自動ドライクリーニングマシンを実証実験、米国中西部のホテルで

ホテルのドライクリーニングは、まったく最悪だ。出張中にクリーニングに出すと、シャツ1枚で1000円、あるいは1500円もとられる。私は出張が多いので、直接出せる24時間営業のクリーニング店を使うようにしている。

香港で今週開催されたRISEカンファレンスで講演をしたスタートアップのひとつ、Pressoは、ホテルの宿泊者にとって革新的なドライクリーニングの方法を開発した。米国インディアナ州に本拠地を置く同社は、パドゥー大学を卒業したNishant Jain(ニシャント・ジェイン)氏とThibault Corens(ティボー・コレンス)氏が設立した。ホテルのロビーで使うことを想定した自動ドライクリーニングマシンを開発したのは、この2人だ。

短時間で安くクリーニングをしたい宿泊者は、カードを通し、クリーニングする服の特徴を手入力する(今後のアップデートでAIとコンピュータビジョンにより衣服を判断する計画だが、現時点ではユーザーに任されている)。すると蒸気と洗浄液を使って、およそ5分でクリーニングとプレスが完了する。

このシステムでクリーニングをすると、使う水と電気も従来の洗濯よりかなり少ない。ただしJain氏は、衣類の染みにはまだ対応できていないと言う。Pressoは染み抜きをするように設計されているのではなく、会議や商談の前に素早くクリーニングとプレスをするためのものだ。

このマシンは現在、米国中西部の16カ所のホリデーインに試験的に設置されている。Jain氏はTechCrunchに対し、ホリデーインは利便性のため、そして宿泊客の洗濯物を外部のクリーニング業者に依頼する時間と手間を省くために、Pressoのシステムに完全に移行することをすでに検討していると語った。

Pressoはこれまでに主にHAXから26万1000ドル(約2800万円)を調達した。今年後半には追加の資金調達を希望している。

[原文へ]

(翻訳:Kaori Koyama)

オンデマンドクリーニングのMulberrys―、退場者も出ている業界に新風を巻き起こせるか

img_5475-e1487185218326

オンデマンドのクリーニングサービスが厳しいビジネスだということは、既に一部では知られている。Washioは昨年事業をたたみ、資産を競合のRinseに売却中だ。当時RinseのファウンダーのAjay Prakashは、クリーニングサービスに関して言えば、オンデマンドがもっとも効率的で経済的なモデルだとは言えないとTechCrunchに語っていた

しかし、ベイエリアでクリーニングサービスをスタートさせたMulberrysという新しいスタートアップは、オンデマンドのプラットフォームと従来のクリーニング店をかけ合わせたサービスを武器に、Prakashの意見が間違っていることを証明しようとしている。

今週ベータテストを終えたMulberrysは、10軒の拠点とドライバー隊を利用してサンフランシスコの顧客にサービスを提供しようとしているが、ミネアポリスでは既に数年前から営業している。

img_5473

ファウンダーのDan Millerは、マッキンゼーにコンサルタントとして勤めていた頃にこのビジネスをはじめたが、その後すぐにマッキンゼーを去ってSchool of Drycleaning Technologyに入学し、以前は自分が着ていたような高級スーツのプレスの仕方を学びはじめた。

「ドライクリーニング・洗濯業界の現状が、現代のベストプラクティスと考えられているものからかけ離れていることに、いつも驚かされていました。ほとんどのドライクリーニング店はウェブサイトさえ持ってませんからね」とMillerは話す。

それからすぐに彼は、もっと現代的なオペレーションに少し捻りを加えたサービスを開始する。Mulberrysは通常のクリーニングに加えてドライクリーニングサービスを提供しており、ピックアップから洗濯、配達まで全てを自社で管理している。さらに全ての作業は、委託業者ではなくMulberryの社員が行っている。

ここが、Washioの判断が誤っていたポイントかもしれない。というのもオンデマンドの分野では、外部に業務を委託した場合、人材の入れ替わりが激しく人材管理のコストが高くついてしまうのだ。Rinseでも、受託業者や外部の人材ではなく、社内のスタッフが実作業を担当している。

シリコンバレーでの営業開始と共に、Millerは2000万ドル前後の資金調達も視野に入れている。もしかしたら、彼は上手く投資家を説得できるかもしれない。シリコンバレーに拠点を置く大多数のスタートアップと違い、MulberrysはこれまでVCからの投資を受けていないとMillerは言う。さらに同社は何年間も黒字を出しているのだ。また、ビジネスの全ての側面を社内で管理することで、Mulberrysは利益を拡大しつつも顧客にシームレスなサービスを提供できている。

実際のサービスの流れは競合他社とほとんど変わらない。ユーザーがピックアップの日にちと時間を指定すると、Mulberryのスタッフが洗濯物の回収に向かい、クリーニング、配達までを通常同日中に完了させる。しかし、Rinseは夜間の2時間しかピックアップを行っていないところ、Mulberrysユーザーはピックアップの時間を朝と夜から選ぶことができる。

img_5476

実際のサービスはどんな感じなのだろうか?ベータテストの期間中に、彼らのサービスを私が実際に試してみたところ、ドライバーが同じ日に2度洗濯物を取りにきたり、私が指定したい日がアプリに表示されなかったりと、予想通りいくつかの不備があった。しかし今週の正式ローンチ後、このような問題は起きていないようで、今は好きな日時に自分の家まで洗濯物の回収に来てもらえる。

さらに紫色のブラウスをドライクリーニングに出したところ、油汚れが一部残っていた。Mulberrysのデリバリースタッフは、もう一日あれば全ての汚れがとれそうだったが、翌日配達指定だったので一部汚れが残ってしまったと説明すると同時に、私が希望すれば無料でもう一度クリーニングを行い、全ての汚れを落とすこともできると提案してくれた。

その他にも、Mulberrysは環境にやさしい洗剤を使っており、変なものが混ざった状態で配達されないように、全ての洗濯物は配達までに10回もチェックされているとMillerは話す。

彼らは厳しいクリーニング業界を生き抜いていけるだろうか?Mulberrysはベイエリアでは少なくとも一社と競合していかなければならないが、サンフランシスコにはお金を払ってでも料理、洗濯、掃除といった家事を誰かにお願いしたいと考えているテック企業の社員がたくさんいるだろう。

原文へ

(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter

オフィス管理代行サービスのService Partner Oneが1000万ドルを調達

Service Partner One closes  10M Series A to move office management services online   TechCrunch

全くデジタル化されていない時代遅れの産業が未だに残っていることは驚きではない。スタートアップがまだまだオンラインの利便性を物やサービス提供にもたらす機会を開拓していることにも驚きはない。

ベルリンに本社を置くService Partner Oneの場合は、Webサイト、iPad、iPadアプリケーションを経由してオンライン上で様々なオフイス管理サービスの予約・管理するサービスを提供している。EQT Venturesが率い、Earlybird、Target Global、Rheingau Founders、Ringier Digital Ventures、Visto Venturesが参加したシリーズA(2016年7月6日)では1000万ドルの資金を調達した。

Service Partner Oneのアプリケーションを通して、オフィスクリーニング、フルーツ、飲料、カフェマシーン、ウォーターサーバー、オフィス用具の配達など、多様なサービスの予約が可能だ。オフィス管理に関するすべての支払いは、複数のプロバイダーが関わっているかにかかわらず単一で管理できる。それは毎月の1枚の請求書の発行も含む。

「私達はSaaS型のキュレートしたマーケットプレイスを提供します。オフィス管理者のためのオフィス運用システムを構築しています」Service Partner OneのCEOで共同創業者のSven Hock氏はそのように語る。「それぞれのカテゴリーで、私たちはオフィス用品の最良のサプライヤーを選びました」。

Service Partner Oneのアイデアは、異なるサプライヤーとやりとりする時も請求書を管理する必要がないよう契約を一本化し、オフィス管理者の仕事をより簡単、効率的なものにすることである。

「完了したことの概要を把握できます」Hock氏はそう語る。「また、清掃員との間でコミュニケーションが図れるようにつなぎます」。オフィス管理者はiPadのアプリケーションを通してサプライヤーへクリーニングの手順や直接仕事の質に対するコメントを書くことができる。

Hock氏はService Partner Oneの顧客は、わずか10人の従業員のオフィスから500人の従業員がいるオフィスまで幅広いと語る。中小中堅企業から、McKinsey&Company、Commerzbankのような大企業にまでサービスを提供している。

「私達の顧客にはSpotify、Twitter、Salesforce、世界でも規模の大きいコワーキングスペースを提供する企業の1社であるWeWorkを含みます。顧客は全てのサービスを選ぶ必要はなく、フルーツバスケットや飲料だけを選ぶこともできますし、もちろんフルパッケージを選ぶことも可能です。しかし、ほとんどの顧客は1つのサービスから使い始めます。その後しばらくして、私達のサービスはさほど高くないですし、非常に便利なので他のサービスも使う始めるようになります」Hock氏は補足した。

Service Partner Oneはこれまでにヨーロッパの6都市における500のオフィスを管理している。ドイツのベルリン、ハンブルク、ミュンヘン、フランクフルト、ケルンそして最近、進出した英国のロンドンだ。Service Partner Oneのチームは70人まで成長し、本日調達した資金はヨーロッパでの更なる成長のために利用する予定だ。

原文

(翻訳:Shinya Morimoto)