Bolt Threadsがバレンシアガやグッチ、アディダスなどと新素材マッシュルーム代替皮革で提携

Bolt Threads(ボルト・スレッドズ)は、Stella McCartney(ステラ マッカートニー)、Balenciaga(バレンシアが)、Gucci(グッチ)、Alexander McQueen(アレクサンダー・マックイーン)、Bottega Veneta(ボッテガ・ヴェネタ)などのブランドを展開するファッションハウスのKering(ケリング)、Lululemon(ルルモン)、Adidas(アディダス)などの新規および既存のパートナーを集めてコンソーシアムを設立した。同社は、自社開発のマッシュルームをベースにした代替皮革の製品への使用を検討すると発表した。

これらの企業は、2021年にBolt Threadsのマッシュルーム由来の代替皮革を使用した製品を市場に送り出す最初の企業1つになると同社は述べている。

Keringの会長兼最高経営責任者であるFrançois-Henri Pinault(フランソワ・アンリ・ピノー)氏は声明で「高級品が直面している持続可能性の課題に対処するには、イノベーションがカギになると常に確信しています。革新的な代替素材や生地を見つけることで、長期的に環境への影響を大幅に削減できる可能性があります」と述べている。

今回の発表は、2018年に革の代替品探しに参加すると最初に発表したBolt Threadsの少なくとも2年間の取り組みの集大成となる。同社はその後すぐに最初の製品である400ドル(約4万2100円)の「Driver Bag」(ドライバーバッグ)を発表したが、これは米国オレゴン州ポートランドを拠点とするバッグ会社Chester Wallace(チェスター・ウォレス)と共同でデザインされたものだ。

11年近く前の発売以来、2億ドル(約210億円)以上の資金調達を行ってきたBolt Threadsは、かなり厳しい競争に直面している。MycoWorksやModern Meadowのような企業は、どちらも代替の革製品を開発している。しかし、これらのパートナーシップはBolt Threadsをほかの皮革製品から引き離すための、長い道のりを歩むことになるかもしれない。

Bolt Threadsのマッシュルームレザー製品「Mylo」の素材見本

Bolt Threadsへの投資家には、Foundation Capital、Baillie Gifford、Founders Fund、Formation 8、そして繊維・ファッション業界に大規模な株式を保有する香港を拠点とする非上場のコングロマリットであるNan Fung Groupが含まれる。

革製品への関心の高まりが、同社のオリジナル製品であるスパイダーシルクの代替品にとって何を意味するのかは不明だ。同社が2017年に314ドル(約3万3000年)のネクタイをデビューさせて以来、シルクに関するニュースはあまり出てこなかった。

ファッション業界のクリーンアップ能力には明らかに関心がある。消費者はそれを求めており、持続可能性に焦点を当てた新しいブランドが定期的に発表されている。

Reducetarian Foundation(レディスタリアン財団)の共同創設者兼会長であるBrian Kateman(ブライアン・ケイトマン)氏は「伝統的なファッションは地球を殺している」と昨年書いている。

毎年、繊維産業だけで12億トンの温室効果ガスを吐き出している。これは、すべての船舶と国際航空便を合わせた温室効果ガス排出量を超えており、9800万トンの石油を消費している。繊維染色はきれいな水の2番目に大きな汚染源であり、全体としてアパレル産業は世界中の全温室効果ガス排出の10%を占める。最悪なのは、膨大な資源を消費して生産された服が、すぐに廃棄されてしまうことだ2015年のEllen MacArthu(エレン・マッカーサー)財団の調査によると、衣料品の素材全体の73%が焼却や埋め立て処分されたという。

カテゴリー:EnviroTech
タグ:Bolt Threads、アパレル、温室効果ガス

画像クレジット:Bolt Threads

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(翻訳:TechCrunch Japan)

オーダースーツD2C「FABRIC TOKYO」が3Dスキャン採寸の新ブランド「STAMP」を公開

オーダーメイドスーツなどのD2Cブランドを展開するFABRIC TOKYOは9月11日、招待制の新ブランド「STAMP」のティザーサイトを公開した。

STAMPは同社が運営するビジネススーツやシャツのD2Cブランド「FABRIC TOKYO」よりカジュアルなアイテムを扱う、カスタムオーダーのD2Cブランドだ。クリエイティブ・ワーカーが対象というSTAMPでは、当初、デニム製品から取り扱いを始める。ユニセックス展開でメンズ、レディースともに扱うということだ。

従来ブランドのFABRIC TOKYOでは、店舗で採寸してもらってデータを登録しておくと、必要なときにマイページから欲しいスーツやシャツが注文できるのだが、STAMPは、より“テクノロジーをフル活用した”発注スタイルを採用。無人店舗で、3Dスキャンによる採寸を行い、服を注文できるという。

FABRIC TOKYOは新ブランド立ち上げに合わせて、9月13日から29日までの期間限定で、招待制のポップアップストアを新宿マルイ本館内に開設する。ティザーサイトでメールアドレスと名前を登録して申し込むと、ポップアップストアへの招待状が順次届くので、店舗に赴き、サイズを計測。後日、計測サイズに基づき、カスタムオーダーデニムが届く、というのが注文の一連の流れになる。

FABRIC TOKYO代表取締役の森雄一郎氏によれば、今後、招待枠を徐々に広げていき、反響を見ながらリアル常設店の出店も拡大していくという。

計測データはFABRIC TOKYOとは別のデータベースに保存され、現時点では互いのブランドでの転用は考慮されていないが、森氏は「将来的にはデータ連携を見据えている」と話している。

3Dスキャンの技術について森氏は「たった数秒で全身のサイズの数万点をスキャンし、高い精度を実現している」と述べる。テクノロジーは、海外のスタートアップと共同開発したもので、「採寸の精度に関しては2年近くの試行錯誤を経て、受注生産型オーダーメイドのフィット感・満足度を担保できるレベルまで高めることができた」とのことだ。

またユーザー体験としては、FABRIC TOKYOと同様、STAMPでも店舗型にこだわるという森氏。「立ち寄れる手軽さとリアルを介すことの安心感を用意した。テクノロジーを利用していて新しいけれど、手軽さと安心感を感じるUXの実験だ」と述べている。

計測データを使ったカスタムオーダーのD2Cブランドといえば、今日ヤフーによる株式公開買い付け実施が明らかになった、ZOZOが思い浮かぶところ。ZOZOスーツと自分のスマホアプリを使ったスキャンでは、私も立ち位置の調整やエラーで何度かやり直しさせられた経験があるので、店でサクッと計測できるのであれば、買い物のついでに出向くのも悪くないな、と感じる。

同社は今年5月に丸井グループからの資金調達を発表している。8月にFABRIC TOKYOブランドで実施した「女性のためのメンズオーダースーツ採寸イベント」では1週間の予約枠がスタート前に埋まり、キャンセル待ちが出るほど反響があったそうだ。

身体を3D計測するボディスキャンアプリ3DLOOKが100万ドルを調達

3Dボディスキャンシステムは、何年もの停滞と再起動を繰り返したあとに、大きな動きを見せた。Original StitchのBodygramに続いて、新たな3Dスキャナーである3DLOOKが、世界中の身体を測定するために、100万ドルの資金を手に競争に参入したのだ。

創業者である、Vadim Rogovskiy、Ivan Makeev、そしてAlex Arapovdは、スマートフォンだけで人体を測定できることがわかったときに3DLOOKの開発を決心した。他のソリューションでは必要な精度を実現できず、高価なハードウェアに依存してしまうことがわかったからだ。

「広告業界で6年以上の起業経験を積んだ頃、私は普通の商品ではない新しいものを作りたいと考えていました」とRogovskiyは語る。「そのころ成長を阻害するものを克服する仕事をしたいと思っていて、アパレル業界がeコマースにおける増大し続ける返品問題で苦しんでいることに気が付いたのです。3DLOOKの共同創業者たちは、2016年にSAIA(Scanning Artificial Intelligence for Apparel:アパレルのためのスキャンAI)を作成する前に、1年以上をR&Dと、新しいアプローチと様々な技術の組合せのテストに費やしました」。

これまでチームは40万ドルを調達し、そしてつい最近会社を成長させるために、シードラウンドで100万ドルを調達した。

またチームは「フィットプロファイル」を収集しており、このプロファイルを「地理的位置、年齢、そして性別グループ」に基づいて、提供することが可能だ。このことが意味するのは、3DLOOKが測定値に基いた正確なサイズを答えることが可能であること、そして衣服がどれくらい身体にフィットするかを教えてくれることができるということだ。既に彼らは2万件のプロファイルを持ち、8つの有料顧客ならびに5つの大企業のシステムと連携して作業を進めている。例えばLemonade FashionとKoviemがこのプラットフォームを使っている。

「3DLOOKは、カジュアルな写真を2枚撮影するだけで人体計測を可能にする技術を開発した最初の企業です、そしてオンラインアパレル販売市場をディスラプトする計画をもっています。ブランドや小規模店舗が、顧客の身体測定値を集めてオーダーメードの提案ができるように、デスクトップ用APIやモバイル用SDKを提供します」とRogovskiyは語る。「さらに、わが社は人間の身体測定値に関するデータベースを収集しています、これによってブランドは全てのボディタイプ向けにより良い服を作ることが可能になりますし、サイズ合わせと返品問題を解決できるのです。こうすることで、店舗が今以上のアパレルを売ることができるだけでなく、顧客も高品質のアパレルを手にすることができるのです」。

3Dスキャナーは長年にわたり改良に次ぐ改良を重ねて来ているが、企業たちがほんの数枚の写真だけで身体をスキャンできるということは興味深い。こうしたものは、好みに関する意見を述べることはできないが、注文する前に服のサイズがぴったりであることを保証してくれることは間違いない。

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(翻訳:sako)

400を超える縫製工場などと連携、衣服生産プラットフォームの「シタテル」が数億円規模の調達

衣服生産プラットフォーム「シタテル」を提供するシタテルは5月22日、既存株主やスパイラル・ベンチャーズ・ジャパンなど複数の投資家を引受先とする、第三者割当増資を実施したことを明らかにした。今回のラウンドはシリーズBに相当するもので、具体的な調達額は非公開だが数億円規模になるという。

シタテルへ出資した企業は以下の通りだ。

  • スパイラル・ベンチャーズ・ジャパン
  • FFGベンチャービジネスパートナーズ
  • 朝日メディアラボベンチャーズ
  • SMBCベンチャーキャピタル
  • オプトベンチャーズ(既存株主)
  • 三菱UFJキャピタル株式会社(既存株主)
  • その他非公開の投資家

同社は2016年6月にシリーズAでオプトベンチャーズと三菱UFJキャピタルから数億円を調達しているほか、2014年10月にも三菱UFJキャピタル、日本ベンチャーキャピタル、リブセンスから資金調達を実施している。

シタテルは2014年3月創業の熊本県発スタートアップだ。運営する衣料生産プラットフォームでは提携する400以上の縫製工場の技術や、サプライヤーのリソースをデータベース化。グッズを制作したいファッションブランドやセレクトショップの要望と工場の稼働状況などを考慮し、適切にマッチングすることで、「小ロット・高品質・短納期」で衣服を生産できる仕組みを構築してきた。現在は7000を超えるクライアントが登録する。

また直近では受注から生産までをワンストップで管理できるECシステム「SPEC」や、メンバー制のコミュニティプラットフォーム「Weare」を公開するなど、衣服に関する新しい取り組みも行っている。

シタテルでは今回調達した資金を用いて、同社の基盤システムである「SCS(シタテル・コントロール・システム)」の強化を進めるほか、SPECや工場・サプライヤー向けのオペレーションツールの開発、Weareのコミュニティ構築に取り組むという。