クリーン電力サービスの「アスエネ」がAI活用の温室効果ガス排出量管理SaaS「アスゼロ」を正式リリース

クリーン電力サービスの「アスエネ」がAI活用の温室効果ガス排出量管理SaaS「アスゼロ」を正式リリース

クリーン電力サービス「アスエネ」を提供する気候変動テック領域スタートアップ「アスエネ」は8月26日、AIなどのテクノロジーを活用したSaaSプラットフォーム型温室効果ガス排出量クラウド「アスゼロ」の正式リリースを発表した。脱炭素を目指す企業や自治体に向けた、温室効果ガス排出量およびカーボンフットプリントの算定・報告・削減・カーボンオフセットなどの一括管理と、業務自動化による工数削減が低コストで行えるというサービスだ。

「アスゼロ」には次の3つの特徴がある。

  • スキャンするだけ自動でCO2見える化:企業や自治体などにおいて、自社だけでなく、サプライチェーン全体の温室効果ガス(GHG)排出量のデータ回収と算出を自動化。請求書やレシートをアップロードするだけで自動入力とGHG排出量をAIが自動算定
  • 分析・報告まるごと自動化:GHG排出量の分析をAIが自動支援。CDP、SBT、省エネ法などへの報告を代行・自動化。分析作業もAIを活用し自動化する
  • CO2削減もまとめておまかせ:GHG排出原因に応じて、再エネ100%電力提供、省エネなど最適な手法を提案。地産地消型クリーン電力、オンサイト・オフサイト両方対応のコーポレートPPA、クレジットオフセット、省エネソリューションなど最適なCO2削減手法を提案する

今後は、AIやブロックチェーンなどの最先端テクノロジーを活用し、脱炭素化への取り組みの自動化、非改ざん性の高い証明力の徹底や、ICP(社内炭素価格)機能の導入などを目指すという。またグローバル展開も視野に入れている。

アスエネでは、「再エネ100%、CO2排出量ゼロでコストも10%削減できる地産地消型クリーン電力」という電力サービス「アスエネ」を展開しており、アスゼロでは、このサービスの利用も提案に組み込まれている。

二酸化炭素ゼロの再エネ100%電力を提供するCleenTechの「アスエネ」が3億円調達、脱炭素社会を目指す

(左から)グロ ラクマツーラ/VPoE、西和田浩平CEO、岩田圭弘COO、江森靖紘Sustainable Leader

(左から)グロ ラクマツーラ/VPoE、西和田浩平CEO、岩田圭弘COO、江森靖紘Sustainable Leader

再生可能エネルギーの電源を特定し、電力の地産地消を進めるCleenTechスターアップのアスエネ(旧リフューチャーズ)が事業展開を加速させている。地元産の再生可能エネルギーから電力をまかなえるサービスが企業に評判がいい。

クリーン電力サービス「アスエネ」を提供するアスエネは4月2日、シリーズAラウンドで第三者割当増資により3億円の資金調達を行ったと発表した。引受先はインキュベイトファンド、環境エネルギー投資、STRIVEとなる。2019年10月に創業したアスエネは、同年12月に行ったシードラウンドの資金調達と合わせ、今回で累計調達額が3億7500万円となった。なお、同社は2020年8月に会社名をアスエネに変更したことに合わせ、サービス名も「アスエネ」に統一している。

アスエネは二酸化炭素排出量ゼロとなる再生可能エネルギー100%の電力を、製造業の工場や企業の店舗・施設などに提供してコスト削減を図るサービスとなる。また、再生可能エネルギーの供給元となる地域・発電所を選べるようにして、地域貢献をするサステナブルな企業としてのブランディングに繋げている。

この他、アスエネは顧客施設の電力使用量や二酸化炭素削減量などを見える化し、パソコンやスマホ経由でブラウザからいつでもデータを確認できるようにしている。電力料金が高い月や時間帯を予測して事前に通知するアラート機能などもある。

サービスの特徴は、再生可能エネルギー100%の電力を地産地消できる仕組みだ。これまでは、発電所から工場に電気が流れる過程で電力が混ざってしまうため、再生可能エネルギーなどの電源特定は難しかった。つまり、企業は地域の再生可能エネルギーを使おうにも、どこの電気がどこで使われるかをトラッキングできていなかったのだ。

アスエネは、パブリックブロックチェーンを活用した非改ざん性の高い独自のトラッキングシステムを用いて、この課題を解決している。同システムにより、発電所側と顧客施設のスマートメーターで測定される電力使用量データを30分毎にマッチングさせることで、どこからどこに電力が流れたかをトラッキングし、電源を特定できるようにした。

二川工業製作所が持つ太陽光発電所

アスエネは2020年5月にサービスを始めてからの10カ月間、導入契約・受注数は毎月平均で約100%の成長率を記録し、20以上の業界で導入されるなど急成長している。サービスの対象エリアは東京電力エリア(関東地方)のみでスタートしたが、現在は東北電力エリアと中部電力エリア、関西電力エリア、中国電力エリア、九州電力エリアが加わり、全国6エリアにサービスを展開。今後は北陸電力エリア、四国電力エリアへの進出も視野に入れている。

直近では、アスエネは兵庫県の建設機械装置・部品メーカー二川工業製作所と連携し、同県にある二川工業製作所の全8工場の電力を、再生可能エネルギー100%の電力でまかなえるようにした。同県の二川工業製作所が持つ太陽光発電所2カ所からの電気をアスエネ独自のトラッキングシステムで電源特定することで、電力の地産地消を実現させている。二川工業製作所は約600万キロワットの電力をアスエネに切り替えたことで、年間の二酸化炭素排出削減量が約2900トンに上るという。

今回の調達資金は、人材採用や組織強化やシステム開発、販促・広告費などに充てる。アスエネの西和田浩平CEOは「次世代に向けた脱炭素社会の創造に挑戦していきます」と意気込みを語った。

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カテゴリー:EnviroTech
タグ:アスエネ二酸化炭素資金調達電力日本持続可能性