米航空宇宙産業が衛星打ち上げのライドシェア事業を三井物産と山佐に売却

Spaceflight(スペースフライト)とBlackSky(ブラックスカイ)のオーナー企業であるSpaceflight Industries(スペースフライト・インダストリー)は、Spaceflightの事業を日本の大手商社の三井物産とパチスロメーカーで航空機や船舶のリースも手掛ける山佐に売却する。買収成立後のSpaceflightは、2社の持ち株比率50対50のジョイントベンチャーになるが、シアトルを拠点とする独立企業として米国で操業を続け、引き続き小型人工衛星のペイロードのライドシェア事業を展開する。

元親会社のSpaceflight Industriesは、売却益(金額非公開)を、地球観測衛星事業のBlackSkyに再投資する。現在それは軌道上の4つの衛星で稼働しているが、年内にさらに8つを加えることを計画している。

三井物産は日本最大級の商社として、インフラやエネルギー、IT、食品、消費者製品、鉱業、化学など多様なセクターがあり、これからはロケット打ち上げのライドシェアがそのメニューに加わる。三井には航空宇宙部門があり、そこは衛星の開発と打ち上げと運用サービスを提供しているが、本日のプレスリリースによると、Spaceflightは買収完了後に同社の宇宙戦略の「要石」になるようだ。

Spaceflightはそのサービスを2010年から提供し、これまで29回のロケット、計271基の衛星を打ち上げた。2020年だけでも、10回のミッションが予定されている。打ち上げプロバイダーと小型衛星の運用事業者はどちらも近年の成長産業であり、従ってSpaceflightの事業も今後の成長が見込まれる。多くの業界予測によると、2030年に始まる10年間には軌道ベースの事業が急上昇するという。

今回の協定も、宇宙産業の未来を示唆しているようだ。今後ますます若い企業の参入が続き、そのそれぞれが独自の成長および投資の戦略を追求して、ミッションの維持を目指すだろう。たとえばSpaceXは、そのStarlink事業の継続と今後の一般公開を目指すことを確認しており、その意向は今後のより大きな投資を招き、人間を複数の惑星にまたがる生物にするという目標に向けて、そのコアビジネスであるロケットと衛星の打ち上げにも資金が還流されるだろう。

Spaceflightのこれまでの事業が国家のセキュリティに関わる可能性があるので、今回の取引は対米外国投資委員会(Committee on Foreign Investment in the United States、CFIUS)が精査する。精査には数カ月を要するので、すべてがOKなら完了は2020年Q2になるとSpaceflight Industriesは考えている。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

AIチャットボット開発の空色が約6.5億円を調達

空色は8月22日、総額約6.5億円の資金調達を発表した。WiL、NTTドコモ・ベンチャーズ、S5(エスファイブ)1号投資事業有限責任組合、みずほキャピタル、三菱UFJキャピタルを引受先とした第三者割当増資による調達となる。累積資金調達額は約10億円。

写真に向かって左から、空色で取締役CSO兼CFOを務める瀧 直人氏、代表取締役を務める中嶋洋巳氏

同社は、ウェブ接客ソリューション「OK SKY」、AIチャットボットソリューション「WhatYa」(ワチャ)を開発・提供する、2013年10月設立のスタートアップ。

今回の調達した資金は、これまでに蓄積した会話データを活用した購買促進を目的とした会話標準化モデルの実現、顧客接点拡大に伴うウェブ接客ソリューションの発展と開発体制の構築、新事業領域への参入および海外事業展開を目的としたマーケティング、事業拡大に伴う全職種における採用活動の強化などに投資する計画だ。人材採用も強化し、2020年度末をめどに累計導入企業数500社を目指す。同社によると、現在の導入企業数は累計約80社で、流通、小売、メーカー、インフラなどの業種が採用しているとのこと。

同社ではすでに、コールセンターに代わるチャットセンター事業の拡大に向け、伊藤忠商事や三井物産、ベルシステム24などの事業会社と資本業務提携を結んでいる。今後は、大量に保有するチャットログデータの解析およびAI開発、チャットログデータのマーケティング活用に向けた事業提携も検討しているという。

OK SKYは、LINEやFacebook Messenger、SMS、サイト内チャットなどを横断して顧客とやり取り可能できるのが特徴。チャットの内容を蓄積してAIが解析することで、有人チャットと組み合わせた効率的な顧客サポートが可能になる。2018年10月には、こども服大手のファミリアが「OK SKY Chat Bot」を導入している。そのほか、朝日新聞デジタル、レイクALSA、ベルメゾンなどにも導入されている。

WhatYaは、多言語対応のAIチャットボットで、2018年7月に近畿日本鉄道ではウェブサービス「近鉄ご利用ガイド」に試験導入されている。日本語、英語に対応しており、利用者から寄せれた質問をAIが学習して自動回答を行う。

同じく7月に髙島屋京都店でも店内案内にWhatYaを導入。こちらは、日本語、英語、中国語の3カ国対応だ。店内案内に掲載されている二次元コードをスマートフォンなどで読み取れることでウェブサイトにアクセスでき、ブランド名やカテゴリー名などのキーワードを入力すると目的の売場の場所情報を受け取れるというものだ。

企業の“位置情報”活用を支えるレイ・フロンティアが三井物産から3億円を調達、モビリティ分野強化へ

写真左からレイ・フロンティア代表取締役の田村建士氏、三井物産モビリティ第一本部 交通プロジェクト部 部長の野瀬道広氏

人工知能を活用した位置情報分析プラットフォーム「SilentLog Analytics/SDK」を展開するレイ・フロンティアは2月14日、三井物産を引受先とする第三者割当増資により3億円を調達したことを明らかにした。

今回調達した資金を活用して組織体制を強化するとともに、国内外の企業に対し行動データの収集・分析サービスの提供を進める。三井物産とは注力分野のひとつとなるモビリティ領域において連携し、新サービスの開発などにも取り組む計画だ。

レイ・フロンティアは2008年の設立。2015年にICJとアドウェイズから数千万円規模とみられる資金を調達しているほか、2016年にもみずほキャピタル、イード、環境エネルギー投資、いわぎん事業創造キャピタルなどを引受先とした第三者割当増資を実施している。

収集から分析・活用まで、企業の位置情報活用をトータルで支援

アプリケーションやIoTデバイスなどから収集された“ユーザーの行動データ”を活用して、個々に最適化なサービスを提供しようという動きが年々加速している。レイ・フロンティアはその中でもユーザーを知る上で重要な要素となる“位置情報”にフォーカスした事業を展開するスタートアップだ。

位置情報を収集するための「Silentlog SDK」と収集したデータを分析する「SilentLog Analytics」を軸に、企業の位置情報の活用をトータルでサポートする。

もともとレイ・フロンティアはARアプリの開発からスタート。そこから位置情報に特化する形にシフトし、受託開発事業などを手がけていた。2015年に紹介した「SilentLog」は受託開発で培ったナレッジも活用して作った個人向けのライフログ管理アプリだ。

現在も約4万人のユーザーがいるという同サービスに蓄積された情報から、人の行動パターンを分析する独自のアルゴリズムを開発。そのアルゴリズムを始めとした知見は企業向けのSilentlog SDKやSilentLog Analyticsのベースにもなっている。

企業はSilentLog SDKをスマホアプリに組み込むことで、高密度な位置情報を取得することが可能。スマホに搭載されているセンサーデータを用いた独自技術によって、バッテリーの消費を一日平均3%にまで抑えながら数秒単位での位置情報を取得できる点が特徴だ。

このSDKを通じて収集した行動データやその他のデバイスから収集された情報をリアルタイムに匿名で分析するのがSilentLog Analyticsの役割。導入企業は機械学習処理が行われた位置情報分析データを基に、ユーザーの嗜好や行動特性などを踏まえた細かいペルソナを作成したり、個々に最適化した情報の配信したりといったことができるようになる。

同社の特徴はSilentLogを通じて自分たちで生のデータを集め、独自のアルゴリズムを作れること。そこに開発会社としていろいろな位置情報サービスの裏側を作ってきた経験を合わせることで「リサーチに近い段階からサービスの企画、アプリケーションの設計まで一気通貫で支援できる」(レイ・フロンティア代表取締役社長CEOの田村建士氏)という。

一例をあげるとイードと共同開発する燃費管理サービス「e燃費Ver.4.0」や宇都宮市の「うつのみや健康ポイント」を始め、災害時における人流分析運転挙動システム情報信託プラットフォームなど幅広いジャンルでなどでSilentLog Analytics が活用されている。

モビリティ分野では新サービス展開も計画

田村氏によると特に引き合いが多いのはモビリティ、ヘルスケア、都市開発といった領域。今回の調達先である三井物産はもともとモビリティ分野でレイ・フロンティアの事業展開をサポートしていたそうで、そこでの反応が良かったために出資へと繋がったそうだ。

近頃は「MaaS」という言葉を目にする機会が増えてきたけれど、レイフロンティアでは三井物産のモビリティ第一本部とタッグを組みながら、今後モビリティ関連の事業を手がける企業の位置情報活用を積極的にサポートしていく。

利用者の行動特性に応じた各種モビリティサービスの提供、行動変容を通じた混雑緩和や新たな移動・行動の創出、複数交通手段のシームレスな連携など、新サービスの開発も視野に入れながら各種サービスの展開を推進。国内に留まらず、海外企業へのアプローチも強めていく計画だ。

「ただの分析屋で終わるつもりはなく、リサーチから実際に作り込む部分までをしっかりサポートしていく。立ち位置としてはミドルウェアに近く、企業の位置情報活用に欠かせない重要な“モジュール”としての役割を担いたい」(田村氏)