Bテスト、多変量テストを実施し仮説を検証する

このアプローチに従えば、A/BテストもWebぺージのコンバージョン改善のための1歩になるのである。

コンバージョン率最適化はプロセスである。電気のスイッチのようにON/OFFで切り替えるものではない。

conversion-rate-optimization-principles

画像出典元:Invesp

まとめ

コンバージョン最適化はプロセスである。長期的な取り組みであり、努力、献身、そして細かい分析が必要になる。

限られた期間でコンバージョン最適化を行い、大きな改善を最初から期待してしまう人には失敗が待ち構えている。

計画をしっかりとたて、プロセスに対してコミットすれば、その先には素晴らしい報酬が待っている。


この記事は、Invesp Blogに掲載された「9 Best Practices For Conversion Rate Optimization」を翻訳した内容です。


思い付きのA/Bテストをいかに多く回したとしても、大きな効果を得られる保証はありません。
A/Bテストの成功率は高くても25%、低いと10%とも言われています。A/Bテストの事例として話されるような大きな成功は、この中のさらに一部です。
CROで大きな成果を出すためには、しっかりと計画を行い、技術面の限界を理解した上で、テストの実施と分析を通して次のテストへとつなげることが重要です。
Web解析、コンバージョン改善の取り組み方でお悩みの方は、ぜひ弊社までお問い合わせください。
— SEO Japan

【告知】海外CRO/WEBマーケティング最先端事例セミナー

SEO Japan編集部は、これまで海外のカンファレンスに参加する中で、SEOだけではなくCRO(コンバージョン率最適化)のエキスパートとの知見交換を行ってきました。

そんな中で今回DLPO株式会社様と共同で、海外のCROの海外の知見や事例をご紹介するセミナーを開催することとなりましたので、告知させていただきます。

アイオイクス株式会社からはSEO Japan編集、執筆担当の大谷が登壇させていただきます。

「もっとWebの売上、問い合わせ数を伸ばしたい!」というWeb担当者様はぜひこちらのページよりお申込みください。

croseminar

セミナー詳細
セミナー名称 GROWTH! 海外のCRO/WEBマーケティング最先端事例【無料】
日時 2018年7月26日(木)16:00~19:00(受付開始15:30~)
会場 GOBLIN.代官山店 ( 東京都渋谷区恵比寿西1-33-18 コート代官山B1F )
対象 Webサイトの企画・運営や、広告・宣伝などのプロモーションに携わるご担当者。
広告代理店、制作会社、コンサルティングなど支援事業者のご担当者。

※同業社の参加はお断りさせていただく場合がございます。

※当日の様子を撮影させていただく場合がございます。

※会場受付にてお名刺を頂戴いたします。
定員 60名 ※お申込多数の場合、抽選とさせていただきます。
費用 無料
申込期限 2018年7月24日(火) ※定員がございますので、お早めにお申し込みください。

参加ご希望の方は、こちらのページよりお申込みください。

現在アイオイクスではSEOコンサルティングだけではなく、CROコンサルティングサービスもご提供しております。
コンバージョン率改善をご希望の方は、どうぞお気軽にお問い合わせください。

SEOとCROの両立は可能か?共に取り組む意義とその障害とは

Webページ改善には、SEO(検索エンジン最適化)とCRO(コンバージョン率最適化)があります。
SEOが「検索エンジン」に対して、Webサイトを最適化する取り組みならば、
CROは「ユーザー」に対して、Webサイトを最適化する取り組みと言えます。

Googleをはじめとした検索エンジンが、ユーザーを満足させることを望んでいるのならば、究極的にこの二つの考え方はどこかで交わりを持つはずです。

しかし、この二つを同時に実現することは本当に可能なのでしょうか?
「ABテストって、SEO的に考えるとクローキングにならないの?」
「SEOでは見出しにキーワードを含めるけど、ユーザー体験としてはどうなの?」
世界のエキスパートは、この問いにどう答えるのでしょうか。

— SEO Japan

SEOとCROの交点

読者の方々は、CRO(コンバージョン最適化)とSEO(検索エンジン最適化)の相性は良いはずである、と思っているだろう。

理論的には、コンバージョン最適化が狙いとしているのはユーザー体験(UX)の改善であり、ありがたいことにGoogleが検索トップの結果で実現したいと思っていることでもある。そのため、サイトのテストと改善を行えば行うほど、検索順位も高くなるだろうということなのだ。まるで終わりのないホッケーのスティック型のようなサイクルの中で、トラフィックやコンバージョンが増加し、収益も増えるだろうというわけだ。

もちろん、ことはそこまで単純ではない。

CROとSEOとの間の矛盾はどこにあるのかというマーケターからの質問を耳にしたことがある。加えて、チームの役割が明確化され、予算に制約がある環境では、CROとSEOのどちらに投資をするかについて、取捨選択しなければならない場面もあるはずだ。最終的にはウェブサイトのテストと最適化をどのように実行するのか重要なのだ。

そこで、私はCROとSEOの交点はどこにあるのか探るべく、成長と最適化において長い経験を持つ人たちに、「トラフィック獲得とコンバージョン最適化のバランスをどのようにとっているか」という質問をしてみた。

CROとSEOは完璧なパートナーなのか?

CROとSEOの相性は完璧なはずで、矛盾などはないはずである。

Googleにとって、ユーザーにとって最適な検索結果を提供することは自己利益のうちだ。そのため、アルゴリズムを宗教的なまでに熱心にアップデートをしている。また、最近の傾向では、UX要素のほうがキーワード密度など従来の要素よりも重要視されている。管理者によってページ読み込み速度が速められると、同様に検索結果も改善される。なぜなら、読み込みが速いページは人々に好まれるし、Googleもそれがより良い体験につながることを知っているからだ。

ほとんどのケースでは、CROがSEOと矛盾することはありません。むしろ、お互いを補完し合う存在なのだ。

この古典的な例が、「人間向けに書くか、それともGooglebot向けに書くか」という問題だ。Googleのアルゴリズムも進化してきているので、両者はかなり同じレベルに達しています。ありがたいことに、キーワードスタッフィングはGoogleから見ると(そして読む人にとっても)愚かな行為となっており、自分が売っている商品を買ってくれる人向けに書くべきなのだ。

俯瞰してみても、SEOとテスティングに矛盾はもともと存在しない。Googleには独自のテスティングツールがあり、A/Bテストも行っている。Googleが、自分たちでサービスとして提供しているものに対してペナルティを与える理由はないだろう。

Googleはより良いUXにペナルティを与えたいわけではない

SEOとCROの相性が良いというのは直感的には理解できるであろう。それでも、これを信じられないというマーケターは少なくない。あるいは少なくとも、テストやSEOの技術的な側面については懐疑的に感じているマーケターはいるようだ。

VWOの創設者であるパァラァ氏が、Quoraでこの問題について答えてくれた。彼によると、A/BテストがSEOに影響を与えることはないそうだ。

Paras Chopra

パァラァ・チョップラ氏

「Google自体がA/Bテストをしていて、またそのためのツールも持っているのだから、Google側でも他社が同様にA/Bテストを行うことは十分想定していると考えられるだろう。

そのため、Google(ほかの検索エンジンも同じように)がA/Bテストを行っているウェブサイトにペナルティを与える可能性はとても低い。万が一に備えて、テスト結果から検索ボットをフィルタリングしたいというのはあるかもしれない(でも、検索エンジンのほとんどはテストのバリエーションではなくオリジナルのページだけを見るので、これもあまり必要ないだろう)。」

基本的にはとてもシンプルな「とあるルール」を守っているならば、A/Bテストによってせっかくの検索順位が台無しになるという心配は無用だ。

Googleのテスティング「ルール」に従う

昨今では減少傾向にあるものの、かつてA/Bテストによって検索結果に悪影響があるのではないかという声は多くあった。多くの場合、心配されていたのは次の4項目だった。

  • コンテンツクローキング
  • URLとコンテンツの重複
  • リダイレクトの誤り
  • ウェブページの読み込み問題

第一に、JavaScript経由で要素を大幅に変えるA/Bテストの実行は、コンテンツクローキングではない。コンテンツクローキングとは、1990年代において効果的で一般的だったSEO手法であり、Googleボット向けに大量のキーワードを詰め込んだバリエーションが作られていた。そして、実際の訪問者にはそれとは違うよりユーザーフレンドリーなバージョンを表示するようしていた。もしあなたがA/Bテストを行っているなら、コンテンツクローキングとみなされる心配は不要だ。Googleがあなたに求めているのはダイナミックな体験を提供することであるのだから。

第二に、コンテンツの重複も問題ではない。パァラァ・チョップラ氏の数年前の記事投稿を見てみよう

Paras Chopra

パァラァ・チョップラ氏

「ここで注目したい重要ポイントは、検索エンジンからのペナルティがあるのは、異なるドメインからコンテンツを盗んだり転用したりしたときだけだということだ。バリエーションページすべてが自分のサイト上でホストされていて、なおかつそのコンテンツが「自分の」ものなら、何をしても良いのだ。

現在、ダイナミックウェブサイト(ショッピングカートやディレクトリなど)の多くが、さまざまなフォーマットで同じコンテンツをホストしている。あるコンテンツがそのドメイン内だけに置かれているものであれば、検索エンジンがそうしたサイトにペナルティを与えることはない。A/BテストURLについても同様である。コンテンツを盗んだわけではないので、悪いことは起こらない。すべてあなたのものなのだから!」

もし心配なら、canonicalタグを使うと良いだろう。

第三に、301(恒久的な)リダイレクトを避け、302リダイレクトを使おう。

最後にページの読み込み速度だ。これが唯一、懸念事項と呼べそうなものであるが、ほとんどの場合これも大して重要ではないと言える。

まとめると、テスティングには問題なく、それどころか推奨されているくらいだが、次の基本ルールは守らなければならないということだ。

  1. クローキングしないこと
  2. rel=”canonical”を使うこと
  3. 301リダイレクトではなく302リダイレクトを使うこと
  4. 実験は必要なときだけすること

クライアント側、サーバー側どちらの実験をしているかも問題になるのかという問いについては、マット・カッツ氏がノーと言っている。マット氏は数年前、HackerNewsのスレッドに、「A/Bテストはサーバー側、クライアント側どちらの技術でも可能だ。ただどちらのケースでも、Googleボットだけ違う扱いはしないようにした方が良い。Googleボットをほかのユーザーと同じように扱い、我々のユーザーエージェントやIPアドレスをはじいたりするためにコーディングを行うのはやめてほしい。」と書いていた。

ほかの点については、A/BテストについてのGoogleの公式声明を読んでみるとよい。基本的なルールに従っていれば心配することはほとんどない。

コンバージョンを伴わないトラフィックは無意味である

vanity metrics(=無益な指標)
の内容と、これを避ける方法はよくご存じだろう。

コンバージョンや収益がなければ、Twitterのフォロワー数もダウンロード数も、ページビューも意味を成さない。

そのため、SEOが効果的ではなく、よりインパクトのある「現在のトラフィックへの最適化」に集中すべきケースもあるだろう。

例を挙げるとすると、ランク入りしているキーワードがバリュープロポジションとまったく関係がない場合、少なくともページ単位でみると最適化しづらいミスマッチが潜在的に存在する。これはたいていSEOのトラフィックのコンバージョン率が、他の流入チャネルよりかなり低いときに見られるケースである。テストを実行していて、オーガニックでのみ上昇が見られない場合、キーワードのインテントは低くなっていると言える。

ところで、無関係なトラフィックが必ずしも悪いものということではない。収益への悪影響がないからだ。しかし、それがテスト実行を通じたRPV(1人当たり売上高)を増やすうえでの障壁になることがあってはならない。

さらに、オーガニック流入が最もコンバージョンしやすいチャネルであるという点も押さえておいてほしい。Googleがそのアルゴリズムをますます洗練させているため、インテントとマッチは非常に高くなってきている。

トラフィックとコンバージョントラフィック

出典

では、SEOとCROはどこで矛盾するのか?

Googleの検索順位で1位から陥落したらどうなるだろうか。ビジネスを成長させる上では、間違いなく阻害要因となるだろう。検索順位1位のではトラフィックの33%を得られるとされていることからも分かるように、見込み客の多くを失う可能性がある。
Percentage of Traffic by Google Result Position

出典

さて、これまで見てきた通りSEOとCROの間に矛盾はないはずだ。しかし、実際には矛盾が存在している。ランド・フィッシュキン氏に聞いてみたところ、矛盾はごくまれに発生するとのことだ。

Rand Fishkin

ランド・フィッシュキン氏

「確かに矛盾はあるが、それはほんのわずかだ。SEOに関していうと、ページ上でキーワードや文言を、検索者が使う言葉に合わせて賢く用いること(たとえば、「あなたの本の収納に関する問題を解決します」よりも「ランドの本棚」のほうが賢明と言える)は今でもとても大切だ。

ときにCROテストによって、あまり明確・ダイレクトでない言葉のほうが実際のコンバージョン率が高い、という結果が出てくることが稀にある。そうはいっても9割以上のケースでは、ちょっと妥協すれば良いバランスを見つける方法がある(たとえば、「ランドの本棚はあなたの本の収納に関する問題を解決します」など)。」

リアルな世界の例としてLawnStarter Lawn Careを挙げてみよう。LawnStarterは地元の芝生ケア会社を検索する人々から多くのSEOトラフィックを得ているので、Googleでの牽引力を失うというのは同社の顧客獲得において悪影響をもたらすことになる。より顧客対し価値をもたらすバリュープロポジションを見出しでテストすることは可能だろうか?答えは、イエスである。しかし、H1タグに特定のキーワードを含めなければならないという条件の下で、かつ明確で価値提供型の見出しへと変更する場合、トラフィックを失う可能性は現実にある。

LawnStarter Lawn Care

出典

LawnStarter Lawn Care創設者のライアン・ファーリー氏が語ってくれたところによると、Googleのアルゴリズムは確かにある一定の流れでは進歩しているかもしれないけれど、完璧なUXと一致しているとは言えないそうだ。

Ryan Farley

ライアン・ファーリー氏

「SEOとは可能な限り訪問者に合わせてにウェブサイトを作るべきであると、SEOコミュニティ界隈ではよく言われている。それが本当なら、SEOとCROはぴったり合うはずだ。しかし、実際にはそれほどうまくはいかない。

現実では、GoogleのアルゴリズムはまだH1タグ内やbodyテキスト内のキーワードなど、非UX系のシグナルに大きく依存している。H1タグ内にキーワードを入れていなければ、SEOでは負けを喫することになるだろう。そうでなければページを適切にカテゴライズできないからだ。

たとえば、当社のJacksonvilleのページを見てもらうと分かるように、Adwordsでもっとコンバージョン率の高い見出しがあったとしても、見出しに「芝生サービス」や「Jacksonville」というキーワードを含めないわけにはいかない。

検索順位のブーストから得るものとコンバージョンで失うものとを計算しなければならないのだ。」

コンバージョンの最適化だけに焦点を絞ってしまうと、この2つのバランスを取って十分な情報に基づく決定を下すのは難しいことだ。たとえば、検索順位が上がったことによって得られるトラフィック量とコンバージョン量の増加の方が、コンバージョン率を高めることよりも、収益の増加に寄与するのならば、収益が高いほうに徹するべきなのは非常に明白だ。

Optimize Smartのヒマンシュー・シャーマ氏は、「本当の意味で収益を最適化するには、マーケットセグメント、製品カテゴリ、その他成果のポートフォリオごとに、平均注文額(AOV)とトランザクション数を増加させる必要がある。」と話している。

しかしご存知の通り、コンバージョン「率」最適化は行うべきではない

それでもランド氏も言及しているように、簡単な妥協方法はおおよそ常に(90%以上のケースにおいて)存在する。クリエイティブに考え、検索エンジンと顧客の両方を満足させることが求められる限り、二者択一で済む話ではない。

テストアセットは残しておくべきである

実際、「テスト実施時にSEOトラフィック量をもたらしている要素を、新しい要素を配置する代わりに削除した場合、トラフィックを失うリスクがあるのではないか」という懸念はある。

これに対し、Mozの記事ではこのように書かれている

「SEOの観点から言うと、たとえばきれいなモデルよりもトラフィック量の多い私の画像などを削除した場合、Googleに対して空白を生み出してしまう。そこでGoogleが削除されたアセットを再スキャンしようとすると、サーバー側が404エラーが表示し、そのページまたは画像、動画は存在しないとGoogleに伝えてしまう。

テストに使った商品画像がGoogleの画像検索で1位に表示され、それで月間100人の訪問者が生まれるかもしれない。そのため、画像を削除すればGoogleもそれを検索結果から削除をするので、100件のユニークユーザーが失われるということになる(そして訪問者がその商品を探している場合、売上もかなり落ちるだろう)。

こうした理由から、私自身はほとんどのテストアセット(動画、画像、音声)を残すようにしている。唯一の例外は、単純にテストのためだけにユニークページを設定し、あとで消去して301リダイレクトで元に戻す場合だ。それはもちろん、Googleにこのようなテストページに注意を払ってほしくはないからだ。テストアセットを消去するというのは、私にとっては戦略的目的というよりはクリーンなシステムをキープしたいという強迫観念に近いものがある。URLの正規化とnoindexの使用をしっかりしていれば問題ないだろう。」

もう一度言うが、少なくともアーカイブと学習が目的なら、テストアセットは残しておくべきである。しかし、SEO的な見方からすれば、正規化とnoindexの使用が万全であれば、心配することは何もないと言えるだろう。

製品レビューがコンバージョンに悪影響を与えている場合

これは私が今まで考えさえもしていなかった問題だ。Experiment Engineルイス・センチネリオ氏が、この分野にはたまに矛盾が生じることもあると教えてくれた。

Luiz Centenaro

ルイス・センチネリオ氏
「多くの人びとが論じてこなかった問題の一つに、製品レビューがある。製品レビューはSEOとCROに効果的だといつも言われている。しかし次の場合はどうだろう?製品詳細ページ(PDP)で複数のバリエーションのテストを行ったとする。その結果、コンバージョンや1人当たり売上(RPV)に貢献していた、レビューやソーシャルプルーフなどを削除したバリエーションが最も良い結果であったとしよう。

それを実装するだろうか。それとも構造化マークアップや、製品レビューを設置することで得られるSEOメリットを失うというリスクを負うだろうか。

月間数千件の訪問を生み出す30件以上の製品レビュー(リッチコンテンツを含む)が、裏でコンバージョン率を10%低下させていたらどうだろうか。それでも成果の高いバリエーションをキープするだろうか。

その答えは各eコマース企業によって異なるが、SEOトラフィックを頼りにしている場合、製品レビューを削除してまでそのバリエーションを実装することはないだろう。」

しかし、私自身はこのケースに関してはやり方次第だと言いたい。レビュー内容がひどく、レビューによってコンバージョンが低下しているならば、駄目な点を修正して、さらに良いレビューを得るべきである。それを価値のある定性データとして利用すれば良いのだ。

そして、もしそれが何らかの理由によって邪魔になってしまっているなら、もっとうまく実装しなければならない。レビューを使ってコンバージョンを増やす方法はそれこそ星の数ほどあるのだ。

バランスを取ること

RoverPassの成長部長のベンジャミン・ベック氏は、コンバージョン最適化やSEOに詳しい。ベンジャミン氏は、過去には大企業に勤め、長期成長を最大化するためのトレードオフまたはバランスがあるのではと考えた。ベンジャミン氏に聞いてみよう。

Benjamin Beck

ベンジャミン・ベック氏
「通常、SEOとCROは企業が成功するためのワンツーパンチ的存在だ。SEOはコストを掛けずにトラフィックをもたらし、CROはそのコンバージョンを行う。

SEOとCROの間には適切なバランスがなくてはならない。どちらか一方に偏りすぎると、もう一方は劇的なダメージを被ってしまう。

CROに偏りすぎてSEOが犠牲になる例:

  • コンバージョンに注力しすぎて、コンバージョンが行われない限り価値を得られないページ。たとえば、フォームに入力しなければ価値のあるレポートが見られないなど。ページそのものに価値がないと、フォームページを自然検索結果でランクインさせることは難しい。
  • ページ(特にタイトルやURL)に主なキーワードが含まれていない。

SEOに偏りすぎてCROが犠牲になる例:

  • コンテンツにあまりにも多くのキーワードを入れようとする。商品を買うのはロボットではないので、人間によるコンバージョンを得られるようなキャッチコピーを書くこと。
  • リンクを含めたことにより、ユーザーがコンバージョンする代わりにページを離れてしまう。

どうすればCROとSEOが相性良く機能するようになるのか

たとえ大規模でセグメント化された組織内であったとしても、CROとSEOのワンツーパンチが相性良く機能する方法が存在することは明らかだ。大企業と中小企業の両方でコンサルタントとし勤務したことのあるベンジャミン氏が、これは通常どのように行われるのか、自身の経験を披露してくれた。

Benjamin Beck

ベンジャミン・ベック氏

「私がさまざまな企業と関わった経験からすると、たいていトラフィックに従事する部門とコンバージョンに従事する部門に分けられており、両方を担当していることはあまりなかった。

  • SEO - トラフィックがゴール
  • ソーシャル - トラフィックがゴール
  • コンテンツ - トラフィックがゴール
  • Eメール - コンバージョンがゴール
  • PPC - トラフィックとコンバージョンがゴール(コンバージョンへの投資対効果を見る)

チームがゴール別にセグメント化されているということでOKだろう。しかし、これは全体の成長にとっては良いことだろうか。悪いことだろうか。利害衝突が生じることはないのだろうか?

Benjamin Beck

ベンジャミン・ベック氏
「利害衝突が起こるのは良い考えとも、必須であるとも思わないが、コンバージョンユーザーの元をたどるのはとても大変だ。

PPC広告はたいていランディングページを隔離させており、オン・オフの切り替えができるので、追跡したり辿ったりすることは簡単だ。

ソーシャル、Eメール、SEOなどはすべてコンバージョンに貢献しうるが、どのチャネルがコンバージョンをもたらすかは企業によって大きく異なる。

RoverPassの場合は、Facebookチャネルが多くのユーザーをもたらすものの、コンバージョンには至らない。しかし、そうしたユーザーのEメールアドレスを取得してまとめると、将来のコンバージョンにつながる。それでも半分はソーシャル(Facebookコミュニティ)によってもたらされたものと考えなければならない。」

セグメント化されたチームの外に出てみると、SEOとCROの共存はさほど想像に難くない。我々はこの2つがお互い助け合っている例を目にしている。どちらか一方を無視しないことが大切になってくる。ランド氏も次のように述べている。

Rand Fishkin氏

ランド・フィッシュキン氏
「SEOは今でもウェブ上で最大のトラフィック流入元の一つである(SimilarWebによると、ウェブ上の口コミによる全アクセスの最大28%は検索によるもの)ので、訪問者を得たいと考えているものにとって、検索で良い順位を取るのは必須である。ここではCROが助けとなる。というのは、GoogleはポジティブなUXと有望なクエリを非常に重視しており、CROはこれに強いのだ。検索で訪問者を獲得し、CROでコンバージョンさせるというのが基本である。」

ところで、SEOチームとCROチームがしっかりと意思疎通を取れているなら、障壁を取り除いて双方で成功を収めることが可能だ。例としてV9SEOが、コンバージョン最適化につなげるための3つの主要なクエリの使い方について説明してくれた。

「SEOとしてはクエリを非常に重視している。クエリには主に3種類あり、それぞれが別々のユーザーインテントによって支えられている。

  • ナビゲーショナル(案内型)クエリ - ウェブサイト名の検索に使われる。インテントは特定のウェブサイトへのアクセス。
  • インフォメーショナル(情報型)クエリ - 特定のトピックについて情報を検索する。インテントはあるトピックについての情報取得。
  • トランザクショナル(取引型)クエリ - 購入する製品やサービスについて検索する。インテントは購入すること。

これら3種類のクエリはコンバージョン最適化に影響力を持つ。コンバージョン最適化を行うならば、(1)最適なコンバージョンアクションは何か、(2)コンバージョンを引き起こすコンバージョンアクションは何か、(3)コンバージョンに至るようユーザーを説得するための最適な方法は何か、を知るために特定のページにランディングしたユーザーのインテントを理解しなければならない。」

CROとSEOはいろいろな面でつながっている。分断されたチーム内の溝を埋め、上で説明したような情報を共有することにより、双方のマーケティングテクノロジーを育てることができる。

SEOとCROの未来

自然の摂理では、このブログ記事も短命だ。Googleのアルゴリズムは常にアップデートされていて、2年以内(または2カ月以内)には上で挙げた問題の多くが存在しなくなっているということもあり得るだろう。また、新しい問題が生じてくる可能性もある。

しかしSEOと最適化の現状すら、大変に楽観的なものである。ランド氏にSEOとCROはどのようにお互いを補完しているのか聞いたところ、希望を持てる答えを返してくれた。

Rand Fishkin氏

ランド・フィッシュキン氏
「CROは質の低い文言やユーザービリティー、良くないUXの識別に役立つ。これらはすべて、検索者にとってのより良いエクスペリエンスにつなげることができ、すると検索エンジンでもパフォーマンスが良くなる。すばらしい相互利益サイクルが生まれるのだ。」

私は何も未来を透視しているのではない。毎年数百件もの記事が投稿され、さまざまな業界について新しい予測を披露しているにもかかわらず、物事がどこへ向かっているのか確実に予想することは、誰にとっても不可能なのだ。

そうは言っても、「検索エンジン最適化(SEO)」と呼ばれるもの全体の方向性については、今日でもそのヒントを示してくれるものがいくつかあるようだ。

これは大まかに言ってしまえば、SEOとCROとの間の矛盾が少なくなっていき、一方にとってのメリットがもう一方にとってもメリットになるということだ。ベンジャミン氏も、物事がそちらの方向に向かっているのが見えると述べている。また飽和によってSEOが混雑した高額なチャネルとなるため、将来的にはコンバージョン最適化への投資が増えるとも確信しているそうだ。

Benjamin Beck

ベンジャミン・ベック氏
「SEOとCROは今後もどんどん密接になっていくと思う。

SEOは通常「無料のトラフィック」として見られているが、検索順位とトラフィックを得るための時間とコストは甚大なものになるだろう。SEOの競争が激しくなり続ける限り、コストをコンバージョンによって相殺しなければならないPPCのようになっていくであろう。

そのため、企業は多くのオーガニックトラフィックを獲得できているページから、より多くの利益を得るためにCROへの投資を増やしていくと思う。」

検索体験最適化(Search Experience Optimization)

今年の2月にForbesに記事を寄せたマイク・テンプルマン氏は、検索エンジン最適化の時代は終わったと述べている。その代わりに、SEOの略語の代わりとしての意味を含めて台頭してきているのが、「検索体験最適化(Search Experience Optimization)」最適化だ。その理由がこちらだ。

Mike Templeman

マイク・テンプルマン氏
検索エンジンがロジックを書き、大量のユーザー行動指標に基づく機械学習アルゴリズムを統合し始めことによって、ウェブサイト上のUXはどうあるべきかということが予想されるようになった。

現在測定されている基準としては、サイト読み込み速度やモバイル最適化、サイトの構造、コンテンツ、そして検索ユーザーがウェブサイトに期待しているものを得られているかの大量のシグナルなどがある。」

テンプルマン氏の未来予想には、「質問に対して答えを提供する」「モバイルを重視する」ということが含まれている。これは一般的な顧客体験にとっては良いことになるだろう。テンプルマン氏は例として、「スノータイヤ」という検索用語が「2008 Ford F150にとって最適なスノータイヤはどれか」に進化したことを挙げてくれた。

そのため、顧客からの質問に答える企業は検索順位も勝ち取っている。これは、サイト内でのキーワードの言及回数について悩むのをやめ、代わりに顧客が探しているものを見つけるためのサポートにより集中するべきだということである。

結論

必ずしも共にあるとは言えないコンバージョン最適化と検索エンジン最適化は、敵同士などではまったくない。事実、コンバージョン最適化への投資によって検索順位は上がるはずだし、実際そうしたことはよくあるのだ。同じように、SEOへの戦略的なブローチによりコンバージョン量やターゲット訪問者の数も増加する。

H1タグ内のキーワードや、コンバージョンには悪影響だが SEOには効果的なレビュー、テスト要素の欠落といったわずかな問題も、簡単に解決することができる。それに加え、A/BテストによってSEOが犠牲になる可能性を恐れる合理的な理由はないのだ。むしろ、より良いユーザーエクスペリエンスの提供は、Googleにも推奨されていることだ(そしてそれこそがGoogleがユーザーに届けたいサービスなのだ)。

最大の障害となるのは、結局のところ組織的なものだろう。ゴールが別々でコミュニケーションが不足しているチームなら、せっかくのポテンシャルを発揮できない可能性もある。成長の最適化に対し、双方の面からアプローチを取れば、コンバージョン獲得と流入獲得の両方で成功することができる。


この記事は、CXLに掲載された「The Intersection of SEO and CRO (and How to Maximize Long Term Growth)」を翻訳した内容です。


おわりに

弊社アイオイクスはSEO黎明期よりサービスを提供して参りましたが、Googleのアルゴリズムの進化に合わせ、より深くユーザーの分析に踏み込んだCROサービスの提供を開始いたしました。

そんな中でこの度、DLPO株式会社様と共同で海外CRO最先端事例セミナーを開催することとなりました。
日本ではまだ一般的ではないコンバージョン改善のフレームワークや、米国CRO業界を牽引してきたトップストラテジストが語るベストプラクティスをご紹介いたします。
croセミナー

お申込み、詳細の確認はこちらのページより。

アルゴリズムアップデートの影響は早いが、テクニカルな変更は影響が遅い

サイトの順位が変動するのには、Googleのアルゴリズム変更、自社サイトのコンテンツや技術仕様の変更、競合サイトの台頭、など様々な理由があります。Googleのジョン氏は、アルゴリズムのアップデートがサイトに影響を与えるのは、自サイトにテクニカルな変更を加えるよりも素早く影響を与えると述べました。
— SEO Japan

google-ripple-1528198692

Goolgeのジョン・ミューラー氏はウェブマスターハングアウトで、「もしサイトの順位が一日で大きく下落して、Googleのアップデートだと周りで騒がれていれば、おそらくそれは検索順位アルゴリズムの変更が完了したことに関係しているであろう」と述べた。ジョン氏はさらに、「サイトに技術的な変更を加えた時、一般的にはそれらの変更がサイト(の順位)に影響を与えるのは数週間から数か月かかる。これはアルゴリズム変動の影響よりも何倍も時間がかかる」と付け加えた。

なので、例えばURLの命名規則を変更したあとGoogleが全ての301を認識するまでのプロセスには時間がかかり、一晩で順位が下落するという事はない。その変動が影響するまでにはより長い期間かかり、より長く影響を持ち続ける。

しかしもしGoogleのアルゴリズムアップデートが、あなたのサイトを以前ほど良くないと判断した場合は、数日などの短い期間で即座に影響が出るだろう。

より抽象化していうと、全てのテクニカルな変更が長い期間を要するわけでは無い。もしGoogleからのサイトのアクセスを全てブロックした場合、すぐに順位は下落する可能性はあるだろう。
さらに全てのアルゴリズムがサイトに対して即座にインパクトを与える訳でもない。いくつかのアルゴリズムは世に出されるのに時間がかかり、新しいクロールと処理のみ取り上げるのである。

Glenn氏が以下のようにまとめてくれた。

(Glenn氏ツイート)アルゴリズムのメジャーアップデートによる影響は、直近の変更だとは限らない。大きいサイトであれば、Googleのアルゴリズムがサイトの変更に対応するのには時間がかかるだろう。再クロール、再インデックス、再処理を行うのに数か月かかる可能性もある。


この記事は、Search Engine Roundtableに掲載された「Google: Algorithm Updates Impact Sites Quickly, Technical Changes Take A While To Impact A Site」を翻訳した内容です。


本文中でも述べられているように例外は存在しますが、サイトに技術的な仕様変更を加えた場合は、適切な経過観察期間を設けることが必要なのかもしれません。
— SEO Japan