時間をかけて緩やかに傾いていたFitbit(フィットビット)の形勢をVersa(バーサ)が逆転させた。スマートウォッチへの進出に出遅れたフィットビットは、Ionic(アイオニック)の発売後、ややつまづいた。しかしバーサは、以前からのウェアラブルヘルスケアデバイスのノウハウ、Pebble(ペブル)などの重要な買収、最大の利益が見込める200ドル(約2万1000円)という価格設定を基盤にした、完璧なスイートスポットを捉えた。
実際、バーサの発売以降、Apple(アップル)やSamsung(サムスン)など、他の名だたるスマートウォッチメーカーがフィットビットに続き、手頃な価格で手に入る商品を提供している。この動きは、フィットビットと多くの中国デバイスメーカーが、価格競争を通じてマーケットシェアを獲得したことによって起こった。そのため、競合他社もフィットビットも同じような価格帯の商品で勝負するようになった。そんなときに登場したのがフィットビットのSense(センス)だ。Ionicが消えた時に同社が保留にした、プレミアム価格への回帰である。
Senseの価格は330ドル(約3万4000円)。Apple Watch Series 6(アップルウォッチシリーズ6)やGalaxy Watch 3(ギャラクシーウォッチ3)などと比べると、プレミアム価格の中では低めの設定だ。プレミアム価格市場は、低価格ラインで成功している企業にとって、最も理にかなった策というわけではない。しかし、フィットビットが自らの形勢や従来のソフトウェア、健康指標を拡大させ、得意分野でアップルと正面から勝負したいと考えていることは、おそらく容易に想像できるだろう。
Image Credits: Brian Heater
フィットビットには、市場にさまざまなデバイスをあふれさせてきたという、ちょっとした前歴があるが、全く新しい製品の発表を決めたことは、この時点では意味があることだと思う。現に、フィットビットにとって最悪の選択肢は、Versaに多数の機能を追加して、価格を100ドル(約1万500円)引き上げ、そうすることでいつの間にか一番のセールスポイントの1つを取り除いてしまうことだった(ただし、Versaの価格も220ドル(約2万3000円)に引き上げられた)。
実のところ、SenseとVersa3には多くの共通点がある。 まず、フレームが似ている。この2つの製品は、色のオプションがいくつか異なる以外、見た目はほぼ同じだ。 Senseで採用されたグレーまたはゴールドは、スタイリッシュ感が間違いなくアップしている。ディスプレーの形は同社製品おなじみのスクワークル(スクエアとサークルの間の形)で、ワンサイズのみでの販売になっている。
フィットビットはIonicの扱いにくいウォッチデザインから教訓を得たのではないか。 Senseは、しっくりくる1.58インチディスプレーを採用しており、スクワークルデザインのおかげで、同等の大きさのアップルウォッチよりコンパクトに感じられる。とはいえ、特に幅広いユーザーを引きつけたいSenseのような製品の場合、もっと多くのウォッチサイズがあるに越したことはない。
サムスンやアップルのスマートウォッチとは違い、画面越しに操作するための独立型のダイヤルボタンはついていない。デバイスの側面に感圧ボタンを備えているが、実際にはこれがちょっと厄介だった。手首を動かしているうち、何度もうっかりと作動させてしまっていたのだ。それに正直、操作はだいたいにおいて単純に画面をスワイプするのが一番いい。
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その名前が示すように、フィットビットの現行のスマートウォッチとの最大の違いはやはりセンサーだ。 Senseにはこの点多くの機能がある。Senseも現行製品も、光学式心拍数計測機能、皮膚温度センサー、SpO2(血中酸素飽和度)センサーを備えており、これはアップルウォッチシリーズ6を意識した最大のアップグレードだったかもしれない。しかし、Senseはフィットビット製品では初めてECG(心電図)センサーを採用し、この分野において新しいアップルウォッチのスピードに追いついている。
こういった種類のセンサーについては大抵そうだが、レビューの中で強調して語るのは難しい。 センサー機能が消費者向けデバイスにおいてどんどん一般化してきているため、FDA(米国食品医薬品局)認可は取得しやすくなっているようだ。一方、フィットビットは認可を取得してはいるが、デバイスにおける機能を公開できるのは来月になってからだ。 この機能が使えるようになると、期待通り、センサーから健康状態の計測データが得られるようになる。心拍リズムや日常活動の通知機能もある。
睡眠の追跡に関しては、ここしばらくフィットビットがアップルを上回っている。アップルはwatchOS(ウォッチOS)の最新版で変更を試みているが、追いつくまでにはまだ時間がかかる。たくさんのセンサーは、夜間の睡眠状態の完全なイメージを提供することに大いに役立つ。 アップルが提供しているのは主としてベッドにいる時間や寝ている時間などの情報が中心だが、フィットビットは、レム(急速眼球運動)によって分断された睡眠の質や、浅い睡眠、深い睡眠など、もっと重要な情報を包括的に提供する。SpO2と心拍数も把握できる。 このようなデバイスが睡眠時無呼吸などの追跡に活用されるようになっている昨今、特にSpO2はますます重要な要素になっていくだろう。
睡眠の追跡に重要なもう1つの要素はバッテリーの寿命だ。 これはフィットビットがここしばらく得意としてきたことだ。 Senseのバッテリー寿命は6日間と見積もられている。しかしバッテリーの消費量は、常時表示機能やその他の機能を使用しているかどうかによってかなり変わってくる。実際、機能をオフの状態にしていれば1回の充電で数日間は持った。 率直に言って、これはアップルが公表している18時間と比べた場合、かなりの強みだ。 毎晩ベッドに入る前や朝イチで充電しなければならないのは理想的とは言えない。
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フィットビットがマインドフルネスに焦点を当てていることは評価できる。 我々がそのうちもっと活用していけるものだと考えている。 筆者も大いにその流れに乗っていきたい。現在いくつものスマートウォッチメーカーが、単純な呼吸法を超えたコンセプトを推し進めようとしているが、フィットビットもその1つで、 マインドフルネスタイルが採用されている。同社の製品は搭載されたセンサーを使ってリラクゼーションの度合いを計測する。 正直なところ筆者はこの機能をあまり使っていないが、マインドフルネスの練習を後押ししてくれるものはどれもプラスになる。
Senseのソフトウェアはまだかなり基本的なものだ。 それに、ウォッチフェイスの種類は多いが、アプリの品揃えはいくつかの有名メーカーに比べて後れを取っている。Google(グーグル)による買収が進んだ場合、フィットビットのソフトウェアへのアプローチがどのように変化するか楽しみだ。結局のところ、wearOS(ウェアOS)は以前から利用されていて、何度もアップデートされているが、やはりそれなりの欠点がある。
Senseの強みはフィットビットの強みでもある。健康とフィットネスにフォーカスした強固な基盤だ。 同社には、製品を向上させてきたすばらしい、確かな歴史がある。 しかし、SenseはVersa3よりも多くのセンサーを備えているものの、多くのユーザーにとってその違いは比較的小さなものだろう。そしておそらく100ドル(1万500円)の価格アップを正当化するのは難しいかもしれない。 筆者はこのデバイスの最新バージョンをまだそれほど長く使用していないが、現時点で判断する限り、アップルウォッチに代わるAndroid互換モデルを手頃な価格で求めているユーザーにとっては最適な製品だと思う。
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カテゴリー:ハードウェア
タグ:Fitbit スマートウォッチ
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(翻訳:Dragonfly)