機械学習で被写体を自動で切り抜く写真背景除去アプリPhotoRoomにAndroid版登場

米国時間12月17日、フランスのスタートアップのPhotoRoomがAndroid版アプリをリリースした。同社は写真から背景を除去したり別の背景に置き換えたり写真を編集したりする便利な写真アプリを開発している。

iOS版のアプリはすでにリリースされている。Y Combinatorに参加した同社は、年間経常収益が200万ドル(約2億600万円)へと倍増し、シードラウンドでは120万ドル(約1億2500万円)を調達した。

PhotoRoomはインフルエンサー、そして衣料品やファンションアイテムを販売している人々に愛用されている。メインの創作プラットフォームとしてスマートフォンを使っている人々だ。他のプロ向け写真アプリと同様に、PhotoRoomもサブスクリプションで収益を上げている(月額9.49ドル[約980円]、または年額46.99ドル[約4800円])。

PhotoRoomは機械学習で被写体を特定し、被写体とそれ以外の部分を分ける。こうして写真の特定の部分を操作することができる。

画像クレジット:PhotoRoom

PhotoRoomはY Combinator参加後にシードラウンドで資金を調達した。その際にNicolas Wittenborn(ニコラス・ウィッテンボーン)氏のAdjacent fundとLiquid2 Ventures、そして以下の2グループの投資家から支援を受けた。

  • 機械学習に特化したビジネスエンジェル。Facebook(フェイスブック)チーフAIサイエンティストのYann LeCun(ヤン・ルカン)氏、Twitter(ツイッター)の機械学習研究グループCortexの責任者でMagic Poney共同創業者のZehan Wang(ゼハン・ワン)氏、Perceptio創業者のNicolas Pinto(ニコラス・ピント)氏など。
  • モバイルサブスクリプションに特化したビジネスエンジェル。BlinkistのHolger Seim(ホルガー・セイム)氏、RevenueCatのJacob Eiting(ジェイコブ・エイティング)氏、CalmとSpotifyのアドバイザーであるJohn Bonten(ジョン・ボンテン)氏、TangoのEric Setton(エリック・セットン)氏。

このラウンドの資金を得て、PhotoRoomは社員を3人から8人に増やし、ディープラーニングのアルゴリズムに取り組む。PhotoRoomアプリに興味をお持ちの方は、筆者が以前に公開した記事をお読みいただきたい

関連記事:魔法のように被写体を自動で切り抜いて背景を変えられるPhotoRoom

カテゴリー:ソフトウェア
タグ:PhotoRoom写真写真編集

画像クレジット:Johan Mouchet / Unsplash

原文へ

(翻訳:Kaori Koyama)

風景とポートレートの編集に強いAIフォトエディターLuminar AIをSkylumが発売

Skylumはここ数年、Aurora HDRやLuminarなどの写真編集アプリで名を知られるようになった。その同社がまったく新しい写真エディタのLuminar AIを発売した。価格は79ドルから(日本では株式会社ソフトウェア・トゥーが税込1万1980円で販売)。MacとWindowsでスタンドアローンのプロダクトとして動作するほか、LightroomやmacOSの写真アプリのプラグインとしても使える。この新しいアプリはゼロから開発され、Lightroomなどでおそらくおなじみの従来からある写真編集機能を多く備えている。しかしこのアプリのポイントは新しいAIベースのツールで、特に風景(と空全般)やポートレートの編集に力を入れているところだ。

このアプリには全部で13種類のAI機能が搭載されている。AI機能によりスライダーをいくつかドラッグするだけで、構図の改善、画像中の空の変更(それに応じてシーンのライトも調整される)、霧・もや・霞の追加、ポートレートの被写体の顔やボディの調整をすることができる。

このようにして、初心者にとっては極めて簡単により良い写真にすることができ、プロにとっては望む結果を短時間で得るツールとなる。

SkylumのCEOであるAlex Tsepko(アレックス・ツェプコ)氏は「AIに対する我々のアプローチは、この分野における最高の頭脳のアプローチと方向性は一致しています。ただし違うのは、この驚くほどパワフルなテクノロジーを我々はヒューマンセントリックに応用していることです。私の経験では、実際にクリエイティブなことに費やしている時間はわずか30%です。Luminar AIは人工知能を使ってこの数字を逆転させます。我々の作ったLuminar AIによって、ユーザーは編集のプロセスにわずらわされることなく成果と写真に集中できます」と説明する。

画像クレジット:Skylum / Jeong Kyu Kim

画像クレジット:Skylum / Iurie Belegurschi

初心者はまずLuminar AIのテンプレートから始めよう。Instagramのフィルターをはるかに超える進化版という感じだ。アプリが自動で画像を分類し(風景かポートレートか、など)、それに合うテンプレートを提案する。仕上がりはクールで出発点としては良いが、この種のツールに投資するならもっと細かくコントロールしたくなるだろう。

Luminar AIの看板機能が、わずか数回のクリックで画像の空を変えるスカイAIだ。空を変えるには、夕暮れなどあらかじめ用意されている空の種類からいずれかを選ぶか、自分でライブラリを作る。どちらの場合も、適用するとアプリが空に応じてシーン全体のライトを調整する。これは驚くほど見事に機能する。もう少しギミックっぽい拡張スカイAIもあり、鳥や飛行機、バルーンを空に追加できる。筆者は使いそうもないが、近いうちにあなたの好きなインフルエンサーの写真にバルーンがたくさん浮かぶだろう。空を少しだけ調整するスカイエンハンサーAIを選ぶこともできる。

画像クレジット:Skylum

よく使われる編集機能としては明るさ、コントラスト、カラーを調整できるアクセントAIツールがかなり便利だ。ストラクチャAIは画像を明瞭にする。

Skylumはこうした調整は不自然にはならないとしているが、一概にはいえないだろう。実際、これは個人の好みによるが、筆者はスライダーをわずか10か20ポイント動かすだけでベストの結果になることが多いと感じた。調整しすぎると過剰に加工された画像になってしまう恐れがある。

ポートレート向けの機能にはボディAI、アイリスAI、フェイスAI、スキンAIがある。これらの機能を使うと、Photoshopなら時間がかかることが多いレタッチ作業を極めて簡単に実行し、被写体の目を際立たせたり歯を白くしたり肌のシミを消したりすることができる。

画像クレジット:Skylum

風景の雲を変えたり写真にボケを追加したりするツールはよほど極端な写真純粋主義者でない限りは問題視するようなものではないが、ボディや顔をわずか数回のクリックで簡単にスリムにできるツールはちょっと話が別だ。

ここでポートレートのレタッチに関する倫理やソーシャルネットワークで容姿を批判することの有害性を議論するわけではないが、特にLuminar AIはボディや顔を簡単にレタッチできる効果的なツールであることを考えれば気をつけておいた方がいいことではある。筆者の場合は、Luminar AIのこうしたツールを使うと不安な気持ちになりがちだ。

カテゴリー:ソフトウェア
タグ:Skylum写真画像編集

画像クレジット:Skylum

原文へ

(翻訳:Kaori Koyama)

Adobe MaxカンファレンスにLightroom 10登場、カラーグレーディングホィールなど新ツール多数

Adobeは10月20日に開催されたMAXカンファレンスでフォトグラファー必携の写真編集ツール、Lightroomをリニューアルした。新機能のハイライトはカラーグレーディングツールだ。これはAdobe PremiereやBlack MagicのDaVinci Resolveなどのビデオ編集ツールにある色彩調整ツールに近い。また著作権管理のための画像透かしなどの機能も追加された。クラウド版の Lightroomには複数の編集結果の自動保存機能が登場した(デスクトップ版のClassicではサポートされない)。

Adobeではこのカラーグレーディング機能を先月からテストしていた。フォトグラファーの多数が使っている人気アプリに重要な変更を加えるアップグレードだけに慎重を期したのだろう。なんといっても色調調整は写真編集のメインとなる機能の一つだ。

 

新機能は簡単に言えば従来の明暗別色補正(split toning)を強化し3種類のカラーホイールに置き換えるものだ。

AdobeのMax Wendt(マックス・ウェント)氏は今日のバーチャルイベントで「カラーグレーディングは従来の明暗別色補正の大幅な強化です。今までできたことはもちろん全てできます。既存の明暗別色補正のプリセットもすべて保存されるのでユーザーは使い慣れた明暗別色補正からスタートすることができます」と説明した。

従来の明暗別色補正はハイライトとシャドウに色調を導入するツールだ。私の印象ではこれまで明暗別色補正を利用してきたLightroom のユーザーは新しい強力なカラーホイールの使い方を理解するまでに多少の慣れが必要だろうと思う。もっとも新しいカラーホイールの方がはるかに直感的に操作可能だ。現在の明暗別色補正は複雑すぎて無視するユーザーも多かった。

カラーホィールはクラウド版の Lightroomだけでなくデスクトップ版のLightroom Classicと単独のRAW現像アプリ、Camera Rawでも利用できる。

Lightroom 10でAdobe が紹介した新機能には画像による透かしの挿入(Windows、Mac、iOS、iPadOS、Android Chrome OSをサポート)がある。これは従来の文字による透かしを強化するものだ。この機能を設定している場合、ユーザーが画像を共有ないし書き出しすると自動的に適用される。

 

Lightroomユーザーの作業を楽にしてくれる目玉は自動バージョン管理だろう(こちらもWindows、Mac、iOS、iPadOS、Android Chrome OSをサポート)。新機能は複数の編集結果を簡単に複数のプラットフォームに保存し、同期する。ユーザーは多数の編集結果を往復して見比べることができ、必要があれば編集を破棄することもできる。

 

「ベスト写真」機能はAdobe の AI システムを利用している(iOS、iPadOS、Android、Chrome OS、ウェブをサポート)。システムは露光量その他の技術的側面、フレーミングに加えて被写体が人物の場合、顔の向き、赤目やまばたきの有無などをチェックする。ユーザーはスライダーを操作してこれらの条件を厳しくしたり緩めたりすることができる。

キヤノンのカメラのユーザーには朗報があった。Lightroom Classicがライブのテザリング撮影をサポートした。ユーザーは撮影中のテザリング中の映像をライブで見ることができるようになったため複数のメンバーを含む撮影チームの共同作業が容易になる。他のメーカーのカメラも近くサポートされる。

画像:Adobe

【TechCrunch Japan編集部】AdobeサイトにLightroom 10の日本語の紹介が掲載されている。

原文へ

カテゴリー:
タグ:

滑川海彦@Facebook

キヤノンのWi-F搭載カメラ多数がGoogleフォトと連動、写真が自動的にバックアップされる

キヤノンとGoogleはソフトウェアでの提携を発表した。多数のキャノンのカメラで撮影された写真が自動的にGoogleフォト にバックアップされる。サポートされるカメラのリストはこちらだが、同社が近年リリースしたレンズ交換式カメラはほぼ全て含まれる。Wi-Fi 機能を内蔵するカメラの大部分がサポートされると考えてよいだろう。

自動バックアップ機能はキヤノンのAndroidとiOSのモバイルアプリを通じて動作する。アプリは最新版に更新されていることが必要だ。アプリに手持ちのカメラを登録し、撮影した写真がオリジナル画質のままGoogle フォトにアップロードされるよう設定する。カメラがWi-Fiでスマートフォンと接続したときに転送が実行される。つまり撮影した後、手動でカメラをスマートフォンやデスクトップに接続して物理的メモリーカードからGoogle フォトへの転送するという手間が必要がなくなる。

ただし利用にあたって注意すべき点がある。この機能が使えるのは有料でGoogleドライブを利用しているGoogle Oneのメンバーだけだ。この経済的負担を和らげるために(もちろんGoogle Oneは写真をバックアップできるクラウドストレージとしてもっともコストパフォーマンスが良いサービスのひとつだが)、キヤノンは1ヶ月無料で100GBのストレージをGoogle Oneに提供するとしている。

私の経験からいうとスマホ以外のいわゆる「本物のカメラ」で撮影した写真の大半はカメラのメモリや各種バックアップデバイスの中、さらにはそこらに放り出したままの無数のSDカードの中に眠ったままになってしまう。自動バックアップ機能は撮影した写真を見直す機会を増やしてくれるのは間違いない。気に入った写真を発見すればプリントアウトしたりソーシャルメディアにアップロードするなどして大切な人と思い出を共有することになるかもしれない。他のカメラメーカーもキヤノンの例にならってくれるといいと思う。.

画像:Google

原文へ

滑川海彦@Facebook