柔軟なレイアウト機能を備えたスライドデッキ制作ツール「Tome」が一般公開

Tome(トウム)の共同設立者、Keith Peiris(キース・ピーリス)氏とHenri Liriani(ヘンリ・リリアニ)氏は、元Instagram(インスタグラム)とFacebook(フェイスブック)のプロダクトリーダーを務めていた。彼らはその独創的なひねりを、忌まわしいスライドデッキに注ぎ込むことにした。

スライドデッキを、より簡単に作れて、より楽しく座って見ていられるものにようにしようと、9Slides(ナインスライズ)やSwipe(スワイプ)、そして最近ではGamma(ガンマ)やPitch(ピッチ)など、多くのスタートアップが長年にわたって挑戦してきたものの、過去30年間、スライドデッキがそれほど改良されていないことは事実だ。

ピーリス氏とリリアニ氏がTomeを作ろうと思った理由は、ステッカーや拡張現実、レイヤーなどを使った表現ツールを作るのに時間を費やしても、それがPowerPoint(パワーポイント)のプレゼンテーションのような分野には反映されるのを見たことがなかったからだ。

また、彼らが見たところ、デザインされたパッケージは見た目の美しさにばかり力が注がれていて、その人が伝えようとしているストーリーにはあまり力が注がれていなかった。

「私にはいつもそれが不満でした。制作者に否応なく素晴らしいストーリーを語らせ、非の打ちどころのないものが出来上がるまで、仕組みにとらわれることがないツールがあればいいのにと思っていたからです」と、ピーリス氏はTechCrunchに語った。「ツールが行動を誘発するのです。Google Slides(グーグル・スライド)やPowerPointを初めて開いた人には、それがまるでデザインツールのように見えます。私たちは、それとは正反対のものを作りたかったのです」。

Tome共同設立者のKeith Peiris氏とHenri Liriani氏 画像クレジット:Tome

Tomeの魔法は、数時間ではなく数分で作れることだと、ピーリス氏は信じている。ユーザーは、デスクトップまたはモバイルのアプリを使って、Figma(フィグマ)のプロトタイプや、スプレッドシート、動画、ツイート、GIFなど、インターネット上のあらゆるものを簡単に埋め込み、これらに3Dモデルや自動的に更新されるライブデータ表を組み合わせることができる。しかも、Tomeのページは追加したいものに合わせて流動的に変化するので、言いたいことややりたいことをページに合わせて調整する必要がない。このようなプロセスの中で、いつでもユーザーはTomeを同僚と共有し、編集やコメントを得ることができる。

Tomeは、米国時間3月23日に一般公開された。それに併せて、同社はGreylock Partners(グレイロック・パートナーズ)とCoatue Management(コーチュー・マネジメント)、およびZoom(ズーム)、Airtable(エアテーブル)、Adobe(アドビ)などの企業の幹部であるエンジェル投資家グループから3230万ドル(約39億1700万円)の資金を調達したことを発表した。

この資金は、昨年12月にGreylockのReid Hoffman(レイド・ホフマン)氏が主導した630万ドル(約7億6400万円)のシードキャピタルと、シリーズA資金調達の2600万ドル(約31億5300万円)を合わせたものだ。追加の資金調達は、より強固なチャネル製品と、モバイル編集・描画機能を開発するために行われた。

ピーリス氏は、Tomeがこれらすべてに取り組み、成功させるための時間とチームを確保したいと考えている。そのため、今回の資金は「製品開発のみ」に使用する計画で、特にモバイルアプリの構築を継続するために使われる。製品の完成度が高まったら、次は市場参入チームにさらに投資するつもりだという。

同社は23日にステルス状態から脱したばかりなので、成長指標について話すことはあまりなかったが、ピーリス氏は「Tomeをたくさん使って、うまくいっているチームがたくさんある」と語っている。

「私たちは皆、大企業で素晴らしいアイディアがあっても、うまく表現できる人がいなかったり、アイディアが適切な方法で構築されていなかったために、失敗する例を見てきました」と、ピーリス氏は続けた。「アイディアをうまくスライドデッキに転換する方法を学ぶ必要があるのです。しかし、私たちはそのような学習や作業をすべて取り除き、どんなアイデアでも楽に伝えることができ、誰もが優れたストーリーテラーになれるようにしたいと考えているのです」。

画像クレジット:Tome
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(文:Christine Hall、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

進化したビデオ会議のmmhmmは半分ジョークの社名でもソフトバンクなどから約110.6億円調達

TechCrunchを頻繁に読んでいる方なら、おそらくmmhmm(ンーフー)という名前のスタートアップをすでにご存知だろう。これは創業者Phil Libin(フィル・リービン)氏のEvernote(エバーノート)に続く第2幕であり、おそらく他のどのスタートアップよりもパンデミックから生まれたといえる企業で、自動バックグラウンド除去や高度なプレゼンテーション機能など、改良されたビデオチャットツールを提供している。Bloombergの報道によると、設立から1年余りの同社は米国時間7月6日、ソフトバンク・ビジョン・ファンド(SVF)が主導した1億ドル(約110億6000万円)の新たな資金投入により、合計資金調達額を約1億4000万ドル(約155億円)まで引き上げた。私のように最初の初期ベータ版を使用した記憶がある人であれば、いささか驚異的なことだ。

くだらない名前のスタートアップが多額の資金を集めるのはテック分野では例外的なことではないが、リービン氏のスタートアップの場合は、名前がほとんどないに等しい(言ってみればただの音、日本語にすると「ふうん」「うんうん」というような感じ)という点で、ボーナスポイントに値する。

mmhmmは、既存のビデオツールでは、特にプレゼンテーションにおいて、現代のテクノロジーが提供するすべての可能性にユーザーがアクセスできないという考えに基づいて設立された。mmhmmの中核となるプレゼンターツールは、あなたの会議を、透明なスライドショーやホワイトボードの書き込みに少し色をつけてデジタル化したものではなく、プロのニュース番組のように見せてくれる。mmhmmは創業以来、頻繁な改良を重ねながら、着実に機能を追加し、パフォーマンスを向上させてきた。

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現在のところmmhmmは、Zoomをはじめとする、ユーザーがバーチャルミーティングに使用する既存のビデオサービスと連動するようになっている。しかしBloombergによると、mmhmmは近々、スタンドアローンのアプリとしても利用できるようになり、モバイルアプリ版も発表される予定だという。これは、SVFやSequoia Capitalなどから調達した新たな資金の有効な活用法といえそうだ。

パンデミック後の世界ではバーチャルミーティングの重要性が低下することが予想されるが、それでも、仕事の世界では欠かせないものになるだろう。しかし同時にmmhmmのフィーチャセットは、ワックスの翼を作って、調達額や評価額を上げようと高く翔ぼうとするスタートアップ企業への訓話として語られる「製品ではなく、機能」というコンセプトを定義しているようにも見える。

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タグ:mmhmmビデオ会議プレゼンテーションオンラインプレゼンテーションソフトバンク・ビジョン・ファンド資金調達

画像クレジット:mmhmm

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(文:Darrell Etherington、翻訳:Aya Nakazato)

ビデオ会議ソフトmmhmmが夏に向かって大量の新機能を発表

Phil Libin(フィル・リービン)氏とAll Turtlesが開発したコミュニケーションプラットフォームmmhmmに、さまざまな新機能が加わる。現在のビデオコミュニケーションは、リアルの世界のさまざな要素を表すだけでなく、それらを超えている部分もあるとリービン氏はいう。

その超えている部分を、mmhmmの新バージョンは提供するつもりだ。

目玉機能であるmmhmm Chunkyでは、プレゼンターが自分のスクリプトとプレゼンテーションを複数の塊、すなわち「chunk(チャンク)」に分割できる。プレゼンターを、スライドデッキに収まっている複数のスライドと考えるとよい。1つ1つのチャンクは完全にエディットでき、細部を仕上げることもできる。mmhmmのユーザーは、自分のプレゼンテーションを複数のチャンクに分割し、そのそれぞれの情報を完成できる。

プレゼンターはプレゼンテーションの間に、ライブと録画済みのチャンクを切り替えることができる。たとえば売り込みを行っているセールスマンなら、口頭で価格を言った後に、動画でその詳しい説明をするといいかもしれない。教師は授業の内容をライブで話しながら、ときどき個々の話題に関する動画を見せるといいだろう。

しかもmmhmmは、コンテンツを作る側だけでなく、それを消費する側のことも考えている。オーディエンスは、いろいろなチャンクやスライドを行き来して話を良く理解したり、あるいは早送りで時間を節約することもできる。プレゼンターは、プレゼンしているときやその後で、オーディエンスが今どこにいるかわかる。

リービン氏はこの機能を、時間をスーパーチャージする方法だと考えている。

「mmhmmでは、完全に分散したチームの同期アップデートをやめました。効率が悪いので、それぞれが自分の番がきたら話すという効率が悪いミーティングを行う必要はありません。チームは簡単なプレゼンテーションを送信するだけで、私はそれを倍速で見ることができます。なぜなら、人は話すより聞く方が速いからです。それを同時に行う必要はありません。重要なことをライブでやりとりするときだけにしています」とリービン氏はいう。

mmhmmは、同社独自のビデオプレイヤーを開発したことも発表した。それによりユーザーは、自分のmmhmmでのプレゼンを、どんなウェブサイトにもストリーミングすることができるようになる。なおmmhmmは従来どおり、ZoomやGoogle Meetなどと同時に使える。

新機能のリストにはCopilotのアップデートもある。Copilotでは、ある人がプレゼンをして、別の人がバックグラウンドからの別のプレゼンを「操作」したり「アートディレクション」したりできる。Copilot 2.0では、その2人が横並びして、好きな環境でビデオチャットできる。

リービン氏が披露してくれたプレゼンテーション、会話では、相手もリービン氏の家にいるような感じになる。この機能は1対1の会話に適しており、特に炉辺談話のような大勢のオーディエンスが前にいるときの1対1会話に最適だとリービン氏は説明してくれた。

mmhmm ChunkyとストリーミングとCopilot 2.0などに加えて、同社は構成をすっきりさせるための春の大掃除も行った。まず、ユーザーはPresentation Libraryで自分のベストテイクを保存してまとめることができ、「Loaf」を使ってすべてのベストビデオとプレゼンテーションを後日の全社的利用のために保存できる。また改良されたPresetsでは、多くのスライドや、プリセットとプリセットの間に、一度にプリセットを適用するのが容易になった。

他にも、mmhmmのiOSアプリとAndroidアプリがもうすぐ登場する。Windows版は、ベータを終了した。

リービン氏の説明では、発表した新機能やアップデートがすべてすぐ利用可能になるわけではない。夏になるまで、毎週少しずつ出てくるという。キーノートは、ここで行われた(日本時間5月28日午前2時)。

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タグ:mmhmmビデオ会議プレゼンテーションオンラインプレゼンテーション

画像クレジット:mmhmm

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(文:Jordan Crook、翻訳:Hiroshi Iwatani)

プレゼンソフトmmhmmが使用量ベースの企業アカウントとWindows用ベータ版を発表

ビデオチャット上での自分の見た目をカスタマイズできるソフトウェアmmhmm(ンーフー)は、米国時間4月1日、使用量ベースの企業アカウントを導入することを発表した。

TechCrunchとのインタビューの中で、創業者でCEOのPhil Libin(フィル・ルービン)氏は、mmhmmには同じ会社から登録しているユーザーが何百人もいると語り、これは自然な進化だと述べた。

「企業アカウントに対する大きな需要があることは明らかでした」とルービン氏はいう。「できるだけ簡単にするための中央集中管理だけでなく、すべてをブランドイメージに合わせるためにも必要なのです。いまでは、あらゆる種類の企業や組織が、ビデオはビジネスのやり方の永続的な一部であり、ブランドイメージに沿ったものでなければならないと認識しています」。

企業アカウントの価格は、個人のProアカウントと同額の、月額10ドル(約1106円)または年額100ドル(約1万1060円)だ。とはいえ、組織が企業アカウントを契約した場合には、契約数を気にすることなく、月毎にmmhmmにアクティブだったユーザー数分だけの支払いをすれば良い。

また、企業アカウントでは、mmhmm専用に作られたデザインシステム資産を共有して、ルービン氏がいうところの「ブランドイメージの維持」を行うことができる。また、企業アカウントを採用することで、従業員のアカウントを一括管理したり、リンクで招待したり、メールドメインを制限したり、請求書を一本化したりすることができる。

ルービン氏はまた、事業の財務状況についても簡単に説明をしてくれた。まだ判断するには早いが、Proアカウントへの転換率は、ルービン氏の以前のベンチャー企業の1つであるEvernote(エバーノート)を上回っているという。

また、mmhmmやEvernoteのようなフリーミアムツールでは、ユーザーがプレミアムにアップグレードする可能性は、プラットフォームを利用する月数が長くなればなるほど高まるという。Evernoteの場合、プレミアムへの転換率は、最初の1ヵ月では0.5%、1年目の終わりには5%、そして2年が過ぎるときには12%にまで跳ね上がったという。

もちろん、mmhmmは24カ月分のデータは持っていない。とはいえ、この製品はEvernoteの10倍の成果を上げている。

だが、ルービン氏によれば、収益は焦点ではないという。それよりも、カジュアルユーザーが簡単に導入できるようにすること、そして、ユーザーがこのプラットフォームで何ができるのかを本当に理解してもらうことを重視しているのだ。その精神から、人びとが機能を十分に理解できるように、mmhmmはプラットフォーム上で新しいインタラクティブなチュートリアルビデオを提供し始めた。

mmhmmは、2020年の夏にクローズドベータとして初めて登場し、2020年11月にはMacユーザーに一般開放された。企業版のリリースと同時に、mmhmmはWindows(ウインドウズ)版のオープンベータを開始する。

ルービン氏は、mmhmmが成長ステージにあるといい、そして5つの会社を立ち上げた経験から、最大の課題は人材の確保であると語った。

リービン氏は「これまでにも、このような超成長ステージに入ったスタートアップ企業に参加したことがあります」という。「現在のステージで一番大変なのは、人を採用すること、人が燃え尽きないようにすること、そしてキャリア開発を行うことです。これは私にとって5つ目のスタートアップなので、いくつかの学習行動を説明しながら、過去の失敗から得た教訓を応用しようとしています。どうなるかはこの先わかります」。

カテゴリー:ソフトウェア
タグ:mmhmmリモートワークプレゼンテーションオンラインプレゼンテーション

画像クレジット:mmhmm

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(文:Jordan Crook、翻訳:sako)