スマートコンタクトレンズのMojo Visionがアディダスなどのスポーツブランドと提携、狙いはプロアスリート

ここ数年、Mojo VisionはCESで小規模ながらも存在感を示し、拡張現実(AR)コンタクトレンズの可能性を垣間見せてくれていた。年々、そのビジョンが少しずつ近づいてきているように思えるが、まだまだ遠くでもある。今回のCESでは、コロナ禍の影響でこのカリフォルニアの企業に直接話を聞くことはできなかったが、スマートコンタクトレンズの未来がどのようなものになるのかについて、同社はいくつかの洞察を提供してくれた。

2022年の展示会での大きなニュースは、以下のようなスポーツ分野のブランドとの数々のパートナーシップだ。adidas Running、Trailforks(サイクリング / ハイキング)、Wearable X(ヨガ)、Slopes(スキー)、18Birdies(ゴルフ)など。こうしたパートナーシップにもかかわらず、この技術はまだ市場に出回っていない。他の障害に加えて、FDAの承認を受ける必要があるからである。

しかし同社は、プロアスリートの生活の中で、効果的なアイマウントディスプレイが果たす役割の可能性を示している。

Mojoのプロダクトマネジメント担当シニアディレクターのDavid Hobbs(デビッド・ホブ)氏は、リリースの中でこう述べている。「今日のウェアラブル機器は、アスリートにとって有用になり得ますが、活動の焦点から気をそらしてしまうこともあります。当社は、アスリートのパフォーマンスデータを提供するためのより良い方法があると考えています。既存のフォームファクターにおけるウェアラブルの革新は、限界に達し始めています。Mojoでは、何がまだ足りないのかをよりよく理解し、最も重要なトレーニング中の集中力と流れを妨げることなく、その情報にアクセスできるようにするにはどうすればよいかに興味を持っています」。

つまりMojoは、かさばるウェアラブル端末を持ったり、アスリートに端末を見下ろさせたりすることなく、データを提供できる世界を目指しているのだ。少なくとも今回の提携は、Mojoが視覚障がい者支援などの他の用途に加えて、自社技術の早期市場としてスポーツを狙っていることを明確に示している。

同社はまた、2020年4月の5100万ドル(約59億2000万円)の調達に続き、米国時間1月4日4500万ドル(約52億2000万円)のシリーズB-1を発表した。今回のラウンドには、Amazon Alexa Fund、PTC、Edge Investments、HiJoJo Partnersが参加しており、同社の累計資金調達額は2億500万ドル(約238億円)に達している。

画像クレジット:TechCrunch

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(文:Brian Heater、翻訳:Aya Nakazato)

東京農工大が目が自然にピントを合わせられる「ホログラフィック・コンタクトレンズディスプレイ」開発

東京農工大が目が自然にピントを合わせられる「ホログラフィック・コンタクトレンズディスプレイ」開発

実物体にホログラムで発生した画像を重ねてAR表示している様子

東京農工大学の高木康博教授の研究グループが「ホログラフィック・コンタクトレンズディスプレイ」を開発しました。ホログラフィー技術を応用し、コンタクトレンズ内に表示した画像に対して、目が自然にピントを合わせられるようになります。

コンタクトレンズディスプレイは、ヘッドマウントディスプレイや専用メガネを装着することなく、目の中にコンタクトレンズを入れるだけで、現実世界にデジタル情報を重ねて表示できる『究極のディスプレイ技術』として期待されています。その一方で、表示した画像に対して目がピントを合わせられない課題があります。

この課題を解決するために、コンタクトレンズ内のLEDにマイクロレンズを取り付けて、網膜に光を集光する方法が提案されていますが、目が外界の物体にピントを合わせると目の焦点距離が変化し、集光がうまくいかなくなる問題がありました。

そこで、同研究グループでは、物体が発する光の波面を再現して立体表示を行う「ホログラフィー」技術を活用。目から離れた位置にある物体からの波面を、コンタクトレンズ内の表示デバイスで再現することで、目は実物に対するのと同様に自然にピントを合わせられるようになります。また、同技術を使うことで、さまざまな画像なども表示できるとのこと。

なお、コンタクトレンズは一般的に0.1mm程度と薄いため、この薄さに内蔵できる構造にする必要があります。研究グループによると、光の波面を制御する「位相型空間光変調器」や、光の偏光を制御する「偏光子」は数マイクロメートルの厚さで実現できるといい、「位相型空間光変調器」にレーザー照明するバックライトの厚さを0.1mm程度とすることで、コンタクトレンズ搭載が可能になりました。

東京農工大が目が自然にピントを合わせられる「ホログラフィック・コンタクトレンズディスプレイ」開発

この「ホログラフィック・コンタクトレンズディスプレイ」はコンタクトレンズディスプレイの光学技術に関する課題を解決するものだといい、同研究グループでは今後、表示デバイスや通信デバイスの研究者、および眼科の医師などと協力して、コンタクトレンズディスプレイの実用化に向けて研究を進める予定です。

(Source:東京農工大学Engadget日本版より転載)

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カテゴリー:ハードウェア
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