これがオーブ型の新ヘッドセット「PlayStation VR2」だ

Sony(ソニー)はCESで、近日発売予定のバーチャルリアリティヘッドセットについて簡単に言及した。これは、Sonyが例年この展示会で行っていることで、詳細についてはあまり説明せず、今後の製品についての耳よりな情報を提供する。そして、もし何かエキサイティングなものを隠し持っているのなら、それを少し見せればいいのだ。

米国時間2月22日、PlayStationの公式ブログは次のステップに進み、この製品についてもう少し明らかにした。それは、丸みを帯びた角の通気口や、どのようにしてこのようなデザイン上の決断を下すことになったのかについて企業が語るハードウェアの公開の一種だ。しかし、肝心なのは、私たちがついにそのモノを目の当たりにしたことだ。

Sonyは、そのデザイン言語を、ひと言で「オーブ型」と表現している。これは、VR2 Senseのコントローラーのオーブ型とマッチするためにデザインされたオーブだ。そう、ずっとオーブ型だ。理に適っている。人間の手や頭の形は丸いものが落ち着く。Sonyはこう付け加えた。「円形のオーブの形は、プレイヤーがバーチャルリアリティの世界に入ったときに感じる360度の視界を表現しています」。

長時間装着するものだからこそ、快適な装着感が重要だ。そのため、新たに通気孔を設け、調整ダイヤルに手を加え、焦点距離の選択肢を増やした。また、触覚フィードバック用の新しいモーターを搭載し、全体的にスリムになった。重量バランスと調整可能なヘッドバンドは、PSVR第1世代のユーザーには馴染み深いものだ。ヘッドホンジャックの配置も同様だ。

画像クレジット:Sony

「PlayStation VR2のヘッドセットのデザインに取り組み始めたとき、まず注力したかったのが、PS5本体にある通気口のように、ヘッドセットに空気を逃がす通気口を作るというアイデアでした」と、Sonyデザイナーの​​森澤有人氏は話す。「VRゲームに没頭している間にレンズが曇ってしまうことを防ぎ、通気性を確保するための良い方法として、当社のエンジニアがこのアイデアを思いつきました。いろいろなデザインコンセプトに取り組みましたが、最終的には、スコープの上面と前面の間に小さな空間を設け、そこに換気口が内蔵されています。このような形になったこと、そしてこれまでに得られたポジティブなフィードバックに、私は本当に誇りを感じています。プレイステーションのファンの方々にもそう思っていただけると思いますし、早く試していただきたいですね」。

Sonyは、白と黒のデザイン言語について、次のように述べている。

私たちの目標は、リビングルームの魅力的なインテリアの一部になるだけでなく、ヘッドセットやコントローラーを使っていることを忘れてしまうほど、ゲームの世界に没頭できるヘッドセットを作ることです。そのため、ヘッドセットの人間工学に細心の注意を払い、さまざまな頭のサイズに対応した快適な使用感を実現するために、徹底したテストを行いました。

この製品は、(デス・スターに住んでいない限り)家の家具に溶け込むことはないだろうが、お客さんが来るたびにそれを隠しておく必要を感じなくなるかもしれない。

最初のPSVRシステムは、2016年にPlayStation 4向けに登場した。2019年末には、このヘッドセットの販売台数が全世界で500万台に達したと発表した。後続機は、VR/メタバース全般への注目が高まっていた時期にPS5向けに登場し、必然性を感じさせた。

画像クレジット:Sony

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(文:Brian Heater、翻訳:Yuta Kaminishi)

「約2240億円の評価額で約560億円調達」から7年、ARグラスのMagic Leapは変わらず「約2240億円の評価額で約560億円調達」

Magic Leap(マジック・リープ)は苦しい道のりを歩んできた。彼らの名誉のために言っておくと、投資家はまだ同社に資金を喜んで供給したいようだ。

拡張現実を扱うスタートアップである同社は米国時間10月11日、既存の投資家から20億ドル(約2240億円)のバリュエーションで5億ドル(約560億円)を調達したと発表した。2014年10月に20億ドルのバリュエーションで5億4200万ドル(約607億円)を調達したときと同じ条件だ。その間に幾多の出来事があった。

不思議なことに、Magic Leapは今回の資金調達に参加した投資家を特定する情報を公表しないと決めた。Crunchbaseによると、同社は現時点で35億ドル(約39億円)の資金を調達している。これまでに参加した投資家のほとんどは、あまり良い結果を得ていないことになる。

直近のバリュエーションは、同社が2019年に達成した67億ドル(約7500億円)から随分かけ離れているが、2020年清算寸前だったことを考えれば、もっと悪かった可能性もあった。Magic Leapは2020年、スタッフの大部分を解雇し、切り下がったバリュエーションの下で数億ドル(数百億円)の資金調達を余儀なくされた。また、創業者のRony Abovitz(ロニー・アボヴィッツ)氏に代わって、Microsoft(マイクロソフト)の副社長を努めたPeggy Johnson(ペギー・ジョンソン)氏がCEOに就任した。

同社は、法人顧客に力のすべてを注ぎ、状況を好転させようと試みてきた。軍との契約を巡りMicrosoftと競合し(失敗した)、法人顧客をめぐってMicrosoftと競合した(成功した)。その一方で、非常に高価なヘッドセットを使う高価なゲームを提供することで消費者の目に留まろうとしてきた。

今回の新ラウンドのニュースと同時に、同社の次のARグラス製品の新しいレンダリング画像がCNBCで公開された。デバイスはかなり小さくなったようだが、Magic Leapはその新しい機能についてあまり多くを語らなかったようだ。同社はプレスリリースで、Magic Leap 2と呼ばれる新しいハードウェアを来年中に展開することを明らかにした。

画像クレジット:Bram Van Oost/EyeEm / Getty Images

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(文:Lucas Matney、翻訳:Nariko Mizoguchi

Diver-Xが寝ながら使う据え置き型VRデバイスHalfDiveの開発発表、3000万円の資金調達も

人が基底状態にいながらにして(つまり布団の中で寝ながら)最大限の行動、体験ができるような世界を目指すというDiver-X(ダイバーエックス)は9月13日、寝ながらの使用に最適化したVRデバイス「HalfDive」(ハーフダイブ)を発表した。2021年11月6日から、クラウドファンディングKickstarterでの支援者募集を行う予定。価格はベーシックモデル(8万円程度)、フルセット(12万円程度)、可変焦点機能対応モデル(40万円程度)を想定している。ハンドコントローラーは9月末にYouTubeで情報公開予定。また同時に、DEEPCOREを引受先とし、シードラウンドにおいて第三者割当増資による3000万円の資金調達実施も発表した。

現在普及しているVRヘッドマウントディスプレイ(VR HMD)は、そのほとんどが装着して動き回ることが想定されているため、小型化・軽量化に重点が置かれている。それに対してHalfDiveは、寝ながら使うことに最適化した据え置き型なので、小型軽量のための性能上の制約を受けない。

主な特徴は次のとおり。

最大134度の視野角と映像美を実現する可変焦点機能(最上位モデル)に対応する独自光学系

フレネルレンズを使用した通常のVR HMDとは異なり、10枚の非球面レンズを組み合わせることで、フレアや映像の歪みをなくし、最大134度の視野角と鮮明な映像を両立。最上位モデルには可変焦点機能も搭載される。

球状の筐体を活かした没入型サウンドシステム

頭全体を覆う球状の筐体に合計4つのスピーカーを配置し、没入感のあるサウンドを提供。

多数の感覚フィードバック

2基のファンによる風フィードバックにより、顔に風を感じさせることで没入感の高いVR体験を提供する。送風で装着者の快適性を保つこともできる。

またワイヤーを用いた力覚フィードバックにより、VR空間内で物に触れる感覚、剣で切った感覚、摩擦感などを表現する。

エキサイターを用いた振動フィードバックでは、モンスターの足音、銃声、環境音などの振動を伝える。

足コントローラーおよびエミュレーションシステムでは、左右の足首の傾きでアバターの動作をエミュレート。寝ていても立っているときと同じ動作表現が行える。

モジュラーおよびオープンソース設計

据え置き型なので、感覚フィードバックモジュール、無線通信モジュールなどの拡張モジュールによる増設が可能。筐体側面には拡張モジュールを接続するためのRJ45端子とねじ穴が存在する。

モジュールの設計や通信プログラムはオープンソース化する予定なので、サードパーティーやユーザーが独自のモジュールを開発できる。これにより「より質の高いVR体験の実現に向けたエコシステムの構築」を目指す。

「布団に入ったまま学校に行きたい、仕事を終わらせたい。誰しも一度は考えた事があると思います」とDiver-Xは話す。さらに「完全据え置き型という時代に逆行した、寝ながらに最適化しているからこその長所を最大限に生かし、これまで小型化軽量化のトレードオフの中で切り捨てられきた多くの機能やインターフェイスを実装し、新たな体験を生み出す」という。

だが、単に楽をするための機器ではなく、想定されるユースケースには医療や介護のための利用法も含まれている。寝たきりの人が社会活動できる機会が広がる可能性がある。

Diver-Xは、慶応義塾大学在学中の迫田大翔氏とコロンビア大学在学中の浅野啓氏が2021年3月に共同創業したスタートアップ。「布団の中に居ながらにして学校にいるのと同等の体験、職場にいるのと同等の生産ができるようになれば、人類のQOLは大きく向上するはず」と彼らは言う。「そこで得られる価値、体験が同じであるならば、人はよりモチベーションが低くとも実行できる手段をとるはずであり、必要なモチベーションが低ければ低いほどより多くの物事に対して働きかけられるようになると仮定するならば、寝ながらという人間にとっての基底状態は、もっとも行動に適した状態である」とのことだ。

仕様

    • 自由度:4.5dof
    • 光学系:合計10枚の非球面レンズを用いた独自の光学系(可変焦点機能に対応)
    • 最大視野角:水平約134度
    • 解像度:片目1600×1440px 両目3200×1440px
    • リフレッシュレート:90Hz以上
    • ダイアル式物理IPD調節:58~82mm
    • オーディオ:4つのスピーカーを用いた没入型サウンドシステム
    • マイク:単一指向性コンデンサマイク
    • コントローラー:両手・足コントローラー
    • トラッキング:LightHouse対応・足コントローラーよるアバター動作エミュレーションシステム
    • カメラ:キーボードオーバーレイシステム
    • インターフェース:DisplayPort 1.2、USB 2.0/3.0、3.5mmオーディオジャック、12V電源、RJ45(I2C:モジュール接続)
    • プラットフォーム:SteamVR完全対応(OpenVR・OpenXR)
    • SDK:Unity(VRchat専用機能あり)、Unreal Engine

東京農工大が目が自然にピントを合わせられる「ホログラフィック・コンタクトレンズディスプレイ」開発

東京農工大が目が自然にピントを合わせられる「ホログラフィック・コンタクトレンズディスプレイ」開発

実物体にホログラムで発生した画像を重ねてAR表示している様子

東京農工大学の高木康博教授の研究グループが「ホログラフィック・コンタクトレンズディスプレイ」を開発しました。ホログラフィー技術を応用し、コンタクトレンズ内に表示した画像に対して、目が自然にピントを合わせられるようになります。

コンタクトレンズディスプレイは、ヘッドマウントディスプレイや専用メガネを装着することなく、目の中にコンタクトレンズを入れるだけで、現実世界にデジタル情報を重ねて表示できる『究極のディスプレイ技術』として期待されています。その一方で、表示した画像に対して目がピントを合わせられない課題があります。

この課題を解決するために、コンタクトレンズ内のLEDにマイクロレンズを取り付けて、網膜に光を集光する方法が提案されていますが、目が外界の物体にピントを合わせると目の焦点距離が変化し、集光がうまくいかなくなる問題がありました。

そこで、同研究グループでは、物体が発する光の波面を再現して立体表示を行う「ホログラフィー」技術を活用。目から離れた位置にある物体からの波面を、コンタクトレンズ内の表示デバイスで再現することで、目は実物に対するのと同様に自然にピントを合わせられるようになります。また、同技術を使うことで、さまざまな画像なども表示できるとのこと。

なお、コンタクトレンズは一般的に0.1mm程度と薄いため、この薄さに内蔵できる構造にする必要があります。研究グループによると、光の波面を制御する「位相型空間光変調器」や、光の偏光を制御する「偏光子」は数マイクロメートルの厚さで実現できるといい、「位相型空間光変調器」にレーザー照明するバックライトの厚さを0.1mm程度とすることで、コンタクトレンズ搭載が可能になりました。

東京農工大が目が自然にピントを合わせられる「ホログラフィック・コンタクトレンズディスプレイ」開発

この「ホログラフィック・コンタクトレンズディスプレイ」はコンタクトレンズディスプレイの光学技術に関する課題を解決するものだといい、同研究グループでは今後、表示デバイスや通信デバイスの研究者、および眼科の医師などと協力して、コンタクトレンズディスプレイの実用化に向けて研究を進める予定です。

(Source:東京農工大学Engadget日本版より転載)

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JVCケンウッドが視野角水平120度・解像度片目2560×1440の透過型ヘッドマウントディスプレイ発売

JVCケンウッドが視野角水平120度・解像度片目2560x1440ドットの透過型ヘッドマウントディスプレイ発売

JVCケンウッドは2月16日、透過型で高画質・広視野角を実現したヘッドマウントディスプレイ「HMD-VS1W」を発表しました。受注生産で3月下旬から発売します。一般コンシューマー向けではなく企業ユースを意識した製品です。

片目2560×1440、両眼で5120×1440という高精細なパネルを利用しているほか、従来のVRヘッドセットのようにレンズを通さず、ミラーを介して直接映像を見ることが出来るため、周辺の色収差や映像に格子状の模様が見えるスクリーンドアも発生しないとのこと。水平視野角も120度と広く、中心からずれても映像がぼけずにクリアな映像を再現できるとしています。また、視線を動かしても疲れにくい、広いアイボックス(映像が綺麗に見える範囲)も実現しています。

JVCケンウッドが視野角水平120度・解像度片目2560x1440ドットの透過型ヘッドマウントディスプレイ発売

外観的な特徴にもなっている本体前面には独自のハーフミラーを採用しており、装着したまま外の様子も確認できます。これにより、遅延のないダイレクトな操作が可能になるとのこと。たとえば、ドライビング/フライトシミュレーターで利用すれば、実際のハンドルや計器類を見ながら操作でき、リアリティーの向上にも繋がります。また、バーチャル映像を見ながらマニュアルを見る、メモを取るなどの行動も行えるため、トレーニング効率の向上も謳っています。

なお、SteamVR Tracking System2.0と互換があり、市販のベースステーション(SteamVR Base Station 2.0)を利用して、トラッキングも行えるとのことです。

(Source:JVCケンウッド(1)(2)Engadget日本版より転載)

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