iPadをMacのセカンドスクリーンにするAstroのLuna Displayではカメラがメニューを呼び出すボタンになる

AstroのハードウェアドングルLuna Displayは、iPadをワイヤレスでMacのセカンドスクリーンにしたい、と思っていた人にとって夢のデバイスだ。今回同社はこれをアップデートして、iPadの前面カメラをいろんな状況で使える便利なボタンに変えた。これにより、画面上のユーザーインタフェイスを混雑させることなく、いろんな機能にアクセスできるようになる。

Luna Displayは小さなUSBドングルで、Macに挿入して使う。するとそれがiPad上のアプリと対話して、コンピューターのセカンドスクリーンに変える。遅延はないし、グラフィクスの醜い劣化もない。プロトタイプを試してみたが、彼らの宣伝どおりに動作し、そしてタッチ入力やApple Pencilも使える。

そして今度実装されたCamera Buttonは、AstroがLunaに新たに加えようとしたUI機能を画面から隠し、クリエイティブのプロやパワーユーザーとって、機能が増えても使いやすさを維持する。たとえば画面の明るさや表示の並べ方を素早く調節するためのメニューは、iPadの前面カメラの上に指を置くと、Lunaのアプリがサイドバーメニューをさっと出して、また指をカメラに置くとさっと隠す(上図)。

それはiPadのハードウェアのとってもクールな使い方で、面倒なアドオン・ハードウェアやBluetoothのアクセサリなどなくても、ボタンでないものがボタンになる。指を置くとき画像はぼかされるので、指紋などからプライバシーが漏れるおそれはない。カメラをその目的に使いたくない人は、iPadのボリュームボタンを代わりに使える。

結果は万々歳で、ハードウェアのおかしな使い方を毛嫌いするAppleさんも、これだけはぜひ許していただきたい。LunaはまだKickstarter上にあって、発売はしていない。支援者へのディスカウント提供は、あと1週間ぐらい続くだろう。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

クラウドファンディングで開発を持続できたeペーパータブレットreMarkableがついに8月29日に発売

紙の単純性と多用途性をテクノロジーの力で再現したい、という願いは今でも健在だが、それを実現したデバイスはまだない。でも、reMarkableでそれが変わるかもしれない。この ユニークで意欲的なタブレットは、紙にできることをもっと上手にやることをねらっている。そのアイデアが4年前に提案され、クラウドファンディングに載ってから1年近いが、チームはついに最初の製品を8月29日に発売する

reMarkableを、金だけ取って消えてしまう幽霊プロジェクトだ、と思った人も多かった。でもチームは諦めることなく、集中力を維持し、そして幽霊とはほど遠い意外な結果をもたらした。

まだ開発途上の製品なので、最初の製品を受け取った人たちも、今後の忍耐が必要だ。ぼくもテストするとき、そのことを忘れないようにしよう。でも、チームが長年心血を注いだ核心部分は、感触と基本的な機能だ。製品が届いたらすぐに、報告記事を書こう。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

reMarkableはきわめて独創的で野心的なデバイスだ

何年か前のこと。私は白黒コンピュータを求めていたが、その奇妙な欲望はいまだに私の中に留まったままだ。誰もまだこの素晴らしいアイデアへと私を連れて来てくれてはいないが、既存のモノクロデバイスは大幅に改善されて来た。まあもちろん、その能力にはまだまだイライラさせられるのだが。だからこそ、reMarkableタブレットが私にとっては、とても嬉しいのだ。これは全面的に電子ペーパーを採用している。

昨年末の発表後、もしこのデバイスを追いかけていたのなら、reMarkableがいわば強化版Kindleだということは知っているだろう。これは可能な限り紙の上への書き込み体験を模倣しようとしたデジタルノートブックだ。もちろん現代技術の利点は備えている。

これまで、様々な場所で行われたハンズオンデモには参加できていいない(太平洋側の北西部で働いていることによる不便な点だ)。なのでreMarkableがその目的をしっかりと達しているかどうかに関する最終的な判断を下すのは、実際の製品を手にしてからにしようと考えている。しかし、ここで私は、彼らを熱心に応援しているのだいう記録を残しておきたい。

私は共同創業者であるMagnus Wanbergならびに、CEO兼デザイン担当役員のMats Solbergにぞれぞれ話を聞いた。彼らには私に近いものを感じることができた。紙の否定できない魅力に郷愁を抱き、電子ペーパーデバイスの可能性に興奮し、そして既存のオプションに失望していた。

「ハードコアな『紙好き』人間としての意見を述べるなら、本当に役に立つものはないですね」とWanberg。「書くにせよ、読むにせよ、スケッチするにせよ、同じような経験とはとても言えません」。

ここ数年の間、彼らは電子ペーパーディスプレイの能力を高めるべく、様々な工夫を重ねてきた。ソフトウェアを改善し、いくつもの対話手段を試みてきたのだ。こうしたことは、各種タブレットやKindleの宣伝文句には謳われて来なかったが、本来課題として取り上げられるべきものだったのだ。私は、世のトレンドに流されることなくこのプロジェクトを押し進める、彼らの決意を多いに賞賛したい。

書き込みに対する応答の遅れ(レイテンシ)が短くなればなるほど、より自然な書き心地が実現される。最終的に、彼らは最新の電子ペーパーディスプレイのレイテンシを約55ミリ秒にまで半減させることができた。ちなみにiPadのペンのレイテンシは50ミリ秒だ。

これは大変な成果であり、このことはE Inkに感銘を与え、両社が共同作業を始めることになった。そして、タブレットの他の側面、例えば傾きと圧力をサポートしたWacomのようなパッシブペン、ドキュメントのレイヤーサポート(重要だ)、思慮を重ねた素材選択なども好ましいものだ。

しかし、私にしてみれば、既存の枠組みには囚われない便利なプロダクトのビジョンに比べれば、技術的な成果は二次的なものだと思う。

reMarkableは、文書を扱い共有しスケッチする為に、白黒デバイスとしてゼロから開発された。Windowsのような厄介さも、Amazonからの執拗な買え買え攻撃もない、心地よい紙のような環境が提供される。モノクロタッチディスプレイの制限の中で、いくつもの特定作業をうまくこなすように作られている。

「このプロダクトで私たちは … いわば紙の限界のなさを表現したいと思ったのです」とSolbergは語る。「ブランドはなく、余分な宣伝文句もなく、そして液晶ディスプレイでもありません」。

これは強化版Kindleではなく、最新版iPadでもない。極めて独特の存在で、他の新しいデバイスたちとは似通ってはいない。

実際にこのデバイスがどのようなもので、本当に私が期待しているくらい使い勝手の良いものになるのかどうかの詳細に関しては、この夏最終的にreMarkableが出荷される前に私が書き上げる予定の、完全版レビューをお待ちいただきたい。現時点では、reMarkableサイトでさらに情報を得ることができ、479ドルでプレオーダーが可能だ。

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(翻訳:Sako)

想定範囲内の新製品、遅い買い替えサイクル、値下げ―、タブレット市場で今何が起きているのか

過去一ヶ月の間にAppleSamsungの両方が、どちらにとっても2014年以来初となるフラッグシップタブレットのリニューアルを行った。2014年から今までの間に、タブレット市場ではさまざまな変化が起きたが、そのほとんどはタブレット市場全体の売上のように悪い方向への変化だった。IDCは昨年のQ4のタブレット出荷台数は前年比で20%減少したと報じ、Strategic Analyticsは9%減と伝えている。

どのくらい全体の出荷台数が落ち込んだか(そしてそもそも何をタブレットと考えるかについて)については議論の余地があるものの、少なくともタブレットがパソコン市場を食うという当初の予測は間違っていたということがわかる。タブレット市場の不振に関する理由はさまざまだが、ひとつには、メーカーが確信していたほどユーザーはタブレットを買い替えていないという事実がある。

「今でもiPad 2を使っている人がいます」とIDCでシニアアナリストを務めるJitesh Ubraniは語る。「(オリジナルの)iPad MiniやiPad Airもまだ使われていて、Appleも最近までサポートを行っていました。消費者はまだ古いモデルを使い続けていて、買った当初から何ら変わりなく使えていると感じているようです」

これにはいくつかの背景がある。まず、タブレットはスマートフォンと同じくらいのスピードで買い換えるものという認識をユーザーが持っていない。スマートフォンに関しては、キャリアのアップグレードサイクルを通して、パブロフの犬のように消費者に買い替えサイクルが刷り込まれていたのだ。

また、私たちはスマートフォン(さらにはノートパソコン)ほど、日常的にタブレットを使っていないという単純な背景もある。多くのユーザーは、タブレットを家に置いておいて、Netflixを見るときに使うくらいだ。

Strategy Analyticsでシニアアナリストを務めるEric Smithは、本日のiPadのニュースを例に挙げ、製品の機能改善スピードの遅さが、タブレット業界がいまいち盛り上がらない理由のひとつだとしており、「有機ELを使った柔軟性のあるスクリーンや、4Kディスプレイのような一大イノベーションが生まれない限り、過去数年のような頻度で買い替えは起きないと思います」と語っていた。

日々スマートフォンのディスプレイサイズが大きくなり、今や6インチのレンジの製品が市場に溢れているため、それよりも大きなデバイスの必要性が下がっているということも、タブレットの売上減少の一因だ。パソコンとの比較で言えば、Windows 10を搭載したコンバーチブル型ノートパソコンがタブレットのシェアを削るかたわら、かつてタブレットの一大ユースケースと考えられていた教育の世界では、Chrombookの利用が広がっている。

GartnerのMikako Kitagawaは、誕生時の盛り上がりが一段落して、タブレットの機能性には限界があるということに気付たユーザーのネガティブな感情が、売上減につながっていると考えている。「いざタブレットを使いはじめたときに、ユーザーはパソコンと比べて、タブレットでできることには限りがあると気付いたんです。携帯性という観点でも、タブレットはどこにでも持っていくには大きすぎますしね」と彼女は話す。

つまり、メーカーの考える買い替えサイクルにのらなくなったユーザーがいるだけでなく、もっと多くの消費者はそもそも既に持っている2つのデバイスで満足しており、3つ目はいらないと考えているのだ。そして携帯電話が大きくなり、パソコンがタブレットのような形になっていく中で、ふたつのデバイスのギャップは狭まっていく一方だ。

本日Appleが発表した値下げは、タブレット市場の不振に対する同社の反応だったのかもしれない。Appleは買い替えのインセンティブをさらに強め、迷っている消費者の背中を押して、そろそろ家にタブレットを2台置いておくにはいい時期じゃないのかとささやいているのだ。とは言っても、iPad Proの価格を昨年の9月に大幅に下げた後も、販売台数は減少していたのだが。

そしてこのAppleの動きは、プレミアムタブレット全体の今後の動きを示唆しているかもしれない。SamsungはTab S3を599ドルで販売すると先週発表したが、今週のiPadに関する発表を受けて、今後S3の価格を大幅に下げたとしても驚きではない。

これら全ては、プレミアムラインの価格が下がり、安価なタブレットを製造しているメーカーが、もうこの利益率ではやっていけないという状況にまで進む可能性がある業界全体の収束化の一部なのだ。そういう意味では、AmazonはFireタブレットをコンテンツの受け皿(=コンテンツビジネスの一部)と位置づけることで、価格を下げることができるため、タブレット業界の中では珍しく良いポジションにいる。一方でKitagawaは、子ども向けのタブレットの不調で、ローエンドタブレットも逆風を受けるかもしれないと指摘する。

いずれにしろ、ここしばらくはタブレットの売上が下がり続けそう、というのが今のところの共通認識のようだ。AppleとSamsungの二大メーカーから新商品がリリースされれば、いくぶんかは売上減少を軽減できるかもしれないが、大方の意見としてまだタブレット業界は窮地を脱せていない。

各メーカーが携帯電話や他のカテゴリーの製品にシフトしだしたのも当然のことだ。SamsungのTab T3の発表は、イベントの最後に行われた新しい携帯電話に関する発表までの場繋ぎのようにさえ感じられた。さらに今朝のiPadに関する発表は、Keynote風の大きなイベントではなく、ニュースリリースの体裁をとっていたことも記憶に新しい。

もちろんタブレット市場がこれで終わりというわけではなく、今でも何千万台というタブレットが四半期ごとに出荷されている。しかし新たな革命が起きるまでは、一旦気持ちを落ち着けよう。

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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter

Appleの新9.7インチiPad、予約開始は3/25から―能力向上、価格は大幅引き下げ

今朝(米国時間3/21)、Appleは新型iPadを発表した〔日本サイト〕。実質的には2014年後半に発表されたAir 2の後継機種だが、モデル名が煩雑になるのを避けるため、単にiPadと呼ばれる。これはMacBookのネーミングが単純化された前例を思い出させる。

新iPadは9.7インチの輝度が強化されたRetinaディスプレイと能力が向上したプロセッサを備えている。独自開発のA8Xプロセッサは新モデルではさらに高速なA9に置き換えられた。

重要な点は 32GBの入門モデルの価格を下げて320ドル〔日本版は税別37,800円〕からとしたことだ。128GBモデルは459ドル〔同税別48,800円〕からとなる。このサイズではApple史上もっとも低価格のタブレットだ。

なおこの発表に先立って、先月のMWCではSamsungがTab S3を発表している。このタブレットの価格は現在600ドルで、もっと手頃な価格を期待していたユーザーを失望させている。Appleは大胆にも 9.7インチ機種の価格を半額近くに引き下げた。

Appleのフィル・シラーは新モデルについてのプレスリリースを「さらに手頃な価格に」というきわめてシンプルなタイトとしている。手頃な価格のエントリーレベルのタブレットを探していたユーザーがまさにAppleのターゲットなのだろう。

Appleはタブレット全体で長年マーケットのリーダーの地位を占めてきたが、最近このジャンルはやや冷え込んでいる。しかしAppleのトップの座は揺らがないだろう。Strategy Analyticsによれば、Appleの昨年の第4四半期の世界市場でのタブレットの出荷台数ベースのシェアは13.1%だった。

能力のアップと同時に価格を引き下げるという戦略は当然ユーザーに歓迎されるだろう。タブレット分野でのAppleの大きなリードは今後も維持されるものと思われる。

〔日本版〕Appleサイトには「注文は3月25日午前0時01分(日本時間)から。」と記載されている。Appleのプレスリリースには「翌週からAppleストア(およびその他のチャンネル)に届きはじめる」とある。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

ホワイトボードを再発明、Googleの新製品「Jamboard」

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Googleは、まだまだ人々を驚かせるプロダクトを用意している。2つのモバイル端末、スマートホームハブ、VRヘッドセットを数週間前に発表したばかりだが、今回は珍しいタイプのハードウェアを発表した。大手ソフトウェア企業のGoogleはコンシューマーモバイルを強烈に押し出していたが、今回はホワイトボードを訴求する。

Jamboardは、Googleにしては珍しいプロダクトローンチだ。職場で使うツールを次のレベルへと持って行くこのプロダクトの開発には、数年の期間を要したことだろう。G SuiteのDirector of Productを務めるJonathan Rochelleは、G Suiteで同僚が協力して使える新たなタブレット・インターフェイスを考え、Jamboardが誕生したという。G Suiteは、正式にはGoogle Apps for Workと呼ぶビジネス向けに提供しているアプリのコレクションのことだ。

「Jamboardは、Google Cloudに存在するホワイトボードです」とRochelleは発表前に説明していた。55インチの4Kタッチスクーンは、職場でのコラボレーションのハブになることを想定してゼロから設計したという。Googleのアプリを軸に、Microsoftが提供するSurface Hubと直接的に対抗するプロダクトだ。これまでの製品と似た仕組みで、成果物はGoogle Driveに保存される。Googleが提供するiOSとAndroidアプリを経由して、個人はスマホやタブレットからデータにアクセスすることができる(Windowsにはまだ対応していない)。

Googleは、NetflixやSpotifyといったいくつかの有名企業と協力し、彼らの会議室にJamboardを設置してハードウェアの検証を行ってきたという。ホワイトボードの精度は圧巻だ。ゼロから作り上げたハードウェアは(Googleはハードウェア・パートナーについて開示していない)直感的に使えて、インターフェイスの反応もとても良い。ユーザーは付属のパッシブ式スタイラスでホワイトボードに文字を描くことができ、書いた文字は指で消せる(付属のイレーザー/マイクロファイバーでも消せる)。

Google Jamboard

手書きや描画ツールで仕事を効率化できるだろう。私も実際にプロダクトを試してみたが十分機能的だった。このホワイトボードは16段階でタッチの圧力検知を行い、また細かなアニメーションの演出がちょっとした動作を楽しいものに変えている。例えば、文字を消すとディスプレイから消したテキストがはらはらと落ちたりする。ホワイトボードのシステムはこの用途のために特化したAndroidバージョンであり、専用ブラウザやGoogle Mapsなどの機能を搭載している。将来的にはサードパーティーアプリに開放することもできるという。

また、Google Castにも対応しているので、大型ディスプレイとしても使用可能だ。内蔵スピーカーは本体の下の部分にあり、スタイラスとイレーザーを載せる磁石トレイの方を向いて付いている。私が聞いた限りではスピーカーの性能はすごく良いと言えるものではなかったが、音量がそこそこあり、テレカンファレンスの音声としては十分だろう。そうでなければ、Bluetoothに対応しているので、他のスピーカーを利用するという選択肢もある。

Google Jamboard

ときおりユーザーがホワイトボードで動画を見ることを想定しているとはいえ、ディスプレイを4Kにした理由を聞いたところ、人がホワイトボードをすぐ近くから見ても画像が荒くならないようにするためとGoogleは説明する。また、2K対応のカメラも搭載しているので毎秒60フレームで撮影し、テレプレゼンスにも活用できる。

コレボレーションはリアルタイムで起きるが、ホワイトボードの様子はモバイル端末からでも最小の遅延で確認することができる。プロジェクトが完成したら、チームメンバーとPNGやPDFで内容を共有することが可能だ。

また、見た目も驚くほどいい。ホワイトボードの背面も可愛らしい形で、これまで私が見たどのホワイトボードよりも美しいと思う。背面にはスタンダードのUSBポートがいくつかあり、USB C、HDMI、LANポートも備わっている。ホワイトボードは壁にかけることもできるが、オプションでスタンドを購入することも可能だ。来年ローンチ予定で、価格は6000ドル未満になるという。

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(翻訳:Nozomi Okuma /Website