編集部注: 本稿はFounder Collectiveのマネージング・パートナーであるEric PaleyとJoseph Flahertyによって執筆された。
ベンチャー・キャピタルは劇薬だ。適切に利用すれば、過去50年間そうであったように、素晴らしい企業を元気づけるアドレナリンのような働きをしてくれる。不適切に利用すれば、有害な依存症を引き起こす。
スタートアップのコミュニティに浸透している社会通念とは、素晴らしい企業がより大きな資本を活用することで成長を加速させることができるというものだ。しかし、この「どでかくやるか、家で寝てるか」というアプローチは、緻密な調査にも耐えうることができるのだろうか?すべてが理想的に進んだ場合、VCマネーを豊富に蓄えた企業は限られた資本を効率的に使う企業よりも本当にパフォーマンスが優れているのだろうか?その答えを見つけるため、私たちは過去5年間に新規上場した71社のテック系スタートアップを対象に調査を実施した。
「Efficient Entrepreneurship」
Founder Collectiveでは、「効率的アントレプレナーシップ(Efficient Entrepreneurship)」と呼ばれる美徳について話し合ってきた。最近、私たちはスタートアップが豊富な資本を抱えることのデメリットを伝えるレポートを発行している。そのデメリットには、エグジットの選択肢が制限されることや、不安定なバーンレートを引き起こす危険性などが含まれる。しかし、積極的な資金調達の良い面として考えられるのは何だろうか?VCの成功例を調べることで、多額の資金調達をすることの意義について私たちは何を学べるのだろうか?
調査結果は驚くべきものだった。過去5年間のテック系スアートアップのIPO事例を調べることで分かったのは、IPO以前のパフォーマンスを比べてみても「富める者(豊富な資本をもつ企業)」が「貧しき者(限られた資本しかもたない企業)」をアウトパフォームすることはなかった。それどころか、IPO後のパフォーマンスを見てみると実際には富める者のパフォーマンスの方が悪かったのだ。
巨額の資金調達は「ユニコーン企業」という称号を受け取るための必要条件だ。しかし、テクノロジー業界の成功例を調べてみると、豊富な軍資金が成功と正の相関を持つわけではないことが分かる。
公開株式市場で取引されているスタートアップの上位20社(現時点の時価総額が高い順に選出)を見てみると、合計で1億ドル前後の資金を調達した企業は14社だった。5000万ドル以下を調達したのは6社であり、そのうちの1社は資金調達を行ってすらいない。非上場のユニコーン企業が調達した金額の中央値が2億8400万ドルであることを考えれば、この数字は驚くべきものだ。
調査手法
スタートアップのパフォーマンス計測は厄介な作業だ。当然のことながら、レーターステージの企業は情報をあまり開示していない。企業が買収されていた場合、より厄介なことに実際の買収金額が不明瞭になるように考慮されていることが多い。IPO市場のデータは他に入手可能な数字のなかでも最も透明性の高い価値尺度である。不完全なデータではあるが、そこから学べることは多い。例外はあるものの、ベンチャー・キャピタルが獲得する成果の大部分はIPOから生まれるリターンなのだ。過去5年間のIPOとベンチャー・キャピタルとの関係性を調べることで、優秀な企業に多額の出資をすることが良いリターンを生むのかどうか調べることができる。
データ
- 調査対象である71社の資金調達額の合計は102億ドル。
- 71社合計の時価総額は5660億ドル。つまり、総投資金額の55倍。
- 71社合計の調達金額の平均は1億4400万ドル、時価総額の平均は79億ドル。
- 71社合計の調達金額の中央値は7900万ドル、時価総額の中央値は18億ドル。
Facebookを除外する
この世にFacebookという会社は1社しかなく、その1社がもつ数字が極端な異常値であることを理由に、私たちはFacebookを本調査から除外することにした。Facebookを除外した後も統計結果は以前として素晴らしいものであるが、たった1つの企業がこれほどまでに全体のデータを歪めていたことには驚かされるばかりだ。
- 調査対象の70社の資金調達額の合計は96億ドル。
- 70社合計の時価総額は2020億ドル。つまり、総投資金額の21倍。
- 71社合計の調達金額の平均は1億3700万ドル、時価総額の平均は28億ドル。
- 71社合計の調達金額の中央値は7900万ドル、時価総額の中央値は18億ドル。
調査対象
本調査の対象となる企業は、2011年から2015年のあいだに新規上場をした企業とする。5年以上さかのぼった調査結果も興味深い物ではあるが、非公開企業が前代未聞の資金額を調達する「ユニコーン企業の時代」と呼ばれた時代に焦点をあてて調査することで、そこから私たちが学べることも多いだろう。また、本調査では2000年以前に創立された企業(GoDaddy、FirstDataなど)、通常とは違った資金調達方法をとってきた企業(Match Group、RetailMeNot)、欧米とはまったく異なる金融市場をもつアジア諸国、およびロシアの企業を除外している。71社を対象とした調査結果のデータセットはここで公開している。いくつかの例外を除き、データの大部分はCrunchbaseから取得している。
レーターステージのプライベート・エクイティ、セカンダリー・オファリング、借入金に関しては、スプレッドシート上には掲載しているが調査結果の計算からは除外している。また、私たちはIPOによって調達した資金にはあまり注目していない。その資金はベンチャー・キャピタルゲームの終点であり、企業の規模がその調達額の大小を決める最も大きなファクターであるからだ。できる限りの注意を払ってデータを集めてきたものの、データセットには以前として不完全な部分は残っている。データセットへのフィードバックは大歓迎であり、それがデータセットを公開している理由だ。
「Big VC」にとってのベスト・シナリオ
データを見てみると、「どでかくやるか、家で寝てるか」というアプローチは特に投資家サイドにとっては機能しているように思われる。多額の資金を調達した企業群は、ドルベースで見れば確かに大きなリターンを生み出している。調達額の上位20社は合計で67億ドルをVCから調達し、時価総額は20社合計で620億ドルだ。つまり投資金額の約9倍のリターンを生み出したことになる。
下位20社のデータを見てみると、VCからの資金調達額は合計で6億2300万ドルだ。しかしながら、時価総額の合計は480億ドルであり、これは投資金額の77倍のリターンを生み出したことを意味する。
リターンの絶対額だけをみると、その違いは140億ドルだ。VCにとってこの差はささいな数字ではない。しかし、調達額が10億ドルに少し満たない程度だったTwitterを除外してみると、140億ドルの差のうち120億ドルがその1社によって生み出されていたことが分かる。つまり、FacebookとTwitterを除いて考えてみると、VCは20億ドルのリターンを得るために約50億ドルを費やしたことになるのだ。株式市場の変動は激しく、この記事の執筆中も、調達金額上位20社の時価総額は大きく変動していることは留意しなければならない。しかし、そうだとしてもその変動は1社か2社の異常値によって引き起こされることが多いのだ。
毎年多くの企業が誕生するなか、そのうちの数社によって多額のリターンが生まれることは確かだ。また、そのような異常値(FacebookやTwitter)が生まれた場合には、その企業に最も多く賭けていた投資家が勝つことも事実だ。しかし、VCが常にそのような企業を見つけられるとは限らず、たとえその企業が優秀であったとしても資金を必要以上に投入してしまっているということも考えられる。
これはVCモデルの根底を揺らがすものではない。VCはリスクを伴うものなのだ。ハイリスクな状況下であっても、本当に優秀なVCはいくつものファンドを成功させている。
しかし、起業家はこの結果から学ばなければならない。FacebookやTwitterといった企業はエコシステム全体にとって無くてはならない存在だが、すべてのスタートアップに彼らのモデルが当てはまるわけではない。次なるFacebookを生み出すことができると確信している場合は別として、起業家がフォーカスすべきなのはIPOによって生み出される金額の絶対値ではなく、収益率なのだ。
VCにはポートフォリオがある一方、起業家に与えられたチャンスは(一回の起業につき)一度きり
VCは何度失敗したとしても、一度のホームランでその損害を取り返すことが可能だ。しかし、起業家に与えられたチャンスは一度きりである。起業家にとって、最良のケースでも24%しかないプレミアムを得るために4倍以上のリスクをとる価値があるだろうか?実際はどうだったのか調べてみると、資金調達上位の企業はそのプレミアムを得るためにリスクをとっていた:
- 「富める者」が調達した金額の中央値は1億9300万ドル、時価総額の中央値は21億ドル
- 「貧しき者」が調達した金額の中央値は3700万ドル、時価総額の中央値は17億ドル
しかも、起業家が実際に受け取るリターンはこの数字よりも悪い。数度にも及ぶ資金調達は起業家の持ち分比率を希薄化させるだろう。それに、スタートアップの快進撃が止まって結局IPOまで辿りつかなかった場合には、IPO以前に発行された優先株はVC側に有利に働くことになる。そのようなリスクがあるということ以上に、多額の資本をもつことはエグジット時の選択肢を狭めることになる。資本が少ないスタートアップの創業者たちは、満足のいくリターンを得られるのであれば、いつでも事業を売却することができる。その一方で、多額の資本を抱えるスタートアップの創業者たちは、エグジットすることで何十億ドルものお金を生み出さなければならず、しかも投下された資本が増えるごとに収益率は逓減していく。
これはVCにとって本当に最良のモデルなのだろうか?
VC業界に浸透する社会通念とは、投資家は勝ち組企業により多くの資金を投資するべきだというものだ。だが、リターンが逓減していく勝ち組への投資金額を抑える一方で、その分を10倍、20倍、30倍のリターンを得る可能性のある他のスタートアップへの投資にまわしたほうが良いのではないか?
ダビデ vs ゴリアテ
極めて少ないサンプル数ではあるが、2億ドル以上を調達した企業(このサンプルでは9社)とリストの下位にいる同じ数の企業を比べてみよう。結果は驚くべきものだった:
- 「富める者」は5億6700万ドルを調達し、その6倍となる35億ドルのリターンを生み出した。
- 「貧しき者」は1290万ドルを調達し、その218倍となる28億ドルのリターンを生み出した。
- 「富める者」は「貧しき者」の44倍の資金を調達したが、そこから得たリターンは「貧しき者」の1.25倍である。
少ない資本 = 良い企業?
新規上場時のスタートアップの市場価値は重要な指標である。その価値はベンチャー・キャピタルにとってリターンの源泉だからだ。しかし、上場して公開企業となった「富める者」と「貧しき者」を比較してみるのもおもしろい。「貧しき者」はVCから調達した資金によってではなく、徹底した顧客獲得戦略によって企業を成長させなければならない。企業をそのような状況下に置くことは、よりサステイナブルなビジネスを構築することにつながるのだろうか?
IPO以降の「貧しき者」と「富める者」を比べてみた結果、「貧しき者」のパフォーマンスの方がはるかに優れていた:
極めて少ないサンプル数ではあるが、2億ドル以上を調達した企業(このサンプルでは9社)と、リストの下位にある同じ数の企業を比べてみよう。結果は驚くべきものだった:
- IPO以降、「貧しき者」の株価は89%上昇した。
- 同期間における「富める者」の株価は22%しか上昇していない。
この結果に対する私たちの仮説は、必要以上に資本をもつ企業では、クリエイティビティや経営上の規律よりもその豊富な資本に頼ってしまう企業カルチャーが生まれるのではないかというものだ。大きなバランシートをもつ企業はたとえ非効率であっても成長できてしまう。なにか問題が生じた場合、価値の創造というスタートアップのコア・エンジンによって問題を解決するのではなく、豊富な人員と資金によってその問題をカバーしてしまうのだ。一方で、資本をもたない企業は早い段階から難しい決断を迫られ、切らなければいつまでも残ってしまう経営のムダを省こうとする。「貧しき者」がもつ、効率性を追求する精神はやがて高いパフォーマンスを生み出す企業カルチャーとなる。効率的な経営の仕方を知らない「富める者」が同様の企業カルチャーを育てあげるのは困難だろう。
これに対する主な反論として、「富める者」はIPOの時点ですでに高いバリュエーションをもっており、しかもそのバリュエーションは公開市場の投資家によってではなく、非公開市場の投資家によって決められたものだというものがある。この反論は正しいかもしれないが、起業家やVCはこの反論自体が示唆していることを考慮しておかなければならない。つまり、IPO以前から多額の資本を抱えるユニコーン企業に対して、公開市場の投資家は相当な割引率を適応しているということだ。
正の相関があるべきではないのか?
この調査結果がどれだけ驚くべきものなのか、深呼吸してもう一度認識する必要がある。VC業界で広く信じられている仮説とは、最良のシナリオにおいては、より多くの資金を投入すれば企業の成長をより加速させることができるというものだ。真の勝ち組企業には「過剰な資本」という言葉など存在しないと主張する人もいるだろう。結局そのような企業は投下された資本を再投資して、彼らの企業エンジンをさらに加速することができるという主張だ。企業に資本が注入されることで、ビジネスの原動力である人材やR&Dなどへの投資が可能になる。直感に従えば「富める者」が「貧しき者」よりも有利な立場にあると考えるのは当然のことだ。
もしそれが本当だとすれば、資本量と成長との間にある正の相関をこのレポートで示し、その相関を引き起こす要因となっているのがVC業界なのだろうという推測を立てていてもおかしくはない。言い換えれば、成功する企業は多額の資金調達がしやすい企業であるということを考慮に入れながら(原因と結果の関係が不明瞭な相関関係)、多額の資本が果たして本当に成功を引き起こしているのかという因果関係について考察するのがこのレポートの目的だっただろう。
驚くべきことに、データはその正の相関が存在することを示してはいない。パフォーマンスが優れている企業ほど多額の資金を調達しやすいにもかかわらず、パフォーマンスと資金の調達額とのあいだに正の相関は見られなかったのだ。
数社の例外を除き、多額の資金を調達をしたからといって高いパフォーマンスを発揮するわけではなく、IPO以降の株価のパフォーマンスを比べてみると、実際には多額の資本をもつ企業のパフォーマンスの方が悪い事ことが分かった。確かに、VCは「異常値」を探しだすビジネスであり、ボラティリティを前提とする職業だ。しかし、「富める者」が「貧しき者」よりも高いパフォーマンスを出していないところ見ると、たとえ優秀な企業であってもどこかの時点で投下資本に対するリターンが逓減してしまうことが分かる。データが示すのは、VCがリターンが逓減していく分岐点を知るのは難しいということだ。VC業界に伝わる格言のなかに、毎年多くのスタートアップが誕生するなかで、本当に重要なのはそのうちの15社だけだという格言がある。資金を企業に投入することがVCの仕事だとしよう。そのうえでVCの格言が本当に正しいのか調べてみると、実際にはその「本当に重要な企業」は過去5年間においてたったの2社しか存在しなかったことが分かる。勝ち目のない戦いだ。
企業買収の場合はどうか?
データを見てみると、時価総額上位20社のなかで資金調達額が1億2500万ドル以下の企業は15社だった。(この計算にはWayfairのデータも含まれている。同社は創業後10年間は資金調達を実施しておらず、どちらかというとレーター・ステージにおけるプライベート・エクイティ投資に近い形で資金を調達している)。Four、Atlassian、shutterstock、Textura、SkullCandyにいたっては資金調達をまったく実施していない。SplunkとPalo Alto Networksの調達金額を合計すると約1億500万ドルであり、この2社の時価総額の合計は約200億ドルだ。GrouponとZyngaは1億ドル以上もの資金を何度も調達しており、この2社の調達金額を合計すると約20億ドルにもなる一方で、時価総額の合計は50億ドル以下だ。
この分析が不完全なものであることは承知している。2015年に上場した企業のなかには上場後1年未満の企業もおり、1年分の決算資料がまだ出揃っていない企業もある。また、たとえVCマネーを豊富にもつ企業であったとしても、もっと長期的な目線で見れば高いパフォーマンスをあげるという可能性もある。それでも、このデータはVCと起業家に重要な示唆を与えるものだ。ユニコーンの時代には時代遅れのことを言うようだが、5000万ドルかそれ以下の投資で何十億ドル規模の公開企業を生み出せる可能性はとても高く、そして恐らくはそれが賢いVC投資のあり方なのだろう。
資金調達額は虚栄の指標
製品戦略、マーケティング戦略、人事戦略などと同じように、資金調達は企業の戦略的なオプションの一つである。それゆえ、資金調達を行うべきなのかどうか、事前に慎重な検討を重ねる必要がある。だが残念ながら、起業家は日和見的に資金調達を実施する傾向があり、さらに悪いことに、彼らのプライドや間違ったバリデーションを理由に資金調達が実施されることもある。
経営が順調であれば、資金は勝手に近づいてくる。資金調達ができるということは喜ばしいことであるし、大きなバランスシートを持つことは時として良いことだ。しかし、それがエグジット時の選択肢を狭めてしまうのも事実だ。企業とって資本とは、最大の制約でもなければ、最大のチャンスでもないのだ。彼らにとって何よりも悪いニュースなのは、バランスシートが企業の長期的なパフォーマンスを支えるのには限界があるとデータが証明していることだ。データをよく見てみると、多額の資金を調達してきた「富める者」のパフォーマンスが悪いことは確かだが、それでも現存するユニコーン企業は彼ら以上の資本を抱えていることが分かる。「富める者(データ中の時価総額上位20社)」の非公開市場での資金調達額の中央値は1億9300万ドルだった一方で、ユニコーン企業2億8400万ドルだ。しかも、ユニコーン企業は非公開企業であることから上場するまでにさらなる資金調達があってもおかしくはない。
私たちは企業に自給自足を勧めているわけでもなければ、のろのろとした成長を奨励しているわけではない。VCからの資金の申し出には「ただNOと言っておけ」と主張しているわけでもない。だって、私たちもVCなのだから。資金調達をまったく実施しなくても成功を収めた企業がいることは確かだが、それはとても珍しいケースだ。誰にも頼らずにスタートアップを創りあげたからといってボーナスポイントが貰えるわけではない。
起業家はみな同じように野心をもって企業を立ち上げ、みな同じように成功を渇望している。それは「貧しき者」も「富める者」も同じだ。「貧しき者」はただ効率的に事業を運営してきただけだ。何十億ドル規模のグローバル企業をつくりあげるために「貧しき者」がとったリスクは「富める者」よりも非常に少なく、かつ企業の持ち分も多い。この調査によって新たに分かったのは、資本の制約は企業に悪い影響を与えるわけでなく、逆に良い影響を与えるということなのだ。
これはVCに対する宣戦布告ではない。起業家への祝辞なのだ。
かつて、人々はゼロから何かを創り出すという起業家精神の神秘性に魅了されていた。しかし今では、まるで銀行のようにVCから多額の資金を調達する起業家が賞賛される時代となった。この状況は健全ではなく、変えていく必要があると私たちは思う。スタートアップ市場に大量の資金が流れ込んでいる一方、起業家が成功するために多額の資金を調達する必要はなく、少ない資本がより良いパフォーマンスにつながることが調査結果から明らかになった。それでも、今日の起業家の多くはそれとは逆のアプローチを取ろうとしているのだ。
私たちが批判しているのはVCマネーそのものではなく、VCマネーの非効率な使い方である。VCは多くのスタートアップにとって成功の原動力ではあるが、追加的に多額の資金を調達することを正当化できることはほとんどない。薬と同じように、VCマネーも服用すべき時と場合があり、それが持つ副作用には注意する必要がある。
私たちのポートフォリオには、大きな資本をもつ「富める者」も、ガソリンの匂いだけでエンジンを動かしているのかと思うほど効率的な「貧しき者」もいる。私たちが彼らに与えるアドバイスは同じだ。もし、追加の資金調達が不可能で、銀行口座に残っている資金が最後の資金だとしたら、あなたはどのように経営の仕方を変えるべきか?この答えまでたどり着くことができたとすれば、億万長者への入口はすぐそこかもしれない。
[原文]
(翻訳: 木村 拓哉 /Website /Facebook /Twitter)