ドライバーの事故処理を楽にしてくれるアプリSnapsheetが2000万ドルを調達

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シカゴを拠点とするスタートアップSnapsheet自動車事故を起こした人びとの手続きを、より楽にするために、シリーズCラウンドで2000万ドルを調達した。

同社のクラウドベースのソフトウェアは、自動車保険会社よって利用され、ユーザーをガイドして事故が起きた際の写真と情報収集を行う。各自動車保険会社のモバイルアプリには、基本的に白いラベルが付いている。バックエンドでは、Snapsheetは、車を検査するための検査役を実際に派遣することなく、保険会社が請求を実質的に処理することを支援する。

スタートアップのシリーズCの資金の一部は、保険の世界のビッグネームからやってきた。この調達はF-Prime CapitalとIA Capital Groupによって主導され、戦略的支援としてFosun Insurance Group、Liberty Mutual Strategic Ventures、Intact Financial Corp、そしてUSAAが加わっている。また同スタートアップはMetroMileやTuroのような新興保険会社とも協業していて、会社の発表によれば、これまでに35の法人顧客を獲得している。

Snapsheetの社長CJ Przybylによれば、スマートフォンのようなテクノロジーや、クラウドソースの写真、通信技術、そして機械学習のお陰で、保険請求処理はますます洗練されたものになっているということだ。保険会社が彼らの顧客にいち早く保険金を支払い、修理された車を戻せるように、同社は全てのテクノロジーをそのプラットフォーム上に統合して、保険金請求処理を素早く処理することを助けている。同社は、新たな資金を製品開発のために投入し、そして特に顧客サポート、セールス、そしてマーケティングの人材を雇用するつもりだと、Przybylは語った。

彼はSnapsheetのようなソフトウェアが、他の保険会社が家や他の物品の損害を分析するのに役立てることもできることを認識しているが、Przybylは自動車関係の保険請求だけでも十分大きなマーケットなので、同社は自動車の範囲から広げていくつもりはないと語った。

「インシュアランステックとは、顧客サービスがどれほど大切かということに本当に集中し理解しているプレイヤーが勝者となって、ほとんどのものを得ていく世界なのです」と彼は言った。

Snapsheetの投資家でありF-Prime PartnerのBen Malkaは、彼の会社がSnapsheetを支援する1つの大きな理由は、そのテクノロジーの効果が自動車保険会社の顧客たちに確かに役立つものだからだ、と語った。

「自分のキャリアに合わせてSnapsheetを利用した人々は、保険金請求処理を素晴らしい顧客体験で終わらせることができるのです、他の請求解決手法に比べて、NPSスコアが特に良好ですね」と彼は「NPS=net promoter score」という指標を引合いに出しながら語った。

さらに彼は、Snapsheetは、競争優位のために技術を利用したいと考える保険会社の、新たな意欲に訴えているのだとも語った。「保険業界では、過去数年間に比べて、技術革新の圧力が強くなっていますからね」と彼は言った。

Przybylは 、Snapsheetが調達資金を使って開発したいと考えているものの1つは、請求の受付や状況に関する顧客の質問を、彼らが実際に質問してくる前に予測できる機械学習だと語った。そのようなシステムが組み込まれていれば、顧客が不安の種を見つける前に、Snapsheet搭載のアプリは情報を提供することができるからだ、と彼は言った。

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(翻訳:Sako)

クラウドベースの人事管理プラットフォームHeavenHRが600万ユーロを調達

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中小企業(small and medium enterprises = SMEs)のためのクラウドベースの人事管理プラットフォームであるHeavenHRは、シリーズAの資金調達を600万ユーロで締めくくった。ベルリンを拠点とするこのスタートアップのラウンドを主導したのは、Target GlobalとOpen Oceanだ 。

設立してまだ10ヶ月のHeavenHRは、新たに調達された資金を、製品開発と成長の加速のために使う。同社は現在、ドイツ、オーストリア、フランス、そしてスイスで活動している。

システムは、巧妙なフリーミアムモデルで運営される。人事管理プラットフォームの中核機能、たとえばデジタル契約書、電子人事ファイル、欠勤管理そして勤務時間管理などは無償だが(ロンドンのCharlieHRと似ている)、HeavenHRは給与、福利厚生、年金そして健康保険管理などの追加サービスに対して課金を行うのだ。

年金を扱う点は、ロンドン/テルアビブを拠点とするHibobを彷彿とさせる(シリコンバレーのVCであるBessemer Venture Partnersの主導したラウンドからの最近750万ドルの調達を支えに、最近設立された)。

年金ブローカーとして効率的に職場の年金加入を取り扱うことにより、多額の収入を得ることが可能なのだ。新世代の人事管理スタートアップは年金と、同様に保険も引き受けているのだ。クラウドベースの人事管理ツールへ来たれ、年金と保険もお任せを、というのがお題目のように響く。

「私たちは極めて包括的な製品を提供しているので、様々なフィールドに多くの競合他社がいます」と語るのはHeavenHRの取締役Johannes Roggendorfだ。

「紙のフォームやExcelを利用する競合他社に加えて、旧来のスタイルの給与計算だけを提供する会社、伝統等的な人事管理ソフトウェアを提供するものの、そのプロダクトは機能や使いやすさが欠けている会社、そしてモダンな人事管理ソフトェアを提供するものの機能がしばしば限られてものであるような会社などと競合しています」。

そして保険や年金の面でHeavenHRはオフラインとオンライン両方のブローカーと競合するものの、そのプラットフォームは様々な人事プロセスを統合しているために優位にあるとRoggendorfは語っている。

「私たちのプラットフォームを使えば、新しい従業員を4分で雇えます。また新入社員をわずか数回のクリックで、給与、年金、保険プランに自動的に登録するオプションもあります」と彼は続けた。

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(翻訳:Sako)

Quiltが新しい保険の形を作り出すべく近日中にローンチ

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アメリカで新設されたQuiltは、これまでアメリカの保険制度で散々痛い目にあってきた人たちを救おうとしている。

消費者は、新しい保険オプションがすぐにでも誕生することを願っている。最近の60 Minutesによる暴露記事では、受取人に対して保険金を支払っていない生命保険会社の存在が明らかとなったのだ。そしてそれが業界の通例だという。

ハリケーン・カトリーナによる被災後も、その時点まででアメリカ市場最悪の自然災害に見舞われたにも関わらず、保険会社は最高益を記録していた。さらに、ハリケーン・サンディがニューヨークを襲ってから3年が経った後も、何100人もの被保険者が保険金を受取ることが出来ていない

もっと良いやり方があるはずだ。

今月末にまずフロリダでローンチ予定のQuiltは、はじめに旧来の賃貸人向け保険商品を提供する予定で、最終的には保険契約内容や保険金の払い出しにも全面的な変革を起こそうとしている。今のところは、既存の保険商品を販売すると共に、(とてもひどい)他社よりもずっと良いサービスを提供すると約束している。

「『俺は保険業界に参入したいんだ!』と言う人はいないと思います」とQuiltの共同設立者兼CEOであるBalir Baldwin氏は言う。

以前マーケティングやアドテック系企業の幹部を務めていたBaldwin氏は、ボストンを拠点とする自動車保険の見積もり比較サイトGojiのビジネスに携わってから保険業界に興味を持ち始めた。

「保険業界を覗いてみて、私のやりたいことが組み合わさった世界だということや、顧客がどれだけ本当にひどい体験をしてきたかということを知り、つい目を細めてしまいました」

Gojiのような企業は、今の保険会社が抱えているある問題を解決しようとしている。その問題とは、顧客が多くの時間を過ごしたいと考えているインターネットというプラットフォームを活用できていないということだ。

Baldwin氏にとってこの問題は根深く、「消費者がオンライン上や電話で連絡をとりたいと考えていることから、既存の連絡チャンネルは機能していない一方、その根底にある保険商品の改革なしに、連絡チャンネルの改革はありえません」と語っている。

彼は茨の道を進もうとしているのだ。

PolicyGeniusのCEO Jennifer Fitzgerald氏の推計によれば、保険業界はおよそ1兆ドルにのぼる契約を結んでおり、さらに年間7兆ドルもの投資を行っている。そのため、ベンチャー投資家には保険がとても魅力的なビジネスとして映っているのだ。しかし、この業界を縛っている法律は、保険業界が生まれた当初に作られた100年以上前のものを含む、これまでの規制が重なりあったつぎはぎ状態にある。

ベンチャー投資家はそんな苦労をいとわずに参入を進めており、確かに近年保険テクノロジー分野への投資は極めて活発だ。

Accentureの調査を引用したFinancial Timesの記事によれば、2015年の保険業界へのベンチャー投資額は26億ドルで、2014年に比べて8億ドル増加していた。その背景の一部として、大手保険会社もこれまでのやり方では、少なくとも新たな顧客をつかむという観点からは、上手くいかないと気づきはじめているのだ。

Quiltは保険サービスが提供される場を変えていくだけでなく、保険ビジネスのあり方さえ変えようとしているとBaldwin氏は語る。つまり、賃貸人向け保険契約内の、Quiltが変更を加えようとしている箇所について各州から個別に許可をとり、その後は生命保険やペット保険、旅行保険にも変革を起こそうとしているのだ。

賃貸人向け保険の顧客に対して恒常的に起きている支払保険金の不足について、彼は一例を挙げた。顧客である賃貸人は、保険で電子機器が全額保障されていると思っていながら、実際は電子機器に対する保険金は掛け金の一定額までと契約で決まっているのだ。

そのため、もしも電子機器が故障したり壊れたりした場合に、被保険者は買い換えに必要な金額のほんの一部となる保険金しか受け取ることができない可能性がある。

しかしBaldwin氏によれば、契約の内容を変更するためには、州ごとに異なる機関をたずねて許可を得る必要があるのだ。

アメリカ全土への拡大に向けて、QuiltはリードインベスターのNextView Venturesを含む複数の投資家から、325万ドルをシードラウンドで調達した。NextView Ventures以外の投資家には、Eniac Ventures、Founder Collective、Titan Partners、Basset Investment Group、さらには少数の重要なエンジェル投資家が含まれている。

Quiltが最初の商品をローンチ予定のフロリダでは、旧来の保険契約の処理や、新しい契約の作成にあたり、Security First Insuranceとパートナーシップを結んでいる。

Quiltが、実際に保険業界の他社とは違うことをやっていると証明できるようになるまでには時間がかかることが予想され、今の時点では、これまでと同じ商品にあたるもののパッケージングを一新しようとしている。

それでもQuiltは、保険ビジネスの難題に取り組んでいる成長目覚ましいスタートアップのひとつとして存在しているのだ。業界のビジネス慣習を変えようとしている他の企業としては、P2P保険のLemonadeや、マイクロ保険のTrov、そしてまだステルスモードにある、不動産・災害保険のJettyなどが挙げられる。

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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter