不思議なソーシャルアプリYoのユーザーが100万人突破、Googleが保険に進出?―US記事ピックアップ

YoかMehか? TechCruch内でもYoに賛否両論

「よー」という一言だけを交換する奇妙なソーシャル・ネットワーク、Yoが意外な人気を集め、シリコンバレーかいわいの話題をさらっている。もともと今年のエープリルフールにジョークアプリとして公開されたものが、Twitterで話題になったのがきっかけであちこちのITニュースブログでも取り上げられるようになった。6月23日にはなんと100万ユーザーを突破した。

Yoは日本語の「よー」とほとんど同じような呼びかけの言葉で、最近アメリカでカジュアルな挨拶によく使われている。アフリカ系の若者から広まったらしいが、語源も流行の経緯も諸説あってはっきりしない。YoのiOS/Androidアプリにはこういう説明がある。

Yoは世界でもっともシンプルで効率的なコミュニケーション・ツールです。文字を使う必要なし。ワンタップでYoという一語を送ります。「おはよう」と言いたいときもYo、「会議が終わった」もYo、「きみを愛している」もYo。可能性は無限大です。

Jordan Crook記者はYoを紹介した長文記事で「YoはSnapchatなどと同様デジタルと現実世界を強く区別するデジタル二元論を乗り越えようとする動きだ」として高く評価した。簡単にいえば「現実世界でもYo!という呼びかけはコンテキストに応じてさまざまな意味を与えられて機能しているのだから、デジタル世界でも同じように機能するツールがあってよい」という意見だ。「Yo自身の流行はすぐに終わるかもしれないが、YoはSnapchatに代表されるようなより大きなトレンドを象徴している」とCrook記者は結論した。

しかし翌日さっそくMike Butcher記者からMehというユーモラスな異論が出た。Urban Dictionaryによれば、mehは「無関心」を表現する感嘆詞で、「肩をすくめる」のと同じような意味だ。例文として「夕食に何を食べたい? ―meh(どうでもいい)」というようなやりとりが挙げられている。Butcher記者はYoがそんなに素晴らしいコミュニケーション・ツールならMeh一語を送り合うサービスはもっと素晴らしいと皮肉る。「Mehは単なるアプリではない。<そんなことどうでもいい>という大きなトレンドの象徴なのだ」。

続いてSarah Perez記者がYo? No.という記事で「いいかげんにしして欲しい。マーク・アンドリーセンが何と言おうと、馬鹿げたものは馬鹿げている。Flappy Birdと同じようないっときの流行という以上の意味があるわけがない」とこてんぱんにやっつけた。個人的にはPerez記者に賛成だが、ジョークアプリが100万ユーザーというのはやはりすごい。しばらくにぎやかな議論は続きそうだ。

Google、ビッグデータ解析の強みを生かして保険業に進出か?

BCG(Boston Cosulting Group)とGoogleは共同で保険販売のデジタル化について研究したレポートを発表(PDF)した。これによると、2020年までに保険契約の75%はオンライン化されるという。 ノルウェイの財務コンサルタント、Christoffer O. HernæsはTechCrunchにGoogleは保険業界に進出する?(Will Google Enter The Insurance Industry?)という記事を寄稿し、Googleがビッグデータ処理能力を保険販売に活かせばAdSense以上の売上を得ることも可能だと論じている。

HernæsはGoogleがすでに2012年に自動車保険の比較サービスを買収していること、また最近のスマートサーモスタットと煙探知機のスタートアップNestの買収によってGoogleは将来は膨大なホームオートメーション情報を得られる可能性が出てきたことを指摘する。これらは損害保険の販売、あるいは損害保険広告の販売にきわめて効果的に利用できるという。筆者は「Googleが保険業界に進出することは確実だ。問題は付加価値の連鎖のどこに自らを位置づけるかだ」と結論している。

巨人の戦いが激化してインディーのクラウド・サービスに暗雲

US記事まとめでも触れたが、GoogleとAmazonがともにSSDによる高速ストレージを提供し、Microsoftがクラウドの無料ストレージ容量を大幅にアップするなどサービス改善の激しい競争が続いている。これにともなってインディー系のクラウド事業者のビジネスの先行きに懸念が広がっている。

IT企業の上場環境悪化に伴い、Boxが上場を再延期する可能性という記事によると、Dropboxと並んでクラウド・ストレージを代表するスタートアップのBoxが上場計画を再び延期するかもしれないということだ。この記事では株式市場の全体的な軟調が理由として挙げられているものの、巨人同士の戦いの激化と無縁ではないだろう。Amazon、Google、Microsoft以外でクラウド・ストレージ・ビジネスで生き残れるのは数社だろうという観測もある。

Facebookの新サービスSlingshotに特許の伏兵?

Facebookが先週公開したSlingshotは友だちから共有された写真を見るためには自分も何か写真を送り返さなければならないというユニークなしくみの新しい写真共有サービスだ。Facebookがこのサービスを立ち上げたのはSnapchatやLINEのようなメッセージ・アプリに対抗するのが動機と見られているが、SlingshotにはSnapchatの特許を侵害している可能性があるという。今のところ両社ともコメントしていないため詳しいことは不明だが、今後の動きに注目しておく必要がありそうだ。

自動走行車で巨人に挑むスタートアップ登場

Cruiseという小さなスタートアップが自動走行車のデモを公開した。既存の車両に後付もできるという。現在のところ高速道路の走行専用で適応車両もAudiのみだが、自動車メーカーやGoogleのような巨大企業の独占的な分野と思われていた自動走行車の分野に無名のスタートアップが参入してきたのは驚きだ。共同ファウンダーのKyle VogtはJustin.tv、Socialcam、Twitchを創立した連続起業家で、1万ドルで製品の予約を受付けているという。

自動走行車といってもGoogleカーのようにあらゆる道路状況に対応できるわけではなく、安全な前後間隔の確保と道路に沿って走行する限定的なハンドル操作を自動化するスマート・クルーズコントロールのように思える。また法規がどうなっているのかも興味があるところだ。

滑川海彦 Facebook Google+


Amazon Fireスマフォのすべて、クラウド戦線、Adobeサービス化など―US記事まとめ

モバイル:これがAmazonのFireスマートフォンだ

6月19日(日本時間)のプレスイベントでジェフ・ベゾス自身がAmazon初の独自スマートフォン、Amazon Fireを発表した。TechCrunch Japanでは関連記事をできるだけ多数翻訳した。Fireに関して現在判明している情報はほぼすべて以下の記事に含まれている。

Amazon、 独自スマートフォンFireを発表―3Dヘッドトラッキング機能を備えて199ドルから

速報。概要紹介。

Amazon Fireの3D表示は顔位置を認識してダイナミックに再描画する新たな透視図法

従来の3Dは右目用画像と左目用画像を同時に表示することによってパララックス(視差)を作り出していた。そのため3D効果を得るためには偏光メガネや特殊なディスプレイが必要で、ユーザーの負担が大きく普及していない。これに対してFireではDynamicPerspectiveと呼ばれる全く新しい方法による3Dテクノロジーを導入している。これはユーザーが視点を移動するにつれて新たな視点から対象を再描画するという画期的な手法だ。プレゼンでつかわれた下のビデオがわかりやすい。

ユーザーの視点の位置と移動を追跡するためにFireには顔追跡用のカメラが4台装備されている。2台のカメラが指で隠されても他の2台が機能するという仕組みだ。

Amazonのショッピング・スマホには、プライム会費1年分が無料でついてくる

ベゾスはプレゼンの冒頭で「プライム会員のためのスマートフォン」と明言。Fireは2年契約で199ドル、プライム会費年額が99ドルなので実質本体価格100ドルということになり、非常に割安だ。Kindleタブレットの場合も、Amazonは原価ぎりぎりの価格をつけて成功している。デバイスの販売で利益を上げるのではなく、そのデバイスを通じたストアの利用の拡大が目的というAmazonならではの戦略だ。

Amazon Fire Phoneの”Firefly”は、リアル世界で見たものを識別(そして購入)するしくみ

FireがAmazonストアの利用の拡大のための「お買い物端末」であることをもっともよく表すのがFirefly〔ホタル〕機能だ。DVDのジャケットをカメラで撮るとFireflyがその場で商品として認識し、Amazonから購入できる。認識できるアイテムは1億以上。FireにはFirefly専用ボタンがあって気になったものに向けてボタンを押すだけで商品認識ができる。

Fire Phoneは、Maydayサービスを通じて新機能を説明できる

ユーザーがわからないことはAmazonが教えてくれる。365日24時間の電話ヘルプサービスというのは大きなコストがかかるはずだが、ベゾスはKindleFireにつづいてFireスマートフォンにもMaydayを導入した。ベゾスは「ユーザーのリテラシーが低い」などとは言わない。「ユーザーがわからないならAmazonが教えてやる」という姿勢だ。

Amazon、Prime会員向け音楽ストリーミングを開始―地味なスタートは意図されたもの

前の週にAmazon独自の音楽サービスをスタートさせた。Spotifyなど主流の音楽ストリーミングに比べると楽曲数、UIなど見劣りがしたが、あくまでFireスマートフォンの「おまけ」機能という位置づけ。しかしAmazonインスタントビデオも「おまけ」的なサービスとして始まったが、今はNetflixの最有力ライバルに成長している。音楽ストリーミングの今後も目が離せない。

Fire発表イベントのビデオ

ベゾスのプレゼンは時間をかけても細部までとことこん説明せずにはおかないというスタイル。ジョブズに比べるとやや地味だが同じくらい迫力がある。非常に分かりやすい。

Fireの日本での展開についてはまだ具体的情報がないが、いずれは上陸してくるだろう。個人的には月極プランさえ安ければKindle読書端末を兼ねて1台欲しいところだ。

クラウド:GoogleとAmazon、激烈叩き合い続く

6月17日にGoogleがSSDによるパーシステントディスクとHTTPロードバランシングを提供すると、AmazonがすかさずEBSでSSDストレージをローンチ―料金はGoogleより安く、3000 IOPSをサポートで対抗した。

I/Oカンファレンスを控えて、GoogleがAWSからの移行促進のためデータインポートツールOnline Cloud Importを提供を開始、さらにマルチプラットフォーム・ウェブアプリのテンプレート、Web Starter Kitを発表するなどAWSに対する攻勢を強めている。また衛星スタートアップ、Skyboxを5億ドルで買収して宇宙からの地上撮影ネットワークの構築に乗り出したことも注目された。

クラウドはGoogle、Amazon、Microsoftの競争がますます激しさを増しており、中小クラウド事業者の今後に懸念が出始めている。

AdobeがCCを全面アップデート

Amazon Fireのリリースと重なってその影に隠れてしまった感があったが、AdobeがCreative Cloudを全面的にアップデートすると同時にCreativeSDKを公開、Photoshopを始めAdobeの数々の高度なアプリケーションをサードパーティーのデベロッパーが利用できるようにしたことが注目される。

新世界を築いたAdobeによれば、デジタルメディア担当上級副社長、 David Wadhwaniは「これまでのAdobe.comのサイトは、製品を売ることだけが目的だったが、これからはCreativeCloudを軸とするサービス企業の姿をお見せしていく必要がある」と述べたという。また初のAdobe製スタイラス、Ink and Slideも発表された。

ソーシャル:Facebookのパチンコは的に当たるか、大ハズレか?

Facebook、ユニークな写真共有アプリ、Slingshotを公開―写真を投げ返さないと相手の写真が見られない

Facebookが公開した独立の写真共有アプリはSlingshot〔パチンコ〕は相手から受け取った写真を閲覧するにはまず自分も何か写真を送らなければならないというユニークな仕組みだ。「ソーシャルメディアでコンテンツを作っているのは1%のユーザーにすぎない」という「1%の法則」を打ち破ろうという意欲は理解できるが、多くのユーザーにとって「写真を見たい」という好奇心より「いちいちめんどくさい」と思う方が先にたつのではないだろうか?

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US注目記事まとめ ― 俺もそろそろ本気だす、など

本稿では先週のTechCrunh記事の中から、日本語版では扱えなかった注目記事を何本か紹介したい。

FAA、ドローン実用化にいよいよ本気

先週は「いよいよ本気」を感じさせてくれたニュースがいくつかあった。その中でも「FAA Approves First Commercial Drone Flights Over Land」を取り上げたい。

米国連邦航空局(FAA)が商用ドローンに、初となる本土上空での運用許可を与えたという記事だ(海上での限定的利用許可は以前にも与えられたことがある)。FAAはしばらくドローンの扱いに困惑気味であった様子だが、積極的に利用していく方向に舵を定めたようだ。

尚、ドローンの今後については「本気」の人が他にもたくさんいるようだ。ドローンを主要なターゲットとしたファンドまで生まれているそうなのだ。記事は「Drone.VC Is A VC Fund For Flying, Swooping, And Zooming Robots」。ファンドを作ったのはHacker DojoのファウンダーであるDavid Weeklyだ。現在Angel Listで出資者を募集している。「ドローンは農業、不動産管理、物品配送、ビデオ撮影、建築管理などの面で広く利用されるようになるはずです」とのこと。ちなみに軍事目的のドローンには投資しないとしている。

TeslaとApple、本気で広めたい技術

テスラモーターズが特許を公開して市場を拡大したいと考えているという話はこちらのまとめ記事でも取り上げた。他にも充電技術の標準化などを目指していくという記事もあった。「Tesla Wants To Open Its Supercharger Standard To Other Electric Car Makers」がその記事。

またAppleの方も(iWatchが登場するかどうか、まだ確かではないものの)ウェアラブルマーケットについては、いろいろと特許の取得を行っている。先週入ってきた記事では、とてもニッチな分野での特許取得が報じられていた。

Apple Patents A Weightlifting Tracking Sensor With Possible iWatch Integration」がその記事だ。「iWatchとの連携を目指す、ウェイトリフティング用トラッキングセンサーの特許を獲得」という感じだろうか。

Appleが「iバーベル」のようなものを出すことはあり得ないだろうとは英文記事の方にも書かれている。サードパーティーにAppleの技術を使ってもらい、iOSデバイスでそうした情報を管理していこうとするのが狙いだろう。

加速度センサーなどを活用して情報収集を行うのではなく、こうしたニッチにも専用のデバイスが生まれてくるほどに、ヘルスケアおよびウェアラブル分野は市場が拡大してきているわけだ。

そういえば以前「シュート練習の成績を自動的に記録する、バスケットボール専用のスマートウォッチ登場」を紹介したこともあった。また日本サイトでは紹介しなかったものの、テニス専用のウェアラブルの記事もあった。

「本気の俺」が勝負する新しいソーシャルネットワークなど

「本気の自分」を世にアピールするための仕組みについての記事もあった。「FightMe, An App That Lets You Challenge Others Through Video, Picks Up $1.35M In New Backing」という記事だ。

FightMeというのは、30秒間のビデオで自分の「ワザ」を紹介するプラットフォームだ。それを見た人が、その「ワザ」に対抗するビデオを投稿してきたりする。アプリケーションはiOSのみだが、ウェブ版も用意されている。いろんな人の「ワザ」を見るのはなかなか面白い。

もうひとつ自分の「本気」を見せるためのプロダクトを紹介しておこう。「Mario Maker Lets You Build Your Own Levels For The Greatest Platformer – And Tweak Graphics」という記事だ。自分でマリオのステージをデザインできるというものだ。E3で発表された。

これにはかなり「本気」になる人が多そうだ。ただし、まだ開発段階であり、作ったステージをシェアしたりして遊べるのかどうかは不明なのだそうだ。

Maeda, H


今週のUS記事まとめ ― 特許をオープン化するテスラや宇宙に飛び出すGoogleなどが求める新世界秩序、など

Googleの自動運転車がいろいろと話題にになる昨今、先週も「自動車」絡みでビッグなニュースが飛び込んできた。

ソフトウェアが世界を飲み込むのか?

驚きをもって迎えられたのは「Tesla、特許をオープンソース化。誰が使っても訴えないと約束」という記事だ。本家英語サイトでも1000件以上もの「いいね」を集めた記事となった。

もちろん日本でも話題になった。日経新聞などでも取り上げていたので、そちらでご覧になった方も多いだろう。同紙の記事には次のような文章がある。

IT(情報技術)ソフトウエアでは一般的な戦略だが、製造業で全面的な特許の開放は珍しい。新興メーカーがEVに参入しやすくなる。

なるほど。テスラの動きに「ソフトウェア世界的な仕組み」を見出すことは可能なのかもしれない。

TechCrunch翻訳記事本文から、テスラモーターズの発表リリース文にリンクしているが、テスラモーターズジャパンのブログでも抄訳が掲載されている。

そういえば2月には「Appleの次の成長分野は自動車?! 地元でまきおこるTesla買収の噂」という記事もあった。これもまた、テスラモーターズとIT的世界との親和性の高さを示すものではあった。

ネットサービスは隅々にまで広がる

「ネットサービス」と聞いて何を思い浮かべるかは人それぞれだろう。しかし、この世界の「巨人」は何かと問えば、誰もが5番め以内には名前をあげるだろう。そう、Amazonの話だ。

このAmazon関連の話題として「Amazon、電話料金や定額ストリーミングなどの繰り返し課金を代行するサービスを開始」という記事が注目を集めた。

Amazonによれば、「定期課金を行うあらゆるビジネスがこのサービスを利用できるようになる」とのこと。サードパーティーサービスは「Pay with Amazon」ボタンを設置することができるようになるそうだ。

さらに「Amazon、今年中にベビーシッター等のホームサービスを販売へ(Reuters発)」という記事もあった。「ベービーシッター、便利屋、ペンキ塗り、理髪、家屋修繕等の販売を計画している」とある。こうした実世界向けのサービスを提供するには、かなり大きな、そしてさまざまな方面のリスクも伴うはずだ。Amazonがそうした部分にどのように対応していくのかも興味深い。

Amazonが「オンライン書店」であったのは、もうはるか遠い昔の話だ。

ソフトウェアは「世界」を超えて

ところで国内記事で1200件以上の「いいね」を集めた記事もある。「Google、いよいよ独自衛星保有へ―衛星スタートアップ、Skyboxを5億ドルで買収」が、その記事だ。

Googleに関しては、もはや「何をやっても不思議はない」企業という感じもするが、それでも「宇宙」のインパクトは大きかった様子。宇宙を舞台にした、想像を超えたプロダクトやサービスの登場を期待したい。

模索されるニューワールドオーダー

日常生活のあちこちに「ソフトウェア」的な動きを見出すことができる中、新世界に対応した「秩序」を模索する動きもいろいろと存在する(もちろんテスラの動きもそうした流れの中で理解することもできる)。

その「秩序」という意味から注目を集めたのが「ビデオを見たりソーシャルな共有で“ごほうび”をくれるアプリはApp Storeから締め出しへ…iOS 8の大改革」の記事だ。

記事によれば「報奨で誘ってビデオの視聴をすすめるツール、ソーシャルに共有するとおまけがもらえるもの、プレイしているゲームの中でほかのアプリを見つけさせるもの、など」が、App Storeから排除される可能性があるらしい(遡及的に適用されるようだ)。

ソフトウェア内の情報連携により利用者に利益をもたらしていたケースもあるものの、過剰な宣伝行為による不平等ないし混乱があるとAppleは断じたようだ。ルールがどの範囲で、どのように提供されていき、そこから生まれる新しいトレンドがどのようなものになるのか、近いうちに記事が出てくることだろう。

ところで「ワールドオーダー」のような大きな話ではないものの、個人的にとても困った事態があった。「TweetDeck、ハックされたが脆弱性はすでに修正―ユーザーは一度ログアウトすること」の記事で紹介された内容が原因だ。

作業を行うPCではデュアルモニタの1つでTweetdeckを全画面表示しておき、そしてChromeのタブにて各種リストを表示するという使い方をしている。それがある日の深夜、無意味なリツイートを繰り返すようになってしまったのだ。

いろいろな情報を常に更新しながら閲覧できる便利な世界だが、小さな問題ひとつで活動を停止させられてしまう不便さに改めて気付かされた。

もうひとつ「ニューワールドオーダー」ということで触れておきたい記事があった。「インターネット時代の性教育」だ。

記事では「Software eats the world」の時代、きちんとした教育を早めにしておかなければならないのではないかと主張する。

80%以上が自分たちが性教育を受けた時期よりはやめに、子供たちに知識を伝えようとしているのだそうだ。平均すると10歳くらいの時期に性や性行為について子供たちに伝えているのだとのこと。

「性教育」については、親の側にも戸惑いはある。そんな人はGoogleで「性教育の仕方」などを検索してみてはどうかとも言っている。なるほど、少年たちが別の形でGoogleを利用するように、大人たちには大人たちの使い方があるわけだ。

性教育というのは必要かつ有効なもので「性教育の一般化や無料コンドーム配布の試みなどを通じて、十代の妊娠は史上最少になってもいる」ということも紹介されている。

「ソフトウェア」(の一部)はあくまでも「独自の世界」に生きる

最後に。個人的な話で恐縮ながら「よくわからない」、「独自の」世界観をご紹介しておこう。

「ソフトウェアが全分野に広まる」だとか、あるいは「現実世界とソフトウェア世界の統合」などということが言われて久しい。しかしこういいうものを見ると、現実世界側からの歩み寄りはあるものの、ソフトウェアの方はさらなるフロンティアを求めて進み続けている(進化なのかはわからない)ように思える。

とりあげたいのは「人気のインディーゲーム”VVVVVV”がiOSとAndroidにやってくる!」という記事だ。

記事に曰く「すばらしくイライラさせるインディーゲーム」だそうだ。「イライラ」がどのように「すばらしい」のかよくわからないし、そもそもゲームタイトルの「VVVVVV」はなんと読めばよいのだ(記事中に正解あり)?

なんでも「基本的に親指を画面に置く ― 左に動かせば左に動き、右に動かせば右に動き、離せば止まる。レスポンスは最高!」というインタフェースを通じてゲームを操作するのだそうだ。はて。

ソフトウェアが未来を拓く

いや、やはり最期は明るい展望で締めくくるべきか。「バングラデシュの貧困を打破するプログラミング教育–ノーベル平和賞のユヌス博士も支援」の記事もぜひご覧いただきたい。

第三世界の人たちにプログラミングを教えることが今、トレンドになりつつあり、それはもしかして、全世界的な貧困の悪循環を断ち切ることに貢献するかもしれない。

ソフトウェア産業がコンテンツとして提供するものではなく、産業構造としての可能性を論じる記事だ。なかなか「平和」に向けて動いているとはいえない世界の背景にある「貧困問題」。そういう問題に対処して、新しい平和的世界の秩序を育てるために、ソフトウェア「産業」にできることがあるのかもしれない。

Maeda, H


日本で流行の兆し? 数分で本の要約が読める3サービスを使ってみた

本を買っても読まずに積んだままにしてしまう「積ん読」なんていう言葉があるけれど、海外にもそうした人々はいるようで、ビジネス書を要約するサービス「getAbstract」が人気だ。1999年に米国でサービスを開始し、今ではドイツ語やフランス語、スペイン語、ロシア語、ポルトガル語、中国語に対応。ユーザー数は1000万人を突破した。日本でも和製getAbstractとも言われる「flier」をはじめ、いくつかのサービスが出てきている。そこで、忙しい方向けに「本の要約を読めるサービス」を3つほど紹介したい。商談などで本の要約を押さえておきたい、とか、世の中のトレンドを掴んでおきたいという人はぜひチェックしておきたいところだ。

数分で1冊分の要約が読める「Quickreads」

「Quickreads」は、1冊の本を1200文字程度にまとめた要約を閲覧できるアプリ。1200字程度なので、数分で1冊を読み終えることが可能だ。これなら通勤時間内でも本の要約を掴むことができそう。お気に入りに入れておけば、オフライン状態で読むこともできる。気に入った本があれば、そのままオンライン書店のページに遷移できる。本の種類は毎週5冊ずつ追加され、毎月特集として10冊が掲示される。

試しに私が実際に読んだ本とこのアプリの要約文を読み比べてみた。例えば長谷部誠氏の「心を整える。 勝利をたぐり寄せるための56の習慣」だが、本書で挙げられている56の習慣を大幅に端折ってしまっており、要約の内容に物足りなさを感じた。例えば心を鎮めるための習慣として、要約文では「1日30分間ベッドに横になる」というエピソードのみが語られているが、実際の本には「寝る前のマネジメント術」や「音楽の効用」といったエピソードが多数収録されている。箇条書き程度でも良いので、長谷部が心がけているリラックス習慣をまとめて欲しいところだ。

要約文を読んだ後は、「理解度クイズ」というものがあり、本の内容についての問題が3問出される。これに答えることで、要約の理解度を把握できる。例えば「伝え方が9割」では、「『ノー』を『イエス』に変えるための『伝え方』の3つのステップのうちの2番目にあたるものは次のうちどれでしょう」という問いが出され、3つの選択肢から答えを選ぶ具合だ。

iOS版Android版のアプリのダウンロードは無料で、6冊までは無料で閲覧できる。それ以上の本を読む場合は月額300円(税込)を支払う必要がある。

ボリュームはあるが抑えるべきところがまとまっている「flier」

「flier(フライヤー)」も、1冊の本を1分程度に要約してくれる。こちらは経営コンサルタントや各分野の専門家が一冊一冊を精読し、要約文を作るという点でほかのサービスと差別化されている。スマホやタブレットに対応しているので、通勤時間でも難なく読める。AmazonなどのECサイトへのリンクもあり、そのままオンラインで購入できる。要約コンテンツは無料公開と有料公開があり、無料公開は20冊まで閲覧可能(毎月1~2冊程度の入れ替えがある。有料プランは、月5冊まで有料コンテンツが読める「シルバープラン」(月額540円)と、無制限の「ゴールドプラン」(月額2160円)の2つがある。

このサービスでも、実際に私が読んだ本を読み比べてみる。堀江貴文氏の「ゼロ―――なにもない自分に小さなイチを足していく」の要約を読んでみたが、さすが10分程度の要約文というだけあって、内容が充実している印象。要約者レビューにはじまり、本書の要点、評点、著者情報、本文要約(章ごとにまとまっている)、と、要約という名称ながらボリュームのあるコンテンツになっている。しかも本の核となる部分(ゼロ~であれば「働くこととは何か?」)が「必読ポイント」という見出しとともに強調されているので、書籍で本当に伝えたいことを掴みやすい。文の構成まで考えられているという点で、さすがコンサル出身者による要約だと感じた。

アプリはiOS版のみのリリース。ウェブサイトからも要約を閲覧できる。

ビジネス書から漫画まで、要約コンテンツが豊富な「ブクペ」

「ブクペ」は、誰でも本の要約を書いて公開できるサービス。要約文も1000~2000字程度なので、空いた時間にサクッと読める。ポイントは要約されている本の多さ。ビジネス書から漫画まで幅広く公開されている。加えて複数のユーザーが1冊の本を要約しているので、何人かの要約を読み比べることもできる。

このサービスでも実際に読んだ本、石井てる美氏の「私がマッキンゼーを辞めた理由 ―自分の人生を切り拓く決断力」と比べてみたが、ブクペの要約はややお粗末に感じた。この本自体はQuickreadsにもflierにも掲載されていない本なので、ブクペが網羅している冊数は申し分ないと言える。ただ、肝心の要約では「本文中の引用」と「感想」だけに留まっており、Amazonのカスタマーレビューのほうが役に立つのではないかと感じてしまった。もちろんほかの本の要約には書評ブロガーによる読み応えのあるレビューもあるので、ブクペには役立つ要約もあるのは間違いない。要約のクオリティのばらつきが、ブクペのデメリットといえる。

以上、3つのサービスを見てきた。Quickreadsとflierは要約文の質がある程度保証されているが扱っている冊数が少なく、ブクペは扱っている冊数は多いものの要約のクオリティにばらつきがある。このようにそれぞれ長所短所があるが、Quickreadsとflierは話題の本の要約を掴むため、ブクペはちょっと気になっている本の内容を調べるためという風に用途別に使い分けるのが良いのではないだろうか。


先週のUS注目記事 ― 「ニッチで行こう!」な一週間

翻訳記事では紹介できなかったものの、面白かった記事を紹介する「先週のUS注目記事」。もちろんいずれの記事にも面白いところはあるわけで、敢えて選択して紹介するには「テーマ」のようなものも必要だろう。

先週のテーマは(筆者の勝手な思い込みだ)は「ニッチ」だった。

ハードウェア部門

たとえば「Cliq’s NFC Case Puts Buttons Back On Your Smartphone」なんてどうだろう。スマートフォンケースの裏にボタンをつけて、NFCを使ってさまざまな制御を行うようにしようというものだ。現在Kickstarterプロジェクトを展開中で、4万ドルの資金調達を目指している。

再生中の音楽をスキップしたり、特定の人にテキストメッセージを送ったり、あるいはセルフィーの背面カメラ撮影など、ボタンにはさまざまな機能を割り当てることができる。ちなみにこのケースはAndroid用だ。

もうひとつクラウドファンディングキャンペーン中のものを紹介しよう。INDIEGOGOにて2999ドルを目標にキャンペーン展開中だ。記事は「iMacompanion Adds An Accessible USB 3.0 Port To Your iMac」。ジョブズに叱られないかなと少々心配にはなるが、確かに便利ではあるだろう。

もしかするとこのデバイスは既に見たことがあるという人もいるかもしれない。実はUSB 2.0版のKickstarterキャンペーンは成功裏に完了している。USB 3.0に対応できるようになったことで、新たなキャンペーンを行っているのだ。

ソフトウェア部門

もちろん「ニッチ」ものはハードウェアに限ったものではない。「Screenshotter」なんてアプリケーションの記事もあった。「Screenshotter Is A Simple Tool For Organizing Mobile Screenshots」がその記事で、要するにスクリーンショットを効率的に整理しましょうというものだ。写真共有アプリケーションを提供しているClusterからリリースされたもの。開発チーム時に必要性を感じて作ったアプリケーションだそうだ。

確かにスクリーンショットを多く撮る人には、こうした整理ツールが必要だろう。しかしどれほどのニーズがあるのかはちょっとよくわからない。

尚、メインプロダクトのCluster本体のバージョンアップに関する記事もあった。「Mobile Photo Sharing App Cluster Now Focused On Private Groups, Adds Support For Video, Notes And Tablets」がその記事だ。

タブレットに対応し、またビデオやメモの共有にも使えるようになり、グループ内データ共有のオールインワンに進化したということらしい。

まじめなニッチ

「まじめ」というのは「ニッチ」と呼ぶのはおかしいかもしれないという意味に受け取って頂きたい。「Privacy-Focused Search Engine DuckDuckGo Gets A New Look, Smarter Search With “Instant Answers”」という記事があった。NSA問題以降、その人気を高めているらしい検索エンジンについての記事だ。「Instant Answers」機能を加えて使いやすくなったという内容だ。

たとえば「weather tokyo」と入力すると、数日分の天気予報を検索結果上部に見やすく表示してくれる(日本語検索にも対応していますが、Instant Answersには対応していないようです)。また料理の材料を入力したときに、レシピサイトなどからの画像を一覧形式でまとめて表示してくれるのもいい。

また、記事が「あまりに本気」というか、かなりの長文だったのがこちら。「5-Tiles Keyboard Targets Wearables To Hunt The Post-Qwerty Holy Grail」というタイトルで、QWERTYにかわるべき入力システムの話だ。

入力方式に関する話というのはたまに出てくる。ただ、「ウェアラブル」の時代を迎えて、新しい入力システムへのニーズは一層高まっているのかもしれない。新しい方式が戦わなければならないのは、長い間の「筋肉の記憶」としてのQWERTYでもあるとのこと。お時間のある方はご一読を。

なんじゃこれなニッチ

オチを付けなければいけないというわけではないのだが、最後に「なんじゃこれ」なプロダクト。とはいってもかなりの人気を集めているのだそうだ。記事は「Cliptone Is A Silly “Twitter For Video” App With Voice Filters, Background Music And More」というもの。

最初、搭載されている「Voice Filters」の意味がわからなかった。要するに録音した声を「変声」に変換するものらしい。英文記事にも「大人な自分にはあまり面白いものとも思えないが」などと書いてある。確かに自分のソーシャルストリームに変声ビデオが流れてくればイラッとしてしまうかもしれない。

でも、ちょっと使ってみたい気も、しないではない、ような、気もする。

Maeda, H


今週のUS記事まとめ ― 「免許を持った自動運転カー」は交通違反を犯すだろうか、など

この1週間、最も印象に残った記事はなんだったろうか。Microsoftから新しいデバイスが登場し、かなり魅力を感じたりもしている。しかし個人的1番はこれだった。

運転や操縦を巡る「世界」が変わる

すなわち「カリフォルニア州、9月から無人自動車に免許を交付」という話だ。

事故を起こしたら自動車から免許を取り上げるのだろうかなんていうツイートもあって、笑ってしまった。免許取得資格の条件が厳格で、それがまたいろいろと考えさせてくれる。もしもまだご覧になっていないようなら、ぜひとも記事を読んでみて欲しい。

運転や操縦ということにも少々関連して、しばらく前に取り上げたGoogleの「Project Tango」が動き出している。

今週に出てきた記事は「GoogleのTangoプロジェクトを無人機に乗せたら3D空間内の正しい航路を自力で見つけて飛行する」というもの。外部からの妨害をうけてもインテリジェントに対応することができる。非常に興味深いビデオが掲載されているが、説明がないとわかりにくいので、ぜひ本文の方で確認していただきたい。

流れを変えるか。Microsoft Surface Pro 3

面白いデバイスを出しても、スマートフォンやタブレットの場合は「Microsoft」ブランドがマイナスに作用することがあった。AppleやGoogleが大きな市場を獲得し、アプリケーション開発もこの両プラットフォームをターゲットとすることが多いからだ。

そのような中、「Laplet」(laptop + tablet)としてのSurface Pro 3は面白いかもしれない。

発表プレゼンテーション時の内容は「Microsoft、12インチ画面を搭載したSurface Pro 3を発表。価格は799ドルより」に掲載している。

簡単なハンズオンは「Surface Pro 3を触ってみた。マイクロソフトが提唱する理想の“Laplet”」に掲載している。

その他、ハードウェアの動き

他にもハードウェアの話題は出てきた。たとえばNHKの動画投稿番組でも特集されたGoProの話題もある。「GoPro、S-1上場申請書を提出―2013年の売上高は9億8570万ドル、前年比87.4%アップ」という記事だ。

NHKの番組でも言っていたが、GoProはそもそも自分たちがサーフィンする様子を撮影してみたいという望みから生まれてきたデバイスだ。カメラ販売台数は2011年の114.5万台が2013年には384.9万台に伸びているとのこと。

また、ときどき登場してくる「新たな楽器」の記事もあった。「ROLIのラジカルに新しいキーボード楽器SeaboardにシリーズAで$12.8Mが集まる」。デモビデオで演奏されているのはサティ。いかにもサティにぴったりくる感じが面白い。

これは面白い(けれどいらない人も?)

アプリケーションの分野で「痒いところに手が届く」感じを受けるのが「Notifyrは、iPhoneの通知をMacで見られるちょっと気の利いたアプリだ。

確かにPCなどで作業をしているときに、スマートフォンの通知を確認するのはなんとなく「無駄な作業」のようにも感じてしまう。ただ、そもそもスマートフォンしか触らないよという人も増えていて、いったい何が便利なんだと思われてしまうかもしれない。

もうひとつ面白い感じがするのが「“半分匿名”のソーシャルメディア、SecretがAndroid版をローンチ―世界中から利用可能に」という記事で紹介したアプリケーションだ。

メッセージング系のアプリケーションなのだが、「仲間」の発言であることはわかるものの、「誰の」発言であるかはわからないようになっているのだそうだ。確かに「半分匿名」という感じ。但し、特定の相手としかメッセージのやりとりをしないような人には、全く無意味なアプリケーションではある。

アプリケーションといえば、開発ツールの記事もあった。「ドラッグ&ドロップでHTML5アプリを作れるAppGyverのComposerは各種BaaSを統合」だ。

現在はベータ公開中につき完全無料で利用できるとのこと。今年のQ3ないしQ4での正式リリースを目指しているそうだが、無料サービスも続けていく予定であるようだ。

「無理」っぽいサービスに「微妙」なサービス

ところで電子書籍は利用しているだろうか。個人的には電子書籍が大好きで、また、数千冊の本を「自炊」したりもした。電子書籍を同居人と共有できたりすれば(うちでは夫婦それぞれにKindle Paperwhiteを所有している)、もっと電子書籍の利用頻度も増えるに違いない。

そんな電子書籍好きにとって羨ましいサービスを紹介した記事が「印刷版の読者にeブック版を無料ないし割引で提供するサービス、BitLitが登場」だ。

単なるコンセプト倒れでなく、すでに「O’Reilly、Other Press、ECW Press、Osprey Group、Greystone Books、Berrett-Koehleを始め出版社80社と契約を結んでいる」のだそうだ。こういうサービスを見るにつけ、「日本では無理かな」と考えてしまう自分が悲しい。

もうひとつ紹介するサービスは、やや「微妙」なもの。「亡くなった犬猫にそっくりの保護犬猫をマシンヴィジョンで見つけるPetMatch」だ。

失ったペットの写真(あるいはどこかでみかけた気に入りの猫でもいい)を登録すると、似た顔立ちのペットを紹介してくれる。なんとなく複雑な気持ちをもつ人も多いのではなかろうか。

但し紹介するペットは「保護施設」にいるものらしい。なるほど、確かにこれは社会的に有益なシステムだ。

ちなみにこのサービスを運営する企業は資本金2000万ドルの大企業だ。会社の沿革についてはぜひとも元記事をご参照頂きたい。

どうでも良い良さそうなおまけ

selfie(セルフィー、自分撮り写真)という用語が英語の辞書にも載るようになってきているのだそうだ。自分の写真を撮って活用するさまざまなサービスも生まれてきたりしている。

そんな中、まあ役に立つのかもしれないインフォグラフィックがリリースされている。Instagram上に流れるセルフィーを分析して得られた結果をまとめたものだ。「自分撮り写真に“いいね!”してもらうために必要ないくつかの配慮」の中に掲載している。なかなか意外な結果もあり、セルフィー好きの方はぜひご覧いただきたい。

Maeda, H


今週のまとめ―AppleがDr. Dre買収か? 時代はやっぱりガジェットへ

AppleがDr. Dreヘッドホンを3200億円で買収か―その狙いは?

Apple、ヘッドホンのBeatsを32億ドルで買収へ(FT紙報道)

日本時間(以下同じ)5月9日、AppleがBeats Electronicsを買収するとFinancial Timesが報じた。FTによれば買収価格は32億ドル。今のところ公式に確認はされていないがテクノロジー産業、音楽産業に大きな反響を呼んでいる。

Beats Electronicsはベテランのラップ・ミュージシャン、Dr. Dre(ドクター・ドレー)と音楽プロデューサー、レコード会社会長のJimmy Iovine(ジミー・アイオヴィン)が」2000年に設立した会社でDr. Dreブランドのヘッドホンが若い層を中心に爆発的な人気を呼んでいる。2013年の売上は13億ドルと報じられている。

Dr. Dre自身が「ヒップホップ・アーティストで最初のビリオネアになる」などという内容のビデオをYouTubeにアップロードしているところからみてかなり確度は高そうだ。

Appleには膨大な手持ちキャッシュがあるから資金面ではもちろん何の問題もない。しかしAppleがヘッドフォン・メーカーを買収する狙いについてはまだたしかな情報はないようだ。John Biggs記者もなぜAppleはBeatsを欲しがるのかという記事で「われわれがまだ〔その狙いを〕知らないだけである」と告白している。

一方、Apple、光学手ぶれ補正をiPhoneの「超高解像度」写真に応用する特許を申請した。これは素子を微細に動かし、個々の画素の直径の半分程度ずらして連続写真を撮り、独自のソフトウェアで合成することで物理的な画素数の2倍程度の解像度が得られるというものらしい。素子のコントロールにきわめて高い精度が要求されるが、将来実用化されればカメラ産業へのインパクトは大きいだろう。

ジョブズがソニーを尊敬していたことはよく知られている。その遺伝子が残っているとするならAppleはオーディオ、ビジュアルの総合家電メーカーになることを目指しているのかもしれない(Beatsの買収はガジェットよりも音楽ストリーミングに関するノウハウが目的だという観測もある)。

TechCrunch Disrupt NYもガジェットが元気

5月6日から5月8日にかけてTechCrunch最大のカンファレンス、Disruptがニューヨークで開催され、テクノロジー業界の有名人が結集した。

Disrupt NY:マリッサ・メイヤー、「Yahooの時価総額は過小評価。未来は明るい」

YahooのCEO、Marissa MayerはTechCrunchのファウンダー、元編集長のMike Arringtonと対談し、Yahooの株価は「過小評価されている」と力説した。Yahooの時価総額からAlibabaとYahoo! Japanの持ち株の価格を差し引くとほとんどゼロになってしまう。順調に利益を出している巨大企業の本体価格がゼロというのは不合理だが、Yahoo経営陣の長年の混迷に市場がいかに嫌気していたかを示すものだ。Mayerの就任で市場の期待が戻れば株価も上昇するだろう。

Appleは2020年に没落, 3位の座も無理–USVのFred Wilsonが大胆予言

一方、 Twitter、Tumblr、Foursquare、Kickstarterなどへの投資で知られるベンチャーキャピタリストのFred WilsonはAppleの将来に悲観的な見方を示した。「今後ハードウェアはますます、ブランド品ではなくジェネリックなコモディティ(commodity=無印日用品)になっていく。今Appleがクラウドでやってることは、どれも良くない。彼らがデータやクラウドについて真剣に考えているとは、思えない」というのがその理由だ。Beatsの買収が事実なら、Appleはますますハードウェアに集中していく戦略を取ると言えそうだ。東京オリンピック開催の年にAppleはどうなっているだろうか?

WilsonはDisrupt New Yorkで最優秀スタートアップに選ばれたデータベースサービスのVurbについても「水平(全般)検索)はおもしろくない。垂直(特定ジャンル)検索はテクノロジーの可能性を制限する。1994年以来私はその(検索サービス)のジレンマを解決しようとしてきたが成功していない。これは最低な問題だ。きみらも成功しないだろう」と辛口のコメントした。〔ビデオの20:43あたりから〕

TechCrunch Disrupt:Minkはどんな色味のカスタム化粧品でもその場で作れる3Dプリンター

今回のDisruptでいちばん注目を集めたのは女性連続起業家Grace ChoiのMinkだろう。Choiによれば化粧品の原料はきわめて安く、どのメーカーも同じようなものを使っており、単にそれを混ぜあわせるだけで非常に高い値段をつけているのだという。3Dプリンターの大きさはMac Miniくらいで、素材は大手メーカーが使っているものとまったく同じ。大手メーカーが使っているのと同じ原料なので安全性にも問題ないという。下の記事でColleen Taylor記者が詳しくインタビューしている。

550億ドルの化粧品産業に挑戦するMinkのCEO Grace Choiにインタビュー, それは女性が強くなるための武器だ

3Dプリンタでピストル製造男が逮捕

日本で3Dプリンターでピストルを製造した男が逮捕―何で作ろうと銃は銃

茂木経済産業大臣は「現時点では新たな規制は考えていない」としたが、警察庁はこれを機に何らかの規制をしたい考えのようなのが気になる。銃を製造するなら大きなホームセンターで売っている旋盤やルーター、ドリルなどの電動工具の方がはるかに効率的。何か新しいことが起きればすぐに規制という江戸幕府のような考え方ではわが国は衰弱するばかりだ。

滑川海彦 Facebook Google+