ヤマトが国際興業と埼玉初の客貨混載運行を飯能でスタート

宅配大手のヤマト運輸は2月25日、東京北部・埼玉南部で路線バスを運行している国際興業バスと共同で、客貨混載運行を開始することを明らかにした。

具体的には、埼玉県飯能市のヤマトの飯能支店から片道約30kmの地点にある名栗地区と、片道約10kmの地点にある中藤・原市場地区の顧客に対し、路線バスによる荷物運送を開始する。従来、当日午後到着ぶんの宅急便を配達するには、名栗地区では1台、中藤・原市場地区では2台のトラックが飯能支店へ荷物を取りに行く必要があったが、客貨混載により計3台のトラックの運行を止めることが可能になる。

実際の流れは、ヤマトが名栗地区、中藤・原市場地区の顧客に配達する宅急便を国際興業の飯能営業所に持ち込み、路線バスに積み込む。路線バスは乗客と荷物を乗せて飯能駅から運行を開始し、「尾長入口」「上赤沢」のバス停で、ヤマトの地区担当セールスドライバーに宅急便を引き渡す。セールスドライバーは引き渡された荷物を指定の住所に配送するというかたちだ。

ヤマトでは、トラックの運行を減らすことで二酸化炭素の排出量を削減できるだけでなく、セールスドライバーの労働時間削減にもつながる。一方で国際興業は、宅急便の輸送が新たな収入源となる。両社は今後も、高齢化や過疎化が進む地域等における課題解決と地域活性化に取り組んでいくとのこと。

なお今回の事例は埼玉県では初の試みとなるが、ヤマトではすでに全国16都道府県(京都、岩手、宮崎、北海道、熊本、兵庫、愛知、長野、奈良、和歌山、徳島、岐阜、大分、福井、群馬、東京)で運用中だ。

郊外の路線バスは赤字で運営会社の経営を圧迫しているケースも多い。便数の削減や停留所の廃止などでコスト削減を進めている会社もあるが、大都市に人口が集中して地域が過疎化すると乗客の絶対数が少なくなり、運賃収入だけでは事業を継続できなくなることは明らかだ。ヤマトの客貨混載の取り組みは、地方のバス路線維持、高齢者の足の確保という点でも重要な施策と言える。

なお都内を中心にタクシー事業を展開する日本交通や、同社をはじめ全国のさまざまなタクシー会社の配車手配をスマートフォンアプリで可能にするJapanTaxiも、客貨混載運行の施策をめる計画を持っている。議論や法整備が進めば地域のタクシー会社のドライバーが営業所からのラストワンマイルを担うセールスドライバーを兼務するかもしれない。

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メルカリがオープンロジと「あとよろメルカリ便」を開始、ヤマトと無人配送拠点「メルカリポスト」を設置

メルカリは2月20日、事業戦略などを説明する同社初の事業戦略発表会「Mercari Conference 2020」を開催した。メルカリ初のリアル店舗「メルカリステーション」をマルイとの協業で新宿マルイ本館にオープンすることを発表したが、それに続いて2つの大きな発表もあった。

その1つが、オープンロジと連携した「あとよろメルカリ便」。メルカリに出品した売れる前の商品の保管、売れた後の梱包・発送をすべて任せられるというサービスだ。

さらにヤマト運輸との連携で無人配送拠点「メルカリポスト」を設置することも発表した。これはメルカリで売れた商品を投函するだけで発送できる無人投函ボックスで、今夏よりコンビニなどに設置される予定だ。なお初の実機が設置されるのは、メルカリ初のリアル店舗「メルカリステーション」をマルイとの協業で新宿マルイ本館となる。

ヤマト運輸ではそのほか、「大型らくらくメルカリ便」を近日中にリニューアルし、発送できるサイズを拡充、非対面発送などの発送・受け取り方法の最適化、伝票レスなどを進めていくという。

「AND MORE」としてパナソニックとの連携も発表された。共同開発を進めるのは、ヤマトと連携して展開するメルカリポストの進化版「メルカリポストプラス」だ。メルカリポストプラスは、自動採寸や顔分析(デモモードとして提供予定)、無人レジ、無人発送投函などの機能を備えるワンストップの端末となる。

バイオロギングと機械学習で猫の行動を記録するCatlogの発送開始、ラストワンマイルも猫

RABOは9月24日、猫の行動を24時間記録できる首輪型IoTデバイス「Catlog」(キャトログ)の発送を開始した。本日からクラウドファンディングサイトのMakuakeで先行予約を申し込んだ支援者に向けて順次発送される。

さらに、オフィシャルストアにて数量限定での一般販売も開始した。価格は税別1万4800円。なお、Catlogを利用するにはiOS用の専用アプリのダウンロードが必要になる。現在のところAndroidには非対応だ。RABOは、2018年2月22日(猫の日)に設立された「家族として愛される幸せな動物を増やす」をミッションに掲げたハードウェアスタートアップ。

Catlogの発送はすべてヤマト運輸が担当し、専用の宅急便コンパクトパッケージで届く。このパッケージは、黒猫の親子を企業ロゴに掲げるヤマト運輸とRABOとのコラボレーションによって実現した。

Catlog自体の包装箱は、指輪ケースを模した八角形の箱だ。

Catlogは、バイオロギング解析技術および機械学習を用いた処理により、猫の活動データを24時間記録できるのが特徴。歩く、走るはもちろん、睡眠や休息、ごはんなどの行動を外出先からiPhoneで確認できる。後述する有料プランに加入すれば、家族や獣医、キャットシッターとアカウントを共有して猫の状態を複数人で見守ることも可能だ。将来的には、ほかの猫との比較などの機能も搭載される予定のこと。

製品自体は、加速度センサーを内蔵した首輪型デバイス「Catlog Pendant」と、Wi-Fi接続機能や室温センサーを内蔵したホームステーション「Catlog Home」で構成されている。

今回完成した初期バージョンは、猫の行動のうち「ごはん」「睡眠」「歩く」「走る」「運動」を検知できる。今後データが蓄積されてきたらこれらの行動の精度が高まるほか、「水飲み」「ジャンプ」「嘔吐」「トイレ」などの行動も順次検知できるように改良していく予定とのこと。

アプリの猫タイムライン画面では、直近の状態のほか、前回の食事の時間、運動量(時間)、睡眠量(時間)などを参照できる。猫日誌画面では、前日までの猫の1日の行動履歴を参照可能だ。グラフ表示も可能なので、食事の回数や睡眠時間などの変化に気付きやすい。

RABOでは、Catlogのサブスクリプションサービスも用意しており、直近の猫の状態を参照できる無料の「プチみまもりプラン」のほか、飼い主や行動ラベルを追加できる月額380円の「みまもりプラン」、猫の過去から現在までの状態を無制限で参照できるうえ、みまもりプランの機能に加えて他猫比較機能も利用可能な月額580円の「猫バカプラン」もある。

宅配×自動運転の実現に向け、DeNAとヤマト運輸が「ロボネコヤマト」プロジェクトの実験を開始

日本でも、自動運転技術の実用化に向けた動きがいくつか始まっている。ソフトバンクとヤフーは自動運転バスの実用化を目指して準備を進めているし、DeNAはフランスのEasyMile社が開発した自動運転バスを使って、幕張のイオンモールでシャトルバスの運行を始めている

そして4月17日、DeNAの新たな自動運転プロジェクトの実用実験が始まった。ヤマト運輸と共同で2016年7月から進められてきた「ロボネコヤマト」プロジェクトでは、自動運転社会の“新しい荷物の受け取り方”を検証するため、国家戦略特区である神奈川県藤沢市の一部のエリアを対象に、2つのサービスを開始する。

 提供されるのはオンデマンド配送サービス「ロボネコデリバリー」と、買い物代行サービス「ロボネコストア」の2サービスで、実用実験の期間は2018年3月末までの約1年間だ。実験では、車内に宅配ボックスのような保管ボックスを設置した、専用の電気自動車をサービスに使用する。

ロボネコデリバリーは届け先を自宅だけでなく、対象エリア内の駅や会社、公園やカフェなどにも指定できて、配送時間を10分刻みで選択できるオンデマンド配送サービス。荷物の到着直前にスマートフォンなどに自動音声で到着を通知してくれる。指定場所に到着した荷物は、車内の保管ボックスを二次元コードか暗証番号で開け、顧客が自分で取り出すしくみだ。配送対応時間は通常の宅急便と同じ8時〜21時で、対象エリアに居住する「クロネコメンバーズ」会員であれば、特別な料金は不要で利用することができる。

二次元コードをかざすか、暗証番号でボックスを開ける

もう1つのサービスであるロボネコストアは、対象エリア近辺のスーパーや商店の商品をインターネットの仮想モールで購入すると、まとめて運んでもらうことができる買い物代行サービス。ロボネコデリバリーと同様に、指定場所・時間に到着した荷物は顧客が自分で取り出す。冷蔵・冷凍品にも対応しており、加盟店舗の営業時間に応じて最大8時〜21時の間で配達してくれる。実用実験期間中は注文1回で3000円以上の購入なら利用料は無料、3000円未満の場合は324円の利用料がかかる(金額は全て税込)。商店は本鵠沼商店街、鵠沼海岸商店街、プチモールひがし海岸などの商店街を中心とした約20店舗が対象となる予定だ。

DeNAとヤマト運輸では、ロボネコヤマトプロジェクトについて「物流と最先端ITとの融合でもっと自由な生活スタイルを実現する」ものと説明。「自由な生活スタイルを実現するサービスとは、『自動運転技術』と『自動運転技術を活用したサービス』の双方の発展と実現」であるとしている。また「多様化するニーズに減少していくと思われる労働力で対応するには、新しいテクノロジーが必須である」と自動運転技術を活用したサービスの狙いについて述べている。

自動運転社会における物流サービスのあり方を想定した実験ではあるが、原則としてドライバーによる有人運転を実施。ただしドライバーは荷物の発送・受け取りには関与せず、セルフサービスでの荷物受け取り体験にともなう顧客の要望などを集めていくという。また2018年をめどに、一部の配送区間での自動運転導入も予定しているそうだ。