Rocket LabはCapella Spaceの衛星打ち上げに成功し通常の打ち上げ稼働状態に復帰

Rocket Lab(ロケット・ラボ)は、ペイロードを失うという前回のミッション失敗を経て、正常な打ち上げ稼働状態に復帰した。わずか1カ月の間に、Rocket Labは前ミッションに使用されたElectron(エレクトロン)ロケットの欠陥を洗い出して問題点を修正。米国時間8月31日には、クライアントであるCapella Space(カペラ・スペース)のSequoia(セコイア)衛星を載せた打ち上げを、ニュージーランドの発射施設で成功させた。

Rocket Labの今回の「I Can’t Believe It’s Not Optical(光学画像じゃないなんて信じられない)」ミッションは、同社Electronロケットの14回目の打ち上げとして、日本時間8月31日12時5分に同社専用の発射台から打ち上げられた。Sequoia衛星は、スタートアップのCapella Spaceが開発した合成開口レーダー(SAR)衛星のコンステレーションで、一般の顧客が利用可能となる。展開が完了すると、このコンステレーションは1時間ごとに地球の高精細画像の提供を開始する。光学センサーではなくレーダーを使用することで、雲に覆われていたり、暗くなっている部分でも正確な画像が得られる。

関連記事:Rocket Lab clear to launch again after first mission failure attributed to electrical fault(未訳記事)

今回の打ち上げは、すべて計画通りに進んだように見える。ElectronはCapella Spaceの衛星を無事に打ち上げ、目標の軌道に放出できた。Capellaはこれまで、この衛星をSpaceX(スペースエックス)のFalcon 9(ファルコン・ナイン)ロケットの相乗りミッションで打ち上げるつもりでいたのだが、フライトの遅延を受けて、Rocket Labの独自ミッションとして打ち上げる方向に切り替えたのだ。

7月4日のRocket Labの事故の原因は、比較的小さな問題だった。電気的な故障が発生したため、安全対策としてロケットが停止したに過ぎない。調査の結果、システムの中の1つの部品が、本来行われるべき厳格なストレステストを経ていなかったことが判明した。Rocekt Labは、できるだけ短い時間で打ち上げ業務を通常の稼動状態に戻せるよう、将来そして現在ストックされているすべてのElectronロケットに速やかに修正を加えた。

Rocket Labでは、Electronのブースターを複数のミッションで再利用可能にする回収システムの開発にも取り組んでいるが、今回の打ち上げでは、このシステムに関連するテストは盛り込まれなかった。同社では、年内に予定されている残りの打ち上げのいずれかで、ブースター回収の実験を行いたいと考えている。

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カテゴリー:宇宙

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画像クレジット:Rocket Lab

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(翻訳:金井哲夫)

イーロン・マスク氏が天文観測の邪魔をしないStarlink衛星の新機能を解説

今週開かれたバーチャル記者会見で、SpaceXの創設者でCEOのElon Musk(イーロン・マスク)氏は、同社のStarlink衛星のコンステレーションが夜間の天文観測を邪魔しないようにする新計画の詳細を解説した。マスク氏は、以前、衛星の視認性を低減させるための「サンバイザー」を作るつもりだとTwitterで明かしていたが、その仕組みや以前にSpaceXが試した黒く塗る方法と比較してどうなのか、詳しいことをマスク氏もまだわかっていなかった。

Space Newsの記事によると、SpaceXの新しい「VisorSat(バイザーサット)」のアイデアは、基本的にサンバイザーで太陽の直射光をブロックし、衛星に搭載されている反射率の高いアンテナに光が当たらないようにして、反射光が地上に届くのを阻止するというものだ。その反射光が、夜空の明るい光として見える原因になっている。

将来のStarlinkに追加予定のこの新しいハードウェアは、その他の対策を補完するものでもある。その1つが、打ち上げ後に目標の軌道にのるまで、特に地上から見えやすくなる期間に衛星の向きを変えるという対策だ。全体的なゴールは「1週間以内に衛星を肉眼では見えないようにして、天文学への悪影響を最小限にする」ことであり、コンステレーションによるいかなる影響も科学者や研究者による新発見を妨害しないよう重点的に取り組むことだと、マスク氏は言う。

Starlinkコンステレーションを見えにくくするSpaceXの最初のテストでは、反射しやすい表面を暗い色で覆う方法に重点が置かれていた。テスト当初はある程度の効果が示されたものの、VisorSat方式の方が効果的であり、明るさを少し下げるといった程度ではなく、大幅に低減してくれるものだとマスク氏は確信している。

今のところSpaceXは、次のStarlinkの打ち上げでVisorSatシステムをテストしたいと考えている。2020年に入ってからこれまで、月に1度のペースで打ち上げが行われてきた。だが、このシステムには機械工学上の問題が残されている。太陽の直射光を遮る日よけを飛行中に展開する必要があるのだが、それはまったく新しい装置だ。しかもStarlinkの本来の仕事を邪魔しないよう、日よけの素材は電波を通すものでなければならない。そうでなければ、地上の利用者に低遅延の高速ブロードバンドを提供できなくなってしまう。

これがうまくいけば、その後のStarlink衛星にはVisorSatが搭載されることになる。ちなみに、現在軌道上にある衛星は比較的寿命が短く、それらに対策を施さなくても、ほんの3、4年で運用を終えて軌道から落ちることになっているとマスク氏は話す。そのころには、さらに工学的に進歩した衛星に置き換わっているはずだという。

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(翻訳:金井哲夫)

SpaceXが60個以上のStarlink衛星の打ち上げに成功、2020年のサービス開始に布石

SpaceXは、新たにStarlink(スターリンク)衛星の一団を打ち上げた。地球低軌道に展開されたこれらの衛星は、地球全域での高帯域ブロードバンドのインターネット通信網の利用を可能にするものだ。今回の打ち上げで軌道上のStarlink衛星は合計422基となったが、SpaceXではそのうち2基(最初の2つのプロトタイプ)は早急に軌道から外すことにしている。

すでにSpaceXは、民間人工衛星運用企業としては世界最大規模になっているが、まだ余裕も伸びしろも十分にある。また、Starlinkの打ち上げ頻度も、世界的な新型コロナウイルス(COVID-19)危機にも関わらず増加している。前回の打ち上げは3月18日だった。SpaceXは今年に入ってわずか4カ月の間に、トータルで4回の衛星打ち上げを実施している。

この攻めのペースを保つのには理由がある。打ち上げを行うごとに、この衛星がネットワークの屋台骨を構成するStarlinkブロードバンドサービスの開始が近づくからだ。SpaceXでは、今年後半のいずれかの時期に、カナダと米国北部をカバーするネットワークの提供を始めたいと考えている。さらに、この方式を有効に展開するためにも欠かせない。従来の静止インターネット衛星よりもずっと地表に近い軌道を回り、サービス提供地域の上空を通過する衛星同士で接続を引き継ぐ必要があるため、一般消費者や企業に安定的で信頼性が高く遅延の少ないインターネット接続を提供するためには、たくさんの衛星を飛ばす必要があるのだ。

Starlinkは、来年には全世界へサービスを拡大したいと考えている。そのためには、さらに多くの衛星を打ち上げ、ずっと大きなコンステレーションを構築しなければならない。SpaceXが公表した資料には、需要や性能に応じて、1万2000基から4万2000基の小型衛星を打ち上げてネットワークを完成させると記されている。

SpaceXのCEOで創業者のElon Musk(イーロン・マスク)氏は、Starlink衛星が地上からの夜間の天体観測を妨害するとの苦情への対処について詳しい説明も行った。その人工衛星が反射する光は、天体写真に点や筋となって現れる。それが地上の望遠鏡や天文台からの天文観測や研究に支障をきたすと天文学者は主張している。

今回の打ち上げには、使用を終えたFalcon 9(ファルコン9)ブースターロケットの回収も試みられた。これは、SpaceXのDemo-1 Crew Dragon(デモ1・クルー・ドラゴン)の打ち上げにも使用されたものだ。さらに2019年には2回使われている。Falcon 9は、大西洋上で待機していたSpaceXのドローン船に計画どおり着艦した。これで、今年の初めに数回あったFalcon 9ブースターの着陸失敗が挽回されることを願う。

SpaceXはまた、打ち上げの際にStarlink衛星を保護し、後に2つに割れるフェアリングの回収も試みることにしている。だが、システムのアップグレードにより、パラシュートで減速しながら降下してくるフェアリングを網で捕まえる方式は使えない。その代わりに、海に着水したところを拾い上げる方法が検討されている。SpaceXがその方法を確定し発表したときには、この記事を更新する予定だ。同社では、フェアリングももっと頻繁に再利用したいと考えているのだが、網で捕まえる方法のほうが再使用のための整備が楽になる。これも、現在建造中の完全に再利用可能なStarship(スターシップ)宇宙船を実現させるべく、事業を継続したいSpaceXのコスト削減策のひとつだ。

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(翻訳:金井哲夫)