コロナ禍の孤立感に応え、心の健康ケアを参加しやすいビデオクラスにするMindLabs

心の健康ケアを日常的なルーティンにすることは難しい。すでに多忙で、ストレスを抱えていたらなおさらだ。MindLabsは、オンデマンドまたはライブのビデオクラスとコミュニティ機能を組み合わせることで、メンタルウェルネスを生活に取り入れやすくしたいと考えている。同社はプレシード資金調達から約11ヵ月後になる英国時間10月7日、350万ドル(約3億9000万円)のシードラウンドを実施したと発表した。

今シードラウンドは、PROFounders Capitalがリードし、Slack Fund、英国の衛星放送大手Sky(スカイ)の前CEOであるJeremy Darroch(ジェレミー・ダロック)会長、そして既存投資家のPassion CapitalとSeedcampが参加した。この発表は、10月10日の世界メンタルヘルスデーの3日前というタイミングで行われ、メンタルヘルスの問題に対する意識を高め、ケアへのアクセスを増やすことを目指している。

今回の新たな資金調達は、2022年の一般公開に向けて、MindLabsの製品やエンジニアリング、コンテンツ、マーケティングのための雇用に充てられる予定とのこと。

MindLabsは2020年、Adnan Ebrahim(アドナン・エブラヒム)氏とGabor Szedlak(ガボール・スゼドラック)氏によって設立された。2人は以前、自動車関連のサイト・コミュニティCarThrottleを立ち上げ運営していたが、そのビジネスは2019年にDennis Publishingに買収された。2020年初めて創業者たちに話を聞いたとき、彼らは次のスタートアップでメンタルヘルスに注力しようと決めたのは、特にパンデミックの間に、うつ病が急激に増加したからだと語った。

MindLabsはこの1年間で、エンジニアリング、プロダクション、マーケティングの各チームにリーダーを採用し、ベータ版アプリを完成させ、現在は16人のインストラクターを擁している。このスタートアップのプラットフォームは、2022年の第1四半期に提供開始される予定だ。エブラヒム氏がTechCrunchに語ったところによると、MindLabsのウェイティングリストには現在数千人のユーザーが登録しており、その理由の1つとして、約6万人のフォロワーを持つInstagramアカウントの成長が挙げられている。

MindLabsは、まず英国で発売され、その後、米国でもローンチされる。エブラヒム氏によれば英語圏以外の国にも展開していく予定で、それはこのプラットフォームは翻訳しやすいと考えているからだという。

同社のアプリには、メンタルウェルネス、心理学、神経科学の専門家が制作した100以上のオンデマンドビデオが用意されている。また、西ロンドンにあるスタジオでは、毎日ライブビデオクラスが開催される。その講師の1人が、瞑想や呼吸法の専門家である「The Breath Guy」ことRichie Bostock(リッチー・ボストック)氏だ。パンデミックの際に人々が経験した孤立感に対応するために、コミュニティ機能も組み込まれている。

また、MindLabsは、健康指標を把握するためのEEGヘッドバンドなどのハードウェアもいずれ発売する予定だ。エブラヒム氏によると、MindLabsはウェアラブルに移行する前にアプリを優先した戦略をとっており、できるだけ多くの人に利用してもらえるよう、手頃な価格のサブスクリプションプランを用意しているとのこと。

同氏はこう述べている。「脳波、心拍数、呼吸パターンなどの心のバイオマーカーを、既存または独自のウェアラブル機器で追跡することに、今でも非常に興奮しています。これにより、ユーザーの気持ちをより正確に、リアルタイムに把握することができ、その結果、ユーザーの気分を向上させるのに最適なビデオレッスンを提供することができると考えています」。

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画像クレジット:MindLabs

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(文:Catherine Shu、翻訳:Aya Nakazato)

ペットのウェルネスというニッチに進出するAlpha Paw

ペットは相変わらず大きなビジネスであり、最近ではAlpha Paw(アルファ・パウ)という企業が投資家の注目を集めている。オースティンを拠点とするこの会社は、自己資金のみで運営してきた3年間の後、Nordic Eye(ノルディック・アイ)が主導するシリーズA投資ラウンドで800万ドル(約9億円)の資金を調達した。

CEOのRamon van Meer(ラモン・ヴァン・メーア)氏は、2018年に買収によって会社を引き継ぎ、現在は11歳の息子のVictor(ヴィクター)と一緒に仕事をしている。当時のAlpha Pawは、ソファに飛び乗ったり飛び降りたりするのが苦手な犬のためのペット用スロープを開発する小さな会社だった。だが、ヴァン・メーア氏は、2019年にペットのウェルネス分野で再出発を図る。

「私たちには、ペットがより健康で長い人生を送れるようにするというビジョンがあります」と、ヴァン・メーア氏はTechCrunchに語った。「人間のライフスタイルと同じようなウェルネス製品をペットのために作りたいと、私たちは考えました。健康を保つためには、栄養とサプリメントが必要です」。

Alpha PawのVictorとRamon親子(画像クレジット:Alpha Paw)

新型コロナウイルスの世界的な流行もあり、ここ数年は人々がペットと一緒に過ごす時間が増えている。それにともない、人間の健康とウェルネスに対する考えを、飼い主がペットに適用しようとする傾向が現れてきた。実際、世界のペットサプリメント市場は、2019年には約6億ドル(約673億円)に満たなかったが、2027年には8億2000万ドル(約920億円)を超えると予測されている。American Pet Products Association(米国ペット製品協会)によると、2020年米国人がペットのために費やした金額は、1000億ドル(11兆2000億円)近かったという。

Alpha Pawは、犬や猫のためのフードやサプリメントなどのペット用品を、ペットの品種に合わせてカスタマイズして提供している。近々、アレルギーや股関節などの病気に対応するためのフードや栄養補助食品が入ったボックスの定期購入サービスを開始する予定だ。このボックスには、デンタルケアのための食用アイテムも含まれる。Alpha Pawは顧客のペットの犬種、体重、そして適切な目標体重を把握しているので、そのペットに合わせた毎日の運動や遊びのレジメも含まれる。

同社の2020年の売上は2000万ドル(約22億4000万円)だったが、2021年は3500万ドル(約39億3000万円)を見込んでいるとヴァン・メーア氏はいう。これには恩返しもともなう。息子のビクターは慈善活動に熱心なので、Alpha Pawは製品が売れるごとに、国内の保護犬に食事を寄付している。現在までに50万食以上が寄付された。

新たに調達した資金は、顧客獲得、製品拡大、国外を含む事業拡大のための財源となる予定だ。また、ソーシャルメディア上にペット飼い主のコミュニティを構築するためにも役立つ。ユーザーは犬種ごとのコミュニティを作り、お互いに交流したり、同じ種類のペットの飼い主や獣医師に質問したりできる。

Nordic EyeのゼネラルパートナーであるPeter Warnøe(ピーター・ワーノエ)氏は、しばらく前からペット業界を見ているが、多くのスタートアップ企業が参入するにつれて評価が上がっていったと語っている。

「新型コロナウイルス感染流行以降、この分野の評価が上がっていることは周知の事実です。ほとんどの犬は10年以上生きますから、これはトレンドではなく、本当に持続可能なものです」と、同氏は付け加えた。「犬の重要性と、家族に迎えられる犬が増えることで、この産業は大きく成長しています。ラモンの他のビジネスでの実績と、ここでの2年間の成果を見て、投資を決めることは難しくありませんでした」。

画像クレジット:benjgibbs / Flickr under a CC BY 2.0 license.

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(文:Christine Hall、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

Pinterestが新メンタルヘルス支援スペース「Havens」展開、バーンアウト防止に休息への投資を提案

Pinterest(ピンタレスト)は、10月10日の世界メンタルヘルスデーにちなんで、メンタルヘルス支援活動「Pinterest Havens(ピンタレストヘイブン)」を新たにローンチする。同社はブログ記事の中で、この取り組みを「コミュニティ主導のインスピレーションのためのオンラインおよびオフラインのスペース」と呼んでいる。Pinterestは実質上、メンタルヘルスと休息の関係を探るためのスペースをプラットフォーム上に設けるのだと述べている。

「Haven」には、ユーザーが頭を切り替えてリフレッシュできるように、Pinterestのクリエイターによる休息に関するアイデアピンやリラックスできるイメージのコレクションが用意されている。このコレクションには、滝の画像、ジャーナルプロンプト、就寝前のアファメーション(肯定的な自己宣言)などが含まれる。このコレクションは、Pinterest社内のメンタルヘルスコミュニティ「Pinside Out」がHaven内でキュレーションしたものだ。

また、Pinterestは、シカゴのサウスサイドにあるBoxvilleマーケット内に「Havens:Invest in Rest(ヘイブン:休息への投資)」と題した、同社初となる現実世界でのインスタレーションを委嘱し設置すると発表した。このサイトスペシフィックなインスタレーションは、実際の物理的な(Pinterestでいうところの)ピン、没入型のアート、コミュニティプログラムを通じて、バーンアウト防止オアシスに命を吹き込むことを目的としている。Pinterestによれば、このインスタレーションはオンラインの「Havens」コミュニティボードと連動しており、鑑賞者に一息ついて自分のウェルビーイングに目を向けてもらおうとするものだという。

このインスタレーションを支援するために、Pinterestは地元の3つの団体、Boundless Early Education、Urban Juncture Foundation、Coffee, Hip Hop & Mental Healthに8万ドル(約900万円)を寄付する。この寄付金は、Pinterest Charitable Fundを通じて提供される。

Pinterestは、2019年に開始したcompassionate search(思いやり検索)機能が、ユーザーが精神的ウェルビーイングに関連する用語を検索する際、ストレスや不安、悲しみを感じている場合に役立つリソースや活動を見つける方法として引き続き役立っていると指摘している。この機能は、ユーザーが「stress quotes(ストレスについての名言)」や「work anxiety(仕事のプレッシャー)」などを検索すると、ウェルネスアクティビティを表面化させる。

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これらのガイド付きウェルネスアクティビティは、スタンフォード大学のメンタルヘルス・イノベーションラボであるBrainstormの専門家の協力を得て、Vibrant Emotional HealthとNational Suicide Prevention Lifeline(全米自殺予防ライフライン)のアドバイスを受けて作成された。この機能は現在、米国、英国、アイルランド、カナダ、オーストラリア、シンガポール、インド、フィリピン、香港、ニュージーランド、ブラジル、ドイツで提供されている。

さらにPinterestは、ユーザーが「検索タブの『デイリーインスピレーション』スペースにアクセスすると、Pinterestクリエイターがどのように休息に投資しているか、精神的ウェルビーイングは人によって異なるものであることがわかります。ジャーナルを書く、瞑想する、ウォーキング、ダンス、絵を描くなど、そうした活動はすべて精神的ウェルビーイングとメンタルヘルスをサポートするものです」と述べている。

今回の発表は、Pinterestが、幸福感の向上やポジティブさを高めるためのインスピレーションを求めて同プラットフォームを訪れるユーザーが増加していることを受けて行われたものだ。例えば「Sunday rest routine(日曜の休息ルーティン)」の検索数は過去1年間で7倍に「destressing tips(ストレス解消のヒント)」の検索数は12.7倍に増加している。同社は、メンタルヘルスが世界中で私たち全員にどのような影響を与え得るかについて、内省するスペースを設けることを目指しているという。

画像クレジット:LIONEL BONAVENTURE / Staff / Getty Images

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(文:Aisha Malik、翻訳:Aya Nakazato)