キャンセルしたい宿泊予約を売買できる「Cansell」、出品可能エリアを世界5カ国に拡大

やむを得ずキャンセルするホテル予約を売買できるサービス「Cansell」を提供するCansellは3月27日、これまで国内限定だった出品エリアを海外にも拡大する。今回のリニューアルで世界150万軒以上の海外ホテルの比較検索が可能になるほか、日本、アメリカ、オーストラリア、シンガポール、カナダの計5カ国のホテル予約を出品可能になった。

2016年9月にローンチしたCansellは、ホテルを予約したあと何らかの理由でキャンセルしなければならないホテル予約(ホテルの宿泊権)を第三者と売買できるサービスだ。売買が成立すれば、売却側はホテルのキャンセル料を削減でき、買う側は通常よりも安く宿泊することができる。なお、Cansellでの出品希望の予約には必ず審査が入り、予約したときの値段よりも高くは売れないなどの制限を設けて高額転売を排除する仕組みが取り入れられている。

Cansellは今後も出品可能エリアを拡大し、2019年内に出品可能エリアを世界20カ国まで増やしていく予定だという。また、同時にサービスの多言語化も進めていきたいとしている。

ツアーのホテル分だけ販売可 ― 日本の「Cansell」に新機能

やむを得ずキャンセルしなければならないホテルの宿泊権利を第三者に販売できるのが、日本のスタートアップCansellが提供する「Cansell」だ。同社については、これまでにもTechCrunch Japanで取り上げてきた。

Cansellに宿泊権利を出品したユーザーは販売代金によってキャンセル代の穴埋めができ、購入者は通常よりお値打ちな値段でホテルに宿泊することができる。また、ホテル側も通常の宿泊料金を受け取れるという仕組みになっている。

そのCansellは3月15日、「パッケージツアー」に含まれる宿泊権利の出品も可能にすると発表した。同時に、3月9日付けで旅行業を営む認可を取得したことを明らかにした。

ここで言うところのパッケージツアーとは、ホテルなどへの「宿泊」と、飛行機などの「移動手段」が最初からセットになっている旅行のことを指す。そして、今後Cansellはこの宿泊権利の取り扱いも開始するという。

でも、正直これだけ聞くと「ツアーで買ってわざわざホテルだけ出品する人なんているの?」と思ってしまう。

しかし、Cansell代表の山下恭平氏は、この新機能はユーザーからの声を取り入れたことにより生まれたものだと話す。「実際にユーザーから『パッケージで買ったホテルの宿泊権利を出品したい』という声があった。ただ、Cansellには転売目的での出品は受け入れないという方針がある。そのため、これまではホテルの『定価』が明確ではないという理由で出品をお断りしてきた。ただ、転売目的の出品対策さえ整えれば、誰も損をしないビジネスの構図を保つことができると考え、出品の受け入れを開始することに決めました」。

転売目的での出品を防ぐため、Cansellでは宿泊日から起算して21日以前の権利の出品は受け付けない方針だ。ツアーパッケージの場合、キャンセル料が発生するのはチェックインまで20日を切ったものに限られるからだという。また、従来と同じく市場価格以上での値付けは禁止するそうだ。

とはいえ、この新機能において転売目的の出品を規制するのは非常に難しいと思う。既存のサービスの場合、Cansellを利用するのは何らかの理由で旅行に行けなくなった人たちが想定されていた。しかし、今回の新機能の登場によって「(航空券はあるから)旅行には行くが、なんらかの理由でホテルだけ変えたい人々」も想定ユーザーに含まれている。だからこそ、転売を目的とするユーザーも増えそうだ。

例えば、元々ツアーで予約していたホテルよりも安く宿泊できるホテルを見つけた場合、Cansellで権利を販売することができればその差額分ユーザーが「得」をする(たとえ「定価」以下で売ったとしても、それ以上に安いホテルが見つかれば同じことが言える)。航空券もツアーの方が安いから、それだけでも「おいしい」話だ。

僕みたいに「安いホテルでもいい」と割り切っているユーザーにとっては、初めから権利を売却するつもりでツアーに申し込む人も出てくるだろう。現実的に考えれば、ユーザーが得をする以上、プラットフォームが活発になればなるほど利益を出そうとするユーザーも増えるはずだ。

そのため、新機能を追加してもなお「転売目的としてプラットフォームではない」という山下氏の主張がどこまで有効なのかについては少し疑問が残る。

ただ、今回Cansellが生み出したのはまったく新しい市場だ。転売目的の売買を防ぎ、値段が無駄に釣り上がってしまうことを防ぐことさえできれば、今まで世の中に存在しなかった便益をユーザーに与えることができる。個人的には、この新しいマーケットはすごく面白いと思っている。

同社は2017年1月、DGインキュベーションなどから約4000万円を調達した。サービスのプレビュー版が公開されたのは2016年9月のことだ。その後の進捗状況について山下氏は、「プレビュー版の時点で百数十件と、出品数は少しづつ伸びてきているが、成約率がまだ20%程度と低い。買い側のトラフィックが足りていないことが原因で、ここは今後の課題だ。PRやマーケティング戦略に注力していきたい」と話している。

今やGoogle Flightsは、フライト運賃が値上がりする日も予想して教えてくれる

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Googleが提供する航空運賃検索のGoogle Flightsは、既に低コストのチケットを探すための様々な機能を提供しているが、今日また1つの機能を追加した:特定のフライトに対していつその価格が上がることが予想されるかを教えてくれる機能だ。これを使えばチケットが更に高くなる前に予約を行うことができる。また、同時にGoogleは、複数の選択肢のなかから最安値のチケットを購入する際に役立つその他のヒントも登場したと発表した。これに加えて、Google Hotelもアップグレードされていて、こちらもお得な取引を行いやすくすることに力を注いでいる。

これまでGoogle Flightsは、航空会社の変動する運賃を知るためのツールを提供してきた、例えば運賃のカレンダーや、いつ旅行をしたいかによって安い行き先を検索してくれる、といったものだ。また、追跡しているフライトの運賃が変わったら警告をするという機能も備えていた。

今度の新バージョンでは、こうした機能がさらに改善されている、現在の運賃がいつごろ変わりそうかを予想して通知してくれることで、すぐに予約したら幾ら位節約することができるかがわかるのだ。

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まだ特定のフライトを選択していなくて、目的地だけは意識している場合には、Google Flightsが最適なルートを選ぶためのヒントを表示してくれる。例えば、お金を節約するための代替の空港や日程をお勧めしたり、これまでの実績に基いて、いつ頃幾ら位運賃が上がることが予想できるかを教えてくれといったことだ。

Google Flightsはまた、フライトもしくはルートの価格が変わろうとする際に、警告の通知メールを送ることもできる。

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この新しい通知機能は「あと数週間」で展開される、とGoogleは述べている。

こうした機能は、GoogleをトラベルスタートアップのHopperとの直接的な競争に晒すものだ。Hopperは旅行者がいつフライトすべきかを決める際に、良い手助けをしてくれるアプリケーションを提供している。Hopperの使いやすいインターフェイスを使えば、様々な方法で安価な旅行日やフライトを探すことができる、例えば過去の運賃履歴や価格低下の追跡、そしてどうすれば節約できるかの提案を提示したり、といった具合だ。同社は 今年、1600万ドルの追加資金調達を行い、さらなる国外展開を目指している。

Hopperはモバイル専用のサービスだが、Google Flightsはデスクトップへの注力から始まっている。本日、Googleの発表によれば、同機能はモバイルにより最適化され、携帯電話の上でも保存したフライトを追跡したり管理したりすることが可能になった。

そして、今やアプリには行きたい目的地を絞り込みやすくする「Explore(調べる)」タブが追加された。たとえばもしカリブ海のどこかに行きたいと思っているなら、直行便で行ける目的地だけに絞り込むことができるだろう。

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フライト検索エンジンに対するこれらのすべての変更に伴い、Googleはまた、検索者が最高のお得な情報を見つけることを手助けする多くの機能を、ホテル検索に追加している。

以前は、Googleはこれまでの価格を下回ったものか、ディスカウントが可能なものにラベルを付けていた、しかし今や「deals(お得)」機能をトグルすることで、そうした情報だけを視ることができる。

サービスは現在、ホテルのウェブサイトにおける会員メンバーに提供される割引情報についても通知すると、Googleは述べている。

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これらのアップデートは、当然のことながら、ホリディシーズンの前に行われる、そしてこれらは、Googleが旅行市場で自身に最適な場所を見出す方法の1つだ。同社はまた、最近パーソナライズされたモバイル旅行ガイドであるGoogle Tripsを開始し、 旅行先選択のヒントを与えるGoogle Destinationsをデスクトップに拡大し、世界中のユーザーにも届けようとしている。

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(翻訳:Sako)

ホテルや旅館に最適なプライシングを提案「MagicPrice」の空が数千万円を調達

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需要と供給のバランスで価格は変動するのが市場の仕組みだ。インターネットのおかげで価格の変動は捉えやすくなったが、大量のデータを比較検討して価格を決めるのは、それはそれで難しい。リクルートホールディングスが運営する渋谷のオープンイノベーションスペース「TECH LAB PAAK」発のが手がける「MagicPrice」は、ホテルや旅館などの宿泊施設に自動で最適な宿泊料金を提案するサービスだ。空は本日、500 Startups Japan、Incubate Fund、千葉功太郎氏から数千万円規模の資金調達を発表した。「MagicPrice」は先週末からベータ版をリリースし、サービスの参加施設を募集している。

MagicPriceの利用を開始するには、ホテルはまず施設名や所在地などの情報を入力して登録を行う。MagicPriceのダッシュボードから宿泊施設が提供している客室の種類と総客室数の設定を行い、過去の宿泊料金のデータをアップロードを完了すると、MagicPriceが価格の解析を始める。MagicPriceは過去データだけでなく、宿泊施設の所在地の付近に存在する他のホテルの料金などを合わせて解析することで最適な料金を算出する仕組みだ。部屋の種類別に最適価格がダッシュボードのカレンダー上に反映される。カレンダー上部にある青と白の印は日ごとの予約状況(青いライン)と予約のポテンシャルの予測(白色)を表示している。MagicPriceには機械学習が搭載されていて、使うほどに価格算出の精度が増していくという。

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多くのホテルでは担当者がエクセルなどを使って、手作業で宿泊料金を管理していると空の代表取締役である松村大貴氏は説明する。価格決めに関して参照している情報も少なく、担当者の長年の経験と勘に頼っている状態なのだそうだ。MagicPriceは、アルゴリズムで大量の過去データと周辺地域の情報を解析することで、その宿泊施設にとって最適な価格を提案し、価格のミスマッチによる機会損失を減すことを目指している。

また、宿泊施設は予約を受け付けるのに自社サイトを始め、オフラインやオンラインの旅行代理店を複数利用している場合が多い。担当者は各サイトの価格を手動で変更したり、あるいは旅行業界でサイトコントローラーと呼ばれる、複数の予約サイトを一括で管理できるサービスを使用しているがそれでも価格の変更には手間がかかる。MagicPriceのベータ版は、最適価格を提示するに留まるが、年内にローンチ予定の正式版では、そうした複数の予約サイトに自動で最適価格を反映する機能を提供すると松村氏は言う。今後は解析する情報も増やし、最適料金を算出するアルゴリズムの精度も高めたい考えだ。例えば、近くで行われるイベントなど、需要と直結する情報などを読み込んで解析することを視野に入れているという。

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松村氏は起業するにあたり、いくつものビジネスプランを考え、このプラシング最適化のサービスに辿り着いたという。プライシング事業に着目したのは、ビジネスにとって価格を変更することはコストがかからない上、ビジネスへの影響が大きく、そこにポテンシャルを感じたからだそうだ。中でも旅行業界を選んだのは、売り手も買い手も価格変動に慣れ親しんでいる業界であること、そしてヒアリングをしていくうちにテクノロジーの活用が進んでいないことが分かったからと話す。「旅行メディアは増えましたが、旅行業界のためのテクノロジーは少ないのが現状です」と松村氏は話し、旅行業界で多く発生している手作業を自動化することを考えたという。また、松村氏はもともとアドテクの会社に勤めていた経験があり、MagicPriceで目指すのはウェブ広告に近いサービスのあり方だという。例えば、GoogleやFacebookのウェブ広告ではユーザーが予算や目標額だけを設定するだけで、個別にどこに何を出稿するかを選ぶ必要はない。自動で出稿が行われ、ユーザーは結果だけを確認すれば良い。そのように広告業界で当たり前にできていることを、旅行業界でもできるようにしたいと話す。MagicPriceの目標は、担当者の最適な価格決めをサポートすることではなく、全自動で宿泊施設にとっても旅行者にとっても嬉しい価格の決定から運用まで行うようになることだという。

今回の資金調達では人員強化に充てるという。先週末からMagicPriceのベータ版を無料で宿泊施設に提供しているが、直近は参加ホテルを募り、フィードバックを得てサービスを改善していくことに注力すると話す。まずは宿泊料金でサービスの実用性を証明し、ゆくゆくは航空券、イベント、レジャーなどプライシングが重要となる業界にも展開していきたいと話す。

今回の資金調達は、リード投資家を務める500 Startupsにとって自社で設計したシードステージの投資契約書「J-KISS」を用いた初の投資案件だという。「J-KISS」は、シードステージのスタートアップの資金調達の時間とコストを節約するための投資契約書で、交渉すべき条件を最小限に抑えている。松村氏は今回の「J-KISS」を利用した資金調達について「初期の段階で評価額の議論をせずにすみ、すぐにお金を入れて、プロダクトを作り始めることができるスキームです。スタートアップにとっては有難いスキームで、もっと広まれば日本市場にとっても良い影響があると思います」と話している。また、今回の資金調達に参加しているコロプラ、共同創業者兼取締役の千葉功太郎氏は、今年3月に開催され、空も登場したTECH LAB PAAKのデモデーで審査員を務めたのをきっかけに出資を決めたという話だ。このデモデーで空は「コロプラ賞」と「オーディエンス賞」を受賞している。シードステージでの資金調達を短縮する投資契約書が使われ始めたこと、そしてデモデーが起業家と投資家の出会いを促進する役割を果たしてきていることは、新しいアイディアやイノベーションが育つ土壌が徐々に整ってきていることを象徴していると言えそうだ。