FenderのAcoustasonic Telecasterは、エレキとアコースティックのハイブリッド

エレキギターは1930年代の初めからなんらかの形で存在してきた。しかし、この楽器が20世紀後半の音楽風景をどれだけ支配したかを考えると、注目すべきイノベーションはあまり起きていないと言わざるを得ない。

Fenderのモデルは、その中でもっとも象徴的であり、同社は「使えるもの」にこだわることで多くの成功を収めてきた。しかし最近音楽チャートからロックミュージックが徐々に消えていくにつれ、同社はもっと広い対象にアピールする方法を考え始めた。

そんな中、Acoustasonic Telecasterは、踏み固められたこの分野にもまだイノベーションの余地があることを示す実に説得力ある事例だ。アコースティックとエレキのハイブリッドは、単に空洞ボディーと内蔵ピックアップを組み合わせただけではない。魔法の素は内蔵されたデジタル信号処理(DSP)チップで、これはエフェクトペダルに使われているものとあまり変わらない。

同社はこの 「アコースティックエンジン」を「伝統的アナログと未来技術を独自に融合したもので、ギターの自然なサウンドを最適化するとともに、共鳴を修正し、選ばれた音を送り出す。アコースティックとエレキの音はソロ演奏でも、Mod Knobでブレンドした新しいサウンドとして出力することもできる。FenderのAcoustasonicノイズレスピックアップのおかげで、アナログ・デジタルを同時に使用することもできる」と説明している。

少しでも楽器に興味のある読者にとって、この記事が少々凝りすぎだと感じたとしてもしかたがない。しかし、デモや初期のハンズオン記事からは、このシステムの驚くほどリッチで充実したサウンドが見て取れる。

Acoustasonic TelecasterはFenderのカリフォルニア工場で製造されている。今日から2000ドルで販売される。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Fenderの新製品はWi-Fi内蔵のIoTギターアンプ――人気アーティストの音色を再現したプリセットも

Fenderにとって2つ目となるアプリ「Tone」は、前作よりもかなり野心的だ。私が知る限りでは、Toneのように3種の新しいアンプと同時にリリースされたスマートフォンアプリというのはこれまでに存在しない。もちろん新しいアンプを使う上でこのアプリは必須ではないが、間違いなく大きな魅力のひとつではあるし、スマートフォンならではのやり方で、新しいアンプでは尽きることのないほどさまざまなギターの音色を再現できる。

新発売のMustang GTシリーズは、待ちに待ったWiFi・Bluetooth標準装備のコネクテッドアンプ。全てがインターネットに繋がっている2017年の今、このようなスマート機能を備えたアンプの登場は当然の結果とも言える。みんなIoTの世界に生きているということだ。しかし、Fenderはこの機能を本当にユーザーにとってプラスになるような形で導入しており、その点は何でもかんでもインターネットに繋げておけばいいと言わんばかりのプロダクトとは違う。

Fenderは数年前より先進的なテクノロジーの採用に力を入れてきたが、未だにかなり慎重なスタンスをとっている。昨年にはカナル型モニターを発表し、ギターやアンプを中心とした同社にとってのコンフォートゾーンからようやく飛び出したが、彼らにとって初となるチューニングアプリFender Tuneからは、まだまだ守りに入っているという印象を受けた。

Fenderほどの企業であれば、新しいテクノロジーの導入にあたって、あまり大きく賭けたくないのもわかる。Mustang GTのような機能を全てのアンプに採用するなどもってのほかだ。一方で、Fenderが長くユーザーに愛される理由のひとつは、そもそも彼らを人気ギターメーカーの地位に押し上げた、同社のテクノロジーに対する姿勢でもある。

Mustangラインは、Fenderが新たな道を進む上では最適なスタート地点だと言える。このデジタルアンプは、従来の真空管アンプからの脱却を意味し、今後ユーザーはエフェクターといった周辺機器なしで幅広い音色を再現できるようになる。デフォルトでもかなりの数のプリセットが準備されており、コントロールノブの横に搭載された小さなカラーディスプレイ上に全てが表示されるようになっている。

そしてユーザーは、Fender製のさまざまなアンプの音を再現したプリセットから好みのものを選ぶことができる。オンラインポータルには標準装備されているもの以外のプリセットも準備されているので、ユーザーは全てを携帯電話上で行わなくても済むが、モバイルアプリがあってこそ、このアンプの真価が発揮される。中にはRed Hot Chili PeppersやAnthraxといった有名どころから、Death Cab For CutieやBest Coastなどのインディー系を含め、多様なジャンルのアーティストの音色を再現したものも含まれている。

またFenderにとってのモバイルアプリの利点は、ユーザーに継続的にアップデート版を提供できることだ(そして将来的には有料のプレミアムラインも販売されることだろう)。

テーブル上におけるくらいのサイズの、1番小さなモデルでも249ドルと値段も手頃だ。価格設定や表現できる音の多様さを考えると、初心者にはかなり魅力的な商品として映るだろう。ギターをはじめたばかりの人にとって、エフェクターのツマミをあれこれいじることが、どれだけ難しくてや苛立つことかというのを、永遠のギター初心者である私はよく知っている。しかし、このアンプとアプリがあれば、駆け出しのギタープレイヤーでも自分が求めるサウンドにグッと近づくことができるだろう。私も今週デモ機を実際に触ってみたが、正直いってかなりいい音が鳴っていた。

当然のことながら、Fenderの売上の大部分は初心者から成り立っている。というのも、楽器を買ってそのうち触らなくなってしまうというのは、通過儀礼のようなものだからだ。

さらに、これはプロ向けの製品ではないし、本物の真空管アンプとエフェクターを組み合わせたようなリッチな音はしない。そのため、Mustangは基本的には練習用のアンプの部類に入るだろう。その一方で準備されているプリセットの数を考えると、サイズの大きなモデルあればバーで行われるライブくらいであれば使えるかもしれない。また、各アンプにはUSB端子も搭載されているので、直接GarageBandでギターを録音してデモを作ることもできる。

正直言って、ギターメーカーとして世界的に有名なブランドの1つがIoTの分野に進出しようとしていると聞いたとき、私はかなり疑ってかかっていた。しかしMustangシリーズは、ただ流行りにのって新しいテクノロジーに手を出してみようという類のものではなく、きちんとテクノロジーを使って利便性を向上させ、さらには小型アンプの利点を上手く伸ばしているような商品だ。

モバイルアプリは既に無料で公開されており、Mustangアンプは(アメリカ国内では)今週中には大手楽器店の店頭に並ぶ予定だ。

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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter