英国のオンライン中古車販売プラットフォームCazooが320億円超を追加調達

英国では、多くの人々は、より多くの社会的な距離を確保するための方法として、現時点では公共交通機関に乗る代わりに車を使用することを選んでいる。車の販売・購入のためのより効率的な方法を構築したスタートアップのCazooは、英国時間10月1日に大規模な資金調達のラウンドを発表した。中古車を閲覧して購入するためのアプリベースの方法を提供する同社は、2億4000万ポンド(約326億円)の資金を集めた。米国のVroomに似たモデルを採用する。

資金調達は、同社が1億1600万ドル(約122億円)を調達してからわずか6カ月後のことだ。Cazooの広報担当者は、同社の評価額が20億ポンド以上(約2715億円)となり、以前の評価額の2倍になったことを確認している。一部の文脈では、同社はこの夏に10億ドル(1050億円)の評価額を確認しており、ほかの人はもっと低い額で見積もっていた。

今回の資金調達は、General Catalyst、D1 Capital Partners、Fidelity Management & Research Company、Blackrockが運営するファンドが主導しており、ほかの新規投資家や既存投資家も参加している。そのリストには、L Catterton、Durable Capital Partners、The Spruce House Partnership、Novator、Mubadala Capital、dmg venturesが含まれている。これにより、同社がこれまでに調達した総額は4億5000万ポンド(約61億円)に達した。

同社は、これが借入のないオールエクイティラウンドであることを強調した。借入は、自動車のような多くの資産を必要とする企業の資金調達において、ビジネスモデルを機能させるために大きな役割を果たす。しかしFairのような自動車販売を根本から変革するほかの会社で見てきたように、負債が株式投資をはるかに上回ることもあるし、Fairで見てきたように大金がビジネスに役立たないこともある。

「今回調達した資金は、チーム、ブランド、インフラを成長させ、英国のすべての消費者のために車の購入をより良いものにしていくための提案を継続的に開発するために使用する」とスポークスパーソンに確認した。

Cazooは、Alex Chesterman(アレックス・チェスターマン)氏によって設立された。同氏は、LoveFilmや不動産販売サイトZooplaを創業した人物だ。ちなみにLoveFilmは、Amazon(アマゾン)に買収され、NetflixのライバルであるAmazon Primeビデオ構築への第一歩として利用された。

なお、Cazooによるとローンチしてから1年足らずで1億ポンド(135億8400万円)の収益を上げ、毎月 「数千台」 の車を販売。配達しているという。ただし、利益が出ているか公表していない。

同社の急成長は、A地点からB地点への移動のために車を所有する人が増えたということだけでなく、新たな関心の高まりから来ている。私はロンドンに住んでいるが、最近の交通事情は間違いなく悪化している。また、従来の車の購入方法につきものだった物理的な接触を避けるために、オンラインで仮想的な方法を探している人たちもいる。

「ここ数カ月で、英国の消費者が当社のユニークで市場をリードする提案を受け入れ続けているため、オフラインからオンラインでの自動車購入へのシフトが加速しています」とチェスターマン氏は声明で述べている。「今回の資金調達は、当社のビジネスモデルとチーム、そして英国市場に対する世界最高の投資家の確信を示すものであり、英国の消費者に最高の自動車購入体験を提供するという当社の計画を実現するための力をCazooに与えてくれます」と付け加えた。

チェスターマン氏の起業家としての経歴は、資金調達やドアを開くのに役立つ。

「アレックスとは、LoveFilmを作っていた頃から17年来の付き合いです」とGeneral Catalystのマネージング・ディレクターであるAdam Valkin(アダム・ヴァルキン)氏は声明で述べている。「アレックスは、テクノロジーで変革を促すことができる大規模な消費者市場を特定し、顧客に焦点を当て、価値、利便性、信頼できるサービスの提供によって変革をリードすることで、キャリアを築いてきました。Cazooでは彼の実績ある戦略で、英国中の中古車購入者の利益のために、今までで最大のチャンスを手に入れようとしています」と指摘する。

D1 Capital Partners創業者であるDan Sundheim(ダン・サンドハイム)は「アレックスとCazooのチームとパートナーを組むことができて興奮しています。彼らは過去のインターネットベンチャーで顧客や株主に莫大な価値をもたらしており、Cazooが中古車業界のデジタル変革を大きく加速させ、英国の消費者の車購入体験を劇的に向上させると確信しています」とコメントしている。

カテゴリー:ネットサービス
タグ:Cazooリテールテック中古車販売資金調達イギリス

画像クレジット:Cazoo

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(翻訳:TechCrunch Japan)

SENRIがアジア・アフリカ新興国の小売店向け受発注プラットフォーム「SENRI Direct Order」を正式ローンチ

SENRIは10月1日、アジア・アフリカの新興国の小売店向けの受発注モバイルプラットフォーム「SENRI Direct Order」を正式にリリースしたことを明らかにした。

SENRI Direct Orderは、WhatsAppのミニアプリ版とウェブ版を組み合わせることで、新興国での流通のデジタル化を支援する。具体的には、WhatsApp経由の発注サイトへの誘導・プロモーションやWhatsAppを活用したチャットボットでの配送状況通知などが可能だ。ウェブ版では、小売店の発注業務を可能にし、プロモーション情報などを受け取れるメーカー別の発注サイトを提供する。

同サービスは、2020年10月現在、ケニア、ナイジェリア、ウガンダ、タンザニア、インドネシアの計5カ国で累計150社以上への導入実績があるそうだ。月間総取引額は約12億円に達しており、月間アクティブユーザー数は対前年比2.7倍と急成長しているという。

SENRI Direct Orderの特徴は、現地の通信環境やスマートフォンのスペックに合わせた仕様に最適化している点だ。ネットの速度が遅く不安定で、スマートフォンなどの処理スペックが低くても、利便性を損なわない作りになっている。具体的には、これらの条件下でも確実にデータを同期できる仕組みを構築しているとのこと。

また、SAPなどのERPとの接続はもちろん、ケニアや南アフリカで拭く湯しているmPesaモバイル決済システム、チャットアプリのWhatsApp、Google Data StudioなどのビジネスインテリジェンスツールとAPI連携が可能だ。

さらには現地にカスタマーサクセスチームを置いており、ITの知見がない営業マネージャーや営業担当者に対してもサポート対応が充実している点でもアドバンテージがある。

SENRIは2015年8月設立のスタートアップ。本日2020年10月1日に旧社名アフリカインキュベーターから社名変更した。関連会社として、ナイジェリアにSenri Ltd、ケニアにAfrica Incubator Kenya Ltd、ウガンダにAfrica Incubator Uganda Ltdがある。

スニーカーカルチャーの主役「GOAT」が100億円超の新規ラウンドで約1845億円の驚異の評価額を叩き出す

この場合、お金はスニーカーだ。

ストリートで評価を得、若者の間で文化的にクールな通貨となった、収集可能なスニーカー(Kicks)やキットを再販するためのオンラインおよびリテール事業を手掛けるGOATは、新たな資金調達で1億ドル(約105億円)を調達し、企業価値は途方もない17億5000万ドル(約1845億円)となった。

ロサンゼルスに拠点を置くGOATにとって、今回の資金調達は大きな数字であり、大きな日でもある。しかし、生まれて間もないスニーカーやストリートウェアの市場はもはや巨大市場になっており、調査会社のCowenの最近のレポートによると、2030年までに世界の売上高が300億ドル(約3兆1600億円)に達する可能性があるという。ちなみにCowenは、資金調達について最初に報じたThe Wall Street Journalが引用した調査会社だ(The Wall Street Journal記事)。

少なくとも同社によると、最近のGOATはスニーカー以外のものも扱っているという。2015年にサービスを開始後、隣接するカテゴリに拡大し、現在のEコマースの大流行での最大の小売業者の1つとなった。

GOATの共同創業者兼最高経営責任者のEddy Lu(エディー・ルー)氏は声明で「私たちの使命は、世界の優れた製品を過去、現在、未来から1つにまとめ、文化とスタイルの観点から最高のエンドツーエンドの顧客体験を提供することです」と語る。

ルー氏のデロリアンへのアクセスや未来に戻る能力はさておき、

同社は新世代の買い物客のための商業的試金石となるためにいくつかの重要なマイルストーンを達成した。

同社は、VCのAccelやUpfront Ventures、および靴の小売大手であるFoot Lockerから2億ドル(約210億円)を調達し、Alexander McQueen(アレキサンダー マックイーン)、NIKE(ナイキ)などのブランドも同社のプラットフォーム上で製品を直接販売している。

ちなみに、高級品やライフスタイル商品の再販方法を人々に提供したことで10億ドルの評価額を得たのは同社だけではない。同社の最大のライバルであるStockXも昨年末の1億1000万ドル(約116億円)のラウンドで10億ドルのバリュエーションを獲得している(未訳記事)。

なお声明によると、GOATは今回の新たなラウンドの資金調達を研究開発の倍増と国際的な事業拡大のために使う予定だという。

D1 Capital Partnersの創設者であるDan Sundheim(ダン・サンドハイム)氏は「GOATをスニーカー業界のトッププレイヤーに押し上げた印象的な成功を目の当たりにし、彼らの規律ある運営アプローチと差別化された価値提案に引かれました」と語る。「GOATはコアビジネスを成長させ、新たなカテゴリーへと拡大し続けているため、次世代のグローバルEコマースプラットフォームの中で最も優れたポジションを持つ企業の1つとして急速に台頭しています」と締めくくった。

画像クレジット:Focus on Sport / Getty Images

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(翻訳:TechCrunch Japan)

低リスクでの商品販売を可能にするオンデマンド商品プラットフォームのMoteefeが約12億円を調達

商品のオンデマンド生産を可能にするEコマースプラットフォームを提供するMoteefe(モティーフェ)は、シリーズBの第一弾として1100万ドル(約11億7000万円)の資金調達を明らかにした。ラウンドをリードしたのはBGFで、Gresham House VenturesとForce Over Mass Capitalを含む既存の投資家が参加した。

今回の調達した資金はは、Moteefeの継続的な事業拡大と、カスタマイズされた商品を顧客に提供したいと考えている、起業家や小売業者などからの需要の高まりに対応するために投下される。Moteefeによると、新商品のスタイルやカテゴリーをテストするためにプラットフォームを利用している大規模小売企業も含まれており、時代遅れのシステムやサプライチェーンでは対応しきれていないとのこと。

2016年初頭に創業したMoteefeは、起業家、インフルエンサー、小規模から大規模までの小売業者が、プリントTシャツや刻印入りジュエリーなどのカスタマイズ商品のデザインや作成、販売を希望する場合に「エンドツーエンド」のサービスを提供している。Moteefeのプラットフォームを利用することで、ブランドは商品をデザインし、自社のホワイトラベルを貼ったMoteefeストアや、自社サイト、アプリ、そのほかのマーケティングチャンネルを通じて販売することができる。

Moteefeのプラットフォームの魅力は、最小限の生産ラインを確保することなく、テスト販売で通常は考慮しなければならない「リスク、無駄、先行費用」を排除できる点にある。同社は、輸送距離を最小限に抑えるために地元の配送業者と協力することで、サプライチェーンの効率性と持続可能性を向上させることができるとも主張している。

「あらゆる規模の小売業者は、完全に統合されたエンド・ツー・エンドのサービスとしても、必要な部品を選択するだけでも、Moteefeプラットフォームを利用できます。また、Moteefeはホワイトラベル(ある企業が生産した製品を、他の企業が自社のブランドを使って販売すること)化されているため、小売業者は顧客との関係を把握することができ、そのデータを利用してリピート販売を促進することができます」と同社は説明する。

Moteefeによると、これまでインディーズの起業家からハイストリートブランドまで5000社以上の小売業者がこのプラットフォームを利用しているとのこと。

MoteefeのCEOを務めるMathijs Eefting(マティス・イェフティング)氏は声明で「世界的な小売業が苦境に陥り、サプライチェーンが事実上停止している中で、当社の小売業者の製品に対するユーザーと顧客の強い需要は倍増しています。このような需要の増加により、Moteefeはチームを拡大し、生産能力を向上させることができ、当社のネットワーク全体に利益をもたらし、国際的に質の高い雇用を創出できました。私たちは当初の目標を超えて、誰もが店舗を立ち上げ、世界的に販売できるように支援することを目的としています。今では、あらゆる規模の革新的な小売業者をサポートし、まったく新しい電子商取引の需要と機会に対応することができるようになりました」とコメントしている。

画像クレジット:Moteefe / OSSI PIISPANEN

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(翻訳:TechCrunch Japan)

インド最大の小売Reliance Retailが2番手Future Groupの事業を3580億円で買収

インド最大の小売チェーンであるReliance Retail(リライアンス・リテイル)はインドでの支配的地位をさらに確固たるものにする、より簡単な方法を見つけた。2番目に大きなチェーンの事業の大半の買収だ。

インド8月29日夜にReliance Retailは、Future Group(ヒューチャー・グループ)の小売と卸売事業、ロジスティック、倉庫保管事業を34億ドル(約3580億円)で買収することで同社と合意したと明らかにした。

買収合意の発表は、世界最大のオープンマーケットであるインドで事業を展開しているAmazon(アマゾン)やWalmart(ウォルマート)のFlipkart(フリップカート)の未来を混沌とさせるものだ。インドのeコマースが小売売上高に占める割合はまだ3%にすぎない。コンサル会社BCGやインドの通商グループRetailers’ Association Indiaによると、インドの小売市場は昨年7000億ドル(約74兆円)だったが、2025年までに1兆3000億円(137兆円)に膨張すると予測されている。

AmazonもFuture Retailに関心を示してきた。地元の報道によると、昨年Future Group傘下企業の株を取得したAmazon(未訳記事)は株のさならなる取得を打診していた。インド事業に65億ドル(約6850億円)超を投資しているAmazonは1月、事業者のオンライン販売をサポートするためにFuture Groupと提携したと発表した。

ストーンウォッシュ加工のファブリック販売で1980年に事業を始めたFuture Groupは400超の市町村に1500を超える店舗を構え、何百万という顧客を抱える。今日のReliance Retailとの合意で負債を減らせるはずだ。

Reliance Retailの親会社Reliance Industries(リライアンス・インダストリーズ)を率いるMukesh Ambani(ムケシュ・アンバニ)氏は今年、Facebook(フェイスブック)、Google(グーグル)、その他11の著名な投資家から通信ベンチャーJio Platforms(ジオ・プラットフォーム)への200億ドル(約2兆1000億円)もの投資を確保した。

ベンガル・グローバル・ビジネス・サミットで話すアンバニ氏、2018年1月16日、インド・コルカタ(写真Debajyoti Chakraborty/NurPhoto via Getty Images)

インドで最も裕福なアンバニ氏はeコマースに目をつけている。Jio PlatformsとReliance Retailは昨年JioMart(ジオマート)を発表した。昨年後半にムンバイのいくつかの郊外で試験を開始したeコマースベンチャーのJioMartは、事業を200以上の市町村に拡大した。

Jio Platformsに57億ドル(約6000億円)を投資したFacebookは、インド国内にある6000万店超の家族経営の小さな店や中小の事業所をデジタル化するためにRelianceとの協業を模索すると話した。

Reliance Retailのディレクター、Isha Ambani(イシャ・アンバニ)氏は「買収により、有名なFuture Groupのブランドを受け入れ、その事業エコシステムを維持することを嬉しく思う。Future Groupはインドの現代小売の改革において重要な役割を果たした。小規模の小売事業者、個人商店、大規模の消費者ブランドとのコラボという当社のユニークなモデルでもって引き続き小売業界を成長させたい。国中の顧客に今後も価値を提供することを約束する」と声明で述べた。

画像クレジット: Namas Bhojani / Bloomberg / Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi