マイクロソフトがニュージーランドに初のデータセンター設置、クラウド利用増に対応

新型コロナウイルス(COVID-19)パンデミックで経済の先行きが不透明であるにもかかわらず、成長を続ける分野がクラウドコンピューティング直近の四半期決算でAzureが59%成長したMicrosoft(マイクロソフト)がニュージーランドにデータセンターを設置すると発表したのはおそらくこのためだ。海外投資局から許可が降り次第、新データセンターをオープンさせる。

「ニュージーランドのデジタルインフラへの今回の大型投資は、イノベーションに対する同国の素晴らしい精神への誓いであり、国としての可能性を我々がいかに広げていくかを反映している」とMicrosoftニュージーランドのゼネラルマネジャーを務めるVanessa Sorenson(ヴァネッサ・ソレンソン)氏は声明で述べた。

このプロジェクトの背景には、デジタルトランスフォーメーションの加速がある。いま世界のあちこちでパンデミックによって従業員がオフィスで働くことができなくなったために、企業はこれまでよりも素早くクラウドに向かうことを余儀なくされている。

CEOのSatya Nadella(サティア・ナデラ)氏がTwitterに記したように、データセンターの開設は移行中のニュージーランド企業をサポートするはずだ。「今まで以上に、我々はデジタルトランスフォーメーションのパワーを目の当たりにする。そして今日、ニュージーランドの組織が自前のデジタル能力を構築できるよう、我々は同国における新たなデータセンターリージョンを発表する」とナデラ氏はツイートした。

同社はデータセンター設置以上のことを描いている。スキル・トレーニングやデータセンターの環境負荷の軽減などを含む幅広い投資を行い、データセンターはその一環とする。ニュージーランド当局が許可すれば、同社は世界140カ国をカバーする60リージョンを有することになる。新たなデータセンターはAzureのみならず、Office 365やDynamics 365の使用促進にもつながる。

画像クレジット: Scott E Barbour / Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi

マイクロソフトのナデラCEOが「コンピューティングの未来はエッジにある」と講演

Microsoft(マイクロソフト)のCEOであるサティヤ・ナデラ氏は、ワシントンで開催されたカンファレンス「Microsoft Government Laders Summit」で講演し、Azureクラウドを「世界のコンピューター」だとしたものの、「エッジコンピューティングこそ未来だ」と述べた。

Amazon(アマゾン)やGoogle(グーグル)などクラウドコンピューティングを主力業務とするライバルは「Windowsを持つマイクロソフトのポジショントークだ」と反論するかもしれないが、多くの企業はクラウドに完全に移行してはいない。

ナデラ氏は「コンピューティングはまずローカルで実行され、抽出されたデータがAIや機械学習のような強力な能力を必要とする処理のためにクラウドに送られる」からだとその意味を説明した。情報はクラウドに出て行く前にローカルに入ってこなければならない、ということだ。

実際、ナデラ氏が指摘するように、コンピューティングの将来は「ローカルかクラウドか」というように二分できるものではない。エッジコンピューティングとクラウドコンピューティングは相互に補完する関係にある。ナデラ氏は「新しいコンピューティングのパラダイムはインテリジェントクラウドとインテリジェントエッジによって動かされる」という。

ナデラ氏はこう述べている。

エッジ・コンピューティングのコンピューティング全般に与える影響を真に理解するめには2030年までにインターネットには500億のデバイスが接続されることになると予測したレポートを吟味する必要がある。これは驚くべき数字だ。現在我々のWindowsマシンは10億台ほどある。スマートフォンが数十億台あるだろう。これが2030年には500億台になっているだろうというのだ。

この調査が予測する500億台の大半はIoT(Internet of Things)デバイスだろう。こうしたデバイスが莫大なデータを生み出す。こうしたデータの奔流を処理するためには従来とは全く異なる方法を考え出さねばならないだろう。ナデラ氏は「エッジデバイスは我々の身の回りのあらゆる場所に存在することになるため、あらゆるビジネスプロセスにおけるコンピューティングについての考え方を大きく改める必要がある」という。ナデラCEOは「ユースケースが(聴衆の多くが関わっている)公共部門であるか民間ビジネスであるかどうかにかかわらず、データの生成が爆発的に増加するにつれて、人工知能による処理が必須となる」という。

ナデラ氏はこれによって人工知能の新たなユースケースが出現するだろうとして次のように述べた。

もちろん、豊富なコンピューティングリソースが利用できるなら、データとAIを組み合わせた新しい処理アセットを構築するできる。これは単一のアプリケーション、単一のエクスペリエンスであってはならず、既存のAIに頼ったものであってもいけない。つまり、大量のデータを処理してそこからAIを構築する能力が必要とされる。

ユーザーがこのような処理にAzureやWindowsなどMicrosoftのプロダクトを使ってくれるならナデラ氏は大いにハッピーだろう。エッジツールであれば、IoTからのデータをローカルに集約するData Box Edgeが2018にリリースされている。実際、マイクロソフトのプロダクトをするかどうかに関わらず、ナデラ氏の見通しは正しいものと思われる。

コンピューティングがエッジにシフトするにつれ、ベンダー企業が提供するテクノロジーやサービスがいかに広範囲であれ、ユーザーが単一のベンダーに縛られることは少なくなるだろう。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook